グリモア~私立グリモワール魔法学園~ 虐げられた元魔法使い   作:自由の魔弾

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【生徒会】
生徒会長:武田 虎千代
副会長:水瀬 薫子
会計:結城 聖奈
書記 : 朱鷺坂 チトセ
生徒会に選ばれるメンバーは真の実力者のみで構成される。主だったメンバーは上記の4人だが、意外にも構成員はそれなりの人数がいる。



第参話 呼べよ!魔法使い

現在、少年が向かっているグリモワール魔法学園の生徒会室。本来なら彼が無事に辿り着くまでその部屋の中で何が行われているか知る手立てもないが、今回は特別にそこで交わされている会話の内容に迫ってみることにしよう。

 

「いよいよ今日ですね、例の転校生」

 

生徒会副会長の水瀬薫子が会長席に腰掛けている武田虎千代にその話題を持ちかける。その傍らでは会計の結城聖奈も静かに話を聞いているようで、一応の興味はあるようだ。

 

「タイコンデロガを1人で倒したという侵攻中に発見され、保護された正体不明の魔法使い…か。一応、経歴をまとめたものが手元にあるが…」

 

虎千代は事前に手渡された少年の情報が載った1枚の書類に再度目を通す。そこには次のように書かれていた。

 

氏名:JC(本名不明の為、発見時に身に着けていたドッグタグから読み取れた部分を抜粋)

年齢:18歳(身体的特徴から推定)

身長・体重:176cm・68kg

住所:不明

血液型:A型

追記:事前の知能テストの結果は小学校低学年程度と判明。しかし精密検査の結果、魔力活性化と魔力腺の発達の具合からおよそ12〜3年前には既に魔法使いに覚醒していたと推察できる。

 

この結果を見て改めて唸る虎千代。これには薫子も同じ思いのようで、説明を補足する。

 

「宍戸結希自らが彼の精密検査を申し出るとは思いませんでした。おかげで当初の予定より2週間も彼の入学が遅れてしまいましたが」

 

彼女にしては珍しく皮肉めいたことを呈している。第7次侵攻が終わって早々に新たな魔法使いの入学が決まって、学園内の雰囲気も慌ただしくなりつつあった中でのこの遅れだ。普段温厚で優しい彼女が多少荒れるのも無理ないだろう。聖奈もそれに便乗するかのように虎千代に提言する。

 

「正直なところ、私も彼の待遇にはまだ納得しているわけではありません。例え実力があるとしても、生徒会で彼の面倒までみる必要はないでしょう?」

 

聖奈の訴えは至極当然とも言える。学園で別に存在する精鋭部隊のメンバーは有志なのに対し、生徒会に選ばれるメンバーは真の実力者のみと規定されている。クエストを一つ遂行しただけで任命された朱鷺坂チトセや、その実力から生徒会に就くよう出頭命令が出ているが無視している生天目つかさという例外はあるが、それらを踏まえた上で入学と同時に生徒会の管轄下に置かれるのが理解し難いのだ。

 

「仕方ないだろう?彼は事情を知らない生徒との接触を禁止されているんだ。それに「しょーらいゆーぼーなまほーつかいにしてくれるんだもんね」そうそう…ってぬわぁ!」

 

いつのまにか部屋に入って会話に混ざってきたJCに酷く驚いて椅子から転げ落ちる虎千代。やられた〜と戯けてみせる虎千代とは裏腹に、薫子と聖奈はつい先ほど話していた経歴を知っているため、疑惑を悟られまいと彼を警戒していた。

 

「エヘヘ…びっくりした?とらのおねーさん」

 

精神年齢相応の悪戯っぽい笑顔を浮かべるJC。その独特な呼び方に対して、虎千代大好き薫子が素早く反応する。

 

「“虎のおねーさん”?それは会長のことを指しているのでしょうか…」

 

薫子の言葉に頷いたJCは呼び名の由来を説明する。

 

「うん!けんさのときにはかせのおねーさんにおしえてもらったんだぁ。せーとかいのこと、まだすこししかおぼえてないけど、よしゅーしてきたんだよ!“とらのおねーさん”と“おかねのおねーさん”、あとまほーのおねーさん!」

 

聖奈がホワイトボードに呼び名の特徴を書き記していく。

はかせのおねーさん→宍戸結希

とらのおねーさん→武田虎千代

おかねのおねーさん→結城聖奈

まほーのおねーさん→朱鷺坂チトセ

と何となく推察できる。しかし、ここで脳裏に1つの疑問が自ずと浮かぶ。

 

「…ん?なぁ、JC。薫子のことはなんて覚えてるんだ?」

 

虎千代が面白半分で尋ねてみる。ここまで単純な法則性ならそこまで捻ったネーミングはしてないと勘ぐったのだ。JCは満面の笑みを浮かべて恥ずかしげもなく答えた。

 

「おっぱいのおねーさん!」

 

「ブフォ!!く、くはははっ!!そう来たか!確かにそうだな…アハハハッ!駄目だ、こりゃ駄目だ!」

 

思いっきりツボに入ったのか、吹き出して笑い転げている虎千代。それを制止しようする聖奈も、柄にもなく肩を震わせてながら必死に笑いを堪えて虎千代を宥める。

 

「か、会長…フフッ…笑い過ぎですよ。そんなに笑っては、副会長にし、失礼ですよ…くふっ」

 

もちろんJCには周り(特に虎千代と聖奈)がどうしてこんなにも笑っているのかは分からなかった。結希からはこの学園にはとても個性的な生徒が多いことから、その人物の特徴を捉えて覚えなさいと言われていたからだ。因みにJCに笑い者にされた薫子はというと…。

 

「〜〜〜っ///」

 

羞恥で顔を真っ赤にして悶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




水瀬(みなせ) 薫子(かおるこ)
生徒会副会長として実務を取り仕切る才女。カリスマと戦闘に特化しすぎてなかなか事務ができない生徒会長、武田虎千代を完璧にサポートする。黒いものでも虎千代が白と言えば白に変えてしまうほど心酔し、彼女以外の人間を基本的に見下している。JCに“おっぱいのおねーさん”と呼ばれる由縁にもあるように、B95が彼に襲い掛かる日もそう遠くない未来かもしれない。JCの精神年齢が一気に引き上がればいつかきっと和解できる…はず?
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