スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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今日、スイートプリキュア♪の2月6日で10周年記念日になります。
この一年を使って「鬼人の組曲」を完成させるつもりでした。
完成させる事は出来ませんが、あるだけの原稿は時間かかりますが出します、良ければ付き合って頂ければ幸せです。

皆様が健康でありますように。
水無月 双葉


八雲の懸念

 今日、先生は急用が出来てしまい、パイプオルガンの作業が終わってしまったので、念の為あるところに確認をしたのだが……

 

「そうですか……お忙しい時間に申し訳ありませんでした、それでは失礼致します」

 

 電話を切って深い溜め息を吐く。

 

「やっぱり、そうだよな……」

 

「何がやっぱりなのよ」

 

 少し離れた所からアコちゃんに声をかけられる、どうやら俺が電話をしていたので離れて待っていてくれたらしい。

 

「音楽自慢大会の話」

 

「明日のヤツね、それがどうかしたの」

 

 アコちゃんが、近づきながら首を傾げる。

 

「今ね、大会事務局に確認したら、加音町での大会の予定は今の所無いって言われた」

 

「え? じゃ明日の大会は……もしかして!」

 

「十中八九、マイナーランドの罠だ」

 

 目線を外し何かを考えてるアコちゃん。

 

「八雲、私、明日は……」

 

 途中で言い淀むアコちゃんの頭に手を置く。

 

「大丈夫、明日からの戦いは出来るだけ俺も一緒いる、だから安心して、俺は近くの屋上から監視をするつもりだ、響ちゃん達も参加するからね見つからない方が良い」

 

「わかった、私は広場を歩いて見る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、すごい人」

 

 会場の広場についた私は大会の熱気でテンションが上がっていた、助っ人で沢山の大会に出ているけれど、何時味わっても開始前のこの雰囲気は大好きだ。

 

「みんな、出場するんだね、さすが音楽の街加音町」

 

 奏とハミィも大会の熱気に当てられ興奮している、出場者を見渡すとかなり知っている人たちがいる。

 

「王子先輩達も出るんだ、うわっ、三丁目のおじさん達も居る、あの人達プロ並みに上手いのに」

 

 スポーツの大会なら闘志が高ぶるけど、ピアノはまだそれだけの意識が持てない。

 

「私達じゃ無理かも……」

 

「人は人、誰かと比べるんじゃなくて私達なりにベストを尽くして良い演奏をしようよ、八雲さんも大会を楽しみなって言ってたよ」

 

 私の弱い心を奏が救ってくれる、そんな奏の思いが嬉しい。

 

 子供達が集まっている集団が賑やかなので、つい目を向けるとその中心には、良く知った人物が居た。

 

「聖歌先輩!」

 

 声を掛けながら奏と近づくと、聖歌先輩はこちらを振り向く。

 

「あら、南野さん、北条さん、おはよう」

 

「「おはようございます」」

 

「何してるんですか?」

 

「作ったお菓子を街の皆さんに食べて貰おうと思って」

 

 差し出された籐の籠には、袋詰めにされた可愛らしいクッキーが所狭しと並べられており、甘いに香りを漂わせ奏と一緒に覗きこむ。

 

「一人で作ったんですか、おいしそう」

 

「えぇ、良い音楽を聴くのも楽しいけど、美味しいお菓子があればもっと幸せな気分になれるでしょう」

 

「同感です!」

 

 思い出のレコードを聴きながら食べた奏のカップケーキに八雲兄のハーブティー、最高だった。

 

「街の人たちの為に……流石スイーツ姫」

 

「貴女達も出場するの」

 

「「はい」」

 

 奏の呟く様な声からの嬉しそうな声、勢いで聖歌先輩のあだ名で呼んでいるけど聖歌先輩は気にした様子も無い。

 

「良い演奏を期待しているわ、はい」

 

 差し出された籠のクッキーを一袋貰う、本当に美味しそうで食べるのが楽しみ。

 

「「ありがとうございます」」

 

 奏と顔を見合わせ笑う。聖歌先輩はまた近くに人達にお菓子を配り始め、その姿を見て私は心が軽くなっている事に気が付き、良い演奏が出来ると気合が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、なぁ、アコ出ようぜ」

 

「出ない」

 

「えー、何でだよう、一緒に出ようぜ」

 

「出ない」

 

 奏太のしつこい誘いに少しイラつく、こんな事なら八雲と屋上で見張って居れば良かった。このやり取りももう五回目だ、いい加減にして欲しい。

 

「奏太、アコちゃん」

 

 掛けられる声に振り向く、本当なら知らない振りをして行ってしまいたいが、響と奏の二人が立っているのでそうもいかない、溜め息が漏れそうになる。

 

「姉ちゃん達」

 

 しょうがないので奏太と一緒に近づく。

 

「お、たて笛を持っているて事は奏太も出るの?」

 

「うん、クラスのみんなでたて笛の合奏やるんだ、でも、アコは出ないって言うんだ」

 

「クラス皆でやるんなら、アコちゃんも出た方が良いんじゃない」

 

「自由参加なの」

 

 奏太も響うるさい、そんな暇ないの少し黙ってて欲しい。

 

「めんどくさいから私はパス」

 

「アコちゃんは音楽が嫌いじゃないんでしょう、上手く出来なくても一生懸命やる事が大事なのよ」

 

 奏の何も分かっていない言葉に流石に限界。

 

「口うるさ、そう言うアンタ達は出る訳」

 

「うん、二人でピアノ弾くんだ」

 

 響の嬉しそうな声と隣で笑っている奏……でも、ピアノって……? 

 

「ピアノ? 何処にあるの」

 

 周りを見渡すけど、ピアノなんて何処にも無い、どうやって演奏する気なんだろう。

 

「「え、あー」」

 

「「ピアノが無い……」」

 

 まさかこの二人ピアノ用意していないの、どうする気よまったく。

 

「えぇ、姉ちゃん達ピアノが無くってどうするんだよ」

 

「「どうしよう……」」

 

 驚く奏太に戸惑う二人、馬鹿みたい、溜め息が出そう。

 

「響!」

 

 響を呼ぶ大きな声、公衆の真ん中で止めて欲しい。

 

「和音、どうしたの」

 

「二人を探している人がいたから連れてきたの」

 

 二人と同じ学校の制服を着た和音と呼ばれた人、その後ろには初老の男性。

 

「もしかしてピアノが無くてお困りかな」

 

「どうしてそれを……」

 

「はい、ピアノの準備忘れてしまって」

 

「うちのピアノを使いなさい」

 

 二人の戸惑いを見ていると、どうやら知り合いじゃないみたい。

 

「え、でも……」

 

「木野君に頼まれているんだよ、君達がピアノの準備をして無かったら力を貸して欲しいとな」

 

 八雲何考えているの?! 自分で罠だって言ってたくせに……ピアノの手配とか信じられない。

 

「八雲兄が?」

 

「八雲さん……」

 

 さっきまで八の字眉だったくせにもうニコニコしちゃって、我慢していた大きな溜め息が漏れる。

 

「付き合ってられない、奏太、私用事があるから参加出来ないって伝えておいて」

 

 奏太の淋しそうな顔に胸がチクリと痛む、でも、今の私に音楽を楽しんでいる時間は無いの、奥歯を噛み締めると私はその場を後にした。




お読み頂いたありがとうございます。
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