DDS 真・がっこう転生 MythLive 作:想いの力のその先へ
突然あらわれ、自身を第六天魔王と称する少女を見て晴明は頭痛をこらえるように額を抑える。
彼女の
だが、同時にそれはあり得ない。なぜならその人物は、ジャンヌと同じく過去の偉人であり、普通に考えるならあらわれる筈がない。
しかし、
そして、彼女はあくまで名前ではなく第六天魔王と名乗った。そう、第六天魔王と。
その、称号とでもいうべき名を名乗った存在がついこの間、この巡ヶ丘学院高校に出現したのは記憶に新しい。
つまり、この少女はそのあらわれた存在と同位体であり、人間に擬態した姿。
即ち、その
「……なんでまたここに来た。魔王-マーラ」
「――――はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
晴明の言葉を聞いた胡桃は、驚きの表情を浮かべて晴明と、マーラと呼ばれた少女を見る。
彼女の心の中にある思いはただ一つ。
――これが、あの卑猥物?!
……ただ、それだけであった。
晴明にマーラと呼ばれた少女は、面白そうにくつくつ、と笑う。
「なるほど、やはりそなたは知っておったか」
「流石に、な……。しかし、なんでよりにもよってその姿なんだ」
打てば響く、とでもいうように話を進めていく晴明とマーラ。しかし、置いてきぼりにされた面々、その中で朱夏が代表して質問する。
「あの、晴明さん?」
「なんだ? ……あぁ、やつの見た目についてか?」
晴明の確認にこくこく、と頷く朱夏たち。
そこで晴明はようやく説明を失念していたことに気付き、彼女らにマーラの
「あぁ、そうだなぁ……。ほら、俺の仲魔の一部が普通の悪魔とは姿が違うのは知ってるだろ?」
「えっと、ジャンヌとかジャック、とかよね?」
「あぁ、そうだ。このマーラの見た目も、どうやったかは知らないが同じようなもんでな。その姿になってるんだよ」
「そう、なの? ……それで、もとになった人物は――」
そこまで聞いたことで疑問を覚えた朱夏。しかし、次なる晴明の言葉で仰天することとなった。
「この日本にマーラの称号である第六天魔王を名乗った人物は二人いる。やつの見た目はそのうちの一人。戦国の風雲児、戦国三英傑の一人。織田信長だ」
「…………は?」
もっとも、異なる世界、異界の信長だがな。という晴明の説明が聞こえないほど驚いている他の面々。
その中で大僧正だけが、ミイラ顔でもわかるほど面白そうに顔を歪めていた。
「ふぁふぁふぁ、お久しゅうございますなぁ。マーラ殿」
大僧正に話しかけられたマーラは彼を見る、が――。
「……お、おう。久しいの、大僧正……?」
大僧正の姿になにか違和感を覚えるのか、不思議そうな顔をしている。だが、由紀と晴明だけはわずかに変化したマーラの顔色に気がついた。
「……顔が青く、なってる?」
「なるほど、
二人の言葉を聞いて、改めてマーラの顔を見る面々。しかし、よくわからないのか首をかしげている。
だが、当のマーラは事実だと認めたのか大僧正へ話しかける。
「久しいのは久しいのじゃが……。その、なんだ。この姿になってそなたを見ると寒気を感じるんじゃが……?」
「ふぁふぁふぁ、いったい何のことですかな? 拙僧、とんと覚えがありませぬ」
マーラ、信長の疑問に飄々と答える大僧正。そんな彼の行動に晴明は苦笑いを浮かべた。
「…………狸め」
「晴明さん?」
「いや、なんでもない」
晴明がポツリ、とこぼした言葉。それが聞こえた朱夏は不思議そうに問いかけるが、晴明はなんでもない、とはぐらかす。
「大僧正は話すつもりがないようだし、今はまだその時じゃない。ということなんだろうな」
視線を泳がせながらのたまう晴明。移動した彼の視線、その先には、はらはらして大僧正を見守る由紀の姿。
「しかし、今川か。いったい何の因果なのか……」
晴明にとって偶然にしてはあきらかに出来すぎた状況。それに作為的な何かを感じざるをえなかった。
しかも、よりにもよってマーラの姿は本来の信長ではなく、
確かにマーラもルイ=サイファーや高城絶斗と同じく悪魔、とくにカオス陣営の最上位クラス。ゆえにどんな姿をとってもおかしくない。事実、ルイ=サイファー。大魔王-ルシファーはやりたい放題やってるのだから。
頭痛をこらえつつ思案に耽る晴明。しかし、マーラがふたたび話しはじめたことで現実に戻された。
「んんっ! それよりも、儂がここに来た理由だったの。なぁに、そのこと自体は簡単じゃ。ルイ殿に変わって、少しお主らの手伝いをしてやろうか、とな」
「……手伝い? それにお前らガイアたちが手を貸す、だと。何の風の吹き回しだ」
マーラの発言に晴明の中にあった警戒心が一気に引き上げられる。
それも当然だ。いくらなんでも完全な個人主義、そして実力主義のガイア教。それが共闘を申し込むことが怪しすぎる。
しかし、そんな晴明の警戒もどこ吹く風。マーラは楽しげにくつくつ笑うと、今回のことはあくまで個人的なことだと告げる。
「なに、このような面白き姿を手に入れられたからの。その駄賃のようなものよ。それに――」
「……なんだ?」
晴明を見てにたり、と笑ったマーラ。しかしすぐに真剣な表情をみせると。
「お主、近々あそこ。ランダル・コーポレーション、であったか? そこへ殴り込むつもりであろう?」
「……晴明さん?」
マーラの指摘になにも話を聞かされていなかった面々は、驚いた顔をして晴明を見る。
晴明も晴明で、とくに弁明することもなく沈黙を貫く。それこそが、彼の答えであり、端的に言えば肯定であった。
晴明の反応に、マーラはため息を吐きつつたしなめるように語りかける。
「悪いことは言わん、やめておけ。お主一人で行っても自殺行為よ。今、あそこはメシアどもの異界と化しておる。のぅ、唯一神よ」
「……我は知らぬ」
確認を取るようにアルノー・鳩錦。即ち唯一神に語りかけたマーラ。しかし、当の唯一神からはにべもなく切り捨てられ、おや? と、怪訝そうな表情を浮かべる。
ちなみに一部の、主に大学生組は白い鳩が急に喋りだしたことに驚いていた。
それはともかくとして、アルノーは自身がかかわりないことの証明するため、恐らく、という話ではあるが自身の予想を告げる。
「もし、ランダル・コーポレーションが異界化しておるのなら、それは恐らくミカエル、ラファエル、ウリエルの差し金であろうよ」
四大天使のうち三体が独自に行動している。その事実に青ざめる仲間たち。しかし、不安がる仲間たちをよそに元凶となったアルノーは、意も介さぬ様子で由紀を見つめていた。アルノーにとって不安になる仲間たちよりも、由紀こそが重要。そう端的に示しながら……。