DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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第百六話 真相

 仲間たちを納得させた晴明はランダル巡ヶ丘支部の外観を確認する。ビルの3階にガラスが割れて解放されている窓が見えた。

 

「あそこを使うか」

「へっ……? 晴明さん?」

 

 ビルを見上げている晴明の言葉に、圭は目をぱちくり、とさせる。

 先ほどの晴明の発言。そして、圭はかつて召喚されたエトワリアで彼が洞穴からカタコンベへ跳躍して昇ったことを思い出し、顔をひきつらせる。

 

「まさか、晴明さん……」

「――ふっ!」

 

 圭の予想通りMAGを練った後、跳躍して窓へ入っていく。その、ある意味非常識な光景を見て、美紀はあんぐり、と口を開けている。

 

「ですよねぇ……」

 

 圭は然もありなん、と呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 とにもかくにも、ランダルの敷地内に侵入した晴明は、周囲の安全を確保しつつ他のメンバーもビル内に設置されていた避難はしごを使い引き入れていた。

 

「良し、これで全員だな」

 

 全員が部屋にいることを確認した晴明は満足げに頷いている。もっとも、そんな晴明の様子に一部のメンバー。主に晴明のことをよく知らない大学生組は顔がひきつっている。

 それも仕方ない、なにせ晴明は――というよりも仲魔たちが、だが――ゾンビを片手間に迎撃しながら他の人間を部屋に引き込んでいたのだから。

 そんなことをするくらいなら、むしろ部屋の扉を閉じておく方が安全を確保、という意味では利口な気もする。

 しかし、晴明はそう思っていなかったようで。

 

「なに、この程度の数で通路を塞ぐのは、な。それにそこに溜めておく逆に面倒なことになっちまうしなぁ」

 

 晴明からすると、通路にゾンビがたむろすると排除するとき面倒だ、というのが扉を閉めなかった理由のようだ。

 事実、数の力というのは馬鹿に出来ないし、何より一ヶ所に集めてしまうと、ゾンビたちの死骸で足場が悪くなる、という問題もある。晴明はそれを嫌ったのだ。

 

「……そ、そうなんですね」

 

 晴明から一連の説明を受けた慈は、なるほど、と頷いている。しかし、納得したわけではなく、少し顔を青ざめさせていた。

 それが晴明が例え話として出した死屍累々を想像したのか、もしくは晴明自身の無茶苦茶さに対してなのかは分からないが。

 慈の微妙な心境が分かったのだろう、晴明はごまかすように咳払いする。

 

「んんっ……。ともかく、内部へ侵入は果たした。移動するぞ」

「移動するって、どこに……?」

 

 不思議そうな顔をした朱夏から疑問の声が上がる。彼女からすると、敵の本拠地に乗り込んだのだから、そのまま本丸へと攻め上がるのだとばかり思っていたのだ。

 まぁ、こればかりは晴明の方が悪い。確かに敵を攻めるのも目的の一つだったのだが、それとともにもう一つの目的があったのを伝え忘れていたのだから。

 

「むっ……。そういえば話していなかったか。ここの通信設備を使って、ちょっとな」

「はあ……?」

 

 どこか要領を得ない晴明の言葉。それを聞いて朱夏はもとより、他の面々も首をかしげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 その後、晴明たちは特に妨害も受けることなくコンピューター室へたどり着くことが出来た、のだが……。

 

「なんともまた……」

 

 Dr.スリルとともにゾンビの研究をしていた青襲椎子が心底あきれた、とばかりにため息をはいている。そして、一部の面々は気だるそうにしているが、別にそれは細菌に感染したとか、ゾンビ化が進行しているなどといった話ではない。

 ただ単にこの場で判明した真実を知ってやるせない気持ちになっているだけだった。その真実とは――。

 

「ここの内部メールなどを調べたが――」

「ちょっと待て、セキュリティはどうした?」

 

 大学生組、男性陣のリーダー、頭後貴人が問いかける。

 

「あぁ、それならご丁寧にディスプレイのところにパスワードを書いた紙が貼ってあったよ」

「……管理体制はどうなってるんだ」

 

 椎子からセキュリティを抜けた理由を聞き呆れ果てる。それには椎子自身も同意だったが、それでは話が進まないため、話題をもとに戻す。

 

「ともかく、ここがゾンビ化の感染源で間違いない。ここでΩなどの実験も行っていたようだしな」

「でも、どうして……」

「拡がった、か? ……事故、いや必然だな」

「それってどういう」

 

 そう疑問を呈しながらも、答えは分かっているのだろう。美紀の顔色が少し悪くなっている。

 

「一応はP3施設が設置されていたようだが……」

「ぴーすりー?」

「細菌とか危険なものが外に出ないように隔離されている施設のことよ、ゆきちゃん」

 

 P3施設について疑問に思った由紀へ解説する慈。それへ同意するように相槌を打った椎子は話を続ける。

 

「そう言うことだ。だが、いくら設備が立派でも使う人間がズボラでは意味がない。つまり――」

 

 ――人間はどこかのバカが手洗いをサボった所為で滅びかけている、ということだ。

 

 

 なんてことはない、ゾンビ化が流行した理由の一端。それは、単なるヒューマンエラーだというのだから。

 

 

 しかし、その言葉に待ったをかける者がいた。

 

「いや、でも待ってくれよ椎子さん。ゾンビ化は国内よりも海外の方が深刻なんでしょ? それなら、ここの手洗いが原因、というだけじゃあ……」

 

 疑問を呈した者、それは貴依だった。

 彼女は以前、巡ヶ丘学院高校のパソコンで海外にもゾンビ化の波が押し寄せてきていることを確認している。それと同時に確認した当時、日本国内――巡ヶ丘以外――ではゾンビ化被害が出ていないことも。

 それらを考えると椎子の話と矛盾が出てくる。

 しかし、椎子はそれについての解も得ていたのか、気だるげに喋り出す。

 

「ああ、そうだな。今話したのはあくまで『巡ヶ丘支部』の話だ。海外のはある意味もっとひどい」

「……え?」

「どうやら意図的に拡散された形跡がある。そして日本でも時期を見計らって、という話だったようだが、その前に……。というのが真相のようだ」

「……まじかよ」

 

 椎子の話を聞き、手で顔をおおう貴依。彼女からすれば、こんな馬鹿なことあり得ない。というのが正直な心境だった。

 そして、それは彼女だけではない。この場にいる全員の心境を代弁していると言っても過言ではなかった。

 

「……どうしてこんなことに」

 

 ぽつり、と憔悴した様子で呟く悠里。それに答えることができる人間は、この場に誰一人として存在しないのだった。

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