グリモア~私立グリモワール魔法学園~ 虐げられた元魔法使い   作:自由の魔弾

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【IMF】
International Magic Forceの略称。国際魔法師団。
魔法使いだけで構成された国際軍隊組織。日本の始祖十家である我妻家の長女、我妻 梅も所属している。


第参拾弐話 畏れる 魔法使い

「…ここが宍戸博士の部屋よ。指紋認証センサーがあるから、先に解除しちゃうね」

 

そう言って、慣れた手つきで壁に設置してあるパネルを操作するミナ。その間、僕はかつて投げかけられた問いかけに対する答えを頭の中でまとめていた。正直なところ、彼女を納得させられるだけの完璧な答えはまだ出てない。結希さんとの隔たりは今も解消出来ていない、隠された僕の存在も結局は何も分からなかった。僕は…一体何をやってきたんだ?

 

「はい、開いたよ…JCくん?どうかしたの?」

 

「…っ!!な、何でもないよ。うん、何でも…」

 

「?…変なの。じゃあ入ろっか」

 

黙り込んで考え込む僕の様子を伺ってくるミナだったけど、その距離間は目先10cmもないほど近く突然視界いっぱいに映り込んだ端正なミナの顔が…本人は全然自覚してないみたいで、僕一人が慌てふためいているのもなんか馬鹿らしいのでやっぱ止めた。きっとミナの方がずっと大人で僕がまだまだ子供だからなんだろう。

 

「宍戸博士、風槍 ミナです。JCくんを連れてきました!」

 

すると、室内の奥に備えてあるベッドに横たわっていたであろう白衣を着た女性が呼びかけに応じるように、その右手をゆっくり上げた。ミナがすかさず駆け寄って、その女性の体を起こす介助をする…間違いない、この人がそうなんだ。

 

「風槍さん、迷惑をかけてごめんなさい。彼が…そうなのね?」

 

「えぇ、彼がJCくん。私たちの最後の希望…貴女が追い求めていた最高の魔法使いです」

 

少しズレてる眼鏡や乱れた髪、きっと寝癖なんだろうけどそんなところまで本当にそっくりで…。

 

「久しぶり、です…でいいのかな?結希ちゃ…宍戸博士」

 

僕は深々と頭を下げて、宍戸博士の出方を見る。すると、予想通り研究者としての彼女からの言葉が投げかけられた。

 

「そう…早速だけど、あなたの持つ情報と私たちの持つ情報を共有し、これを突き詰めていきたいわ。風槍さん、悪いけど少し外してもらってもいいかしら?」

 

「えっ?べ、別に構わないけど…じゃあJCくん、私は部屋の外にいるけど何かあったら呼んでね?」

 

宍戸博士に促されてミナは渋々といった様子で部屋を退室した。宍戸博士、僕と二人きりで何をするつもりなんだろう…全く読めない人だ。

ミナが出ていって暫く無言の時間が流れるけど…漸く宍戸博士が何かを決心したのか不意に呆れた様子で話しかけてきた。

 

「…いつまでそこに立ってるつもり?出来ればもっと近くに来てくれると楽なんだけど」

 

「あっ…ご、ごめん」

 

宍戸博士に促されて近く置いてあった椅子をベッドの横まで持ち寄って宍戸博士の隣に座った。

 

「相変わらずみたいね、そのデリカシーの無さは」

 

「…えっ?」

 

宍戸博士を見るとどういうわけか少しむくれた表情をしていた。その理由に検討もつかないでいると、宍戸博士本人からその説明を受けた。

 

「私のことはある程度は聞いてるでしょう?わざわざ風槍さんも追い出して、室内には自由に身動きの取れない若い女!なのに…何で襲ってくれないのっ!」

 

…いや、わけわからんて。えっ、裏の結希さんってこんな性格なの?確かに裏と表じゃ歩んできた歴史が違うから全く同じことはあり得ないって言ってたけど…それにしてもでしょ!?

 

「介抱するフリして胸を掴んだりお尻触ったりキスしてくれたっていいじゃないの!私自分からあんまり動けないんだから!ねぇJCくん…私って、そんなに女としての魅力が無いのかな…?」

 

目を潤ませながら僕の口元に指を添えて悩ましい視線をビンビン送ってくる宍戸博士。あぁ…それ以上やると僕の中の結希さん像がボロボロと崩れ落ちていく…うん、止めさせよう。

 

「…そんなこと言わないで下さい。きっと疲れてるんですよ、うんそうだ。早く横になりましょうね」

 

「えっ、ベッドで?一緒に?寝る寝る!ちょっと狭いかもしれないけど私は全然構わないわ。さぁおいで」

 

ダメだ…この人完全にキャラ崩壊してる。体全く動いてないのに口めっちゃ動いてるなぁ。もう止めてください…僕が悪かったから。

 

「…それで、ここに来たのは前にした約束の件でして。と言っても、そんなこともう憶えてないかもしれませんけど」

 

「そう…じゃあそろそろ巫山戯るのも止めて、ちゃんと聞きましょうか」

 

僕の要件を聞いて態度を改める宍戸博士…最初から出来るならそうしてほしかった。そうでなければ余計な結希さん像を刷り込む必要なんか無かったのに。

 

「結論から言うと、僕はまだ結希さんのことを信じることが出来てません。いや結希さんだけじゃなく、僕の周りにいる魔法使いの大半はそうです」

 

「そう…まぁ1月の時点でそっちの私が報告してきた通りなら、予想通りの結果だけど」

 

1月?確かその頃は僕が第6次侵攻中の北海道にいる時か。なんか時間の流れがぐちゃぐちゃになってきたな…まぁ、あんまり関係ないかな。

 

「でも…本当は、信じたい…僕への優しさは打算なんかじゃなくて、真心からくるものだったって!なのに…何処からか声が聞こえてくるんです…其奴らはお前を利用しようとしてる、戦う以外に価値なんか無い、魔法使いは全て敵だ…そんな声が頭の中で止まないんですよ」

 

僕は額に手を当てて、誰にも理解されないであろう悲痛な叫びを宍戸博士にぶつける。いくら彼女が世界最高峰の頭脳の持ち主でも、この苦しみは到底理解出来ないだろう。当人である僕にですらどうしてこんな考えが湧いてくるのか全くと言っていいほど理解不明の現象なのだから。

すると、宍戸博士は何か思ったことがあるような口ぶりで話し始めた。

 

「まさか…いえ、そんなはずないわ。あくまで可能性の話だもの」

 

「宍戸博士…どうしたんです?もしかして、何か心当たりがあるんですか?」

 

宍戸博士が研究者らしからぬ取り乱し方を見せ始め、僕は暗に察する。それも悪い方の予感を。

 

「…今から言うことは絶対に誰にも話しては駄目よ。他の学園生…特に権力を持つ生徒には。それが約束出来るなら、貴方にだけ打ち明けたいことがある」

 

一変して鬼気迫るものを感じさせる宍戸博士の嘘偽りのない表情に、突き動かされるような衝動に駆られる僕。思えばこの時、こんなにも簡単に頷かなければ、僕は僕の運命を知ることはなかったかもしれない…でも、後悔はしたくなかった。だから僕は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あっ、お帰りなさいJCくん。もう話は終わったの…って、どうしたの!?」

 

宍戸博士との話を終えたJCくんは、一人で部屋から出てきた。けれど、その表情や力のない歩き方から簡単に察することができるほど酷く憔悴した様子に変わり果てていた。

思わず駆け寄って確認するも、JCくんはまるで呪詛のように自分にだけ言い聞かせるように呟いていた。

 

「僕が…僕がいけない、んだ…僕の、所為でが、学園のみんなっ、みんなが…は、ははっ…かはははっ、ふははっ…」

 

「どうしたのJCくん!?お、落ち着いて…きゃっ!」

 

焦点が全く合わないほど酷く混乱しているJCくんは、まるで私のことが見えていないかのように私を押し退けて不気味な乾いた笑いを浮かべて何処かへ行ってしまった。私はまるで状況が理解出来ない中、ついさっきまで彼と一緒にいた宍戸博士なら何か知っているはずと考え、急いで彼女に詰め寄った。

 

「し、宍戸博士…!!あれはどういうことですかっ!貴女一体JCくんに何をしたんで…っ!?」

 

私は責め立てる言葉の途中で、思わず黙り込んでしまった。何故なら、宍戸博士もまた何かに取り憑かれたかのようにただひたすらうわ言のように何かに謝っていたのだから。

 

「ごめん、なさい…私は、そんなつもりじゃ…貴方を、苦しめるつもりなんて……ごめんなさい、ごめんなさいィ…!」

 

目から大粒の涙を流してまるで懺悔ともとれる言葉を吐き続ける宍戸博士。元々宍戸博士の部屋は外部の敵から身を守るために作られた隠し部屋で、当然中の音が漏れないように防音加工が施されている。だからいくら扉の前に居ても扉一枚を挟めば何も聞こえない。この部屋で一体何があったのだろうか…?

 

「宍戸博士…貴女は…とにかく、貴女は休んでなきゃ駄目。ほら、気持ちを楽にしてベッドで寝ましょう…そう、そのまま…」

 

私は宍戸博士の背中をさすってトントンと心地よいリズムで優しく叩くと、始めこそ激しく愚図っていたけど次第にその反応も小さくなりやがて静かに寝息を立てていた。感情に流されるまま、というのも決して楽ではないことを知っている。それは私たちがよく知っていることだ…学園を喪った日、先輩たちや仲間たちが魔物やテロリストと戦って死んだ日、何年も何年も戦って逃げて長い年月をかけてジリジリと追い込まれて…生きることにすら希望を見出せずにいた日々。終わりの見えない、でも決して勝利はない果てのない戦いの中で当てもなくひたすらに戦って死のうとさえ考えたこともある。でも、そんな考えを打ち破ってくれたのが…ある日突然私たちの前に現れたJCくんだった。当時の彼は突然私たちの前に姿を見せて、成り行きとはいえ共に魔物を倒してくれる仲間、戦友ともとれる存在に変わっていった。以前からさらに言及されていた私たちが最も忌み嫌う存在“スレイヤー”とあまりにも共通点が多いことから慎重にJCくんを精査していたけど、何度も一緒に戦っていくうちにその心配も杞憂に終わることになった。彼は何でよってくらい底抜けに明るくて裏表のない人間だった、だから遊佐先輩のことを教えた。それが彼が最も知りたい、知らなくちゃいけない情報だったから。そしてJCくんが元の世界に帰ったそのすぐ後に、私たちはスレイヤーの襲撃を受けた。宍戸博士の部屋に向かう道中、JCくんが遊佐先輩から私たちが無事なことを聞いたと言っていた。けど、その時自分が間に合わなかったことを酷く後悔し責めていた。だからこそ、再会したあの瞬間から…感情に突き動かされるままに喜びを感じたんだ。でも、それすらもまるで無かったように振る舞うJCくんの姿が、とても物悲しく見えて仕方がなかった。

 

「JCくん、貴方は何を知ったの…?」

 

宍戸博士が深く眠り込んだのを確認した私は、再び部屋のロックを掛けるとJCくんが消えていった方向に向かって走り出した。全てが手遅れになる前に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜、ようやっと着いたわい。年寄りにこの距離はちとキツイのぉ…ぬっ、あれは」

 

遊佐の話に乗っかってJCを先行させたは良かったんじゃが、それはそれは遠い道のりじゃった。安易に乗っからずにまたJCの背中を借りればよかったと後悔した。そして、漸く学園生との合流地点であるパルチザンのアジトに着いた妾と遊佐と瑠璃川の三人じゃったが、その視界の端に本の一瞬だけJCの姿を見た気がした。しかし、遊佐も瑠璃川も特に言及することがなかったし、その時はあまり気に留めなかった。そして、暫く朱鷺坂達と互いに知り得た情報を共有していると、パルチザンの一人と思われる魔法使いが急いでこっちに走って近づいてくるのに気がついた。

 

「はぁ、はぁ…あ、あなた達!JCくんを見なかった!?ねぇ、JCくんは!?」

 

肩で息をしているその魔法使いに、朱鷺坂が何があったのかを問いかけた。

 

「風槍 ミナ!?一体何があったの?JCくんがって…」

 

「誰か、誰かJCくんの居場所を知ってる人は!?居ないの!?どうなの!?」

 

「ち、ちょっと…落ち着きなさい!?」

 

激しく取り乱す風槍 ミナの様子は明らかに普通ではなかった。朱鷺坂が散らばっていた学園生を招集し、誰かJCの行方を知る者がおらぬかと聞いてまわるが、これといって確証のある発言をする者は出てこず、それを聞いた風槍 ミナはその場に力なく座り込み遂には泣き崩れてしまった。

 

「う、うぅ…ま、また…また…うっく、いなく……いなくなっちゃたよぉ…!」

 

その慟哭ともとれる悲痛な叫びは、風槍 ミナの心痛を最大限に体現していた。それに対して、妾たちに投げかけられる言葉は見つからず、その後の捜索も実施されたが誰一人としてJCの発見には至らず、妾たちの第5次裏世界探索で得られたものは風槍 ミナよりもたらされた“パンドラ”のキーの一部のみで、パルチザンの協力を仰ぐことは失敗、更にJCの喪失という大打撃を被る悲惨な結果に終わった。JCよ、何故じゃ…何故お主はいつもそうなのじゃ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ、アイツらが帰ってきてから何となく…学園内の空気が重いっ!!」

 

よぉ!俺、兎ノ助だぜ。いきなり俺が語り部なんて任されるなんて驚きだろう?大丈夫、俺も驚いてるから!えっと、何から話したらいいんだ……えっ、あぁ台本あんのね。俺の出演時間は…30秒…って!夏海お前、ここ俺のターン!お前出張ってくんなよっ!せっかくの出番減っちゃうだろ!ただでさえ俺の出番、明記されてるだけでもJCが転校してきた初日のシーンだけなのに…。

 

「だーっ!!五月蝿いわねぇ!さっきから全然進んでないじゃないの!話はもっとわかりやすく簡潔にまとめる!これ基本よ?」

 

「だーかーら!ここで一発俺の印象をだな…」

 

「却下よ!報道の基本は“文を目立たせ人は目立たず”よ!これだから素人は…」

 

「くっ、何だよ何だよ!俺だって出番欲しいんだよ!いっつも転校生とかJCの周りにしか女子が集まって来ないんだぞ!これを機に俺にだって女の子のファンが…ぐふふっ」

 

「…はいはい、とりあえずその辺注意してもう一回よ!今度はちゃんとやってよね」

 

うぅ…俺の計画が水の泡だ…しゃーないなぁ、ちゃんとやるか。

 

「おっす!俺は兎ノ助だ!今から学園で起こってることを説明するぜ。まずは何と言っても学園行事だな!8月の下旬にイギリスのネテスハイム魔法学園に行くことが決まったな!今回は俺も一緒に行けるからメッチャ楽しみなんだぞ!あとは特級危険区域の調査が始まるぞ!今回は大垣峰のゲートを偵察するって言ってたぜ。魔物の強さがわからない分危険もあるけど、みんななら無事に帰ってくるって信じてるぜ!それと、それと…うぅ…!」

 

俺は途中で言葉を詰まらせちまう。くそぅ…最後まで言い切れよ、俺!みんなだって頑張ってんじゃねぇか、俺が一番弱気でどうすんだよ!コンチキショー!

 

「兎ノ助、ほら続き…あいつも観てるかもしれないからさ」

 

カメラを回している夏海に励まされて奮起する。そうだ、俺が悲しんでどうすんだ!俺なんかよりも辛い生徒はいっぱいいるし、何よりJC本人が一番苦しんでるに決まってるじゃねぇか!

 

「ご、ごめんな…いきなり黙っちまって。おいJC!お前3週間もどこほっつき歩いてんだ!お前がいなくなっちまったお陰で、学園の色んなところで支障が出てんだぞ!生徒会とか風紀委員とか精鋭部隊とか購買部とか…他の学園生も色々と機能してないんだからな!だから…早く帰って来いよ!」

 

俺は思いの丈を伝えて、カメラ役の夏海に視線を送って確認する。すると、夏海はカメラのボタンを押してそっと下ろした。撮影が無事に終わった…ってことだよな。

夏海は深〜く息をついた後、あっけらかんとした様子で話し始めた。

 

「…ま、兎ノ助にしてはまずまずって感じね。後は編集で兎ノ助の余計な台詞カットしなきゃ他の生徒のコメント短くするしかなくなっちゃうもんね」

 

「ぅおい!お前…」

 

俺は思わずツッコんでしまうが、チラッと見えた夏海の表情に言葉を呑んだ。

 

「JCの奴、ちゃんと観てくれるかな…」

 

ぼそっと呟いたその一言がやけに浮き彫りになった。そりゃJCのデバイスに向けて送るんだから当然観るだろうと思った。だけど、不思議と納得がいく言葉だった。

半分ぬいぐるみ半分機械の元人間の俺がそんなこと感じるなんて、俺も焼きが回ってんのかなぁ…。

 

「観てくれるさ、絶対にな…」

 

そして、その一週間後…学園地下の魔法使いの村に設置してあるゲートと化した魔導書からJCが意識不明の重体で発見された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…えぇ!?面会謝絶ゥ!?」

 

数日後、私たち生徒会はJCさんが搬送された病院にお見舞いに来ていた。しかし、医師から告げられたのはまさかの面会拒否。素っ頓狂な声を上げて今にも医師に詰め寄ろうする会長を必死で宥める聖奈さんと朱鷺坂さんを他所に、私が代表して昂る気持ちを落ち着かせ冷静に医師と話をする。

 

「あの、一体どういうことなのでしょうか?病院の方からJCさんの意識が戻ったと報告を受けたから出向いたのですが…」

 

「いやぁ、それはそうなのですが…その、なんと言えば良いのか…」

 

あまりに歯切れの悪い医師の言葉に何となく違和感を覚える。意図してあやふやに伝えている…のではなく、敢えて言葉を選んでいるといった感じで煮え切らない。この医師は一体何を躊躇っているというのか?

 

「では、一目彼の姿を確認させて頂ければ私たちもおとなしく引き上げます。それならば構わないでしょう?」

 

私が強い意志を宿した言葉を投げかけると、医師は根負けしたのか渋々といった様子で承諾した。

 

「…今の時間ならリハビリも兼ねて付き添いの看護婦と中庭で散歩しているはずです。まぁ、行くのを止めはしませんが…決してあなた方の姿を彼に見られないで下さいね。では、私は患者の診察があるので失礼させてもらいます」

 

医師はJCさんの居場所を教えると、何故か私たちを心配するような言葉を残して去って行った。どういう意味だろう…?

 

「会長、JCさんは中庭にいるようです。様子を見に行きましょう?」

 

「う、うぅむ…しかしだな「会長?」わ、わかった。だからそんな怖い顔するな!聖奈も朱鷺坂もいい加減放してくれ」

 

少し悔しそうに負けを認める会長…ふふっ、そんな貴女も新鮮でまた意外な一面を見せて貰いましたよ。案内板に従って暫く進むと、医師の言葉通り中庭で若い女性の看護婦に連れ添われて歩くJCさんの姿が見えた。何やら妙に楽しそうに話し込んでいる様子で、それが少し胸を痛めた。

 

「ねぇJCくん、いきなり外に出たいなんて…何かあったの?」

 

「んー?べっつにぃ…“入院生活中、お世話になったお姉さんと最後に一緒に外を歩きたかった”じゃダメ?」

 

「…っ!?お、大人を揶揄っちゃいけませんっ!もう…」

 

ボンッ!と顔からみるみる蒸気を発生させて顔を両手で覆って隠している看護婦と、悪戯っぽい笑みを浮かべるJCさん。むぅ…なんかモヤモヤします。

 

「揶揄ってないんだけどなぁ…優子さん、優しいしいつも一生懸命だから俺、結構好きだよ?」

 

「なっ!?き、急に名前で呼ばないで…か、勘違いされちゃうから!」

 

「ふふっ、優子さん…可愛い♪」

 

な、なななっ、なな何なの!?あの破廉恥な空間はぁああああ!!!

 

「お、おい薫子…顔、怖いぞ…「…ハイ?」ひっ!な、何でもない…」

 

学園最強とも称されている御方が一体何に恐れているのでしょう?聖奈さんも朱鷺坂さんもそんなに酷く驚いた顔をしなくてもいいのに。私はこんなにも笑顔なのですから…ニコニコ。

 

「うぅ〜私の方が歳上なのにぃ…絶対バカにしてるでしょ!どうせ退院したらもう会わないもんね!私、知らないから!ふんっ」

 

「あれま…それは残念。色々理由こじつけて会いに来ようって思ってたのにな〜。このままだと俺学園から出られなくなりそうだから、二度と会えなくなるのかー。あー寂しいなぁ〜」

 

虚勢をはる看護師に対してJCさんが軽い口調で大袈裟に寂しがって見せると、看護婦は次第にその態度を軟化させて最終的には…。

 

「…これ、私の電話番号。勤務時間以外なら、いつでも掛けて良いから…だからっ!」

 

看護婦がそう言いかけたが、それ以上の言葉はJCさんの抱擁によって遮られた。ぐ、ぐぬぬ…!

 

「…分かってるよ。時間が出来たら連絡するから……今度どこかに遊びに行こう?」

 

「…うん!えへへ…」

 

嬉しさが極まったのか表情を緩めに緩めきった看護婦は“誰がどう見ても絶対何か良いことあったでしょ?それも男関係で”っていう顔をしている。分かる。その気持ち、分かるわ。私だって、特別な相手とその…あんな風にお互いの愛情を確かめ合うことに憧れる。出来ればその相手は…彼であってほしいと少しだけ願ってしまう自分がいる。

 

「こうしていても埒があかない。直接確かめるぞ」

 

「なっ!か、会長!?」

 

遂に我慢の限界に達したのか、会長がJCさんに直接コンタクトを取ると言い出して、面会謝絶の真意を確かめるべく歩みを進める。聖奈さんが引き止めようと声を掛けたものの、それよりも会長の強い意志が勝ってしまった。

 

「すまない、アタシたちはJCと同じ学園の者だ。失礼を承知でお願いする。少しでいい…そこにいるJCと話をさせてくれないだろうか?」

 

「えっ、同じ学園…ってことは“魔法使い”?いけないっ!!」

 

少し遅れて会長に合流する生徒会メンバー。謎の行動をとるJCさんを心配する私たち、それとは対照的に私たちの姿を見た途端に明らかに言葉数が激減し、酷く体を震わせていた。まるで私たちが恐怖の対象であるかのように。

 

「JC!?おい、しっかりしろっ!!」

 

「これは…一体どういうことだ?!」

 

「あなた達は下がって!JCくん、JCくん!私が分かる?大丈夫、大丈夫よ!誰もあなたを傷つけたりしないから!!」

 

「あ、あぁ…っ!あぁああぁっ!?カハッ…」

 

会長と聖奈さん、看護婦の必死の呼び掛けにも応じることはなく、尚もまともに呼吸すら出来ていないJCさんの容態を見て、看護婦は緊急事態の対応に切り替える。そこは現役の看護婦、その対応の早さは流石と言える。

 

「呼び掛けに反応しない…先生にすぐ処置してもらわないと!」

 

看護婦は手持ちの通信機器で担当の医師にJCさんの容態が急変したことを報告する。慌ててJCさんに駆け寄る私たちでしたがどんなに声を掛けてもそのどれにも返事は無く、ただひたすらに何かを訴えるように渇いた呼吸にならないものを繰り返している。私は今も目の前で苦しんでいるJCさんの手を握る…こんなことで苦しみが和らぐなんて都合の良いことは起こったりしないって分かってる、分かってるけど何かしたい!してあげなきゃと心の底から思った。

 

「あなた達、JCくんを病室に運ぶの手伝って!ほら、みんなで体支えて!」

 

「あ、あぁ…わかった!聖奈と朱鷺坂は足を、アタシと薫子は腕だ。道案内は任せた!」

 

会長の指示を受けて、私たちは手分けしてJCさんの体を持ち上げて看護婦に案内されるがままに病院内の一室に運び込む。その時、私は内心ある疑問が浮かんだけど…それよりもまずはJCさんを落ち着かせることが先決。

急いで病室に駆け込んできた数人の医療スタッフ…その中にいたさっきの医師がJCさんの容態を確認する。

 

「彼の症状は!?」

 

「精神的ショックによる呼吸困難、それに意識障害も引き起こしています!例の発作によるものかと…」

 

「まずは彼の容態を安定させるのが先決だ!酸素マスクと鎮静剤の準備!君、彼女たちを外へ!」

 

医師が慌ただしく指示を飛ばしながら懸命に作業に入る。それほどまでにJCさんの状態は楽観視できないものだと、素人目にも見て分かった。私たちを案内してくれた看護婦と共に病室の外に出る。私は…とても悔しかった。それは恐らく横にいる会長も聖奈さんも朱鷺坂さんも、きっと同じ胸中だと思う。そして、それはJCさんと一緒にいた看護婦も…。そんな私の視線に気づいたのか、看護婦は仕切り直すように話し始めた。

 

「えっと…じゃあ、私たちも場所を移そっか。あなた達はJCくんのこと、聞きに来たんでしょ?私の知ってることなら教えてあげられるけど…どうする?」

 

彼女から提示されたのは、私たちが求めていたJCさんの情報の共有だった。本人から話を聞けない今、その申し出を断る考えは浮かばなかった。会長が代表して、私たちの総意である“快諾”を表明した。

 

「ふふっ、分かったわ。じゃあ、場所はさっきの中庭で良いかしら?彼の名誉の為にも、あまり人に聞かれたくないような話もあるから…」

 

看護婦はそう言って“準備する物があるから先に行ってて”とだけ伝えて、一人何処かへ走り去って行った。病院内を走らないでと注意喚起のポスターが寂しく泣いている気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んっ、私は……」

 

私は微睡む意識の中から目を覚ました。いつの間にか深い眠りについてしまっていたみたいね…。気怠い気分を振り払うように大きく伸びをすると、室内に誰かが入って来た。その人物は私の姿を見ると、何故か喜んでいる様子で私に抱きついて来た。

 

「宍戸博士!?意識を取り戻したのね…良かった!」

 

「…風槍、さん?いきなり、どうしたの…?」

 

私を見て涙ぐむ風槍さんとは対照に、殆ど状況を理解出来ていない私。今まで彼女とそこまで親密な仲を築いてきたつもりはないんだけど…。

 

「どうしたの…って、憶えてないの?まぁ、あんなに酷く取り乱してたんだから、当然って言えば当然か…でも薬の効能とはいえ、二日も寝たきりだったのよ?」

 

私が、酷く取り乱していた?私は身に覚えのない事実を知らされ考え込む…いや、知らない事実ではない。思い出したくない事実として体が拒否反応を示しているのが沸々と感じられるのが分かった。

 

「私は…そうだ、彼は!?JCさんは!?」

 

風槍さんに問いかけるも心地よい返答は無く、明言こそしないものの明らかに彼の身に何かが起こったことを示唆していた。私は焦燥に駆られて手元のコンソールを操作する。

 

「宍戸博士、あなた何を…」

 

戸惑いを隠せない様子の風槍さんが突然の行動について言及する。私は操作の片手間で説明をする。

 

「当日のゲネシスタワー周辺と内部の映像を確認する。どれか一つにでも彼の姿が映っていればおおよその位置が特定できるはず……いた!でも、これは…」

 

室内の大型モニターに出力された映像を確認すると、タワーの周辺を覚束ない足取りで彷徨うJCさんの姿を発見した。しかし、その直後…突如発生した霧の中へと姿を消したところでその映像は遮断された。彼の姿を捉えたのは時間にして約30秒ほど、その後およそ1分程度経ってブラックアウトしていた映像が復旧した。

 

「宍戸博士…これは一体?」

 

私は状況を理解しきれていない風槍さんに向こうの学園にいる私に連絡を取るように指示した。

 

「風槍さん、向こうの私にこのことを伝えて。彼は消える直前、霧に呑まれてどこか別の時間軸に飛ばされた可能性があると…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あっ、お〜いっ!みんなの好み聞くの忘れちゃったから、色々持ってきちゃった…えへへ」

 

JCに付き添っていた若い看護婦が沢山の飲み物を抱えて持ってきた。やけに明るく振る舞う彼女の言動は私たちよりも明らかに歳上のはずなのに、それを微塵も感じさせないのは彼女の天性の才能なのか。

 

「お、おい…これは一体?」

 

「ただ話するのも何か味気ないから、好きなの選んで良いよ。ここは私の奢り!」

 

戸惑いの声を上げる会長に対して、看護婦は妙に自信満々に胸を張っている。その振る舞いに私は勿論、会長も副会長も朱鷺坂の奴ですら言葉を失っていた。ここまで私たちとの温度差を感じさせるなんてある意味大物とも言えるだろうか?

結局、私たちが渋々といった様子で各々一本ずつ飲み物を手に取ったところで話が始まった。

 

「じゃあ、まずは私のことからだね。私は佐伯 優子、この等々力総合病院の看護婦だよ…まだ2年目のペーペーなんだけどね」

 

それを聞いて僅かながらの知識を持っていた私はそのことの重大さに驚いた。この等々力総合病院は都内でも有数の大病院で、患者の数も多ければ重傷患者の割合も高い。それ故にそこで働く医療従事者のレベルは国内外でもトップクラス。一定以上の知識や技術を習得していないと就職すら出来ないほどの超倍率を目の前の彼女はパスしたというのだ。

 

「それでJCくんがうちに搬送された時のことだけど、服の上からじゃ分からなかったけど全身の至る所に裂傷と両腕両脚の骨が折られてて、すぐに緊急手術が施されてね…私は手術には立ち会えなくて後で先生から聞いたんだけど、明らかに外部から何者かによって暴行を加えられたものに間違いないらしいの」

 

うぅむ…JCの実力からして一般人から一方的に暴行を加えられたと考えるのは、可能性としてはかなり低いはずだ。以前ならまだしも今なら攻撃する度に力を増す能力がある、わざわざ防御に徹する必要が無いからだ。何よりJCの足なら振り切ればいいだけのこと。だとすれば、さっきの発作…

 

「まさか…その暴行を加えたとされる犯人は"魔法使い”、なのか?」

 

私はそれを口にした途端に、佐伯という看護婦の表情沈む。そして少しの間どう伝えようかと考えた矢先、遂に封を切った。

 

「…術後初めてのカウンセリングで、JCくんが言ったの。“信じてた”、“裏切られた”って…変だよね?霧の魔物や行きずりの犯行なら“突然誰かに襲われた”、“油断していて傷を負った”と言うのが普通じゃない?でも、そうは言わずにあなた達を見てショック状態に陥った…」

 

「つまりJCの知る人物、グリモアの学園生か…クッ!!」

 

会長が手に持っていた中身の残っているペットボトルを握り潰す。手に中身がかかることすら気に留めず、その表情を苦痛に滲ませる。

それに代わって、朱鷺坂が疑問を突き詰めていく。

 

「JCくんがそう証言したってことは、その犯人を憶えているのよね?それについての言及は?」

 

「それは特には…でも傷口の形状から特定は出来ないけど珍しい刃物が使われたって、手術に立ち会った私の先輩が教えてくれたの。こう、刃のサイズは10cmくらいで傷口の両側に傷が付くような…少なくとも包丁やナイフなんかじゃなくて、もっと特殊な小型の刃物らしいの」

 

小型の刃物、それも包丁やナイフではなく特徴的な形状の物で切り刻まれた。それも四肢を折られて無防備な状態で…こんなのはっきり言って拷問だ、エグすぎる…。

 

「あの、こんな時に不謹慎かもしれませんが…JCさんは学園に復帰できそうでしょうか?」

 

副会長がずっと気にかけていたJCの安否について質問する。こう言っては何だが、副会長は会長と同じかそれ以上にJCのことを気に掛けているからな…まぁ、私も密かに奴のことは気に掛けているが。

 

「リハビリ自体は上手くいってるし、傷も治りかけてるから近いうちに無事に退院できると思うよ。でも、本音を言えば…まだ退院してほしくないかな」

 

少し寂しげな表情でそう口にする佐伯さん。それを見逃さなかった副会長は迷わず突っかかる。

 

「…それは貴女がJCさんをお慕いしてるから、ですか?」

 

「なっ!そ、そんなんじゃないって!?やだなぁ〜もう……やっぱり、分かっちゃう?たはは…」

 

副会長の追及にものの数秒で陥落した佐伯さん。むぅ…こうも素直に認められると、逆にこっちが恥ずかしくなるな。だが、JCの奴が妙に好意的なのは何となく理解した気がする。彼女はあらゆる意味で素直過ぎるのだ、今まで猜疑心の渦中にいたJCにとってはまさに心のオアシスのような存在に見えたのだろう。

 

「でも、本当にそんなんじゃないんだよ?確かにJCくんは今、特定の誰かじゃなくて魔法使いそのものを恐れてる。こういう時、最も効果的なショック療法の観点から見ても、グリモアに戻って沢山の魔法使いに囲まれて過ごすうちに、その恐怖心が薄れていつかは克服できるかもしれない。でもそれがいつかも分からないし、それまでJCくんの心が持つかも…」

 

そこで表情に影を落とす佐伯さん。確かにさっきの発作の状態を見れば、またいつあぁなるか分からん。可能であれば私たちでサポートしてやりたいが、その原因が私たちの可能性がある以上迂闊に近づくことは許されない…のだろうか?

 

「だが、こちらとしてもJCの身柄は引き渡して貰いたい。今月の下旬から来月の半ばまでの暫くの間、我々はイギリスに向かうことになっていてな。仮にJCが退院できたとしても発作を理由に学園に置いていく訳にはいかんのだ。我々がいなくなったことに乗じてJCに取り入ろうとする輩が外部から接触してくるかもしれないからな」

 

会長の言い分は物事の芯を捉えていた。我々がイギリスに行くとなれば、当然学園の警備はほとんど機能しなくなる。一応魔物が出現した場合、“IMF”(国際魔法師団)が対応してくれる手筈になっているが、JCの内情を深く知らない彼らはきっと市民を守ることを優先するだろう。そこにJCを療養の為に置き去りにした結果、どの勢力が接触してくるか分からない…特に危惧すべきなのは、最近になって不穏な動きを見せている“ライ魔法師団”だろうか。

 

「そうなんだ…でも、やっぱりそれは認められないな。発作はいつどこでそうなるか分からないし、処置できる人間がすぐ近くにいないのはそれだけで不安を煽ることになる。残念だけど、JCくんは国外に出るべきじゃないと思う」

 

強い口調で会長の提案を拒否した佐伯さん。新米とはいえ現役の看護婦がそう提言するのだから、素直に受け入れるべきなのだろう。だが、理解は出来ても納得は出来ないものがある。それは会長も副会長も朱鷺坂も同じだろう。

 

「…JCくんが学園に残っても身の安全が保証されてれば、みんなは安心してイギリスに行けるんだよね?」

 

「…?あぁ、まぁそうだな…」

 

それを確認した佐伯さんは徐ろに携帯を取り出し、何か思い立ったようにどこかへ連絡を取る。

 

「…あっ、もしもし林檎ちゃん?佐伯 優子です〜。実はお願いがあって…えっ、いや合コンのお誘いじゃなくて!いやお見合いのセッティングでもないの!そうじゃなくて林檎ちゃんのお姉さんお借りしたいんだけど、時間ありそう?うん…えっとね、8月の下旬頃から9月の中頃まで…大丈夫そう?本当に!ありがとぉ〜!後で写真送るから見せておいてね?今度お礼も兼ねてどこかで都合合わせて会おうね!んじゃね!」

 

流れるような通話を終えた佐伯さんは、満面の笑みを浮かべて電話の内容を報告した。

 

「えっと…とりあえず、JCくんの身の安全は確保したよ。みんなが戻ってくるまでの間、“世界で2番目に強い”友達のお姉さんが付きっきりで面倒見てくれるって」

 

世界で2番目に強い?林檎という人物の姉…ま、まさか!?

 

「お、おい…それって“我妻 梅”のことじゃないだろうな!?」

 

会長の問いかけに、佐伯さんはニヤリと含みのある笑みを見せたのだった。

そして8月下旬、学園生を乗せた飛行機はイギリスのネテスハイム魔法学園へと飛び立った。その入れ違いで退院したJCが学園に登校してきて欠席していた分の自習をする予定になっている。そう、あくまでも予定だ…あの人物が来るまでは。

 

「ここもあんま変わってないわねぇ…うしっ、それじゃいきますかっ!」

 

 

 




佐伯(さえき) 優子(ゆうこ)
等々力総合病院で看護婦として働く21歳。意識不明の状態で搬送されたJCの看護担当として献身的に支える明朗快活な女性。警察官だった父親を小学生の時に亡くし悲しみに明け暮れるも、自分なりにその意志を継ごうと立ち直った過去を持つ。現在は母親との二人暮らしだが、かつては妹がいた。
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