DDS 真・がっこう転生 MythLive 作:想いの力のその先へ
とにもかくにも、晴明から一連の説明を受けた天音は頭を抱えていた。
――
――それに聖霊?! 唯一神の側面が地表に顕現?! 千年王国建国でも目論んで……?
――ホシガミって、なに?! 唯一神よりも位階が上の神?! なんでそんな存在が出張ってくるの?!
もう、本当にいろいろな意味でいっぱいいっぱいだった。
それを一緒に聞いていた杏子とさやか。魔法少女二人組も乾いた笑みを浮かべていた。
「……いや、どうせまたなんか厄介なことに巻き込まれてんだろうなぁ。とはいってたけどよぉ……」
「ある意味ここまで予想通りだと、ねぇ?」
「うるせぇよ、お前ら……」
この地、巡ヶ丘で起きた一連の事件に対して、もはや茶化す気すら起きないのか、心底あきれた様子で呟く二人に悪態づく晴明。それを朱夏はなんともいえない顔で見つめていた。
彼女としてはなんとか晴明のフォローをしたかったのだが、実際杏子たちの言葉通りであるため不可能であった。……事実、朱夏も彼女たちの立場ならおそらく同じことを言っていたであろうから。
奇しくも天音と同じように頭を抱える朱夏。
そんな二人が頭を抱える元凶となった晴明は我関せずとばかりに天音に話しかける。もっとも多少は動揺しているのか、よく見れば額にうっすらと汗が滲んでいるのが見て取れた。
「それで、こちらへ援軍に来てくれたことは感謝するが……。主上は、いと畏き御方の方は大丈夫なんだよな?」
「……え、ええ。あちらには都どのが……。それに
「マダム、だと……?! あの人が動いたのか?!」
天音の口からマダム、
彼が、晴明が驚くにも相応の理由がある。
――マダム銀子。
彼女、
もちろん、この葛葉一族の中には今代の葛葉ライドウ。葛葉朱音も含まれている。
その時点で既にマダムがかなりの実力者であることがうかがい知れるが、それ以上に晴明の前世。かの世界でもマダムは――ゲーム内の登場人物として――存在し、そしてとある噂がまことしやかに流れていた。
マダム銀子、その正体はデビルサマナー葛葉ライドウシリーズの主人公。即ち、最強のライドウこと、十四代目葛葉ライドウである、と。
一応、その噂についても荒唐無稽というわけではなく――火のない所に煙は立たないという言葉通り――それなりの根拠があった。
第一にマダム銀子。かの人物は朱音や十四代目と同じく管使い。即ち、COMPを使用しないオールドサマナーだということ。
第二に晴明の前世にて、初期では女性だとされていたが、後にデザイナーから男の爺だと明言され、公式設定でも男とされたこと。
そして第三に、マダム銀子と十四代目葛葉ライドウ。この二人に同じ声優が起用されていること。
これらの理由からそういう噂が立っていた。
もちろん、噂は噂でしかないし、晴明としても見えている地雷を踏むほど愚かではないため、敢えて今世で確認は取っていない。が、晴明自身、十中八九事実だと確信している。
なぜなら晴明自身何度かマダムと会っているが、その時に感じた存在感は朱音以上であり、彼女に比肩、あるいは凌駕する人物など十四代目と同じように超人すらをも越える規格外の存在しかあり得ないからだ。
「それだったら朱音……。いや、ライドウがこちらに来るなんて言ってたのも納得だが――」
「……やはり、聞いていらしたのですね」
「ちょっ、ちょっと待って晴明さん! ……あの娘がこっちに来るって本当なの?」
晴明の口から漏れた情報。葛葉ライドウ、いや朱音がこちらに来るという情報が寝耳に水だったこともあり、思わず問いかける朱夏。
「……ん? ああ、そう言えば言ってなかったか?」
「聞いてないわよ!」
二人の痴話喧嘩じみたやり取りに面白いものを見た、とばかりににやにやするさやか。そんなさやかの脇腹にエルボーを食らわせた杏子は騒いでいる二人に話しかける。
「それで? その、ライドウって人は何者なのさ?」
その問いかけにキョトンとする二人。そして、晴明はライドウと魔法少女組が直接会話をしたことがなかったことを思い出す。
「ああ、そういえば……。でも、お前たちも一度会ったことはあるぞ」
「そうなの?」
「ほら、ワルプルギスの夜との戦いの後。堕天使-オセ、豹と人間が合体したような悪魔が現れただろ?」
「あぁ……。そんなこともあったなぁ」
昔を懐かしむように眼を細める杏子。そして思い出した内容の中に、確かに見覚えがない人物もいた。
あの時、朱夏のとなりにいた。黒く艶のある長髪に学生帽らしきものを被り、また古めかしい学生服に外套をまとった、当時自身たちよりも二つか三つ年上だった少女のことを。
「て、ことは。あの人がその、ライドウって人なのか?」
「ああ、そうだ」
杏子の疑問を肯定する晴明。そして、今度は彼が天音に対して疑問を投げかける。
「それよりも、だ。天音、きみに聞きたいことがある」
「なんでしょうか……?」
「きみが主上に任ぜられたこと。……なぜ、由紀さんなんだ?」
「……わたし?」
唐突に自身の名が出て困惑する由紀。同時に巡ヶ丘市役所で晴明とともに通信を聞いていた美紀、圭はそういえば、と思い出す。
「そういえば、ゆき先輩の護衛を最優先にするように。って、言われてましたよね?」
「そういうこと、ですか……」
美紀が発した言葉に得心がいったのか、天音は頷くと口を開く。
「それは彼女の断絶した宗家筋。そちらが密接に関係するのです」
「ふぇ……?」
「断絶した宗家、だと?」
その言葉に由紀を見つめる面々。しかし由紀自身、かつて話したように家系についてよく知らないこともあってさらに混乱している。
「ええ、そうです。……その様子だとなにも知らないようですね」
天音の問いかけにこくり、と頷く由紀。
「一応、丈槍がここの名家? みたいな立場だった、って言うのは聞いてたけど……」
自信なさげに呟く由紀。
それを聞いた天音は、本格的になにも知らないということを理解して説明を始める。
「名家、というよりも丈槍家は本来、この地を治める領主として派遣されたのが始まりです。特にこの地は
「待て、品川家だと……」
品川、という家名を聞いて驚く晴明。品川という分家を起こした名家について覚えがあったからだ。
その名家、否、かつて
「そうです、かつて御所が絶えれば吉良が継ぎ、吉良が絶えれば今川が継ぐ。そう歌われたほどの名門。室町幕府、足利将軍家の分家。
と、由紀たちへ告げるのだった。