DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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第百四話 最後の戦いに向けて

 色々と紆余曲折あったものの晴明たちはメシア教の本拠地となっているであろうランダル・コーポレーション巡ヶ丘支部へと出発することになったのだが……。

 

「それじゃあ美紀、圭。もしもの時は任せるぞ」

「は、はい……」

「大丈夫かな……」

 

 晴明の声掛けにどこか不安げな様子を見せる二人。なぜなら、これから晴明と別行動になるからであった。

 とはいえ、それは晴明が戦線離脱するという話ではなく、むしろ逆。これから晴明は先遣隊としてランダルまでの道を掃除(敵を殲滅)するために先行するからだ。

 それにあくまで先行するのは晴明と仲魔たちのみ。アリスや大僧正、ジャンヌも着いていくとなれば少し不安にかられるかもしれないが、他の実力者の面々。天音や魔法少女たち、それにアレックスも本隊。今回の場合で言えば透子のキャンピングカー、そして流石にそれだけでは全員乗り切れないので慈も自家用のミニクーパーSを出す手筈となっている。

 もっとも、慈の車はもともと小さいのであまり人数を乗せることができず、気休め程度にしかならないが……。

 

 それはともかく、二人からすれば今までほぼ共に行動していた晴明と別行動になる、ということ自体に不安を覚えていた。

 そんな二人の不安を払拭するため、晴明は彼女たちを抱きしめながら頭を優しく撫でる。

 

「わぷっ……」

「あ、ふっ……」

 

 突然、抱きしめられたことに顔を赤らめる二人。そんな二人に晴明は優しく声をかける。

 

「そんなに不安がらなくて良い。そっちにはアレックスさんや天音。それに杏子たちだっている。お前たちは無理しない程度に戦えば良いんだ。だからと言って、サボられても困るけどな」

「「あうっ……!」」

 

 二人のおでこを指でピン、と弾きながら軽口を叩く晴明。それで緊張がほぐれたのだろう。二人の表情は先程よりもいくらかましになっていた。

 それに、と晴明はニカッと男臭い笑みを浮かべて二人を激励する。

 

「お前たちは、もうちょっと自信を持って良い。いくら特殊な環境に身を置いてたとはいえ、そこらのサマナーより強くなってんだ。それは俺が、悪魔召喚師(デビルサマナー)-蘆屋晴明が保証してやる」

 

 それは晴明の本心だった。事実、ヤタガラスや葛葉という特異な勢力以外。築地根願寺や恐山、他寺社に所属する戦力は10年、20年修行してようやくLvが2桁に乗る、というのが大半。それどころか途中で命を落とすことすら多い。

 それを思えば美紀と圭。二人はこの短い期間でレベル2桁を超え、しかもいまだに成長しているのだ。このまま成長していけば、それこそ朱夏(Lv30)を超えて、いずれアレックス(Lv68)晴明(Lv75)の域に到達するのも夢ではないかもしれない。もちろん、その域に到達するには長い時間と研鑽が必要になるのは疑いようもないが。

 

 だが、それを晴明は信じている。なぜなら、本来特別な存在ではなかった者が、すなわち、晴明自身がそれを為すことができたから。

 確かに晴明は前世の記憶を、女神転生の知識というアドバンテージを持っている。しかし、それでも彼の才能で言えばそこまで秀でた者ではなかった。

 その晴明がここまでの強者になれたのは、ひとえに女神転生の知識による効率的なレベリング。それと長い時間を研鑽に費やしたからに他ならない。

 そして効率的なレベリングに長い時間を使った研鑽。それらは美紀と圭、二人にも可能なことだ。事実、彼女ら二人は巡ヶ丘市役所へ晴明と共に向かった際、さらなる研鑽を積みLvを多少とはいえ高くなっていた。

 そのことを二人に伝える晴明。それを聞いた美紀は、どこか納得がいかない様子で首をかしげている。

 

「そう、なんでしょうか……?」

「そうだとも。現に美紀、お前はアギラオを使ってみせただろう。あれだってお前がちゃんと成長している証だ」

「はあ……」

 

 晴明が証拠だと伝えた言葉を聞いた美紀だが、やはり実感が湧かないのか曖昧な返事をする。

 まぁ、彼女視点からすると晴明やスカアハ、じゃあくフロストたちがダイン系、各属性の上級魔法を、果てにはアレックスの仲魔であるアモンが上級すら超えるメギドフレイムをバンバン撃っているから無理もない。

 

 だが、それらは極端な例ではっきり言うと比較対象にもならない。なにせ彼女自身は気付いていない――むしろ、本来MAGを放出できない体質だった美紀では開花する筈のなかった才能――ことだが、全門耐性(物理、万能以外の全属性耐性)の攻撃版。全門強化とでも名付けるべき異能を持っていた。

 はっきり言うとそれだけでも十分異常だが、さらに言うと美紀が使ったアギラオ。あの魔法も本来、デビルバスターに成り立ての人間が使えるものではなく、Lvに換算すると最低で15以上。平均で20以上にならないと体得できない。そして、それは逆説的に美紀がそのLv帯に足を掛けたことを意味し、それは同時に圭もまたその高みに至っている。

 

「だから心配する必要なんてないんだが、もしそれでも心配なら――」

「心配なら……?」

 

 そこで言葉を止めた晴明に疑問を抱く。だが、当の晴明はイタズラっぽい笑みを浮かべる。

 

「そこまで心配ならお前ら自身じゃなく、お前らを信じる俺を信じてみろ」

「……え?」

「言っただろう。悪魔召喚師(デビルサマナー)-蘆屋晴明が保証する、と」

「「――は、はいっ!」」

「良い返事だ」

 

 二人の動揺しながらも心地よい返事を聞いて晴明は優しげな表情で目を細める。そして今一度二人の頭を撫でる。その後、抱きしめていた二人から離れる晴明。

 

「あっ……」

 

 愛しい人の温かさ(体温)がなくなったことで不意に声をあげた圭。そして、無意識にあげた声を自覚して頬を薄く染める。だが、直後。圭だけではなく、美紀もさらに頬を赤く染めることになる。

 

「それじゃ、行ってくる――」

 

 その言葉とともに晴明の顔が迫り、唇に暖かい感触。ただの一瞬だったとはいえ、その感触。晴明とのキスで二人は恋する乙女のように目を、瞳を潤ませる。

 二人をそんな顔にさせた晴明は、敢えて二人を気にすることなく背中をみせ、去っていく。

 その背中は威風堂々としており、言葉に出さなくてもランダルでまた会おう、と語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな三人を遠くから見守っていた者がいた。

 

「めぐねえ、良かったの?」

 

 その人物、佐倉慈に声をかける由紀。その声にはほんの少し不満――慈を放置した晴明に対して――がこもっていた。

 そんな由紀に、慈は自身を慕ってくれていることに嬉しさと、少しの申し訳なさを抱きながら優しく、慈母のような笑みを浮かべる。

 

「ええ、大丈夫。大丈夫よ、ゆきちゃん」

 

 優しく、慈しむような声で由紀へ語りかける慈。

 

「……ふぅん」

 

 そんな慈を見て、気のない返事をした由紀。彼女の目には慈が自身の腹部を、()()()()()()()()を、慈しむように撫でる姿が見えた。

 それを見た由紀は一つの決意をする。すなわち、もしも晴明が無責任なことをすれば、万難を排してとっちめてやる、と。

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