スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
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ミューズのフェアリートーンが、私達に攻撃を促す。
「世話が焼けるドド、さあ、今のうちドド」
戦う意思が無いのかミューズは腕を組み、矛兜鬼は銃を腰に仕舞い両腕をダラリと下げていた。
「でも、ベルティエが効かなかった……」
リズムが悔しそうに、ベルティエを撫でながら呟く。
「当り前ドド、どんな技でも何時も同じじゃ破られるに決まっているドド」
「じゃあ、どうすれば」
「もっと頭を使うドド、ベルティエが何でそんな形をしているのかよく考えるドド」
戸惑うリズムにフェアリートーンが呆れた声を出す。
「え、何だろう……」
ベルティエの形状を見る、とどちらも同じ形をしている、という事は。
「あ! 分かった! どっちからでも持ちやすいようにとか?」
「違うドド!」
フェアリートーンが私に怒っている隣でリズムが声を上げる。
「まさか、こっちにもフェアリートーンが入るの?」
「そこまで分かったなら後はやれば分かるドド」
「よぉし!」
フェアリートーンの言葉を信じベルティエを構えなおす、ここで決めなきゃ女がすたる。
「おいで! ドリー!」
ドリーがベルティエに装着されると、自然と使い方が分かる。
「ミラクルベルティエ・セパレーション!」
イメージ通りベルティエを動かすと、意図も簡単にベルティエが分かれる。
「おわ! 割れた!」
思わず変な声を上げてしまったが、分かれた形が獣鬼の音撃棒を連想させ、私は少し嬉しくなった。
「そう言う作りなんだドド」
「ええぃ! 棒が二本になったところで、怯むな!」
やっと体制を整えたバスドラがネガトーンに命令をする、私の中の先ほどまでの暗い思いは無く、やる気に満ち溢れていた。
「なんだか分からないけど、絶対いける気がする!」
獣鬼をイメージしてベルティエを振っては見たが、違和感を感じ素直に心に浮かんだ使い方をする事にする。
ハンドベルをイメージしてベルティエを振ると、それに合わせ強く美しい音が溢れだす。
「あふれるメロディのミラクルセッション!」
フェアリートーンが輝きだし、私の力がフェアリートーンに集中し新たな力が生まれているのを感じる。
「プリキュア! ミラクルハート・アルペジオ!」
両腕で大きくハートを描くと、それに合わせマゼンタとオレンジ色で出来た炎のハートが完成し、私の合図と共にネガトーンに向かって行き完全に動きを封じ込めた。
「すごい!」
「これなら行けるよ!」
リズムが驚きの声を上げる隣で、私は今度こそ勝利を確信する。
「リズムも!」
「うん」
私の掛けた声に、リズムが嬉しそうに返事をしてくれた。
「おいで! レリー!」
「ファンタスティックベルティエ・セパレーション!」
「弾けるリズムのファンタスティックセッション!」
「プリキュア! ファンタスティック・ピアチェーレ!」
リズムの掛け声と同時に、白銀と金色の炎のハートがネガトーンを捕え、私のアルペジオと合わさり更なる力を生み出したのが分かる。
「「三拍子! 1、2、3!」」
「「フィナーレ!」」
私達の合図で、ネガトーンを包んでいたハートが弾け、巨大な光を生み出しネガトーンを浄化した。
色々あったけれど最後はちゃんと勝てたし、新しい力も手に入れた。これもあの二人のおかげだ、二人を探すと既に高架橋の上に居て丁度去ろうとしていたところだった。
「ありがとう! キュアミューズ! ムツキ!」
慌てて大きな声で感謝を伝えると、二人は立ち止まりこちらを少し伺って来る。
「ねえ教えて! 貴女達一体誰なの?!」
リズムがストレートに尋ねる、私も堪らず声をかける。
「私達の仲間なんでしょう?!」
「私はまだ仲間にはなれないドド」
「まてぇい!」
フェアリートーンがそれだけ伝え、去ろうとした二人に別の声が掛けられ慌てて振り向くと、声の主はバスドラだった。
「セイレーン!」
「「セイレーン!」」
バスドラの言葉に私とリズムが同時に声を上げる、けれどその声をかき消すかのように発砲音と甲高い金属音が響く、慌てて高架橋を見上げると矛兜鬼がバスドラのすぐ前の手すりにあの銃を撃っていた。
「そんな物で驚くとでも思ったか! 貴様の腕も大した事が無いな!」
バスドラの言葉が終わると同時に3回発砲音が鳴り甲高い金属音も3回鳴り響いた、バスドラは腰が抜けたのか這う様に逃げていきそれを見届けるとミューズたちも去って行く。
日が傾く中私と奏はバスドラが居た所を調べることにしたが、調べるまでも無く矛兜鬼の放った弾はバスドラの居た手すりに全て当たっており、均等に弾の痕が並んでいた。
「響、これ絶対に狙っているよね」
「うん、そう思う……」
私は矛兜鬼が敵じゃなくて本当に良かったと胸を撫で下ろした、仮に敵だったら私達は何も出来ないで倒されているだろう、背中がうすら寒くなっていると私の手に温かな感触に包まれる、不安に思っている私に気が付いて奏が手を握ってくれていた、嬉しくなって握り返す。
人目を盗む様にセーフハウスに戻るとアコちゃんは少し不機嫌だった。
「ねえ、八雲、最後の行動はどういうつもり? ちゃんと教えたよね、私?!」
「覚えているよ、それにあの行動でミューズの正体がさらに分からなるだろう」
俺の答えにアコちゃんは盛大な溜め息をつく。
「またミスリードってやつ?」
「もう少し撹乱したいが、たいした時間稼ぎにしかならないな」
「何か気になる事でもあるの?」
アコちゃんは、何かを感じたのだろう少し心配そうだ。
「ハミィがきっとセイレーンに対してストレートな行動に出るだろう、確認した方が良いかもしれない」
「ハミィは自分の考えに正直だから……きっと何かする」
何かを思い出しながら頷いているアコちゃんのランドセルを持ってくる。
「そろそろ帰ろう、先生が心配するだろうしアコちゃんは宿題もあるでしょう、ちゃんと学校と両立しないとね」
ランドセルを差し出すと、アコちゃんは受け取るが些か気を悪くしたようだ。
「八雲うるさい、それなら響のテストの心配でもすれば」
ジト目で睨まれた俺は額に手を置き天を仰ぐ、響ちゃん成績ばれてるよ……
当時書いた後書きです、よろしくお願いします。
第11話終了となります、お読み頂きありがとうございます。
遂に響ちゃん達のミューズ捜しが始まると共に、新技のアルペジオをピアチェーレを覚えました。
矛兜鬼としての戦闘スタイルはキュアホワイトをベースにイメージしております。
では、次回。
第12話 ハミィとセイレーン
第1節 特訓、訓練、トレーニング
よろしくお願いします。