DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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 お久しぶりです、作者です。
 リアルが忙しかったのもありますが、それ以上に自身が思い浮かべる文章が書けない所謂スランプに陥ってこんなに時間がかかってしまいました。
 なので、現状この話しか出来上がっておりませんが、生存報告を兼ねて一話だけの更新となります。
 それでは新たな動きのための前準備回な第九話をどうぞ。


第九話 願いと想いとこれから

 三人で仲良く寝床に入る晴明たちは、部屋に設置されていたワイドキングサイズのベッドに瑠璃を中央にした川の字で寝ることにした。

 

「それじゃ、るーちゃん、透子さんおやすみ」

 

 晴明が二人にそう言って挨拶をすると、残りの二人も同じくおやすみなさいと言って、そのまましばらくすると寝息が聞こえ始める。その音を聞いた晴明はこっそりと寝床から離れようとするが。

 

「んぅ……。おじさぁん」

 

 瑠璃がそんな寝言とともに晴明の服を掴んでいた。

 その姿を見た晴明は彼女の掴んでいた手を外そうかと思案するが。

 

(この子は丸一日、大僧正が助けていたとはいえ、たった一人で過ごしていたんだったな)

 

 瑠璃もまた一人であった故の心細さと、生存者がいた事の安心感で今は落ち着いているがここで自身が居なくなっていたらパニックを起こすかもしれない、と思った晴明は。

 

(本来は付近の調査や制圧をしておきたかったが……、まぁ仕方がない、か)

 

 そう考えながら瑠璃を起こさないように優しく頭を撫でる。撫でられた瑠璃は、むず痒そうに身じろぎをしながらも安心したように再びすぅ、すぅ、と寝息を立て始める。

 彼女の安心した姿を見た晴明は、自身が途中で抜けるつもりだったのを感づかれていたのかもしれないな、と思う。

 

「──やれやれ、子供の勘は鋭いとは聞くが、な」

 

「……どうかしたの、晴明さん?」

 

 晴明の独り言で起きたのか透子は晴明に語りかける。それに晴明は起こしてしまったかな、と苦笑しながら。

 

「いや、なんでも無いよ。ただ単にこの子も良く寝ていると思っただけだよ。それよりも透子さんも、もう寝なくちゃ。明日も何かがあるかもしれないからね」

 

晴明の言葉を聞いた透子は、瑠璃を見て考え込んでいたようだが、しばらくすると自身の考えがまとまったのか晴明に返事を返す。

 

「……それもそうね。おやすみなさい晴明さん」

 

「ああ、おやすみなさい」

 

 その後透子も目を閉じて再び寝息が聞こえ始め。晴明もまた仕方がないと瞼を閉じて眠るのだった。

 

 

 

 

そして翌日、起床した晴明たちは朝食を摂った後に、晴明、透子、ジャンヌの三人で今判明している情報の共有を始めていた。

 

「それで現在分かっていることは、ここ巡ヶ丘でバイオハザードと思われるゾンビ化現象が起きていることと、まだ生存者がいるだろう、ってことぐらいか」

 

 晴明の言葉を聞いた透子はどこか不安げな表情を浮かべながら疑問を呈する。

 

「…………本当に、生存者なんているのかしら……? 瑠璃ちゃんが居た小学校もゾンビだらけだったんでしょう? 自衛隊だって、どこまで当てになるのか」

 

 透子の不安げな様子を見た晴明は、彼女を安心させるために自身が知る情報や考えを告げる。

 

「自衛隊なら大丈夫だ。対ゾンビ、というわけではないが、そういった特殊な存在に対抗する部隊が、運良くと言うべきか現在巡ヶ丘に展開している。それに生存者自体も最低でも一名は確認できているよ」

 

「……そうなの?! 一体どこに居るの!」

 

 晴明からの情報に驚愕した透子は思わず席から立ち上がり彼に詰め寄る。その姿を見た晴明は透子の勢いに苦笑しながら彼女を落ち着かせると、彼らの近くで遊んでいた瑠璃を呼ぶ。

 

「まぁまぁ落ち着いて透子さん。今からその説明をするから。……るーちゃん、ちょっと来てもらっていいかい?」

 

「?? なぁに、おじさん?」

 

 晴明に急に呼ばれることになった瑠璃は不思議そうな顔をしながらとてとて、と近付いてくる。

 

「るーちゃん、前におじさんがるーちゃんに渡したお守りを見せてもらってもいいかい?」

 

「うん! はい、これ!」

 

 晴明のお願いに瑠璃は元気良く答えると、自身の服のポケットを弄って以前晴明に渡されたお守り袋を出す。

 一方、透子は瑠璃が取り出したお守りになにか意味があるのか、と疑問に思いながら彼女が手に持つお守りを見る。

 晴明もまた瑠璃がちゃんとお守りを肌見放さず持っていたことに、満足そうに頷くと渡したお守りに対しての説明を始める。

 

「るーちゃんに渡したそのお守りはちょっと特殊な()()でね、それを持っている持ち主に対する危険を遠ざけるお呪いが掛かっているんだよ。そして、そのお守りのお呪いの効果が始まると特別な波動が発されるようになって、それをバロウズが感知できるんだ」

 

「そんなものがあるのね……」

 

 お守りの説明を聞いた透子は目を見開きながらその一言を発するのが精々と言った感じに驚いていた。そして当の本人である瑠璃の方はと言うと──。

 

「……?」

 

 いまいちお守りの効力が理解できなかったのか、キョトンとした顔をしていた。その姿を見た晴明は苦笑しながら瑠璃へ告げる。

 

「まぁ、簡単に言うとそのお守りを持っていたら色々な危ないことから守ってくれるよ、ってことだよ」

 

「おおー!」

 

 晴明の言葉を聞いた瑠璃はようやく理解したようで、爛々と目を光らせている。

 

「ね、ね! おじさん、どんなふうになるの!」

 

 瑠璃は興味津々といった具合に晴明に質問するが、問いかけられた晴明自身はどこか困ったような表情を浮かべる。

 

「どんな風に、と改めて聞かれるとちと困っちまうが、さてどうしたものか……」

 

「そんなの実践して見せればいいじゃないです、か!」

 

 いつの間にか側まで近寄っていたカーマが瑠璃に【悪意を持って】いたずら、頬を引っ張るために彼女の顔に手を伸ばすが、顔に近づく前に淡く光るなにかの壁に阻まれるかのようにカーマの手が進まなくなる。

 カーマの行動が瑠璃にとっては不可思議に映り、彼女の手に触れようと瑠璃もまたカーマの腕に手を伸ばすが、今度はなにかの力場に押されるかの如くカーマの手が押し退けられていく。

 一連の光景を見た瑠璃は流石に驚いたようで。

 

「おおー?」

 

 そんな驚きの声を上げていた。そして押し退けられたカーマ自身は。

 

「こんな感じで悪意や害意がある存在が近づこうとすると、こういう風に守ってくれるわけですね。まぁ、尤も──」

 

 そう言いながら瑠璃に対して再び手を伸ばすカーマ。すると先ほどと同じように壁に阻まれるが、次の瞬間。

 

「むぎゅぅ」

 

 カーマの力に耐えきれなかったのか、瑠璃を守っていた淡く光る壁が霧散して、カーマは彼女の頬を軽くではあるが好きなように弄り倒している。

 

「このようにある程度の能力(チカラ)を持つ存在には容易く突破されてしまいますが。……まぁ、あのゾンビ共であれば十分に防ぐことは可能でしょう」

 

 そんなことを告げながらカーマは瑠璃の頬の感触を、時折、若いだけあってもちもちした肌触りですね、などと言いながら堪能している。瑠璃の方は痛くはないようだが、流石に鬱陶しく感じたようで、カーマの腕に手を伸ばすが触れる前にカーマ自身が瑠璃の頬を離す。

 瑠璃はカーマの腕に触れなかったことに、ほんの少し不満げな表情をしている。そのことに関してカーマは素知らぬ顔をしているが、その額には一筋の冷や汗が流れていた。

 と、言うのも、もし瑠璃の頬を離すのがもう少しでも遅れていたら、近くに寄っていた晴明からゲンコツを落とされるところだったからだ。

 

「さくらのいたずらはとりあえず置いておくとして、だ。実践してみせたように少なくとも普通の人間や、ゾンビであれば完全に防げる。……さっきのいたずらが通ったことに関しては、さくらがそれだけの力量があるということの証左、だな」

 

 晴明によって改めて力の証明をされたカーマは自信満々と言った様子で胸を張る。

 透子はそんな様子のカーマを胡乱げな目で見ているが、カーマが以前に自身の見た目の年齢を好きなように変えていたことを思い出し、そんなことが出来るならそこまでおかしくはないのか、と思い直す。

 彼女がそんな事を考えている合間にも、晴明は話を進める。

 

「で、ここまでが前フリだったわけだが。……それで、るーちゃん。このお守りについてなにか思い出すことはないかい?」

 

 晴明にそう振られた瑠璃は一瞬考え込むが──。

 

「あ! りーねぇも持ってるよ、このお守り!」

 

 瑠璃の答えに満足したのは晴明はしゃがんで瑠璃に視線を合わせながらよく出来ました、とばかりに彼女の頭を撫でる。

 

「そういうこと。つまり、るーちゃんのお姉さんもこのお守りを持っているから、少なくとも今はまだ無事だし、このお守りのお呪いは一週間ぐらい保つからその間は心配しなくていいってことだね」

 

「本当なの、おじさん!」

 

「ああ、本当だとも。だからるーちゃん、安心していいよ」

 

「やったぁ! りーねぇ生きてるんだ!」

 

 晴明から肯定の言葉を聞いた瑠璃は、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜んでいる。

 その様子を見た晴明たちは微笑ましいものを見るように、或いは瑠璃と一緒に純粋に喜びを分かち合っている。

 晴明もまた、瑠璃と透子がはしゃいでいる姿をしばらく眺めていたが、そろそろ話を進めようと思い、手をぱんぱんと叩いて注目を集める。

 

「嬉しいのは分かるけどそろそろ話を戻そうか」

 

 その言葉に瑠璃と一緒にはしゃいでいた透子は、周りの注目を集めていたことに今さら気付き、顔を赤面させつつすごすごと席に戻る。そんな姿を見せる透子を瑠璃は不思議そうに眺めていたが……。

 そしてカーマは透子を眺める瑠璃の手を握ると、あちらでジャックと遊んでいましょう? と告げて、瑠璃をジャックの元へと連れて行こうとする。瑠璃もまた不満はないのか、そのままカーマと移動していった。

 

 

 

 

「それで、少なくとも確実に生存者が居ることは理解してもらえたと思うが、今度は今後の行動についてだな」

 

 晴明の言葉に疑問を持ったのか、透子は訝しげにしながら話す。

 

「今後の行動? それこそ昨日と同じように、晴明さんがあの子のお姉さんを救出に行くんじゃないの?」

 

 透子からそんな言葉が出ると思っていなかった二人は、少し驚いたような雰囲気を醸し出すがそのまま黙って透子に先を促す。

 その二人の反応を見た透子はそんな二人の態度の逆に驚く。

 

「まさか、そこで無反応だとは思わなかったわ」

 

「ふむ、昨日の自分と真逆のことを言っていることかな? それとも、俺が帰ってきたときの痴態についてかな?」

 

 晴明のからかいにも思える言葉を聞いた透子はかぁっ、と頬を赤く染めるが自身を落ち着かせるように深呼吸をするとその通りだというように頷く。

 

「……えぇ、そうね。あの時はどうにかしていたんだと思うわ、本当に」

 

「ですが、それにしてもかなり急な変わり様にも思えますが……?」

 

 ジャンヌのそんな言葉に透子は答えに窮するが、それを見た晴明は。

 

「あの子、るーちゃんなんだろう?」

 

 晴明の指摘に透子は頷くと、力ない笑みを浮かべて話し出す。

 

「正直ね、最初は生きてるかどうかもわからない、それも子供を探すために危険を犯すなんてどうかしてる、なんて思ったわ」

 

 透子がそんなことを考えているとは思わなかったジャンヌは驚くが、透子は逆にそんな様子を見せるジャンヌを、本当に人が良いんだな、と思いつつさらに自分の思いを告げていく。

 

「しかも、晴明さんだけの単独行動。とは言ってもジャックちゃんも一緒に行ってたわけだけど、まぁ、それはともかくとして晴明さんが、おそらくこの中で一番強いんでしょ? そんな人が居なくなるんだから、私、見捨てられるのかな。なんて思ってたわ」

 

 そんな透子の思いを聞いたジャンヌはそんなことはありえないとばかりに、首を横に振り否定の言葉をかけようとするが。

 

「レティシアさん、今はわかってる。あなた達が私を見捨てるつもりなんて無いこと、それでも昨日あの子を見るまではそんな考えは持ってなかったんだけど……」

 

 そう言いながら自嘲したように自身を咲いながらさらに告げる。

 

「昨日の晴明さんが帰ってきた時のアレだって、言ってしまえばあれで晴明さんが私に手を出してくれれば見捨てられないだろうと思ったからしたことだったわ。尤も、あの後さくらちゃんにこっぴどく叱られちゃったけど。愛もないのにあんな行動をしたら自分が不幸になるだけだって」

 

 その透子の言葉を聞いた晴明は、カーマが叱った件について、それはそうだろうなと思う。

 晴明にとってカーマはいたずら癖のある、そして頼りになる仲間であるが、かの存在の本質は愛欲の神であり、それ故に打算だらけで愛のかけらもない行動をした透子に対して腹を据えかねたのだろう。

 だがそれだけで彼女が考えを変えたとも思えない晴明だったが、そんな晴明の考えをよそに透子はさらに話を進めていく。

 

「それでさくらちゃんに叱られたわけだけど、その時は正直どうでもいい、と思ってたわ。だって、いくらその言葉が正論だからといって死んでしまっては元も子もないもの。それならいくら売女(ビッチ)と罵られようともかまわないと思ったの」

 

 そういう彼女の顔は、未だに自嘲の表情が張り付いたままだったが。

 

「だってそうでしょう? 誰だって死にたくはないわ。いえ、ただ死ぬだけだったらまだマシかも知れないけど、その後はかれらの仲間入りなんだから」

 

 でも、と呟いて透子は話を進める。

 

「昨日の夜ね、寝静まった後、とは言っても晴明さんは多分いつでも起きれるようにしてたんだと思うけど、ともかくあの子がね、寝言を言ってたのよ」

 

 そう言うと透子は一拍置いたあとにその言葉を告げる。

 

「おとうさん、おかあさん、りーねぇどこぉ……。って、すごく寂しそうな声で」

 

 その言葉を聞いたジャンヌは息を呑む。いくらあの子が明るく振る舞っているとはいえ、実際には不安に思ってないはずがないのだ。だからこそ先ほど晴明が姉の悠里が無事だと告げた時にあそこまで喜んでいたのだろう。

 

「その声を聞いたときに、私何やってるんだろう、って思ったわ」

 

 そう発した透子の表情は苦悶の表情を浮かべていた。

 

「あの子だって私と同じように、いえ、違うわね。あの子のほうが晴明さんと出会えた私よりも危険な目にあってるはずなのに、それでもあの子は、瑠璃ちゃんは私を気遣ってみせたわ。それに比べて私は……」

 

「それで瑠璃ちゃんが喜んでた時に一緒になって喜んでたんですね」

 

「ええ、そうね。あんな良い子なんですもの、そんな子の家族が無事とわかって嬉しかったわ」

 

 透子の言葉を聞いた晴明はだからか、納得の表情を浮かべながら彼女へ話しかける。

 

「つまり、そのこと(悠里の救助)を提案したのも一刻も早くるーちゃんに会わせたかったからなんだな?」

 

「えぇ、ここで私が救助に行く、なんて言えたら格好もついたんでしょうけど、この中で瑠璃ちゃんを除くと私が一番足手まといなんでしょう?」

 

 透子の確信を持った言葉を聞いた晴明は少し驚きながらも問いかける。

 

「……なぜ、そう思ったんだ?」

 

「だって、冷静に考えたらあなた達、明らかにおかしいもの」

 

 透子は微笑みながらそう告げる。そして自身の中でそう考えるに至った経緯について話していく。

 

「晴明さんが持ってる変な剣や銃だってそうだし、あなた達いくら敵対しているとは言っても、少し前まで普通に生きていた人達を全く躊躇せずに殺す、なんてことは少なくとも私には無理だし、他の人達にもそう出来ることとは思えないわ。さらに言えばさっきのやり取りだってそうよ」

 

 そう言うと透子は真剣な表情になってさらに言葉を続けていく。

 

「あの結界、とでも言えばいいのかしら? あんなものを用意できることもそうだけど、何よりもさくらちゃん。あの子『ゾンビ程度なら問題なく防げる』なんて言いながらその結界を軽々と破ってたわよね? それに、ここに来る途中の車内で言ってたゾンビの殲滅も嘘ではないんでしょうし、そうなるとジャックちゃんだって見た目通り、なんてことはないんでしょう?」

 

 だからこそ瑠璃ちゃんの救助にジャックちゃんを連れて行ったんでしょう? と、透子は晴明に問いかける。その言葉を聞いた晴明は特に否定する理由もないために首肯する。

 その様子を見た透子は自身の考えが正しかったことを理解して、安堵したように顔を綻ばせる。

 その顔を見た晴明は透子からカマをかけられたということを理解する。

 

「やれやれ、これはしてやられたかな?」

 

 そう言いながら苦笑する晴明。

 彼女もまたそんな晴秋の姿を見て一瞬どこか影のある笑いを浮かべる。

 晴秋もまたそんな彼女を見るが、次の瞬間には普通に笑っていたために見間違えか何かだったのだろうと結論付ける。

 

「それはそうよ、私も流石に確証は持てなかったもの。ただ、私は駄目なのにジャックちゃんが良いというのはなにか理由がある、って予測ぐらいは立てられるでしょ」

 

「……それに関しては、あの子にるーちゃんを説得させるため、と言ったと思ったがなぁ」

 

「あの時はそれで信じたけど、あの子と知り合い、しかも命の恩人だというのならそもそも説得なんて必要ないじゃない」

 

 透子からそんな反論を受けた晴明は降参とばかりに手を上げる。

 その二人のやり取りを見ていたジャンヌは、流石に話が脱線しすぎていると思いストップを掛ける。

 

「はい二人共そこまでです。透子さん、すみませんが私たちにも話せないことがある、ということは理解してください」

 

 ジャンヌの言葉を聞いた透子はハッとした表情を浮かべ、次には申し訳無さそうな顔で二人に謝罪する。

 

「そうね、関係ない話をしている場合ではなかったわね。ごめんなさい。二人を困らせるつもりじゃなかったのよ」

 

 シュンとした様子の透子を見て晴明は慌てた様子で彼女をフォローする。

 

「いや、こっちこそ色々と黙っていて済まなかった。ただ、貴女とるーちゃんを守ることに関して一切嘘はないからそれだけは信じてほしい」

 

 真剣な表情でそう告げる晴明を見て、透子はクスリと笑うと彼を安心させるように話す。

 

「さっきも言ったようにあなた達を困らせるつもりもないし、それに、晴明さんが私たちを守ってくれることに関しては今はもう微塵も疑っていないわ」

 

 だから安心して? と、告げる透子。

 その透子の言葉に嘘はないと判断した晴明は頷いて理解を示す。

 それでこの話題が終わったと判断したジャンヌは話を進める。

 

「それで、先程の今後の予定についてですが晴明さん?」

 

「ああ、今後についてだが、その前に透子さん?」

 

「何かしら?」

 

「この近くにショッピングモールとかの商業施設があるかどうか分かるかい?」

 

 唐突な晴明の問いかけに透子は疑問符を浮かべながらも答える。

 

「? この辺りならリバーシティ・トロンがあったと思うけど」

 

「よし、ならそこだな」

 

「そこってどういう意味?」

 

 意味がわからないと言った感じで首を傾げるジャンヌと透子。

 その二人を見た晴明は薄く笑いながら説明する。

 

「どういう意味と言ってもそのままの意味さ。今後はまずそのリバーシティ・トロンにまず行こうってこと」

 

「いや、それは流石にわかるんだけど、一体何をしに?」

 

 思わずと言った感じで透子はツッコミを入れる。

 ツッコミを受けた晴明はハハッと笑いながら理由を告げる。

 

「何をしに、ってそりゃ物資の補給のためだよ」

 

「物資の補給、ですか?」

 

 ジャンヌは晴明の答えに鸚鵡返しをしながら物資集積所を見る。そして視線を晴明に戻すと疑問を投げかける。

 

「まだここに来たばかりなのに、その必要性ありますか?」

 

 透子も同じことを思ったのかうんうん、と頷いている。

 その二人の様子に自身の言葉が足りていなかったことに気付いた晴明は頬を掻きながら補足を入れる。

 

「ああ、違う違う。俺らのじゃなくて、生存者に対する手土産に、だよ」

 

「手土産? でも、高校の生存者の人とも晴明さん知り合いなのよね? 必要あるの?」

 

 それでも疑問が残った透子はさらに問いかける。それに晴明は。

 

「ああ、高校生ならもしかして複数人の生存者がいるかも知れないからな、るーちゃんのお姉さん一人が安全だ、と言っても受け入れられない可能性がある。そのための保険だな。それに」

 

「それに?」

 

「よくフィクションのゾンビものではそういったショッピングモールで生存者が籠城をしてるだろう? フィクションと現実を混同する気はないが、もしかしたらとは思わないか?」

 

「! そう、そうね。確かに今がある意味フィクションみたいなものだから、可能性はあるかもしれないわね」

 

「それにもしも本当に生存者が居た場合、あのお守りがある高校よりもそちらのほうがより緊急性が高いという意味でもなるべく早く調査をしておきたい」

 

「そうですね、確かにそれなら先にそのリバーシティ・トロンに行くべきですね」

 

 ジャンヌもまた納得したように晴明の提案に同意する。

 透子も納得出来たようでしきりに頷いている。

 

「理解してもらったようでなりより。それじゃそういうことでいいな」

 

「ええ、そうね。それじゃ行きましょう。私は車の用意をしておくわ」

 

 透子はそれだけを告げると席を立って準備をするために外にある車へと移動する。

 晴明も出発するために瑠璃の世話をしているカーマたちのもとへ赴き、今後の行動についての説明をして透子のもとへ向かう。

 車で準備をしていた透子は晴明が瑠璃を連れてきたことに驚くが。

 

「流石に護衛対象を別々の場所において行動するのは愚策だからな」

 

 という言葉に納得する。

 その後は滞りなく準備も終わり。

 

「それじゃリバーシティ・トロンに出発だ。透子さん運転頼むよ?」

 

「ええ、任せて」

 

 そのまま一行は秘密基地から出発し、リバーシティ・トロンへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 




 前回の更新の折、二名の方から誤字脱字報告をいただきました。
 この場で御礼申し上げます。
 今後できるだけ早く書くつもりですが、遅くなったら申し訳ありません。
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