スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
「はにゃぁ……やっぱりこの二人は」
嬉しそうな声を上げるハミィ、だがネガトーンはそんな俺達三人をあざ笑うかのように飛び越えゆっくりと街の方に進む。
「そうだ、そのまま街に行って悲しみのメロディを撒き散らしてこい!」
セイレーンの言葉に従い街に向かうネガトーン、俺は後先考えずに走り出していた。
鬼姫の言葉が思い出される「通常でも十分な力を持ちますが……」頭の中で反芻する、通常でも、力を、持つ、それだけで十分だった。
響ちゃんを! 奏ちゃんを! 悲しませるものか! 全身を使ってジャンプをし、防御も何も考えずに体をそらしネガトーンの脇腹に全力で拳を叩き込んだ。
ネガトーンは大きくよろめく、多少のダメージは受けたようだ、ネガトーンがこちらに振り向く。
「あんた一体何者だい!」
セイレーンの叫びが聞こえたが無視し、ネガトーンに向かって構えを取り全身に力を漲らせ絶叫する。
「彼女たち二人と! 二人の育った大切な街と! 大切な思い出のレコードを守り通して見せる! 誰が何と言おうともだ! お前達の好きにはさせない! 絶対にだ!」
「八雲兄!」
「木野さん!」
二人の叫びを背中に受けながら俺はネガトーンに向かって行った。
二人は、ただ嬉しかった、身を呈して前に出てくれた事が、加音町に来たばかりの八雲が、この街を愛してくれて、自分たち二人と二人の大切な思い出のレコードを守り通すと叫んでくれた、好きにはさせないと叫んでくれた、その思いに、胸が心が体が熱くなる……
「あの大切なレコードを……」
響が呟く。
「あんな怪物にして……」
奏も続く。
「「街を襲うだなんて……絶対に許さない!」」
二人の叫びと同時に胸から光り輝くハートの形をしたトーン記号が浮かび上がり、白を基調としたハートの形の物に変化する、それを手に取り呆然とする二人。
「「何これ……」」
「あんた達も何者……」
セイレーンは茫然自失となっていたが、ハミィだけがその答えを知っていた。
「やっぱりそうニャ、この二人は伝説の戦士プリキュアニャ!」
ハミィの言葉に驚き二人が振り向き、セイレーンは「プリキュア」と驚愕していた、ハミィの行動は止まらずにフェアリートーンを呼び寄せる、飛んできた二人のフェアリートーンを改めて見た瞬間、二人の脳裏に力ある言葉が浮かぶ。
「あの人が食い止めているうちに早くするニャ!」
見つめ合い、戦っている八雲を見て、ネガトーンを見上げる、二人の心は決まった。
「八雲兄といっしょにレコード取り返そう、奏」
「オッケー、響」
手に持った白いハートを掲げる、それに応じマゼンタと白のフェアリートーンがハートに装着される。
「「レッツプレイ! プリキュア! モジュレーション!」」
フェアリートーンが入り込むと、白いハートは光り輝き響はマゼンタに輝く光の帯に包まれ奏は白く輝く光の帯に包まれた。
光が収まると響は美しい桜色の髪に変わり髪型はボリュームのあるツインテールとなりその根元は三網で留められていた。
瞳は明るい瑠璃紺色から碧眼に変わる。
頭にはまるで兎の耳の様な大きなリボンのついたカチューシャを付け、着ていた服も変わり上下セパレートの格好になり上半身はノースリーブ、胸元に白いハートと大きなリボンがあしらわれスカートは多重のフリルスカート。
前腕部にも同じ素材の布を巻きハイニーソックスにショートブーツを履いていた、全体の色はマゼンタと薔薇色を多用し、白のさし色が入っていた。
奏もボリュームのある黄金に輝く金色のポニーテールになり響と同じく根元を三網で留め。
深碧の瞳は鮮やかな若葉色となり、色違いのカチューシャを付けていた。
響と対になる格好だが上下は別れておらず肩はパフスリーブに成っており、膝丈のブーツを履いていた、色は白を基調とし、所々に撫子色のさし色が入っている。
響が名乗りを上げる。
「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」
奏が続く。
「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」
そしてついに二人のハーモニーが完成する。
「「届け! 二人の組曲! スイートプリキュア!」」
第1話本編終了となります。
お付き合い頂きありがとうございます。
第2話もよろしくお願い致します。