スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
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八雲の相談、響と奏の疑問
八雲兄から連絡があって、私と奏は八雲兄の家に行くついでに、この間の話を聞いて貰う事にした。
ソファーに座った私達に八雲兄は、何時も笑顔を見せてくれ私はちょっと嬉しくなる。
「二人とも
私は腰にぶら下げていたディスクホルダーから
「八雲兄、アカネの健康診断お願いね」
私と奏から
「その事で二人に相談があるんだ」
八雲兄の言葉に、私と奏はやっぱり同じタイミングで頷く。
「アカネと瑠璃の能力の向上も一緒にしようと思っているんだけど、一番早くて簡単なのが、新しいディスクアニマルを渡す事なん…………」
「嫌だ! アカネが良い!」
思わず私は、八雲兄の言葉を遮って自分の意見を発してしまった。
「そうですよ、八雲さん、私も瑠璃のままが良いです」
八雲兄は嬉しそうに頷くと、テーブルに肘を突き腕を組むと少しだけ身を乗り出す。
「まずは、二人ともありがとう。アカネと瑠璃を大切に思ってくれて、さっきの話は一応話しただけなんだよ」
組んだ腕を外した八雲兄は、テーブルの下に隠してあった桐箱を私達の前に置いた。
私と奏は頷き合うと桐箱の蓋を開ける。箱の中には丁寧に仕舞われたディスクアニマルが入っていて、その色は真っ白だった。
「八雲さんこれは……?」
「アカネと瑠璃の新しい素体だよ、二人の意識をそちらに移そうと思っている、移動が終われば待機状態は銀色になるよ。正直に話すが、アカネと瑠璃のボディは限界が近いんだ」
付き付けられた事実に私は息を呑み、八雲兄の次の言葉を待つ。
「時間は掛かるがアカネと瑠璃をそちらに移す予定だ」
「八雲さん、それって……」
「ねえ、八雲兄、このディスクアニマルに入っている子はどうなっちゃうの?」
もちろんアカネと瑠璃を助けて欲しいけど、その為に誰かを犠牲にはしたくない。
「大丈夫、それは何も入っていない、それに何と言ってもアカネと瑠璃の為だけに作った特別な素体だ」
「それじゃあ、八雲兄!」
「是非、お願いします!」
私が八雲兄も右手を掴み、奏が左手を掴むと、二人して身を乗り出してお願いする。八雲兄はちょっと驚いた顔をしたけど、直ぐに優しい笑顔を浮かべる。
「少し時間はかかるけど、必ず二人の元に還す。約束だ」
「「待ってる!」」
「うん、待っていて、さて、コーヒーでも淹れるよ」
八雲兄が嬉しそうにキッチンに向かう姿を見送りってから、話したい事があるので奏と一緒にカウンターに移動して椅子に座る。ドリップされるコーヒーの良い香りが辺りを包む。
「ミューズとムツキってさ」
「一体何なんだろう……」
私と奏の疑問を口にすると、八雲兄の返事よりも早く、ハミィがカウンターの上に飛び乗ってくる。
「新しいプリキュアニャ」
「どうして分かるの」
「キュアモジューレ持ってたしフェアリートーンも居たニャ」
私の問い掛けに、ハミィは明るい声で返事を返してきた。
「確かに、プリキュアだから私達の事助けてくれたのかな」
「きっとそうニャ」
奏の言葉に、新しいプリキュアの存在に嬉しさを隠せないハミィ、何かが引っ掛かる。
「はい、コーヒー入ったよ」
目の前で、薫り高い湯気を上げているコーヒーを眺める、考えが纏まらない。
「それにもう一つ、ムツキって鬼の存在、八雲兄以外の鬼ってどういう事」
「姿は似てたけど、戦い方が全然違くて鉄砲みたいなの凄く撃つし、足も止めて戦わなかっていなかったよね」
コーヒーに口を付けるのが奏とほとんど同時でちょっとおかしくなる。
「ねえ、八雲兄以外の鬼って居るのかな?」
八雲兄に目を向けると、持っていたカップをカウンターに置き、私を見てくる。
「俺以外の鬼……正確には鬼人か? まあ、どちらでも良いが、考えられないね、いないと思うよ」
「でも、八雲さん私達見たんです、八雲さん……獣鬼そっくりの鬼を!」
奏が立ちあがって少し大きな声を上げる、先を越されちゃったな。
「もう一度言う、俺以外の鬼は考えられないよ」
「八雲兄が珍しく頑固だ……でも、八雲兄も見れば納得してくれるんじゃない、奏もさそんなに感情的に成らないで、それ私の役目だから」
お茶請けに出されたクッキーを頬張る、うん、好みの味だ八雲兄分かってる。
「奏、美味しいよこのクッキー、甘いもの食べた方が良いよ」
クッキーの器を奏の前に押し出す、少し不貞腐れながら奏がクッキーに手を伸ばす。
「あ、これ美味しい」
「でしょう。それにさ助けた訳じゃないとか味方じゃないとか、アレってどう言う意味、何で仮面被っているの」
「顔を隠すって事は、正体がばれたら困るって事?」
落ち着きを取り戻した奏は、手で顔を隠し指の隙間を開け私を見てくる。
「きっと恥ずかしがり屋さん何だニャ」
「ハミィ、適当に言ってない?」
今日の奏は反応が早くて私が突っ込む暇が無いよ、取りあえず私も少し突っ込みを入れてみる。
「て言うか、あんなの来るなんて聞いて無いよ」
ハミィはミューズの存在を知っていたのかな。
「ハミィだって聞いて無いニャ」
「えっ、そうなの?」
「本当、頼りないんだから」
「二人ともハミィを責めても仕方ないよ、はい、コーヒーのおかわり」
少し呆れ顔の八雲兄、でもしょうがないじゃん、気になるんだもん、気になると言えば。
「ねえ、八雲兄、ミューズってどういう意味だろう、音楽に関する言葉だと思うんだけどさ」
「ミューズねえ……神話に出てくる詩神……まあ、音楽を司っている女神の名前だね」
「音楽の……」
「女神……」
私と奏は顔を合わせ呟き合った。
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