DDS 真・がっこう転生 MythLive 作:想いの力のその先へ
今回そこまで場面は進んでいませんが第十話をどうぞ。
物資の調達、並びに生存者が居るかの調査のためにリバーシティ・トロンへとキャンピングカーを走らせていた晴明たちだったが、思わぬ事態に足止めを受けることになっていた。
「ああ、もうっ! ここも行き止まりなの?!」
悪態をつきながらキャンピングカーをバックさせる透子。その眼前には道路を塞ぐように横転や乗り捨てられた乗用車などがあった。
「えっと、この道も駄目、と」
そう言いながら地図にバツ印を付けるジャンヌ。
その地図には他にも同じような印が何個も付けられていた。
そんなジャンヌの姿を見ながら小声で彼女に話かける晴明。
「レティシア、気付いているか?」
晴明の問いかけに透子に気付かせぬために、極力そちらを向かずに答えるジャンヌ。
「……ええ、明らかに昨日、一昨日よりも道路の惨状がひどくなっていますね」
ジャンヌの言葉に首肯する晴明。
リバーシティ・トロンに向かう道にいくつかは昨日秘密基地に避難するために使った道もあり、その時は多少通行しづらいもののまだ移動はできる状態だった。
だが、今日通ろうとすると既に先程の通行できなかった道のように乗用車が横転していたり、さらに場所によってはバリケードが築かれている場所すらあった。
そのことから生存者がいるのかとバリケードの先を調査に行った晴明であったが。
「結局生存者は確認できず、か。どこか別の場所に避難したか、それとも自衛隊に保護されたか、あるいは──」
そう言って苦虫を噛み潰したような顔になる晴明。
「──全滅したか」
晴明が吐き捨てた言葉を聞いて顔を曇らせるジャンヌ。
「……今は、どこかで生き残っていることを信じましょう。もしかしたら私たちがあちらについた後にデモニカ部隊が来た可能性もありますし」
「そうだな、
二人がそうあってほしいという希望的観測を話していたが、そんな二人、主にジャンヌに透子が話かける。
「レティシアさん地図を見せてもらえる?」
「あ、はい。今行きますね」
透子のお願いにジャンヌはすぐさま彼女がいる運転席に向かう。そして二人は互いに地図を見て、ああでもない、こうでもない、と目的地に対してのルートを検討し始めた。
そんな二人の姿を見ていた晴明だったが、ふと自身の袖がひっぱられていることに気付く。その方向を見るとそこにはどこか不安そうな表情を見せる瑠璃の姿があった。
「どうしたるーちゃん? なにか怖いことでもあった?」
不安にさせないように笑顔を作り瑠璃に問いかける晴明。
瑠璃は首をふるふると横に振り。
「おじさん大丈夫? すごく怖い顔してた」
瑠璃の言葉に表情こそ変えないものの、内心しまったと思う晴明。
先程ジャンヌと話していた時の苦虫を噛み潰したような表情を見られてしまったのだろう。
彼女にとって晴明は自身の命を二度も救ってくれた
そのことに気付いた晴明は、瑠璃に大丈夫だよ、と告げる。
「ただ、レティシアお姉ちゃんと今から行く場所に生きている人がいるといいねって話てただけだから。だから心配しないでね」
「……うん」
安心するように言われた瑠璃自身は釈然としない様子だったが、他ならぬ晴明に言われたため不承不承ながら頷く。その姿を見た晴明は苦笑しながら。
「るーちゃん、大丈夫だから、ね? 危ないことじゃないから」
瑠璃をあやすように告げる晴明であるが、その時。
「晴明さん、ちょっと来てもらっていい?」
透子から来てほしいと呼び声がかかる。それを聞いた晴明は。
「ああ、今行く! るーちゃん、おじさん呼ばれたから行ってくるね」
晴明はそう言うと、瑠璃の頭をくしゃりと軽く撫でる。
頭を撫でられた瑠璃はそれで機嫌が治ったのか笑顔をみせて頷くとジャックたちのもとへと戻っていく。
それを見送った晴明は二人がいる運転席に向かう。
運転席についた晴明が見たものは、巡ヶ丘の地図を見てうんうんと悩む透子とジャンヌの姿だった。
「それでどうしたんだ二人とも?」
「ええ、ちょっとね」
そう言いながら蟀谷を押さえる透子。ジャンヌもまた少し困惑した表情を浮かべている。
そんな二人の様子に相当な問題が起きたのかと思い、真剣な表情を見せる晴明。
「なにかまずいことでも起きたのか?」
「まずいことと言えばまずいことと言えるかもね……」
そう言って透子は嘆息する。そして地図から顔を上げて晴明を見ると申し訳無さそうに告げる。
「どうにもこのままじゃ最悪今日中にリバーシティ・トロンに着けないかもしれないのよ」
「む、そう言えばそんなに時間が経っていたか」
そう言いながら晴明はフロントガラスから外の、空の景色を見ると中天に輝く太陽がその存在を主張している。
いつの間にかお昼時になっていたようだった。
そのことに気付き晴明は再び地図を覗き込むと、地図の位置としては終着点であるリバーシティ・トロンへの行程の半分も過ぎていないことが見て取れる。
「こればかりは仕方がないな。とりあえず昼食にして進める場所まで進む。間に合わなければこの中で夜は過ごすしか無いだろう」
「そうね、帰りは来た道を戻るだけだから一日で大丈夫だと思うけど」
透子も晴明に同意するように話す、が急に苦しそうに咳き込みだす。
「けほっ、ごほっ」
「透子さん大丈夫ですか?」
透子の背中を擦りながら労りの言葉をかけるジャンヌ。晴明もまた彼女を心配そうに見る。
透子はそんな二人を安心させるように手を上げて自身が大丈夫であることを示そうとする。
「大丈夫、ちょっと咳き込んだだけだから」
「本当に大丈夫ですか?」
ジャンヌが心配そうに透子の顔を覗き込む。
「透子さん、無理そうなら俺が運転を代わるが……?」
「いえ、心配しないで。それに晴明さんはいざという時にすぐに動けるように待機していてもらわないと」
透子はそう言いながら晴明に笑いかける。その顔には先程の苦しそうな様子はなかった。
彼女の顔色を見た晴明は確かに大丈夫だと思い引き下がるが。
「まぁどちらにしてもまずは飯を食べて英気を養うとしようか」
冗談交じりにそう告げる晴明。
「ええ、そうね」
晴明の言葉に透子も微笑みながら同意するのだった。
その後、晴明たちは昼食に舌鼓を打ち、再びリバーシティ・トロンへと出発するが結局幾度か進路変更を余儀なくされ、最終的に目的地付近に着く頃には完全に日が傾き夕暮れ時になっていた。
「さて、これではリバーシティ・トロンに着いたとしても流石に中を探索するわけにもいかないかな」
晴明の事場に全員が同意するように首肯する。そしてその中で代表するかのようにジャンヌが話す。
「ええ、仮に生存者が居た場合保護してもこちらに戻る時間がないかもですし、何よりせっかく救助しても移動中に襲われて被害が出たら意味がないですから」
ジャンヌの言葉に特に透子がうんうんと頷いている。
カーマはそんな透子を興味深そうに見て、そして近場にいるジャンヌに透子に一体何があったのかと問いかける。
その問いかけにジャンヌは今日の朝晴明とともに聞いた彼女の思いを告げる。それを聞いたカーマはなにか感慨深そうに頷いていた。
そして晴明も他の面々の同意を得たことに満足そうに頷き。
「それじゃ、俺がしばらく見張りをしておくから後でホリン、見張りを代わってもらっていいか?」
「うん? おう、かまわないぜ。むしろ最初から見張りをしてもいいぜ?」
「いや、後々のことを考えるならここで無理をする必要はないだろう」
そう言って晴明は首を横に振りながらクー・フーリンの提案を退ける。
クー・フーリン自体もとりあえず言ってみた、という感じだったようで特に文句をつけるつもりはないようだった。
その後、晴明は反対意見がないかクー・フーリン以外に問いかける。
「それで他になにか意見がある人は? ……ないようだな。それじゃ後は俺がやるからみんな休んでくれ。ホリンは4時間後を目処に頼む」
その晴明の指示にクー・フーリンは軽い調子で答える。
「りょーかい」
そして透子もまた瑠璃の手を取ると微笑みかけながら彼女に声をかける。
「それじゃるーちゃん、お姉さんと一緒に寝ましょうか?」
透子に問いかけられた瑠璃は眠気が強くなってきたのか目を擦りながら答える。
「とーねえ? ……うん」
「とーねえ、か……。ふふっ、さぁそれじゃ行きましょう」
瑠璃にとーねえと呼ばれた透子は照れくさそうにしながら彼女の手を引いて寝所へと向かっていく。
それを見送った晴明はキャンピングカー周辺に簡易的なバリケードを準備するべく外へと出ていくのだった。
晴明はキャンピングカーに備え付けられていたベルトスタンドで周囲を囲んだ後、車内に戻り運転席に座っていると誰かの足音が聞こえてくる。その足音が聞こえてくる場所に視線を向けると、そこには先に寝所に行ったはずの透子の姿があった。
「透子さん? るーちゃんはどうしたんだ?」
「あの子はもうぐっすり寝てるわ。私もすぐ寝るつもりだけどその前に話したいと思って」
彼女はそう言うと助手席に座る。そして晴明の方を見ると少し笑みを見せて話しかける。
「晴明さん、改めてありがとうね」
「? どうしたんだ一体?」
透子から急に感謝の言葉をかけられる理由がわからずに聞き返す晴明。
聞かれた透子は恥ずかしそうにしながらその理由を説明する。
「いえ、ね。そう言えば私ラジオ局で助けてもらった時の礼すら言ってなかったと思ったの
よね」
「うん、そうだったっけ?」
「ええ、そのはずよ」
透子は恥ずかしさからか頬を赤く染めながら肯定する。
その姿がおかしかったのか晴明は笑いをこらえているようだった。
「ちょっと晴明さん! 流石に笑うのはあんまりだと思うんだけど!」
「ふっくく、すまんすまん」
「もうっ、もうっ!」
透子の可愛らしい抗議に晴明は我慢の限界に来たのかついに大笑いを始める。
晴明の大笑いを見た透子はさらに顔を真っ赤にするが、そのうち晴明の笑いに釣られたのか彼女も笑い始める。二人は笑い続けるがしばらくすると流石に笑いが収まってきたのか元の夜の静寂が訪れる。
そのまましばらく静かな時間が過ぎるが、透子が遠慮がちに口を開く。
「晴明さん、えっとね……」
「どうしたんだ透子さん?」
どこか迷うような透子の声に疑問を持った晴明は彼女を見る。透子は困ったような、迷うような顔をしている。
「ううん、やっぱりなんでもない。それじゃおやすみなさい」
そう言うと彼女は席を立つ。
「? ああ、おやすみ」
晴明はそのまま寝所に戻る透子を見送ると見張りを続けるのだった。
その後は特に問題が起きることもなく、晴明はクー・フーリンと見張りを交代し就寝した。
そして翌日、流石に目的地の目と鼻の先まで来ていたこともあり、なんの問題もなくリバーシティ・トロンまで到着する。
到着したあと透子は比較的ゾンビが少ない駐車場にキャンピングカーを止める。が、そこにゾンビが全く居ないわけではなく、少数のゾンビは素早く外に出た晴明とクー・フーリンに一掃される。
「よし、これで最低限の制圧は完了だな」
昨夜と同じようにベルトスタンドを設置しながら晴明はそう零す。
そしてキャンピングカーの安全を確保すると晴明は自身の装備を含めた、建物内へ突入するための準備を始める。
その中で晴明はジャンヌへと話しかける。
「そうだ、レティシアは念の為に一緒に来てもらっていいか?」
「? はい、大丈夫ですが……?」
「助かる、それじゃホリン、さくら、こちらは頼むぞ」
晴明の言葉にクー・フーリンは退屈そうに軽く手を上げ、カーマも透子とともにジャックと瑠璃を見守りながら手を振っている。
「では、行くぞ」
「はいっ!」
晴明の掛け声にジャンヌは頷きともに建物内に侵入する。
リバーシティ・トロンに侵入した晴明とジャンヌの耳に犬の鳴き声が聞こえてくる。
そこで二人が見たものは、エントランスに設置してあるグランドピアノに乗る柴犬の子犬と、その周囲に屯するゾンビの群れであった。
「おいおい、まさかこんなに早く生存者(?)を発見できるとは、幸先が良いのか悪いのか」
「そんな冗談を言っている場合じゃありませんよ、マスター」
想定外の事態に思わず軽口を叩く晴明に対してジャンヌは苦言を呈する。
ジャンヌの苦言を聞いた晴明は、それもそうか、と言いながら己の武器、倶利伽羅剣とメギドファイアを握りしめる。
晴明は通常の意識から戦闘のそれに切り替えるとMAGを全身に行き渡らせて戦闘態勢に入る。
ジャンヌもまたいつものラフな格好から、自身の鎧を一瞬で展開してその手には今まで持っていなかったはずの旗槍を出現させて握り込む。
そして二人は特に何かを話すでもなく、だがまるで互いの意識が手に取るようにわかるかの如く同時に突撃を開始する。
まず先手はジャンヌであった。
「ハァッ!」
まず彼女は威勢のよい掛け声とともに、旗槍を薙ぎ払って比較的近場にいるゾンビ数体を攻撃する。その攻撃を受けたゾンビたちは彼女の尖すぎる攻撃に吹き飛ばされるではなく、すべての個体が胴の部分から上下に分断されて血飛沫を撒き散らしながら地面に転がっていく。
次に晴明が自分の番とばかりに彼女が打ち倒したゾンビを飛び越えると同時に、今度は空中で自身の体のバネを最大限に使い二段跳躍を行いゾンビたちの頭上を取ると銃を乱射。そして再び自身のバネを今度は地面に墜ちるように加速すると倶利伽羅剣を地面に突き立てるように振るう。すると、突き立てた場所を中心に熱と衝撃が爆発的に広がりゾンビたちを蹂躙していく。
──八相発破。
そのスキルを受けたゾンビたちは例外なく焼け爛れて塵芥に還っていく。
そこでようやく子犬に気を取られていたゾンビたちは晴明たちの方に攻撃をしようとするが時既に遅し。
先ほどの二人の攻撃でかなりの数のゾンビたちが塵芥に還っており、その後は消化試合の如く次々と二人に切り捨てられていった。
ゾンビたちの殲滅が完了した二人はグランドピアノの上にいる子犬のもとへ向かう。
子犬は晴明たちを警戒しているのか唸り声を上げる。
「ぐるるっ」
その子犬の様子にジャンヌは警戒させないように笑みを見せて手を広げながらなるべく優しい口調で語りかける。
「ワンちゃん、大丈夫だから。こっちに来て?」
子犬はジャンヌの様子を少し警戒して見ていたようだが、自身に危害を加える気がないということを理解すると、彼女の胸元に飛び込んでいく。
「きゃっ。ふふっ、よしよし」
子犬が飛び込んできたことに驚くジャンヌだったが、子犬を落とさないように抱きかかえて頭や背中を撫でる。
ジャンヌに撫でられた子犬は気持ちよさそうに目を細めるが、その時ジャンヌは子犬に首輪に着けられたネームタグを見つけ、子犬を抱えながらネームタグを見るジャンヌ。そのタグには【太郎丸】という文字が彫られていた。
「君は太郎丸っていうの?」
「わんっ!」
ジャンヌの疑問に元気よく鳴くことで答える子犬、太郎丸。
太郎丸の答えにジャンヌは笑みを浮かべながらよくできました、とばかりに撫で回す。
彼女の撫でに気持ちよさそうにしていた太郎丸だったが、しばらくすると何かを思い出したのか、ハッとした表情を浮かべるとジャンヌの胸元から飛び降りて駆け出していく。
「あ、ちょっと、太郎丸くん?!」
ジャンヌは慌てて手を伸ばすが、太郎丸はそんな彼女の様子を知り目に上の階に登る階段を駆け登っていく。
晴明もまた太郎丸の急な行動に驚いてジャンヌと一緒に追いかけようとするが、その前にバロウズが話しかけてくる。
《マスター、追いかけながらでもいいから少しいいかしら?》
「どうしたバロウズ」
彼女に話しかけられたことで一瞬反応が遅れるが、ジャンヌの後を追うように走り出しながら話を聞く晴明。
《朗報よ、マスター。生存者がいるわ》
「なに、本当か! 場所は!」
《5Fに二人の反応があるわ》
バロウズの言葉を聞いた晴明はそれで太郎丸がなぜ急にジャンヌから離れて階段を駆け上っていったのかを理解する。
「つまり太郎丸は生存者の場所へ案内しようとしてるわけか!」
「そのようですねっ!」
同じく太郎丸を追っているジャンヌもまた晴明の意見に同意する。
しかしそこでバロウズはなにか不可解なことがあるのか変な声を出す。
《でもおかしいわね?》
「なにかあるのか?」
バロウズの様子になにかあるのか、と問う晴明。
問われたバロウズは自身が気になる点を晴明に告げる。
《どうやら生存者と同じ場所に敵対的な反応はないけど悪魔が居るみたいなのよ》
そのバロウズの言葉を聞いて晴明は素っ頓狂な声を上げる。
「悪魔ぁっ?! バロウズ、俺より以前にクズノハやヤタガラスのサマナーが巡ヶ丘に入ったという報告はなかったはずだよな?」
《こちらではそのような報告は受けてないわね》
晴明の疑問にバロウズは肯定する。
しばし悩む晴明たちだったが今は考えても仕方ない、と思い太郎丸を引き続き追いかけることにする。
因みに彼らが話している傍らで進路上のゾンビたちが雑に切り捨てられていたことをここに示す。
そのまま太郎丸を追いかけていた一行は4Fから5Fに向かう階段で足を止める。
足を止めた一行の目にはダンボールで作られたバリケードが目に入った。
「これは……」
「この先に生存者が居るのは確定のようですね」
「ああ」
ジャンヌの言葉に首肯する晴明、そして二人はそのままバリケードを乗り越えていく。
バリケードを乗り越えた二人が見たものは悲惨な光景であった。
この階で火災があったのか各所に存在する焼け焦げた跡に、おそらく被害にあったであろう焼死体、一つの扉に群がるゾンビたちの姿があった。
そしてその扉の奥から生存者と思しき声が複数聞こえてくる。
『たろ────行って──』
『それよ──k────たちも──って!』
『────るホー!』
その声を聞いたあと、晴明たちの行動は素早かった。二人とも即座に飛び出すと扉に群がっているゾンビたちを剣で、銃で、槍で葬っていく。扉周りが騒がしくなったことで中の生存者も異変に気付いたようでにわかに騒がしくなる。
しばらくしてゾンビの掃討を終えた晴明たちは部屋の中にいる生存者に話しかける。
「大丈夫か、助けに来たぞ!」
するとすぐさま太郎丸がわんわんっ、と嬉しそうに吠える。
太郎丸が元気よく吠えていることから特に重大な危機に直面しているわけではなさそうだ、と思った晴明は安堵するが肝心の中の生存者たちの反応がない。
その様子に不安に思った晴明は中へ声をかける。
「おい、大丈夫か! 怪我でもしているのかっ! もしそうなら扉から離れろ、扉を破壊する!」
『ああ、いえっ! 大丈夫です、今開けます』
中の生存者は晴明の声に慌てたようにバタバタと動き出す。
そしてキィ、と扉が開くとそこには不安そうな顔を覗かせる、どこかで見た覚えのあるショートヘアとハーフアップの女子学生の姿があった。