スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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第11話 ミューズと矛兜鬼
八雲の相談、響と奏の疑問


 八雲兄から連絡があって、私と奏は八雲兄の家に行くついでに、この間の話を聞いて貰う事にした。

 

 ソファーに座った私達に八雲兄は、何時も笑顔を見せてくれ私はちょっと嬉しくなる。

 

「二人ともアカネと瑠璃(ディスクアニマル)は持ってきたかな?」

 

 私は腰にぶら下げていたディスクホルダーから待機(ディスク)状態のアカネを取り出すと、奏もほぼ同じタイミングで瑠璃を差し出した。

 

「八雲兄、アカネの健康診断お願いね」

 

 私と奏からアカネと瑠璃(ディスクアニマル)を受け取りながら、八雲兄はちょっと雰囲気を変える。

 

「その事で二人に相談があるんだ」

 

 八雲兄の言葉に、私と奏はやっぱり同じタイミングで頷く。

 

「アカネと瑠璃の能力の向上も一緒にしようと思っているんだけど、一番早くて簡単なのが、新しいディスクアニマルを渡す事なん…………」

 

「嫌だ! アカネが良い!」

 

 思わず私は、八雲兄の言葉を遮って自分の意見を発してしまった。

 

「そうですよ、八雲さん、私も瑠璃のままが良いです」

 

 八雲兄は嬉しそうに頷くと、テーブルに肘を突き腕を組むと少しだけ身を乗り出す。

 

「まずは、二人ともありがとう。アカネと瑠璃を大切に思ってくれて、さっきの話は一応話しただけなんだよ」

 

 組んだ腕を外した八雲兄は、テーブルの下に隠してあった桐箱を私達の前に置いた。

 

 私と奏は頷き合うと桐箱の蓋を開ける。箱の中には丁寧に仕舞われたディスクアニマルが入っていて、その色は真っ白だった。

 

「八雲さんこれは……?」

 

「アカネと瑠璃の新しい素体だよ、二人の意識をそちらに移そうと思っている、移動が終われば待機状態は銀色になるよ。正直に話すが、アカネと瑠璃のボディは限界が近いんだ」

 

 付き付けられた事実に私は息を呑み、八雲兄の次の言葉を待つ。

 

「時間は掛かるがアカネと瑠璃をそちらに移す予定だ」

 

「八雲さん、それって……」

 

「ねえ、八雲兄、このディスクアニマルに入っている子はどうなっちゃうの?」

 

 もちろんアカネと瑠璃を助けて欲しいけど、その為に誰かを犠牲にはしたくない。

 

「大丈夫、それは何も入っていない、それに何と言ってもアカネと瑠璃の為だけに作った特別な素体だ」

 

「それじゃあ、八雲兄!」

 

「是非、お願いします!」

 

 私が八雲兄も右手を掴み、奏が左手を掴むと、二人して身を乗り出してお願いする。八雲兄はちょっと驚いた顔をしたけど、直ぐに優しい笑顔を浮かべる。

 

「少し時間はかかるけど、必ず二人の元に還す。約束だ」

 

「「待ってる!」」

 

「うん、待っていて、さて、コーヒーでも淹れるよ」

 

 八雲兄が嬉しそうにキッチンに向かう姿を見送りってから、話したい事があるので奏と一緒にカウンターに移動して椅子に座る。ドリップされるコーヒーの良い香りが辺りを包む。

 

「ミューズとムツキってさ」

 

「一体何なんだろう……」

 

 私と奏の疑問を口にすると、八雲兄の返事よりも早く、ハミィがカウンターの上に飛び乗ってくる。

 

「新しいプリキュアニャ」

 

「どうして分かるの」

 

「キュアモジューレ持ってたしフェアリートーンも居たニャ」

 

 私の問い掛けに、ハミィは明るい声で返事を返してきた。

 

「確かに、プリキュアだから私達の事助けてくれたのかな」

 

「きっとそうニャ」

 

 奏の言葉に、新しいプリキュアの存在に嬉しさを隠せないハミィ、何かが引っ掛かる。

 

「はい、コーヒー入ったよ」

 

 目の前で、薫り高い湯気を上げているコーヒーを眺める、考えが纏まらない。

 

「それにもう一つ、ムツキって鬼の存在、八雲兄以外の鬼ってどういう事」

 

「姿は似てたけど、戦い方が全然違くて鉄砲みたいなの凄く撃つし、足も止めて戦わなかっていなかったよね」

 

 コーヒーに口を付けるのが奏とほとんど同時でちょっとおかしくなる。

 

「ねえ、八雲兄以外の鬼って居るのかな?」

 

 八雲兄に目を向けると、持っていたカップをカウンターに置き、私を見てくる。

 

「俺以外の鬼……正確には鬼人か? まあ、どちらでも良いが、考えられないね、いないと思うよ」

 

「でも、八雲さん私達見たんです、八雲さん……獣鬼そっくりの鬼を!」

 

 奏が立ちあがって少し大きな声を上げる、先を越されちゃったな。

 

「もう一度言う、俺以外の鬼は考えられないよ」

 

「八雲兄が珍しく頑固だ……でも、八雲兄も見れば納得してくれるんじゃない、奏もさそんなに感情的に成らないで、それ私の役目だから」

 

 お茶請けに出されたクッキーを頬張る、うん、好みの味だ八雲兄分かってる。

 

「奏、美味しいよこのクッキー、甘いもの食べた方が良いよ」

 

 クッキーの器を奏の前に押し出す、少し不貞腐れながら奏がクッキーに手を伸ばす。

 

「あ、これ美味しい」

 

「でしょう。それにさ助けた訳じゃないとか味方じゃないとか、アレってどう言う意味、何で仮面被っているの」

 

「顔を隠すって事は、正体がばれたら困るって事?」

 

 落ち着きを取り戻した奏は、手で顔を隠し指の隙間を開け私を見てくる。

 

「きっと恥ずかしがり屋さん何だニャ」

 

「ハミィ、適当に言ってない?」

 

 今日の奏は反応が早くて私が突っ込む暇が無いよ、取りあえず私も少し突っ込みを入れてみる。

 

「て言うか、あんなの来るなんて聞いて無いよ」

 

 ハミィはミューズの存在を知っていたのかな。

 

「ハミィだって聞いて無いニャ」

 

「えっ、そうなの?」

 

「本当、頼りないんだから」

 

「二人ともハミィを責めても仕方ないよ、はい、コーヒーのおかわり」

 

 少し呆れ顔の八雲兄、でもしょうがないじゃん、気になるんだもん、気になると言えば。

 

「ねえ、八雲兄、ミューズってどういう意味だろう、音楽に関する言葉だと思うんだけどさ」

 

「ミューズねえ……神話に出てくる詩神……まあ、音楽を司っている女神の名前だね」

 

「音楽の……」

 

「女神……」

 

 私と奏は顔を合わせ呟き合った。




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