スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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皆様お久しぶりです。
久しぶりに組曲の更新です。

今日はレインボーフレーバー24ですね。
会場に着いてますか、既に会場ですか?
サークル参加の方も一般参加の方も楽しんで下さい。

皆様の今日一日で佳き一日でありますように。

飲酒のシーンがありますが、飲酒を助長するものではありません。
お酒は20歳になってから。


アコのデザイア

 響ちゃんと奏ちゃんがプリキュアになる数日前の事。

 

 

「もう、おじいちゃんも八雲も飲みすぎ! 二人で二本もウイスキー空けちゃうって信じられない!」

 

 その日、パイプオルガンの修理をした帰りに先生に食事に誘われ、軽く一杯とソファーに移動し呑み出したのだが……

 

「おじいちゃん、寝るなら自分の部屋で寝てよ」

 

 アコちゃんが先生の手を引っ張るが、先生はそんなアコちゃんの頭を撫でまくっていた、その微笑ましい光景を見ながらグラスに残っていたウイスキーを傾けていたら、アコちゃんが睨みながら悲痛な声を上げた。

 

「八雲、助けて」

 

 既に先生は眠っており、アコちゃんがいくら引っ張っても起きようとしない、残っていたウイスキーを一気にあおり、先生を起こさない様にアコちゃんに手伝って貰いながら、先生を寝室に連れて行った。

 

 先生をベットに寝かしつけ、その間にアコちゃんはサイドテーブルに水を用意し、そっと扉を閉めダイニングに戻った。

 

「先生があんなに酔うのって珍しいね」

 

「はじめてよ、あんな酔い方」

 

 お互いテーブルを片付けながら話すと、アコちゃんは溜め息を吐く。

 

「先生の気分転換になったいたら良いんだけどね」

 

「だとしても飲みすぎ」

 

 俺が洗った食器を拭きながらアコちゃんは呆れた声を出していた。

 

「楽しいお酒だったと信じたいね」

 

「八雲はどうなの?」

 

 伺う様な低い声、俺は手を拭いてからアコちゃんに体ごと向き直る。

 

「楽しかったよ、多分こんなにリラックスしてお酒を飲むのはしばらく出来ないと思うからね」

 

 俺の言いたい事が分かったのだろう、アコちゃんは目を伏せながら俯いた。

 

「アコちゃん、戦う時は俺に一言声を掛けて欲しい」

 

 アコちゃんが凄い勢いで俺を睨みつけて来る。

 

「八雲?」

 

「ごめん、知っているんだアコちゃん、いや、プリンセス・アコ、貴女がキュアミューズだって事を……」

 

 アコちゃんの眼光が鋭くなり、俺に対して間合いを開けようと体重を移動しだす。

 

「先生の事も知っているし、先生もそれをご存じだ、でも、安心してミューズの話はしていない」

 

「何で? どうして?」

 

「この話は俺からするべきじゃない、アコちゃんからするべきだと思っている、だから話はしていない」

 

 緊張状態だったアコちゃんから力が抜けたのを感じ少し安堵する。

 

「戦うなら一人より二人が良いさ、でね、そろそろ新しいプリキュアが生まれると思う。俺は彼女達と戦う、でも、アコちゃんがミューズとして戦場に立つのなら俺が隣に立つよ」

 

「まだ、どうして良いのか分らないよ、だからしばらくは様子を見る」

 

 体の後ろで手を組みながらアコちゃんは絞り出すように答えた、俺はアコちゃんの前にしゃがみ目線を揃えしっかりと目を合わせた。

 

「アコちゃんとアコちゃんの大切な物は俺が守る、必ず守る、約束するよ」

 

 アコちゃんの瞳が一瞬揺らぐと、目線を外す。

 

「八雲、ありがとう」

 

「うん、まかせて」

 

 俺とアコちゃんの大切な約束。だがこの約束がのちのち俺の葛藤に繋がって行く事になるのを、俺は知らない。

 

 そして、俺は敵と戦うという事とかが理解がなく、響ちゃんと奏ちゃんをこの時は戦う事が理解して判っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は少しさかのぼる、それはセイレーンの足が治り去って数日後の事である。

 

 

 その日の夕方、珍しい客人が訪ねてきた。

 

 インターフォンから画面を見ても姿が見えず訝しみながらも玄関を開けると、影に隠れるようにアコちゃんが立っていた。

 

「いらっしゃいアコちゃん、中にどうぞ」

 

 アコちゃんは頷くと何も言わずに俺の後についてくる、ソファーに座らせてから、飲み物の用意をする為にキッチンに入り紅茶の用意をしつつ顔色を伺う、とうつむき下唇を噛み締めていた。

 

「どうぞ、アコちゃん」

 

 言葉と共にアコちゃんの前に紅茶とクッキーを置き斜め前に座る、アコちゃんを促す為にまず自分で一口飲み勧めると、アコちゃんはひと口紅茶を飲むがまた俯いてしまい、何も喋ろうとしない。

 

「アコちゃんは戻されたのかな?」

 

 俺の言葉に、アコちゃんはバネ仕掛けの様に顔を上げ俺を睨みつけてくる。

 

「どうしてその事を……? 何を知っているの?」

 

 アコちゃんの鋭い視線を受けながら紅茶を一口飲み話しだす。

 

「少し長くなるが、この間………………」

 

 話し終わった俺の顔を見ながら大きな溜め息を吐くアコちゃん。

 

「信じらんない……八雲! アンタ何処まで馬鹿なのよ! もう少しで死んじゃう所だったのよ! どうりであの二人がいっつも死にそうな顔をしていた訳よ!」

 

 チラリと聞かされた響ちゃん達の様子に胸が痛むが、怒鳴り散らしているアコちゃんを手で制する。

 

「心配してくれてありがとう、で、アコちゃんはどうだったんだい?」

 

「私はおじいちゃんが何とかしてくれたけど、ドドリーが消えて心配した……」

 

 机の上でクッキーを食べているドドリーに目を向け、またアコちゃんに目を向けるとやはり思いつめている様だ。

 

「それでね、戻って来た時にドドリーがおかしなことを言ったの、今までにないほどのハーモニーパワーを感じたって……」

 

 思い浮かべるのはブラックホールとの一戦、俺が落とされた後の話を響ちゃんに色々教えて貰い考えさせられた話。

 

「別におかしい話じゃないよ、プリズムフラワーの影響で一気に潜在能力が覚醒したのだろうな、俺から見ても彼女達は格段に力を付けているんだ、ただまだその力の使い方に気が付いていないし、生かせてもいない」

 

 紅茶を一口含み喉を湿らせる、アコちゃんは眉間に深いしわを作り何かを考えている。

 

「まあ、この間戦った時はまだ残念だが引き出せていない、何か切っ掛けが必要だろうね……敵の攻撃も厳しくなっている覚醒は必須だろう」

 

「八雲はどうするつもりなのよ」

 

 アコちゃんの真剣な眼差しを受け少し考えを話す事にした。

 

「俺の存在が成長の妨げになっている可能性がある、付かず離れずだな、当分はどうしたってこちらが音符を大量に集めるか、お互いに集まらない状況を作り上げ、痺れを切らさせて誘き出さないと話にも成らないからな」

 

「私も戦う……」

 

 小さく呟かれたアコちゃんの声に、ついに来たかと覚悟する。

 

「分かった止めはしない、だが、俺もアコちゃんと一緒に戦う」

 

「八雲はメロディ達と一緒に戦っているじゃない! 私は助けるまで正体を明かす気なんてないのよ! 八雲が居たらばれるじゃないの!」

 

 怒鳴り散らすアコちゃんにデコピンをし黙らせる、おでこを押さえて涙目のアコちゃんに優しく話す。

 

「忘れたのかい、俺は何があってもアコちゃんの味方だって話しただろう、それに戦場に立つのなら俺が隣に立つとも約束したよね」

 

 どうしたらアコちゃんは納得するのだろうと思いながら後頭部を掻く。

 

「俺の正体を隠す方法はあるから安心して、後な……」

 

 小さく息を吸い大きく吐く、アコちゃんを正面から見直す。

 

「たとえ彼女達を裏切る事になったとしても、俺はアコちゃんの味方をする」

 

 猛烈な痛みが胸を襲う、俺はその痛みを抑え込む様に腕を組み、出来るだけ不敵に笑って見せるのが限界だった…………




お読みお頂きありがとうございます。
当時書いておいてあった後書きです。

 プロローグ期間とオールスターズ直後の語られなかったお話しと成りました、音吉さんとアコちゃんとの関係。

 プリキュアの世界に来たばかりで、まだ地に足が着いて居なかった時に交わされた約束、その重さに今更ながら気が付いた八雲です。
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