グリモア~私立グリモワール魔法学園~ 虐げられた元魔法使い   作:自由の魔弾

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【連携・超連携】
連携とは2人の組み合わせによって発動スキル。
超連携とは班員3人+補佐2人の計5人の組み合わせによって発動するスキル。
大抵の場合は同じ部活に所属していたり、学年やクラスが一緒だったりする。稀にとんでもない効果を発揮するものもあり、生徒同士の関係性が親密になればなるほどより強力になるとされている。(転校生は魔力譲渡の体質からほぼ全ての魔法使いとの相性が抜群に良いとされているが、JCの魔法使いとしての素質は他の魔法使いと然程大差ないことが証明されている)


第参拾話 連携せよ!魔法使い

「適性検査、だって…?あの子ども学園長は、まぁた変なことを考えてるのか」

 

口ではそう言ったものの、実質的には今日一日の授業が全てパーになる訳で、残りの探索メンバーの説得に時間を費やせるのはかえって好都合だった。確か、遊佐さんとアイラさんだったよな…。

思い立った僕はすぐに二人を探すため動き出そうとするが、その瞬間に背後から声をかけられた。

 

「よっ、おまた」

 

「…いや、別に待ってないけど。いきなりどうしたの、夏海ちゃん?」

 

僕に声をかけてきた人物の正体は妙にツインテールをみょんみょん揺らしながら含みのある笑みを浮かべた夏海ちゃんだった。うわー、悪い顔してんなぁ…絶対何か企んでるでしょう、これ。

 

「んもー、ノリ悪いわねぇ。まぁいいわ…それより今回のこの企画は締め切り間近で超ピンチの私にとって、まさにうってつけだと思わない?」

 

「…?それどういうこと?」

 

僕が夏海ちゃんの言ってることが理解出来ずにいると、チッチッチーと指を振って小馬鹿にしてきた。

 

「分かってないわねぇ。今回の目玉は魔法使い同士の新しい連携について模索しようって名目で、誰とでも好きに組めるじゃない?そこでダントツ人気の転校生が誰と組むかで記事が爆発的にヒットすること間違いなしだわ!」

 

どうやら夏海ちゃんは転校生くんの人気におんぶに抱っこするつもりらしい。相変わらず努力の方向性が変わってるんだよなぁ。

 

「転校生くんの人気に完全にあやかろうって作戦なのね…後で怒られるかもよ〜?」

 

「大丈夫大丈夫。転校生には後でちゃんと報酬を…おっと、これは流石にトップシークレットだったわ」

 

危うく口を滑らすところだったけど、寸でのところで我慢する夏海ちゃん。し、心配すぎる…。

 

「そ、そうなんだ…まぁ、迷惑にならないように頑張ってね。それじゃ」

 

「…あっ、ちょっと待って!襟のところ、変なふうになってるじゃない。直したげるわ」

 

夏海ちゃんが指摘したところは確かに中途半端によれていて、それをすかさず正してくれる。夏海ちゃんって普段、こんなにきっちりした性格だったっけ?

 

「はい、これで大丈夫よ!あんたも男の子なんだからしゃんとしなきゃ、彼女の一人も出来ないわよ〜」

 

「はいはい、ごちゅーこくどうも。じゃあ、もう行くからね。転校生くんに迷惑かけちゃダメだよ?」

 

「へへっ、分かってるわよー」

 

ひらひらと手を振る夏海ちゃん。本当に大丈夫かなぁ?それにしても記事の題材になるくらい転校生くんの人気は高いらしい。すごいなぁ…僕なんか未だに怖がられて誰も近寄ってきてくれないし、なんかこのままじゃどんどん孤立してしまう気がしてきた。はぁ〜…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふっふーん!JCのやつ、まんまと騙されてくれたわね」

 

「どうしたの、夏海ちゃん?そんなに嬉しそうな顔して」

 

込み上げてくる笑いを抑えきれなくなったあたしは、隣で不思議そうにしている智花につっこまれる。しかーし!そんなの気にならないほどあたしは舞い上がっていた。

 

「んふふっ、ちょっとね〜。このイヤホンをつけてと…はてさてJCはどう出るかなぁ」

 

「今度はJCさんに何かやったの?だ、駄目だよ〜!?」

 

智花は慌てた様子で咎めるけど、スクープのためなんだからしょーがないじゃない!それに今回に関しては部長の命令だしねぇ。

 

「智花はあんまり知らないかもしれないけど、あいつって学園の女子の水面下では人気あんのよ。まぁ、一時期不良疑惑とか学園のあらゆる危険人物と関わってるからって避けてた生徒も多かったけど、個人的に少しでも関わったことがある生徒からは何故か総じて好評価だし」

 

そう、これはまぎれもない事実なのよね。確かに女子受けしそうなイケメン顔ではあるけど、どういうわけかあまり積極的に人付き合いしてこなかったみたいだし。ある時期まで存在自体を隠されてたっていうのも変に期待度を上げた原因だと思うんだけど…謎めいた男ってぇのも女は好きだからねぇ。

 

「そ、そうなんだ…?でも、ちょっとわかる気がするかな。私も偶に相談に乗ってもらってるけど、結構しっかり聞いてくれて答えてくれるし」

 

「ほぉ〜?それは初耳ねぇ…その話、ぜひ詳しく聞かせてもらおうじゃないの智花さん?」

 

「えぇ!?そ、そんな〜!」

 

「夏海、そのくらいにしておけ。智花が困ってるじゃないか」

 

智花を弄っていると、後ろから諭すように怜が止めに入った。ちぇ〜、これからが良いところだったのにぃ。でも、なんだかんだでこの三人は集まっちゃうのよね〜。

 

「も〜、せっかく智花とJCの秘密の関係を暴いてやろうと思ったのに」

 

「ひ、“秘密の関係”だとっ!?智花、まさかJCと…」

 

「ち、違うよぉ!夏海ちゃんも怜ちゃんも誤解してるんだよぉ!」

 

あ〜らら、怜ってば顔真っ赤にしてな〜に想像してるんだか。堅物のふりして意外とムッツリよね、怜って。

さーて、智花と怜がいい具合に乱れてるところでJCの制服の裏に取り付けた盗聴器の感度でも確認しようかしら…え〜っと、何か面白いもの聞けるかしら?

 

《せ、先輩っ!》

 

うぉ!び、びっくりした…いきなり大きい声出すもんだからたまげちゃったわ。それにしてもこの声、どっかで聞いたことあるような…?

 

《も、ももちゃん…な、何かな?》

 

そうだ。購買部の桃世 もも、たしか今年から保健委員にもなったんだっけ。でも、JCとの関わりが今まであったっけ?

 

《あ、あのですね…えっと、その…もし良ければ、わ、私と一緒の班になりませんか!!》

 

…へ?えぇえええっ!?ち、ちょっとちょっと何よそれ!?あんた達いつからそんな仲になってたのよ!?は、早くも特ダネの予感…!

 

《ももちゃん…誘ってくれて、すごく嬉しいよ。正直、また誰も一緒に組んでくれないかと思ってたからさ》

 

《先輩…》

 

な、何なのかしらこの雰囲気…これはもう完全にエンドロールって感じじゃないの!これなら記事の内容はこの二人に決定し…

 

《馬鹿ヤロー!!》

 

《ひゃう!?な、何ですかいきなり…》

 

えっ、何でJCのやつ叫んでるの?今の完全にそういう流れだったじゃん。

 

《ももちゃんはすっごい優しい。きっと僕が独りでいるのを不憫に思って声をかけてくれたんだよね?でも、その優しさは僕じゃなく転校生くんに向けるべきだ》

 

《えっ?いや、そういうつもりじゃなくて、私は本当に…》

 

《大丈夫、ももちゃんの気持ちは分かってるから!つい昨日、転校生くんと僕は同じ痛みを乗り越えて絆が深まったんだ。同じ班になれるよう頼んであげるからさ。ほら、早く行こう!》

 

《へっ?うわわっ!?》

 

ちょちょちょ!?あいつ何やってんの?うわっ、ももの手引っ張って転校生のところでめっちゃ説得してる。身振り手振りで必死ね…後ろでももがすっごい複雑な顔してるけど。あっ、終わったみたいね。

 

《転校生くん、じゃあももちゃんをよろしくね!ももちゃんも転校生くんと一緒の班になれて良かったね!》

 

《…はい、そうですね》

 

うわぁ、ももめっちゃ沈んでるじゃん。JCってば、相変わらずデリカシーのかけらも無いんじゃん。あれじゃももが可哀想…あっ、まだなんか言ってる。

 

《…手、強く握って痛かったでしょ?ごめんね。痛みが長引くようだったらちゃんとゆかりさんに診てもらうんだよ?もし何か不自由感じるんなら、僕が責任とって生活の面倒みるから》

 

《…ず、ずるいです先輩。そんなこと言われたら…分かりました。今回は先輩のご厚意に甘えさせてもらいますっ!行きましょーっ、先輩!》

 

あ、あれ?なんかいつの間にか解決してる?JCって、もしかして…たらし?いやいや、まだ分からないわ。もっと徹底的に調査しないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむむむ〜…」

 

あれからしばらく経つけど、JCのやつめぇ…一向に班を作る気配がない。まさかこのままやり過ごそうってんじゃないでしょーね!?冗談じゃないわよ、そんなことされたら部長に何言われるか分かんないんだから!

 

「あ、あの〜夏海ちゃん?私たちもそろそろ次の班決めに行かない?」

 

「うるさいな〜、今大事なところなんだから後にして……へ?次の班?」

 

「うん、色々な組み合わせを試すのが検査の目的なんだって。だから怜ちゃんも風紀委員の人たちに呼ばれて行っちゃったよ?」

 

なーるほど、そういうことだったのね。ってことは、JCのやつも…ちょっと内蔵してある小型カメラの映像に切り替えて…あっ、エレンに捕まってる。ってかめっちゃ変顔して誤魔化してる!何その顔!?ちょ、エレンめっちゃ笑うの堪えてるじゃん!?…結構レアだから写真撮っておこう。

 

《ブフッ…!?き、貴様…私をおちょくっているのか?》

 

《えへへっ…やっぱ駄目です?》

 

《…当たり前だ。罰として守谷たちと班を組め。私とメアリーを抜いた五人班だ》

 

《えっと…ツクちゃんと浅梨くん、来栖さんに円野さん…と僕ですか?》

 

《そうだ。お前が精鋭部隊の訓練に参加して既に三ヶ月、そろそろ連携を重視した動きにも対応してもらう。これはそのための予行演習だと思えばいいさ》

 

《うぇ〜、やっとサンドバッグから解放される〜っ!》

 

《ふふっ…大げさな奴だな》

 

おっ、精鋭部隊とJCのコラボ…これはちょっと意外かも。ってか、エレンの奴…心なしか声が弾んでる気がするんだけど気のせいかしら?

おっ、まだ続きがあるみたいね。

 

《…おっ、よぉ〜クレイジーマン!なぁに朝からチュッチュイチャラブしてやがんだよ〜?この色ボケ男〜!》

 

《うわっ!?メ、メアリーさん苦しい…!!》

 

《おい、離してやれ、意識が飛びかけてるぞ。それにしても遅かったな、メアリー。来栖は見つかったか?》

 

《あぁ、そうだったっけな。案の定、屋上でサボってやがったからふん捕まえてきてやったぜ。ほらよ》

 

メアリーの後ろから焔が不貞腐れた様子で出てきた。あの子、傷の魔物を討伐して以来独りでいることが少なくなったと思うんだけど、その分だけすっかり元気が無くなっちゃった風に感じるのよねぇ…。

 

《ちっ…何でアタシがこんなこと》

 

《やぁ、来栖さんこんにちは!》

 

《…んぁ?何だよアンタ、ヘラヘラ気色悪ぃ顔しやがって…燃やすぞ》

 

あっ、JC膝抱えて泣き始めた。うん、まぁ今のは確かにショックよね。挨拶しただけなのに燃やすぞって…本当に態度柔らかくなったのよね?

 

《あー!またJCのこと泣かしてる!どうせ焔でしょ!》

 

《知らねぇよ!コイツが勝手に泣き始めたんだろうが!》

 

《大丈夫ですかJCさん?私たちが来たからもう怖くないですよ〜》

 

《あ、あはは…JCさん、ファイトですっ!ヒーローはいつ如何なる時も涙を見せてはいけませんよ!》

 

おっ、残りの精鋭部隊も集結したわね。となると、月詠・浅梨・焔・真理佳・JCの五人連携ってわけね。これは新しいかもしれない、名付けるならば…

 

『超連携・小さな精鋭たち』

自パーティ4班 防御力アップ

対象生徒…守谷月詠、我妻浅梨、来栖焔、円野真理佳、JC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程ね、JCが精鋭部隊とも仲良かったのは意外だったわ。でもこれだけじゃまだパンチが弱いのよね〜」

 

「夏海ちゃん…私、ちょっと呼ばれちゃったから行くけど、あまり熱中し過ぎちゃ駄目だよ?」

 

「ん?あぁ大丈夫大丈夫。行ってらっしゃ〜い」

 

智花に釘刺されたけど、ジャーナリストとしては謎多きJCの実態を明らかにするまでは引き下がれないわ!もっと話題性のある人物はいないかしら?

あら、また誰か話しかけてるわね…おぉ!

 

《おぉーっ、JC〜!何だよ今誰とも班組んでないのか?ならあたしたちと組もうぜ〜?》

 

《あっ、こら律ってば!何勝手に決めてんのよ!》

 

《何だよ千佳、さっきJC見かけたら一緒の班組もっかな〜って話してた《わぁーっ!!わーっ!?うちそんなこと言ってないし!!律の聞き違いに決まってんじゃん!》うわっ、千佳声デケェよ!》

 

《ふむふむ…間宮さんのドン底だった恋愛運がぐんぐん上がっていったのには、もしかしたらJCさんのおかげかもしれませんねぇ》

 

《ちょ、先生までやめてよ…!あー、もう!JCもその田舎のおじいちゃんみたいな笑顔やめろ〜っ!!》

 

これは…千佳と律、それとゆえ子ね。このメンツは学園の中でもよく見るけど、それよりももっと面白そうじゃないの!

 

《あっ、そうでした。間宮さん、この間は遊びに連れてってくれてどうもありがとうございました!おかげで色々見れて良かったですよっ》

 

《えぇ!?あ、あー…それはまぁ、別にいいよ》

 

《あれ?千佳、この前“そんなの行ってないに決まってんじゃん!”って言ってなかったか?なぁ、西原?》

 

《はい、ゆえもそう聞いてますけど。これは詳しくお聞きする必要がありそうですねぇ…きゅぴーん》

 

《えっ、間宮さんまだ話してなかったんですか?帰ったら自慢しよっかな〜って言ってたのに…》

 

《JC!?あんた、それどこで聞いたの!?》

 

《いや〜、最近なんだか急に目とか耳が良くなっちゃって。大抵の独り言なら聞き漏らさずに聞こえてますよ》

 

《いや、それもう独り言じゃないから》

 

あははは…なんて楽しそうな笑い声が聞こえてくる。な、なんて微笑ましい光景なのかしら。何というか…すごく普通?そう、普通の学生って感じよね。

 

《でもさ、あたしもそれ分かる気がするなぁ》

 

《はぁ?何がよ律》

 

《いや、だから…JCが感覚冴えてきたって話だよ。あたしさ、JCにギターの弾き方教えてたんだけど、最初は全然出来てなかったんだけど暇つぶしに上手いやつの動画見せたら、普通に同じように弾き始めたんだぜ?絶対才能あるって!》

 

《…それって、あんたの教え方が悪かっただけじゃないの?あんた下手っぴじゃん》

 

《そんなことねーって!大体な、ギターは魂で弾くもんなんだよ!そこには上手いも下手もねーっての!》

 

千佳と律がまた言い合ってる…この二人ってこんなに性格違うのによく親友やってるのよねー。

 

《JCさんJCさん。以前あなたに現れていた死相なのですが、久々に占ったところ…どうやら大きく変化しているようなのですよ》

 

《えっ、そうなんですかゆえ子さん?その変化っていうのはどういう…?》

 

《はい、どうやらJCさんの周辺の方々に向けられていたものが、一気にJCさんに集まっているようなのです。これはひじょーに危険です、近い将来…もしかしたら今度こそ命に関わることになるかもしれません》

 

《…そうですか。まぁなんとなくそんな気はしてましたけどね。思い当たる節はありましたので…詳しいことは話せませんけど》

 

は?えっ、ちょっと待ちなさいよ!?死相?命の危機?そんなの初耳なんだけど!確かに裏世界とか行って何ヶ月も行方不明になってたけど、それでも無事だったじゃない!なのにもっと危険な目に、それも近い内にですって!?JCって何で一人だけそんな過酷な目に遭ってんのよ……まさか、部長はそれを調べるためにわざわざあたしに調査を?

 

『連携・放課後フレンズ(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)』

連携スキル対象生徒の攻/防50〜120%アップ

対象生徒…間宮千佳、音無 律、西原ゆえ子、JC(JCを含む任意の二人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「JCの奴…あたし達の知らないところで何を抱えてるのよ?部長がこんなものまで寄越してくるなんて、はっきり言って異常よね…ん?」

 

すっかり気落ちしてるところで、イヤホンからまた新しい声が聞こえてきた。これは…怜?

 

《ん?JCじゃないか。どうしたんだ?一人なのか?》

 

《あっ、怜ちゃん。うん、さっきまで間宮さんたちと一緒だったけど、とりあえず課題的にはオッケーらしいって別の人のところに行っちゃったから、今は一人だよ。怜ちゃんは?》

 

《あぁ、実はJCを探していたんだ。良ければ少し付き合ってくれないか?》

 

へぇ…怜ってJCと面識あったんだ。今日は色々な新発見の連続ね。

 

《JCを見かけたら呼んでくるように委員長に言われてな。それより順調に班は組めているか?何か困ってることがあればいつでも言ってくれ、手助けするよう委員長に言われてるからな》

 

《心配し過ぎだよ〜。でも気にしてくれてありがとね。怜ちゃんみたいな美人さんに心配してもらえるなんて、世の男の人から刺されそうだな、アッハッハ〜!》

 

《なっ!?あ、あまり私を揶揄うな…!そういう冗談は、好きじゃない…》

 

《冗談なんかじゃないよ。世の中のことはまだあまりわからないけど、怜ちゃんのことは多分…すごく真っ直ぐで優しくて綺麗な女の人だと思うんだけどなぁ…って、どうしたの怜ちゃん?なんでそっち向いてるの?》

 

《た、頼むからもうそれ以上は止めてくれ…!恥ずかし過ぎて死にそうだ…あぅ》

 

あっ!JCが怜のこと口説いてる!怜もまんざらでもない感じだし…ってか、JCってこんな優男みたいな性格だったっけ?もしかして、わざと話を逸らしてる?

 

《あーっ!神凪先輩!JCさ〜ん!二人でな〜にしてるんスか?ぎゅー!》

 

《うわっ!?に、忍者さん…いきなりどうしたんですか?》

 

忍者?ってことは梓かな。

 

《服部!?な、何故JCに抱きつく!?破廉恥だぞ!?》

 

《ん〜、だって自分とJCさんの仲ですし〜。これくらい普通ッスよぉ。ねー、JCさん?》

 

《えぇ…そうなのかなぁ?まぁ、好きは好きですけど》

 

《んなっ!?JC、貴様…》

 

《お、おほぉ〜…まさかの展開ッスねぇ。こりゃあ里に招待する日も近いッスね!大丈夫ッス!里のみんなはJCさんのこと、きっと歓迎してくれるッスよ!》

 

《えっ、招待?僕を?何で?》

 

《…あー、そう言えばJCさんはこの手の冗談は通じないんでしたっけ。今のはニンニンジョークなので安心して下さいッス、神凪先輩》

 

《な、何故そこで私に振る…?それより、服部が直接来たということは…?》

 

《えぇ、いいんちょのご命令でJCさんをお迎えに参上した次第です。神凪先輩だけじゃ男の人と話すの苦手だから苦戦してるだろうって…でも、そんな心配は余計だったみたいッスね〜》

 

《…何を勘繰っているのかは知らないが、私とJCはそういう関係じゃない。あくまで仕事としてだな…》

 

《はいはい、それはもう十分に理解してますから〜。ほら、急ぎましょー》

 

《くっ…本当にわかっているんだろうな…?》

 

怜も梓もJCのこと嫌ってる訳じゃなさそうだけど、なぁんかどこか他人行儀なのよねぇ。声だけしか聞こえないから本当のところはよくわからないけど。

 

《…おや、待ってましたよJCさん。どうです、ウチのおかげで両手に花状態だったでしょ?》

 

《なっ!?い、委員長…まさか最初からそのつもりで私を!?》

 

《本当は氷川か冬樹のどっちかについてもらおーかと思ってたんですが、どっちも拒否しちまいまして。仕方な〜く服部に走ってもらいました》

 

《沙妃ちゃん…イヴちゃん…》

 

《そ、そんな捨てられた仔犬のような目で見ないで下さいっ!私たちは何も悪くないはずなのに、何故かこっちが罪悪感を覚えてしまいそうになります…》

 

《同感ですね。しかし私とJCさんはそこまでの仲ではありませんし、拒否したとしても何も問題ないかと》

 

《あーあ…そんな冷たいこと言うから、JCさんがダークサイドに堕ちかけてるじゃねーですか。おー、よしよし。この堅物風紀委員二人にはJCさんの色気はまだまだ理解できねーんですよ。ウチは味方ですからねー》

 

《あぁ〜!いいんちょ、ズルいッスよ〜!自分も混ぜて下さいッスー!なでなで〜》

 

《うはっ…ふ、風子さん、それに忍者さんも!?》

 

《…あっ。むぅ…》

 

《冬樹さん?どうかしましたか?心なしかいつもより機嫌が悪いように見えますが…》

 

《別に、何も問題ありません。ですので、早くJCさんとの適性検査を実施して下さい。私がメンバーから外れますので》

 

《えっ?は、はぁ…》

 

うーん?イヴの奴…本当に何とも思ってないのね!ちぇ〜、面白くないの。

 

『連携・取り締まり強化期間(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)』

連携スキル対象生徒の防50〜120%アップ

対象生徒…水無月 風子、神凪 怜、氷川 沙妃、服部 梓、冬樹イヴ、JC(JCを含む任意の二人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、イマイチ見出しにパンチが無いわねぇ。もっとこう、意外な組み合わせじゃないと……んなっ!?こ、この声は!」

 

《やぁ、JCくん。どうだい?メンバー集めは捗っているかな?》

 

《遊佐さん!それに…智花ちゃんも》

 

《えへへ、こんにちは!》

 

な、何で部長自らJCに接触してるの!?それに智花も!もう何が何だかわからないわよーっ!

 

《南くんとはついさっきそこで合流したんだ。あれから何か進捗があったかどうかも確認しておきたかったしね…ついでというわけじゃないけど、僕たちの相性も確かめておこうか》

 

《このメンバーってことは第8次侵攻の関係者って感じですかね…でも、たまに智花ちゃんから電話っていうかMore@で話してましたけど、あれから特に新しいことってありませんでしたよ。そうだよね智花ちゃん?》

 

《はい…相変わらずというか、転校生さんとJCさんは出てきませんでした。ただ最近変な感じなんですよね…》

 

《ほぅ…と言うと?》

 

《顔はよく見えないんですけど、全身を黒いローブみたいなもので包んだ魔法使い…なのかな?そんな感じの人たちが映るんですよね…勿論、私の勘違いかもしれないですけど!》

 

《JCくん、君はこれをどう見る?》

 

《パルチザンのみんなが特に何も言ってなかったのを考えると、それが“スレイヤー”ってことになるんでしょうか…。初めて会った時も僕がパルチザンの仇という存在と同じようなものって思われてましたし》

 

《パンドラにもまだ解明できていない謎が多く残っている。もしかしたらその中に手がかりがあるかもしれないが、こればかりは宍戸くんと双美くんに期待する他ないからねぇ》

 

《うぅ…ごめんなさい。私がもっとハッキリこうだったって断言できれば》

 

《…そうだ、今の話とはちょっと変わるんですけど…遊佐さんに来てもらいたい場所があるんですけど》

 

《あぁ、それなら春乃くんから聞いてるよ。君のルーツを探る旅に招待してくれるんだろう?ぜひ同行させてほしいな》

 

《わ、私は一緒に行かなくても大丈夫なんでしょうか?》

 

《今回は裏世界の環境に慣れている僕たちが行こう。南くんは転校生くんに付いててあげるといい》

 

《ふぇ!?な、なんで転校生さんです!?》

 

《おやぁ?僕は単純に彼の身の安全を任せたつもりなんだが…南くんには別の思惑が浮かんだみたいだねぇ》

 

《そ、そんなことありません!!》

 

《えっ、智花ちゃんも転校生くんを?うぅー…それは困ったなぁ。諸事情あって素直に応援できないけど…頑張ってね!》

 

《ふ、二人とも〜っ!?》

 

むむむ〜…また裏世界のこと?あたしはまだあんまりよくわからないのよねぇ。部長にも知らないほうがいいって釘刺されてるし…自分で調べるっきゃないわね!

 

『連携・8度目の惨劇を知る者(Ⅰ・Ⅱ)』

相手パーティ計1班 攻/防ベース値30〜45%ダウン

対象生徒…遊佐 鳴子、南 智花、JC(JCを含む任意の二人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長からJCに近づくなんて、よっぽど切羽詰まってるのね。話だけ聞いてるとかなり過酷な環境で頑張ってるみたいだもんね…よしっ、やっぱりJCの悪い噂はちゃんと払拭してあげなきゃ!」

 

詳しいことはわからないけど、JCは知らないところで戦ってるのね。もしかしたら他のみんなもそうなのかもしれないけど、まずはJCからよ!

 

《…やっぱりここにいた。サボりですか?》

 

誰かに話しかけたみたいね。敬語ってことは知り合って歴が長い人物ってことよね。生徒会の誰か?生天目つかさ?それとも結希かしら?

 

《んぁーっ?誰じゃ誰じゃ、妾の至福のひと時を邪魔する愚か者は…って、フォオオッ!?な、な、何故お主がここにおる!?》

 

《いや、緑の力で聞いてたら屋上で気持ち良〜く寝息を立ててるアイラさんがいるの分かったから。それに話しいこともあったし》

 

《お、おぉ…そうかそうか。まぁ、その…あれだ。本音を言えばお主の話なんぞ聞きたくはない。聞きたくはないが妾も大人じゃ、あの時こっぴど〜く妾を振りおったことは今は忘れようぞ。それで、妾に何の用じゃ?ほれ、話してみぃ》

 

アイラ…あんた口ではそんなこと言ってるけど、心の中ではものっそいテンションうきうきよね?メッチャ嬉々として話してるわよね!?

 

《…あの時は一方的に攻めてしまってごめんなさい。正直、怒るって感情がよくわからないまま喋ったところもあって、その後の会えない時間のほうがずっと辛かったです。それに本当は“利用された”って思ったことなんか一度もなかったですし、寧ろその誰かに使役されている感覚に何故か懐かしさすら感じてましたし》

 

《JC…お主は…》

 

《でも、もうその苦しみから解放されたいんです。この“JC”という仮の自分から抜け出したいんですよ。本当の僕は誰で、どこにいるのか…それを裏世界で探すのをアイラさんにも手伝ってほしいんです》

 

えっ、JCが仮の名前?いや、確かに本名だとは思ってなかったけど…それに今のJCの言葉、まるで自分の存在そのものが誰かに与えられた造りものみたいじゃない…。

 

《…それが裏世界にあるというのか。して、その確証は?》

 

《ありません!》

 

《…はぁ!?》

 

いや、こっちもはぁ!?だよ!なんで?なんでそんなに自信満々に言えるのよ!

 

《今は思いつきませんが、必ず見つけてみせます!諦めたらダメであります!》

 

《勇敢というか無謀というか…全く、お主という奴はほとほと手を焼かせる……ぷっ、くくっ…!あはははっ!!》

 

アイラの奴…笑ってる。

 

《いや、すまなんだ。暫く会っとらん所為で忘れておったが、お主はそういう奴じゃったな……しゃーないのぉ!妾にも当然落ち度はある、吸血鬼とて良心が痛まないわけではないしの。詫びも兼ねて協力しちゃるわい》

 

《アイラさん…ありがとうっ!》

 

んっ?布が擦れるような音が聞こえてきた。一体何してるのかしら?

 

《ぬぉ!?き、急に何をする!?こら!抱くなっ!頭を撫でるなぁ!匂いを嗅ぐなぁ!?》

 

《…あの時はあまりよくわからなかったけど、アイラさんって…すごく綺麗だ》

 

はわ、はわわわっ!?こ、こここれは…間違いなくスクープの予感!!復縁の瞬間に立ち会えるなんて、あたしってラッキー?さぁ、その先までしっかりと聞かせて頂戴!

 

《やめれーって言っておろうが!んぬっ?おい、JCよ。襟の裏に何かくっついておるぞ…ほいっ》ブチッ。

 

ブチッ?あ、あー!!アイラの奴、盗聴器壊したぁ!?もぉ〜!これからが大事なところなのにぃ!あんの機械音痴がぁ!!でも、これで次の見出しは決まったわ。待ってなさいよJC、あんたの信頼取り戻してあげるわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、レジスタンス接触日の前日。僕・遊佐さん・春乃さん・アイラさんの四人は学園の探索チームとは別に先行して裏世界にやって来ていた。

 

「小鯛山と学園の丁度真ん中の地点の地下施設…って言ってましたっけ。でも遊佐さん、良かったんですか?僕たちだけ先にこっちに来ても」

 

僕は内心不安でいっぱいの今回の件について、隣でデバイスを操作しながら最短ルートの計算をしている遊佐さんに問いかけるも、返ってきたのはえらく余裕のある答えだった。

 

「な〜に、問題はないさ。パルチザンの説得は朱鷺坂くんと本人たちに任せてあるし、最悪間に合わなくても機会はまだある。それに今優先すべきは君のほうだ」

 

「はぁ…そうですか。でも…」

 

その答えを聞いても尚踏ん切りがつかないでいると、僕の後ろで聞いていたであろう春乃さんが僕に発破をかけた。

 

「何よ、歯切れ悪いわね…秋穂の命が懸かってるのよ。もっとしゃんとしなさい」

 

「春乃さん…ですよね。これはもう僕だけの問題じゃなくなりました、他の誰かの為に活かせる力なのかもしれない。それを確かめに行くんですもんね」

 

そうだ、これは自分で行かなきゃダメなんだ。僕が誰で、何の為に生まれたのか、そしてその力で何が出来るのか。それを知らなきゃいけないのに、また忘れるところだった。ダメだダメだ!春乃さんに気づかせてもらうんじゃなく、自分が気づかなければ!

 

「…お〜い、あんまり虐めないでやってくれ。其奴とて今回の調査は特に気合いが入っておるのじゃ。昨日も荒ぶる此奴を必死で妾の身をもって漸く宥めたというのに」

 

「ア、アイラさん!?そういう言い方って…!」

 

アイラさんが変な言葉遣いするもんだから、誤解を招くような発言を!?全くもって油断ならないよ…変な汗かいてきた。

 

「それは本当かい?だとしたらかなり妬いてしまうなぁ…JCくんのことは全て知っておかなきゃならないと思っているからねぇ。ぜひ道中で詳しく聞かせてほしいかな、JCくん?」

 

「…どうでもいいけど、先を急ぐわよ。くだらない話なんかで秋穂を解放するのが遅れるなんて許せないから」

 

僕を逃がさない為か腕をがっちりとホールドして顔を近づけてくる遊佐さんと、対照的に徹底してクールに受け流す春乃さん。そして、ただただ焦る僕を心底楽しそうに揶揄っているアイラさん。

そんな顔されたら、怒る気なんてなくなってしまうよ。だってそれは、僕がもう一度見たいと願ったものなんだから。

 

 




【語られなかった連携・超連携】
【連携・世間知らず(Ⅰ・Ⅱ)】
連携スキル対象生徒の功50〜90%アップ
対象生徒…冷泉 葵、ヤヨイ・ロカ、JC(JCを含む任意の二人)

【連携・筋肉狩人と獲物(Ⅰ・Ⅱ)】
連携スキル対象生徒の功50〜90%アップ
対象生徒…仲月 さら、朝比奈 龍季、JC(JCを含む任意の二人)

【連携・姉と妹と…友達?(Ⅰ・Ⅱ)】
連携スキル対象生徒の防50〜90%アップ
対象生徒…冬樹イヴ、冬樹ノエル、JC(JCを含む任意の二人)

【連携・研究者と成果(Ⅱ・Ⅲ)】
連携スキル対象生徒の功/防90〜120%アップ
対象生徒…宍戸 結希、立華 卯衣、JC(JCを含む任意の二人)

【超連携・生徒会のススメ】
自パーティ全班 3ターン リジェネ
対象生徒…武田 虎千代、水瀬 薫子、結城 聖奈、朱鷺坂 チトセ、JC

【超連携・ぎこちないおしゃべり】
相手パーティ計4班 攻撃力ダウン
対象生徒…海老名 あやせ、エミリア・ブルームフィールド、シャルロット・ディオール、東雲アイラ、JC

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