DDS 真・がっこう転生 MythLive 作:想いの力のその先へ
由紀と朱夏が放った合体魔法、大いなるロゴス。その魔法は暖かな、そして無慈悲な力の奔流となりマーラに迫る。
「ぬ、ぐ、おぉ? ――おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
本来の、彼女らが放った魔法。審判の光や汚れ無き威光であれば本来、マーラにダメージを与えるのは難しかった。
なぜなら、どちらとも破魔属性でありマーラは耐性を持っていた。
しかし、合体させた時に何らかの変化があったのか、大いなるロゴスの攻撃属性は万能に変化。マーラの耐性が無意味なものに成り下がっていた。
そんなこと知らないマーラは、躱すまでもないと直撃を受け――。
「なん、じゃと! この、ワシがぁぁぁぁぁぁ――!」
彼? のご立派な、雄々しい身体は焼き爛れ、心なしか張りが失われ、萎れてきている。
そして、それはマーラに追撃をかける絶好の機会であることを意味している。だが……。
「ぐ、ぅ……! こんな、時に――!」
晴明は眉をしかめるとともに、身体をふらつかせて膝をつく。
「――晴明さん!」
「はーさん……?!」
そのことに驚く由紀と朱夏。
しかし、それも仕方なかった。そも、晴明はここまで堕天使-フォルネウスから魔神柱-フォルネウス。そして、魔王-マーラと連戦に次ぐ連戦。しかも、マーラに至っては奇襲攻撃によるダメージももらっていた。
いくら宝玉や魔石、魔界魔法などで傷を癒すことは出来ても体力の回復までは難しい。
しかも、今回相手にしていたのは魔王-マーラという晴明をも超える絶対強者。
そんな相手との戦いで、晴明は少しづつとはいえ精神を磨耗していた。
そして、由紀と朱夏が成した合体魔法。それでマーラに明確なダメージを与えられたことに、晴明は
そうして出来た気の緩みで、彼の身体に張っていた緊張が解かれ、結果。いままでギリギリのラインで保っていた彼の身体に限界がきてしまった。
「くそっ……!」
その事を一番よく知る晴明は、自身の情けなさに悪態をつく。あと一歩、あと一歩なのだ。それなのに――!
「……ふざ、けるなぁ――!」
自らを叱咤してなんとか体勢を立て直そうとする晴明。
そんな晴明の耳に、聞き覚えのあるソプラノボイスが――。
「晴明さま、あまり無理をなされぬよう……。あとは我らにお任せを。――
「うんっ!」
「おうよっ!」
その声を聞いた晴明は驚いた様子で後ろを振り向く。そこには三人の女性。一人はオレンジ色の、なぜか両袖が地面につくほど長い布地で繋がれ、スカート丈が短いフード付きワンピースををまとい、頭には羽扇を彷彿とさせるカチューシャを着けた紫髪をセミロングに伸ばした女性。
その後ろには、どこか騎士を思わせるへそ出しミニスカートのドレスを着て西洋剣を構える水色ショートカットの女性と、チャイナドレスを彷彿とさせるものを身にまとい、長槍を構えた赤髪ポニーテールの女性。
「天音に……、さやか、杏子?! どうしてここに――」
「今は後に……。それよりも、いざ!」
晴明に天音と呼ばれた特徴的なワンピースを着た女性。日本有数の退魔家、蘆屋の分家でもある九頭竜家の現当主。
「……えっ?」
それを見た由紀は混乱する。こんな場所でゲーム? いくらなんでも――。
しかし、次の瞬間。彼女は別の意味で驚愕することになった。
「現れ出でませ……。
何てことか、天音が取り出したゲーム機らしきもの。それもまた晴明のガントレット、圭のGUNPと同じ悪魔召喚器。COMPの一種だったのだ。
しかも、彼女が呼び出したのは日本の主神。
アマテラスは召喚主である天音からMAGを受け取ると、それを練り上げる。
かの神にとって、天音は自身が認めた召喚主の一人であるのは確かだが、それ以上に――。
「よくも、我が家族を、子孫たちを痛め付けてくれた。覚悟は良いですね?」
かの神性は国産みの神。伊邪那岐命の直系であり、同時にいと畏き御方の始祖となる存在。即ち、日の本に住む民はすべからく祖としてアマテラスにたどり着く。
つまり、日本という国で暴れるということは、まさしくアマテラスに喧嘩を売るに等しい行為なのだ。
「その
「ぐ、おぉぉぉぉぉ――。なんとぉぉぉぉ!」
アマテラスから情け容赦なく放たれた最大最強クラスの火炎魔法、トリスアギオン。
本来であれば、いかに主神であるといえど霊格が
しかし、アマテラスは自身の太陽神という神格を利用して火炎系統のみであるが一段階、二段階上の魔法が扱えるようになっている。
しかも、彼女が持つ他のスキルの中には火炎ガードキルという火炎耐性を無効化するスキルと、火炎ブースタ、火炎ハイブースタという威力を向上させるスキルまで保持している。
ようするに、このアマテラスは絶対に敵は焼滅させる、という鋼の意思を持っているのだ。
そして、その威力は邪鬼-ギリメカラを一撃で焼滅させた魔王-アモンのそれよりも上。
いくら最強クラス、魔王の語源となった第六天魔王とはいえ、消耗しきった状態で食らえば一溜まりもなかった。
「こ、こりゃたまらんっ! ここまで、ワシを
「そうかい! それなら――」
「そのまま、逝っちゃいなよ!」
追い詰められ、苦痛の声をあげるマーラに追撃を与えようとする赤と青の旋風。
魔法少女である佐倉杏子と美樹さやかが突撃する!
「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
さやかは周囲に自身が持つ西洋剣と同じ物を顕現させると、それを放談のように射出。その剣群はマーラの体躯に突き刺さっていく。
「ぬぅっ――!」
剣群により針ネズミになるマーラ。それに合わせるように杏子は――。
「これで、終わりだよ!」
――巨大な槍を召喚し、それがまるで蛇のようにマーラの
――サクっ。
……という音が出たか定かではないが、あまりにも情け容赦のない攻撃に戦慄くマーラ。
「なんと積極的な、このお盛んガールたち……!」
「気持ち悪いこと言ってんじゃねぇ――! それに、望んでんならそういう扱いしてやろうか!」
マーラの悪ふざけともとれる言葉に顔を赤くして激昂した杏子は魔法を操作し、出現させた巨大な槍。その柄の部分が多節根のように分解。マーラの体躯にぐるぐると巻き付ける。そして――。
「おら、潰れちまいなぁ!」
柄の部分はマーラを締め上げる。その攻撃にマーラは溜まらず、身体をぶるりと震わせる。
「な、なんてやつじゃ! お盛んな上に、テクニシャンじゃと――!」
「まだ言うか!」
煽るマーラと激昂する杏子。
本人たちは大真面目なのだろうが、回りからするとなんとも困る空間が形成されていた。
……ちなみにその裏でぺい、と羽虫を叩き落とすような手軽さで、残る一体の邪鬼-ギリメカラはアレックスの手により殲滅されていた。
そうしているうちに、ぷつり。という堪忍袋の尾が切れる音が
「……死ね」
「――消えなさい」
言葉遣いこそ荒いが、生来の優しさから陰で仲間たちに聖女認定されている杏子でも、流石に限界というものがある。そして、その杏子も間違いなく日の本の民。
即ち、愛しい子孫を汚されたアマテラスもまた言うまでもなし。
その事を察したさやか、晴明、天音の三人は――。
(……二人とも、ぶちギレ
――と、心を一つにする。
その後の惨劇は語るまでもない。
ただ一つ、語るとすれば――。
――男性陣。特に、大学生組にトラウマが刻まれたぐらいだろう。……魔法少女、怖い、と。