頑張って生き残るぜ!! 作:森羅万象を創造したい神
「んんんん~~~………………はあ……」
転生してから一日目
「赤ちゃんとかじゃなくてよかったには良かったけど……」
何で、異世界に転移する前日に記憶を取り戻すんだよ!?
剣術とかを使えるようになっときたかったのに……
「はあ……」
あと、困ることが一つ……
能力たちがちゃんと使えない……
例えば、ベクトル操作
この世界だと、身体能力を強化することくらいしかできなかった
時空間を司る程度の能力は
時間を若干早めたり、遅らせたり
空間は操れん……
要するに、異世界に行かなきゃダメだお?
ということか……
「やべ!早くしないと!?」
そんなことを考えてるうちに既に七時五十四分になっていた
「行ってきます!!」
まあ、返事は来ないけどな……
三年前に親は事故で死んでしまった
「ッ!!……このままでは間に合わん!!」
しょうがないか……
ベクトル操作で身体能力を強化した
「これくらいでいいか……」
そういった後、軽く踏み込んでジャンプした
「はあ……はあ……少し使うだけでも頭が痛くなる…………やっぱり屋根の上を走るのは気持ちいな~」
軽くジャンプしただけで屋根の上に乗ったのだ
「お?あれはハジメさんではありませんか」
屋根の上を移動しながら、チラッと下を見ると南雲ハジメちゃんがいた
「……フッ!!」
彼は、体に軽く力を籠め、跳躍した
ハジメの方に
スタッ「やあ、ハジメ」
「ひぎゃあ!!……な、なんだ……雷か……」
「このままだと遅れるぞ~」
学校にはもうすぐ着くが、教室の席に着席するまでの時間はないだろう
あ、残り三分を切った
しょうがない……あの手を使うか……
「ハジメ覚悟!!」
「な、何を……キャッ!!」
何とびっくり
お姫様抱っこをしたのだ
「済まない……ね!!」
そう言って彼は、
自身が出せるトップスピードで走った
「キャァァァァァァァァ!!」
抱っこされているハジメは、羞恥心で顔が真っ赤になった
「はあ……はあ……ッはあ……着いた……疲れた上、頭痛い……」
あんなにも演算し続けたんだししょうがないか……
疲れたのは、これも演算のせいだろう
「だ、大丈夫?雷」
心配そうに見てくるハジメ
「い、いや、大丈夫だ……」
「そう?…………そういう風には見えないけど……」ボソッ
「(。´・ω・)ん?なんか言った?」
「いや?何でもないよ?」
ほんとかな~
ボソッとなんか言ってた気がするんだけど…………
まあ、本人が言ってないというのならいいか
「じゃあ、行くぞ」
「うん」
ハジメ達は、いつものように始業チャイムがなるギリギリに登校し、徹夜でふらつく体でなんとか踏ん張り教室の扉を開けた
その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる
極力意識しないように自席へ向かうハジメと雷
しかし、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる
「よぉ、キモオタ共! また、徹夜でゲームか? どうせ仲良くエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑をあらわにするのか
その答えが彼女だ
「雷君、南雲ちゃん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」
ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある
名を白崎香織という。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる
いつも微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。それを嫌な顔一つせず真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の深さだ。
そんな香織はなぜかよくハジメを構うのだ。徹夜のせいで居眠りの多い雷とハジメは不真面目な生徒と思われており(成績は平均を取っている。雷に限ってはこの学校でトップクラスの成績を取っている)、生来の面倒見のよさから香織が気に掛けていると思われている
そんなハジメが香織と親しくできることが、同じく平凡な男子生徒達には我慢ならないのだ。「なぜ、あいつだけ!」と。女子生徒は単純に、香織に面倒を掛けていることと、なお改善しようとしないことに不快さを感じているようだ
「お、おはよう白崎さん」
「おはよう。香織さん」
うわ~お…………
物凄い殺気が……
「南雲君。おはよう。毎日大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
来た~!!テンプレ勇者様!!
そして、正義&ご都合主義男さん
……マジで嫌いなんだよね
失せてくれないかな?
あ、八重樫雫さんはいていいよ?
あんな自己中心的な男と違ってしっかり者だしね
最後の男知らんな (目逸らし)
「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」
「はあ……テンプレ勇者マジでウぜえな……」ボソッ
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君達に構ってばかりはいられないんだから」
「いや、別に甘えてるわけじゃないから……」
「いや~、あはは……」
それ故に、彼らは笑ってやり過ごそうとする。が、今日も変わらず我らが女神は無自覚に爆弾を落とす
「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が雷君と南雲ちゃんと話したいから話してるだけだよ?」
ざわっと教室が騒がしくなる。男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりに彼らを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みに彼らを連れて行く場所の検討を始めている
「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」
お前……ほんとに都合のいい頭してんな
「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」
君のせいではないぞ!!八重樫雫様!!
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昼休み~
「雷君、南雲ちゃん。珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」
再び不穏な空気が教室を満たし始める中、ハジメ"は"心の裡で悲鳴を上げる。いや、もう本当になしてわっちに構うんですか? と意味不明な方言が思わず飛び出しそうになった。
ハジメは抵抗を試みる。
「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」
そう言って、ミイラのように中身を吸い取られたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。断るのも「何様だ!」と思われそうだが、お昼休憩の間ずっと針のむしろよりは幾分マシだ。
しかし、その程度の抵抗など意味をなさないとばかり女神は追撃をかける。
「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」
俺は寝てるふりをしてるぜ!!
ハジメガンバレイ!!
「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲達はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がないようだ
なんか来た~!!
ハジメン可哀想……
でも、起きると面倒そうだし……
その時、クラスが凍りついた (物理的じゃあありません!!)
彼らの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する
その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた