DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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 今回も前回に引き続き幕間回、今回は主人公の自分語りという名の設定説明的な、なにか。
 見なくても多分問題はないけど、実は伏線になるものが入ってるかも? では、どうぞ。

3/7 掲載箇所を七話部分から最初に変更並びに、章を新設しました。
ご迷惑をおかけしました。


前日譚
幕間またはプロローグ 蘆屋晴明の独白


 輪廻転生、あるいはリインカーネーション。宗教用語で所謂生まれ変わりというやつだ。

 現代に置いては創作物で主人公が一度死んだ後に別世界で生まれ変わり大成する、なんて娯楽作品で見られるのが一般的だろう。

 特によく見るのが神様転生とかいうやつだ。

 何らかの理由で死んだ主人公が死後の世界で神様と出会って、その神様から特典なりチートなりを貰って第二の人生を謳歌するってな。

 娯楽目的に見ることはあっても、実際にそんな事が起きるなんて思う人間なんて稀だろう。

 俺だって実際にそういった小説や漫画、アニメなんかは見ていたが現実にそういった事が起きるなんて思っていなかった(・・・・・・・・)さ。

 そう、思っていなかった。信じていなかったんだ。

 だって常識的に考えてありえないだろう?

 だが、実際に俺の身にそれが起こっちまったんだ。

 

 朝起きたら十五歳くらいにまで若返ってるし、見覚えがない両親に家に居候している妹分までいるときた。

 当時の俺の主観では、見ず知らずの他人の家で寝ていたところ赤の他人に起こされた、なんて酷いものだったからな。勿論絶叫モノだったさ。

 それを見た今世の親父とお袋は、息子が錯乱した! なんて大騒ぎさ。

 あの時は妹分にも大分心配をかけたし、正直すまんかったってのが本音だ。

 それで慌てた両親が俺を病院にブチ込んだ。当然の処置だよな。どうでもいい他人ならともかく、今考えれば少なくとも俺は今世の両親に愛されてることはわかったしな。

 それで俺は全身くまなく精密検査の結果異常は何もなし。それはそうだよな、ただ単に、って言い方はおかしいが前世の記憶が蘇っただけなんだから。

 俺も俺で検査の最中に冷静になると、自分の頭の中にもう一つ、今世の俺の記憶があることに気付いたっていうか、正確に言えば思い出したんだ。

 今世の記憶で一番新しいのが高熱を出して寝込んでたってところだな、それで高熱が原因でふとした拍子に前世の記憶を思い出してパニックに、というよりも今思うと前世のことを思い出し掛けてたことによる知恵熱でダウンしてたのかもしれないな。

 

 まぁ、それはともかくとして、病院の先生に健康体だって太鼓判を押され、晴れて俺は退院。

 その頃には俺も前世と今世の記憶のすり合わせの終わってたし、両親に心配掛けてごめんなさい、って謝ったんだわ。

 それを見たお袋は泣いて喜んでたけど、親父には心配させるんじゃないってゲンコツ一発もらう羽目になっちまったが、それでも喜んでもらえたよ。

 でも、その中で妹分だけが腑に落ちない顔をしてたんだよな。

 後々にそのことについて聞いてみたら、俺の雰囲気が前とは少し違ってたから別人が成り済ましてるんじゃないかと思ってたらしい。

 実際に前世の記憶を思い出してそちらの人格にも多少引っ張られてたのは事実だし、何よりも今でこそわかるが、あの子の能力ならそういうのがわかるのは当たり前だからな。今でこそ驚くには値しないんだが、もしもあの時にその事に質問してたら最悪あの時点(・・・・)で二度目の死を迎えてたかもしれないから、あの時の俺、マジでグッジョブ! としか言えない。

 そう自慢したくなるくらいには、うちの妹分は優秀な子なんだわ、これが。

 

 それで一年くらいかな? それまでは俺の側は平穏そのものだったよ。二度目の生まれも現代日本だったし、仮に定番の二次創作の世界だったとしても日常作品の安全な世界で俺はこのまま平穏に生きて、再び大人になって社会に出て普通の人生を送るんだ、と思ってたんだ。あの日、親父が俺宛の不審な荷物を持ってくるまでは。

 

 あの日は、そう、高校一年目の一学期が終わってようやく夏休みだー、って浮かれてたんだったな。それで夏休みの課題を終わらせられる分は終わらせようって感じでやってたんだわ。

 その途中で仕事から帰ってきた親父が部屋に来て。

 

「ハル、お前宛に荷物が来てるが、なにか通販でも頼んだのか?」

 

 って具合に荷物を持ってきたんだわ。

 俺は全く心当たりがなかったから、それを否定したんだが、確かに住所は家で名前は俺の名前が書いてあったんだ。

 俺の今世の名前の蘆屋晴明(あしやはるあき)様ってさ。

 流石に俺も気持ち悪いと思ってさ、元の場所に返送しようと思ってたんだけど、その時に朱音のやつ、今は違う名前を名乗ってるけど妹分の名前な、が来て。

 

「ハル(にぃ)何か買ったの? 見せて、見せて~」

 

 って言って親父から荷物を分捕って箱を開けちまったんだ。

 開けちまった以上は仕方がないから、軽く朱音を叱った後に俺も中身を確認したんだよ。

 そして見た瞬間、朱音のやつから箱を奪い取って。

 

「ごめんごめん! そういやなんか頼んでたわ! ちょっとゆっくり確認したいから、二人はちょっと外に出てて!」

 

 そう嘘をついて二人を部屋から追い出したんだ。

 自分でもバレバレな嘘だと思うけど、その時は怪しまれるかもなんて考える余裕すら無くなってたんだよ。

 で、正直確認したくなかったけど恐る恐るもう一度箱の中身を確認したらさ、中にはガントレットと折り畳まれた紙が入ってたんだよ。

 その時は紙の方はともかくとして、ガントレットの方を見て嘘だろう? って、絶望しかけてたわ。

 

 たかが甲冑の籠手に大袈裟な、と思う人もいるかもしれないけどさ、ただの防具じゃなかったんだよ、こいつは。

 更に言えば前世の記憶にこれと同じものを見たことがあったんだよ。しかも娯楽作品の中でさ。

 その作品のタイトルは、【真・女神転生Ⅳ】と【真・女神転生Ⅳ FINAL】

 ATLUSの看板タイトルで、通称メガテンシリーズの最新作、Ⅳでは主人公、FINALではお助けキャラ兼重要人物であるフリンとイザボー、それと彼らが所属していたサムライ衆が使う悪魔召喚プログラムが内蔵されている特殊な武装なんだ、これが。

 

 これで分かってもらえると思うけど、この時初めてこの世界がメガテンの関連世界だってことに気付いたんだよ。その時になんでメガテンなんだよ! って、本気で思ったよ。

 たしかに前世の俺はメガテンシリーズは好きだったし、派生作品のデビルサマナーシリーズやペルソナシリーズなんかもやってたけどさ、じゃあ実際にそこに住みたいか、と聞かれたら全力でNO! と言う自信はあるぞ。

 だってメガテンシリーズだと、東京は壊滅しましたが他の地区は滅亡しました、もしくは滅亡寸前です、がデフォだしライトユーザー向けのペルソナシリーズでさえ表では青春物語してるけど、裏では世界滅亡までのカウントダウンが始まってます、なんて超絶ハードモードな世界線なんだからな。これは酷い。そんな所に住みたいと思うのはよほどのMか、メガテンシリーズに身も心も捧げた重度のメガテニストぐらいだろ?

 

 残念ながら俺はそのどちらでもなかったから、黄昏れてたんだが、折り畳まれた紙が中に入ってることを思い出したから手にとって改めて見てみたら。

 

ヴィローシャナ「転生特典を贈りました、使い方は中に入っているAIのバロウズに聞くように。では良い今世を」

 

 

     【悲報】俺氏、神様転生だった件について【記憶にございません】

 

 

 ……うん、あの時はよく俺絶叫しなかったと思うよ、本当に。ただ単に驚きすぎて声すら上げられなかっただけなんだけども。

 

 それで色々とあり過ぎたせいでかな、あの時の俺は思考をそれこそ宇宙の彼方まで放り出してるような状態で、何の警戒もせずにガントレットをそのまま身に付けちまったんだ。

 そしてらバロウズが起動してさ。おお、本物のバロウズだ。なんて脳天気なことを考えながら、バロウズから話を聞いてたんだけど仲魔の説明に入った時にさ、既に一つ仲魔枠が埋まってたんだよ。

 で、これまた俺は何も考えずその登録されている悪魔【妖精-ピクシー】を、本当に警戒とか一切せずに召喚しちまったんだ。

 

 幸いにしてそのピクシーは多少いたずらっ子の気はあるものの、平和主義な子だったから問題なかったんだけど、実は召喚した(・・・・)事自体が問題だったんだ。

 

 急に廊下から誰かがドタドタ走ってくる音が聞こえたら、次の瞬間には俺の部屋のドアが水平に吹き飛んで。

 

「ハル兄、大丈夫?!」

 

 って言いながら朱音がダイナミック入室してきた。

 あまりにもあんまりな事態に俺もピクシーも固まった状態で、俺は。

 

「いや、朱音、お前、ドア、えぇぇ……?」

 

 そう返すのが精一杯だったよ。

 それで朱音はピクシーの姿を見ると、まるで親の仇を見るような鬼の形相に変わって。

 

「──ピクシー! お前がハル兄を!!」

 

 なんて言いながらピクシーを睨みつけて一気にその場の空気が冷えていったんだわ。

 今思うとピクシーに殺気を向けてたんだと思う。

 朱音から睨まれたピクシーは俺を盾にして隠れてたんだけど、あの時は本当俺も朱音に殺されるんじゃないかと思ったね。それぐらい朱音のやつ殺気立ってたからな。

 今でこそ笑い話にできるんだけど、俺とピクシーの二人共ガクブルに震えてたんだが、そこに親父とお袋の二人が何事かと現れて、俺達の惨状を見て即、緊急家族会議。

 

 その家族会議で結果として俺が知らなかった色々なことが暴露されてひっくり返るかと思ったよ。

 まずはうちの家系、かなり血筋としては遠いけど蘆屋道満(あしやどうまん)の子孫でした。

 それを聞いた時点で既に顎が外れそうだったね、俺は。

 次に、ヤタガラス並びに陰陽寮、更に葛葉も存在してました。

 そして最後のがある意味一番酷くて、うちの妹分、葛葉一族で、なおかつ葛葉四天王の一つ、ライドウ家の血筋でした。マジもんでうちの妹分が超エリートだった件について。

 

 それが判明した状況もマジで酷かった。

 親父とお袋がそういった裏の事情を知ってるってことはそれ相応に知識があるってことな訳で、ピクシーとバロウズ以外の全員にしこたま説教食らってグロッキー状態だったんだが、その時になって初めて、俺そういや朱音の名字を知らないよなって思い立ったんだよ。

 俺がそのことを親父とお袋に話したら二人共困ったような顔をしてな。あとから聞いた話だと俺が朱音の名字について気にしないように暗示をかけてたらしい。それが今回のドタバタと、何より俺が裏方面に手を出したせいで暗示が解けたんだそうな。

 で、二人が教えるかどうしようと悩んでたんだけど、暗示が解けたんだしもう良いでしょ、って朱音が言って自分の名字が葛葉だってことを教えてくれたんだ。

 そのことを聞いた俺はさ、ミーハー精神とでも言うかな、メガテンファンとしても本当に存在するのか気になったから朱音のやつに。

 

「それじゃ、もしかして【葛葉ライドウ】っているん?」

 

 って聞いちまったんだわ。

 そしたら朱音のやつ嬉しそうに胸を張りながら。

 

「勿論いるわよ」

 

 って答えるもんだから俺は。

 

「それじゃあ、もしかして葛葉ライドウからサインも貰えちゃったりする?」

 

 なんて馬鹿なことを聞いたんだよ。

 それを聞いた朱音は更に嬉しそうな顔になってさ。

 

「何ならあと二、三年待ってくれたら直接書いてあげるわよ」

 

 なんてことを言い出したんだよ。

 流石になんか会話がおかしいぞ? と、思って朱音に質問したらあっさり自分が次期ライドウ候補の一人で、更に言えば最有力候補だ、なんてドヤ顔で言ってきたんだよ。

 いやいや、まさかな、なんて思いながら、首を少しづつ、それこそ錆びた機械をギギギと回すような感じでゆっくりと親父とお袋の方を見たら、二人して首をブンブンと縦に振ってんのよ。

 で、ゆっくりと朱音の方に向き直ったら、そこには渾身のドヤ顔をして誇らしげな妹分の姿が。

 

 程なくして俺の絶叫が家中に響き渡りましとさ。

 ……その後妹分にぶん殴られたわけだが。

 

 そんな微笑ましいやり取りを見てた親父とお袋なんだが、ちょっと待てよ、と。

 息子、俺のことだな、は今日という日まで裏のことは全く知らなかったのに、いくらビックネームとはいえ【葛葉ライドウ】のことをなんで知ってんの? ってなったんだわ。

 そらそうよな、俺はそんな素振り見せてなかったし。それ以前にここがメガテン系の世界だなんて思ってなかったわけだし。知ってたらもっと色々準備してたわ、って話。

 

 そこんところを問い詰められたわけだが、もう本当色々と限界だった俺は一年前に前世の記憶を取り戻したこととか、今日の神様の贈り物(直喩)の事とかを全部白状しちまったのよ。一応最後の理性を動員してゲームとしてのメガテンシリーズとかのことは隠し通したけどな。

 そのことを聞いたうちの家族たちは、最初こそ冗談はそこまでだぞBOY? なんてノリだったんだけどな、ガントレットでⅠOUT、バロウズの説明で2OUT、ダメ押しの【魔神-ヴィローシャナ】からの手紙で3OUT、ゲームセット。

 今度は3人の絶叫が家中に響き渡ることになっちまった。よくもまぁお隣さんが怒鳴り込んでこなかったもんだわ。まぁ、防音の結界やら何やらが張られてたんだろうけどさ。

 

 それからは上から下への大騒ぎだ。

 なんてったって、只でさえ珍しい転生者なんて存在なのに、高位悪魔であるヴィローシャナまで関わって、あまつさえ好意的に見られてるっぽいってんだからな。更に言えばメガテン世界で言えばヴィローシャナは、宇宙そのものである大日如来でもあるんだからとんでもない。

 お袋は魂を飛ばしちまうし、親父は神に祈りまくるし、我が妹分様は手に御札を持って虚空につぶやき出す有様だ。

 まぁ朱音に関して言えば、手に持ってたのは遠隔地との通信用の御札で、ヤタガラスとやり取りをしてたらしいんだけどな。

 

 それからはもう本当にあっという間だった。

 まず、うちにヤタガラスの人員が来て、俺と朱音を丁重にヤタガラスの本部へと案内してくれた。

 一応言っておくと、柄の悪いのが一般人を丁重に扱うとかそういう意味ではなくて、文字通りこちらに色々と便宜を図る形での丁重だったよ。

 朱音は言うまでもないが、俺もまたヴィローシャナのお気に入りの可能性がある以上、粗雑に扱えば最悪、日本沈没(ガチ)なんて可能性もあるため彼らにとっては気が気ではなかっただろう。

 移動している合間、朱音に色々聞いていたんだが、まずなんで安倍晴明の系譜である葛葉である朱音が、蘆屋道満の子孫であるうちに居候することになってたのか。

 そのことを聞いたら、朱音のやつは最初何を言ってるのかわからないという表情をしていたが。

 

「ああ、そういえば表の世界では晴明と道満はライバル関係だって伝わってるんだっけ?」

 

 と、一人で納得していた。

 俺は意味がわからなかったが朱音はそれについて説明してくれた。

 それによると、この世界での安倍晴明と蘆屋道満は互いに互いを切磋琢磨する間柄であったそうだ。

 それで共闘して妖怪や悪魔を退治することも多かったそうで、そういった意味でも付き合いがあったそうな。

 その事からクズノハができた後も、蘆屋は外部協力者として主にクズノハが動けない表側の部分をサポートしていたらしい。

 例えば葛葉キョウジの拠点の斡旋、例えば葛葉の後進が表側で活動するための窓口など多岐に渡っていたそうだ。

 

 そんなある意味蜜月の関係の二つの家が表側では不倶戴天の敵と言った風に伝わっているかというと、両家にとってそのほうが都合が良かったからだ。

 と、言うのも蘆屋もまた陰陽師の名家だというのは理解できるとは思うが、それだと表側で活動するには名が売れすぎていて不都合があった。

 故に二人がライバル関係という情報を流した後に、一種の決闘を行い(勝負自体は真面目ながらも勝敗に関しては八百長だったそうだ)負けた道満が野に下り、以後普通の人として暮らしたという形を取ったということらしい。

 実際には陰陽術も捨てていないし、野に下ったわけでもないのだがそこら辺は色々と書類を改ざんしてしまえば問題ないという判断だったそうだ。

 またこの一連の行動は時の朝廷も一枚噛んでいたらしく、そちら側からのサポートもあったそうだ。

 

 しかしこれだけ考えると道満だけが泥を被って丸損しているわけだが、それを道満自身がどう思ってたかと言うと、なんとこの一連の行動は道満自身の発案だったそうだ。

 俺が嘘だろう、と驚くと朱音もそう思うよねぇ、としみじみと納得していた。

 朱音自身も俺と同じことを思ったらしく文献の管理者に質問してみたら、一つの文献を渡されたという。

 渡された文献は晴明自身が書いた日記だったそうで、その中に道満の人柄が書かれていたそうだ。

 晴明曰く、あいつちょっと聖人過ぎない? 道満のやつ無欲すぎでしょ。あいつそのうち貴族相手に詐欺られないか心配だわ、などなど人が良すぎる人物像だったらしい。

 それと同時に、あいつ朝廷のことになると沸点低すぎでしょ、やら、天皇陛下に対する忠誠心高すぎワロタ、あいつ陛下に死ね言われたらそのまま自害するんじゃない? など、愛国心はずば抜けていたということだった。

 そういう人物ならこの行動も納得だわ、というのが朱音の結論だったそうだ。それに関しては俺も全面的に同意だが。

 

 そんなこんなで道満自体は陰陽寮で術師たちの育成をしながら同時に表世界のパイプを作り、また自身の子供の中で嫡子以外を分家として独立させて、表側に更なる緻密な情報網を構築したんだそうだ。

 また分家の方にも不満を持たれないために、独自の術を継承させたり、優秀な人材に関しては陰陽寮に戻れるような制度も構築し、ある程度分家にも中央に干渉(実際にするかどうかは別問題として)できる余地は残していたらしい。

 そういう部分を見ると、ただ単に人が良い人物というだけではなく現実主義者という側面もあったということなんだろう。

 

 ちなみに、うち自体は分家の分家のそのまた、って感じで出涸らし状態なのでほぼ完全な一般家庭なのだが、親父がかなり優秀だったので本家の姫を娶ることになり、その縁で朱音も迎えることになったそうだ。

 あのお袋がお姫様かぁ、確かにぽやぽやしてる人だったけど。俺がそうやって驚いていると、朱音がお袋に関して更に補足してくれた。

 

 何でもお袋は本家の中でも良くも悪くも有名人だったらしい。

 お袋は当時の蘆屋の姫の中でも良く言えば優しい、悪く言えば気弱な姫だったそうだ。

 そしてそれはお袋が使える術にも反映されて、人を癒やす類の術はそれなりに使えるのだが、呪いや攻撃の術に関しては全く才能がなかったそうだ。例えば呪いに関しては他の一般的な術師がかけるとそのまま対象が衰弱死するようなやつでも、お袋がかけるとその対象が時々家具や壁に足の小指をぶつける、なんて効果になるらしい。地味な嫌がらせかな?

 まぁ、そんな感じで使える術がかなりピーキーだった姫のお袋だった訳だが、その事が原因で嫁ぎ先という問題が出てきた。

 葛葉などの名家に嫁がせるにはちょっと能力的に、しかして他の陰陽師の家系に嫁がせる場合、蘆屋の姫であるために嫁ぎ先に野心が出た場合、お袋が大変なことになる可能性も否定できない。こう、次代の優秀な術者を孕ませるための母体にするとか。実際にそんな類の術も存在するらしいし。

 

 そういった事情で本家連中がウンウン悩んでる時に、親父の情報が入ってきた事で、現状本当に打つ手がないし、藁にもすがる思いで姫をその男に会わせてみよう、となって会わせてみたところ、両者ともに一目惚れし、その後はトントン拍子に事が決まり、結婚し俺が生まれたと言った具合だそうだ。

 

 で、朱音に関しては先程言ったようにお袋の縁からで、なんとお袋と朱音の母親が幼馴染の親友だそうで、昔から子供が生まれたら表に出す時はお袋に頼むことを公言していたそうだ。

 それで実際に生まれた朱音なんだが、今度は彼女の才能が問題となった。

 なんと朱音のやつ、あの十四代目葛葉ライドウの後継者である、その時まだ存命していたが隠居して十六代目に譲っていた、元十五代目葛葉ライドウに。

 

「先代(十四代目)と比べると流石に見劣りするが、稀代の才能を持っておる」

 

 なんてべた褒めされたらしい。

 その発言が伝わった蘆屋本家は上から下への大騒ぎだ。

 ご隠居の言葉をそのまま飲むなら、もうほぼ内々に内定している次代、十七代目葛葉ライドウになる少女を、いくら本家の姫がいるとしても防備が殆どない一般家庭の元へと送ることになるからだ。

 そのことを問題にして他の場所に送ろうかとも考えたそうだが、そこで朱音の母親の発言、というか約束が問題になった。

 先程も言ったようにお袋と朱音の母親が親友で子供のことを約束していたことと、更に朱音自身も母親から色々と話を聞いて、うちに来ることを非常に楽しみにしてたんだそうだ。

 それを都合が悪くなったから、と反故にしてしまったら葛葉ライドウ家と険悪になる可能性が高く、また朱音が十七代目になった場合関係の修復が不可能になりかねない、なんて地雷がいつの間にか敷設されていた状態な訳で。

 

 それを回避するために本家は本当に東奔西走したらしい。

 その結果うちの周囲に、主に陰陽道での結界やら、朱音に非常用の連絡符等を持たせ、更にヤタガラスの人員まで配置してようやく朱音をうちに送り出したそうだ。

 で、本家にとってはようやく周囲の地雷を撤去して安心していたら、実は本丸に俺という戦略級核地雷が存在していた訳だ。当時の人間たちは泡を吹いて倒れたんじゃなかろうか……。

 朱音の一連の話でそのことを察してしまった当時の俺は、本家の人達にぜひとも強く生きてほしいと祈りながら遠い目になってしまった。

 まぁこの考えがその本家連中に漏れていたら、罵詈雑言を浴びせられるのがオチだとは思うんだが。

 

 それはともかくとして、ヤタガラス本部に着いた後に、色々な裏に関するレクチャーを受けたのちに、俺は蘆屋本家、ではなく朱音の要望で葛葉ライドウ家に向かったんだわ、これが。

 実際には朱音の要望もあったことは確かだが、それ以上に蘆屋本家が俺のことを持て余したということが大きいが。

 そして朱音の実家に着いた後に、そこでサマナーとしての修行を受けるか? という質問をされたので、受ける、受けさせてください、と俺はそれに一も二もなく飛びついた。

 別にこれは、俺がミーハーだったからとか、メガテンファンだったからとかいう理由ではなくて、俺にとって真面目に死活問題だったからだ。

 思い出して欲しい、俺がどういう立場だったというのかということを。

 そう、デビルサマナー世界線であれば、暫定とはいえ次期葛葉ライドウ(主人公)の兄貴分という立場なのだ。しかも、微妙に主人公が奮起するための踏み台にされそうな感じの。

 これが男女逆なら、白馬の王子様よろしく助けに来たライドウと最終的に結ばれてハッピーエンド。なんて王道ストーリーが展開されるかもしれないが、残念ながら俺は男でライドウは女。むしろ、俺が物語中盤で殺されて、それを見た朱音が激昂、更なる力を手に入れると同時にパートナー役の男に慰められて恋仲になる、なんて展開だろう。殺される俺としては溜まったものではないが。

 仮にそうじゃなかったとしても、この世界なら。

 

デスのぼりちゃん『やぁ、おはこんばんにちは』

 

 と、言った感じであらゆる場所に世界規模で散りばめられていてもおかしくないのがメガテン、というよりATLUS時空だ。地獄かな? いや、魔界とか地獄とかデフォであったわ、この世界。

 そんな感じである以上、『鍛えない=死』の図式が出来上がる訳で。

 

 それからは、朱音とともに(あいつにとっては普通の事だが)地獄の修練をこなして、一人前のサマナーになったと認められた後も、各地に異界が発生したと聞けばそこまで飛んで只管に異界に潜り死にかけたり、実際に死んでヴィローシャナの元へ連れて行かれたら『お前がここに来るのはまだ早いから、はよ現世に帰れ。あとコレ、なんかここに流れ着いたけど、現世に持ち主がおるから会ったら渡しといて』なんて言われて、【真・女神転生Deep Strange Journey】に出てきたデモニカスーツを渡されて、さらには、また死なないように、お目付け役なんかまで付けられたり。

 

 また別の場所で異界に潜ってたら、その異界に取り込まれてた女子中学生を助けたは良いものの、その子がペルソナに覚醒して、なおかつ精神状態がファントムソサエティに参加してもおかしくない感じに狂ってたから、親御さんと相談した上で弟子として引き取って心身ともに鍛え直したり、その時に遊びに来たライドウ(結局そのまま朱音が襲名した)とその子が親友になったり。

 

 政府の依頼で怪しい組織を襲撃したら、そこにDr.スリルがいてなんやかんややった結果、意気投合し俺は造魔作成用のドリー・カドモンを貰い、スリルにはガントレットとバロウズを見せて、彼と面白そうだから、といつの間にか参加してた業魔殿の主のヴィクトル、派遣されてきたゼレーニンが最終的にデモニカスーツの量産化に成功したりなどなど。

 

 そんなこんなを続けていたらいつの間にか、俺がこの業界に入って十年近く経っていた。

 そして俺はライドウほどではないが、業界で一目置かれる、蘆屋本家では、あいつもしかして初代様の転生体なんじゃないの? なんて勘違いされる、そんな存在になっていた。

 

 で、この頃、俺の業務態度が問題になってるらしく、別にサボってるわけではなくて逆に働きすぎ、傍から見るとブラック通り越してダークネスなんだがどうしよう? こいつ休み取らせても勝手に異界に突撃するし。なら楽めの仕事の表の企業調査をやらせようか、ってな感じで俺に新たな仕事が振られてきたわけで。

 正直どこに死亡フラグがあるかわからない状況では、そんなことよりも異界に潜ったり魔界に行ったりして力を蓄えたいのだが、政府から名指しの依頼である以上は無視もできないし、ちょうど弟子が住んでる都市でもあるので、顔見せついでにパパパっと終わらせるかと思い、だが何か胸騒ぎがするのできちんと準備をした後に公共交通機関で目的の企業【ランダルコーポレーション(・・・・・・・・・・・・)】の支部がある巡ヶ丘市(・・・・)へと出発した。

 

 その時の俺は、まさかあそこに特大の死亡フラグが乱立してるとは思ってなかったんだよなぁ……。

 

 




 この主人公、実は本文中で語っているように、ここがメガテン系のオリジナル世界だと勘違いしています。そして、本編に入っても、ここが、がっこうぐらし! の世界だとは気付いてません。
 まぁ、実際に悪魔が跋扈して、ライドウやペルソナ使い(朱夏)がいた以上、無理もないのですが……。
 なお、両親に関しては、ほぼフレーバーで今後登場することはないかも……。
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