DDS 真・がっこう転生 MythLive 作:想いの力のその先へ
唯一神、聖霊にとってここ、巡ヶ丘学院高校で過ごしていた日々は良い意味でも悪い意味でも予想を超えるものであった。
聖霊からすればヒトとは儚きもの。自らが教え導かねば簡単に道を違えるおろかな者共でしかなかった。
だが、彼女らは違った。
蘆屋晴明という道標があったのは確かだ。しかし、それでも苦労し、苦悩し、それでも、と皆と手を取り合い一歩でも前に進もうとする気概。
それに魔人化した
本来魔人とは死を運ぶ者、死の体現者。そんな存在に堕ちた者がヒトの、友のために奮起する。それこそ、聖霊もこの場で実物を見ていなければ一笑に付していただろう。
実際に聖霊、唯一神はヒトから魔人へと変貌し世界を滅ぼした悪魔。混沌王とも称される大魔王-ルシファーの最高傑作。かの
あの、友たちを討ち滅ぼし、世界創世の役目を担ったカグツチすらをも屠った悪鬼羅刹を。
事実を知らなければ悪い冗談にしか聞こえない。そんなことがあり得るものか、と。
その悪い冗談が現実に、目の前にいる。……あり得ない、と断じるのは簡単だ。しかし、それは単なる現実逃避でしかない。
そして、それを成したのか彼女らの、学園生活部がほんの僅かな時で育んだ絆の力。友を助けたい、という想い。それは胡桃も含めてだ。
本来魔人に、悪魔に変質したヒトが友を想うなどあり得る筈がない、なかった筈なのだ。
それを成した、というのであれば――。
聖霊は、かつて聖イシドロス大学で朱夏にかけられた言葉を思い出す。
――本当、窮屈そうね。
この考えこそが、あの娘が言っていた窮屈そう。という言葉の意味そのものなのかもしれない。
それでも、なお考えてしまうのだ。なぜ只人と同じ筈の学園生活部の面々がそこまでやれてしまうのか、と。
ヒトの心とは脆く、うつろいやすいものだ。だからこそメシア教は教義という名の縛りで
だが、それが間違いだとしたら?
きっと由紀にはそれがわかっていたのだろう。だから彼女は――。
――そんな世界、きっと寂しいだけだよ。
だからこそ、そう言ったのだ。
確かに王とは、神とは孤高な者だ。そも、教え導くものと同じ立場、目線に立つなど普通ならあり得ない。
だが、それだけではダメなのだ。
遥か高みから見下ろすだけでは本当に必要なものが見えるわけがない。
「ふふっ、まさか。ヒトの子に教えられるとは――」
思案に耽っていた聖霊は考えがまとまったのか、先ほどマーラに問われたランダル・コーポレーションについて、予想を交えて答える。
「先ほども言ったように、もしかの場所が異界化しておるなら、その犯人はミカエル、ウリエル、ラファエルたちであろう。あやつらは今、己が思惑のため動いているゆえ」
「己の、思惑……? 貴様の指示ではないのか?」
「然様、我はきゃつらと袂を――いや。正確に申すべきよな。きゃつらは我に刃を向けたのよ。我が唯一神のわけがない、とな」
四大天使のうち三体までが謀反、そのあり得ざる情報を聞いた晴明は固まる。なぜなら天使とは基本的に狂信者。そんな存在たちが己が主に歯向かうなど考えられなかった。
しかし、晴明は同時に似たような事例を前世で知っていた。
――真・女神転生Ⅱ
あの世界において、四大天使のうちガブリエル以外、唯一神が望むメシアが現れないことに焦れ自ら人造メシアを生み出すメシアプロジェクトを打ち出し、当の唯一神に見捨てられた。
それと同じようなことが起きた、と考えれば――。
そしてかつて聖霊が朱夏に語った晴明の生まれたことが罪、という言葉。さらにはジャンヌたち英霊の姿をもとにした悪魔や、マーラのあり得ざる姿。それらを勘案すれば答えが見えてくる。
その答えにたどり着いた晴明は、なんてことだ。と、己のうちから込み上げる嗤いを抑えるように額に拳を打ち付ける。
急に気でも狂ったかのような晴明の行動に驚く朱夏。
「そうか、そういうことか……!」
「は、晴明さん……?」
朱夏の心配を無視して晴明は聖霊とマーラを力なく見る。
「お前たちは、悪魔たちは俺の過去を。
その言葉に肯定も否定もしない聖霊。それに変わりマーラは一部否定した。
「見た、というのは正確ではないの。お主は
それこそが蘆屋晴明転生の真実。その一端だと告げるように。
マーラが示した真実に晴明はぎり、と歯を噛み締める。
それが真実とするならば、いままで自身が行っていた行動全てが裏目に出ていたも同然。到底認められるものではなかった。
いわば、この世界に蘆屋晴明という存在があらわれたことによって、逆説的に悪魔が力を持つようになった。ということにもなるのだから。
もっとも、これに関して言えば卵が先か、鶏が先か。という話になってしまうが……。
「貴様が憤るのは自由だが、まだ我の話は終わっておらぬ」
聖霊の言葉を聞き、晴明はまだ何かあるのか。と苦々しく顔を歪める。
しかし、次の話を聞いて彼だけではなく天音もまた驚くこととなる。
「我が臣下、ガブリエルに調べさせておったが、どうやらメシア教は今、ガイア教以外とも交戦状態にあるらしい。そして、その首魁がこの地。巡ヶ丘へ向かってきている、とも」
「なんだと……?」
「――――っ!」
訝しむ晴明、そしてなにか事情を知っている天音はくぐもった声をあげた。
そんな反応をした天音に注目が集まる。己が失策を悟った天音は観念したように話し出す。
「晴明殿がこちらの調査に派遣されたあと、こちらでも独自に調査を行っていたのです。そして、ランダル・コーポレーションの裏にとある組織が、過去の亡霊が関わっていたことが見えてきたのです」
「過去の、亡霊?」
天音が言う過去の亡霊。それが分からず首をかしげる美紀。だが、次に話された組織名を聞いた美紀たちは納得するとともに、驚くこととなる。
「その組織は聖槍騎士団、あるいはラストバタリオン。ドイツ第三帝国、ナチスドイツの一部隊であり残党。そして、それを率いる者の名は――」
――アドルフ・ヒトラー。