グリモア~私立グリモワール魔法学園~ 虐げられた元魔法使い   作:自由の魔弾

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宍戸(ししど) 結希(ゆき)
学園どころか世界でも有数の頭脳を誇る天才少女。授業を免除され、いつも自分の実験室で研究に勤しんでいる。魔法と科学を合わせた【魔導科学】が専門分野。彼女の功績で30年は技術が進んだという、人類側の懐刀。【ヒト】の作成が最終目標だという噂。定期的にJCの魔法使いとしての状態を精密検査しているため、彼の裸体を見慣れている(直視できるとは言ってない)。自他共に認める立華卯衣とJCの管理担当。


第六話 広まれ!魔法使い

「え?パーティーですか…」

 

学園内の魔法棟に常設されている魔導兵器開発局にて、週に一度の精密検査を受けていた際の宍戸結希との会話である。

 

「そう。学園生が企画・運営してクリスマスパーティーを開催するらしいわ。あなたが編入してきてもうすぐ一ヶ月、他の学園生たちとの交流を深めるきっかけにでもとあなたの参加を生徒会の連中も考えたんでしょう」

 

JCがきょとんとそれに反応する。

 

「パーティー…。それってなにすればいいんですか?」

 

「特に気負う必要は無いわ。何もしなくてもどうせ向こうから勝手に色々話しかけてくるだろうから。次の検査の時にでも会話の内容を教えてくれればいいわ」

 

「ゆきさんはいかないんですか…?」

 

「…どうしてそんなことを聞くの?」

 

モニターから視線を外さずに作業を続けながら何の気なしに質問する結希。それに対してJCは横たわっていた台から身を起こし、身体に繋がれたらケーブル類を外しながら少し不満顔で答えた。

 

「ゆきさんいないと…たのしくないから」

 

「………そう。データは取れたから、もう戻っていいわ」

 

「え、ちょっと…まだふくきてな」

 

特にJCの言葉に反応することも無く、淡々とそう告げて未だ服がはだけた状態のJCの背中を押して研究室から追い出す結希。それとは入れ違いで室内で寝ていた立華卯衣が補給と定期的なメンテナンスを終えて目覚める。

 

「ドクター…どうかしましたか?若干ですが、体温の上昇を確認しました」

 

あくまで無表情のまま淡々と事実を告げる卯衣に、結希は静かに反論する。

 

「……気のせいよ」

 

ぷいっと顔を背ける結希だったが、その表情は心なしか柔和な笑みを浮かべているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、クリスマスパーティー当日。いきなり現れて学園生を驚かせるわけにもいかないので、JCは少し遅れてパーティー会場に向かう事にした。その道中、背後から突然何者かに声をかけられる。

 

「あー!お兄ちゃん、みっけ!ず〜っと探してたんだよ?」

 

声の主は学園生のようだ。無邪気に笑う彼女だったが、JCにとっては面識ない相手であったので不思議に思って聞き返す。

 

「おねえさん、だれ?」

 

彼女は思わず目をぱちくりして呆然としていた。すると、すぐさま彼女の様子が急変した。

 

「…くっ、ふふ…ふはははっ!!いや、すまんな〜。よもや“おねえさん”と来るとは思わなんだわ!それにしても…魔法の影響を受けにくい体質か。ちと試してみたいのぅ」

 

自分の胸までしか背丈のない明らかに歳下の少女を何の疑いもなくおねえさん呼ばわりするこの男子生徒を、少女は笑わずにはいられなかった。突然笑われたことを不満に思ったのか、JCは少しムッとしながら答える。

 

「…それ、たぶんききませんよ。まえにもチトセさんにおなじようなこと、されましたから」

 

「ちっ…あいつ、妾とおんなじこと考えおったか。まぁどうせ奴のことじゃ。そなたにもそれはそれは小っ恥ずかしい手段をとったんじゃろ?いや待て言わんでいい。取っ捕まえて聞き出しちゃる」

 

「チトセさんのこと、いじわるしちゃだめだよ」

 

「な…!?」

 

JCに予想外の反撃を受けた少女は目を丸くする。

 

「せいとかいのみんなは“あそびのかんけい”なんだから、たいせつなの。あとゆきさんとういちゃんと兎ノ助せんせーも」

 

「その言葉はたぶんすごく危ない意味に聞こえるぞ…」

 

少女が冷や汗をかきながら、嘆息している。気を遣ってくれたのか、JCが気まずそうに声をかけてきた。

 

「あの、もういっていいですか?パーティーおわっちゃいそうなんで」

 

少女は明らかにどこか納得がいかない表情をしていたが、しぶしぶ諦めた様子で返事する。

 

「…仕方ない。まぁ今日のところは顔合わせが目的じゃったし、それは果たせたから良しとしよう。それよりも…!」

 

そう言うと少女はJCの腕に抱きつくと、悪戯っぽい笑顔を浮かべて再び熱っぽい視線を送った。

 

「一緒にケーキ食べたいから、ぱーてぃーに行こっ?」

 

もちろんJCにはそんな芝居がかった猫撫で声は最初に本性を現した時点で既に通用しない。当然引きつった表情でどうしようか迷っていたが、そんなことは御構い無しに事態は進行する。

 

「…はぁ。まぁどうせいくつもりだったから…“アイラさん”もいっしょにくる?」

 

JCから提案を受け、少女は目をキュピーンと光らせていた。

 

「おぉ〜!ならしっかりと淑女たる妾を“えすこーと”するのが男の務めじゃぞ!って、何で名乗ってもないのに名前知っとるんじゃ!?」

 

アイラの質問に、JCは微苦笑しながら答える。

 

「おたがい“ゆーめいじん”ってやつなのでは?」

 

「…お主、中身が6歳というのはちと無理がないか?」

 

「アイラさんが“きゅーけつき”っていうのも…。みためこわくないし、むしろかわいらしいし」

 

「…転校生とは違う意味で女を不幸にしそうじゃな、お前」

 

額に手を当てて、頭を抱えるアイラ。ことここに至って悟ってしまったらしい。

 

「と、言うわけでぱーてぃーの間はぴったりくっついてやるからな。せいぜい周りの女共に刺されないよう気をつけるがよい。魔法つかわん魔法つかいのお兄ちゃん☆」

 

「…え?それってどういう」

 

気がつけば2人は会場内に移動していた。どうやらアイラが勝手に転移魔法を使ったらしい。突然会場に現れて訳がわからずたじろいでいる学園生とJCを他所に、アイラはイベントのMCを務めている学園生からマイクをひったくって、声高らかに宣言した。

 

「みんな、ちゅ〜も〜く!この場を借りてぇみんなに紹介したい人がいま〜す!もう知ってる人もいるかもしれないけどぉ、この前転校してきてぇ〜さっき会ったばっかりなのにアイラの“彼氏”になってくれたJCくんで〜す!でもでもぉ、みんなもJCくんのことよく知ったらぁ〜きっと好きになっちゃうと思うけどぉ…その時はアイラ、気にしないから。どんどん告白してみんなの彼氏になってもらおうね〜!」

 

その言葉を皮切りにより一層抱きしめる力を強めるアイラ。口調から判断できるとおり勿論本気で言っているわけではないことは明白だが、この場の雰囲気を一気に掻っ攫うのにはじゅうぶん過ぎる宣伝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




東雲(しののめ) アイラ】
ほぼ誰も信じていないが、自称313歳の吸血鬼。見た目の割に深い知識を持ち、桁違いな威力の魔法を使いこなせるのは事実で、しかも恥ずかしげもなく死語を連発するあたり見た目通りの13歳とも考えづらい…授業を免除されていることも含め謎だらけの少女。自称JCのコレ(小指)
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