DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


第百九話 大天使顕現

 ライドウたちとの通信を終えた後、晴明はおもむろに口を開く。

 

「それで、これからおそらくメシア教の拠点となっているであろう地下へと向かうわけだが……。もちろんの話だが、全員で向かうのは不可能だ」

「まぁ、そりゃ当然じゃねーの?」

 

 何を当たり前のことを、と相槌を打つ杏子。当然だ、なんと言っても約半数は非戦闘員。

 このメンバーで悪魔相手に戦闘可能なのは学園生活部で由紀、悠里、胡桃、アレックス。大学生組で朱夏、一応ガルガンゼロを擁するDr.スリル。秘密基地組で晴明、美紀、圭。そして外部協力者として天音、杏子、さやかの12名。ただし、さきほど晴明が言ったようにスリルを危険にさらすわけにはいかないため、実質11名だ。

 ……危険にさらす、という意味では本来由紀も戦力外にしないといけないのだが、彼女が()()()()である、という事実が邪魔をする。

 なにせ、いままでのワイルドたちやそれに類する者は待っていたとしても、災厄の方が寄ってきていた。ゆえに同じように由紀を非戦闘員側に置いていた場合、逆に危険だということができる。

 だからこそ、彼女も戦闘員に加算して、敢えて防衛する。という形を取らざるを得ない。

 そしてスリルにはそういった特別な事情はないため、非戦闘員として換算できる。という意味合いもある。まぁ、それ以上に彼を非戦闘員側に置くことで彼ら、彼女らの護衛代わりにできる、というのもある。

 それでもやはり護衛の人員が少ないため、多少戦闘員から人員を割く必要があるのだが……。

 

「問題は、誰を割くか。ということだ」

 

 中途半端な戦力では意味がない。そして、由紀を非戦闘員側に置くわけにはいかない。それらを勘案すると、候補としては魔人である胡桃、アレックス、朱夏、ベテラン魔法少女である杏子、さやかとなる。

 ちなみに天音は由紀の護衛として派遣されているため、由紀と離して配置するのは論外だ。

 

 ともかく、残す候補として考えると、まずは胡桃。彼女は侵攻組に入れるべき、というよりも彼女自身が望むだろう。なにしろ彼女からすれば由紀は、自身が辛い時期――葛城を自ら殺し、ナーバスになっていた時――に親身に接してくれた大恩ある人物。その彼女を守るため、躍起になるのは目に見えているし、離そうものなら逆に士気が低下して使い物にならなくなる可能性すらある。

 次にアレックスだが、こちらはもう考える必要すらない。単純な戦力で言えばこの中で実質的なNo.2、九頭竜家当主、九頭竜天音すらをも凌ぐ実力者だ。それを護衛という形とはいえ、遊ばせておくのは論外だ。

 

 そう考えると護衛として残すのにふさわしいのは、朱夏、杏子、さやかとなる。

 とくにさやかは魔法少女の中でも貴重な回復魔法が使える逸材だ。彼女が護衛に回るだけでも非戦闘員の生存率は高くなるだろう。

 むろん、それは侵攻組でも同様だが、そちらの場合は仲魔やペルソナ使いで回復魔法を使える面々がいる。それを考えると絶対必要、というほどではない。

 それを考えるとさやかを残すのは理にかなっているし、そうすると同じ魔法少女であり、さやかと連携を期待できる杏子も一緒に残すべきだ。

 そして残りの朱夏に関しては――。

 

「晴明さん、私は攻略組へ参加させてもらうわよ」

「おまえが率先して立候補するのは珍しいな」

 

 まさか、朱夏がそんな自己主張するとは思わなかった晴明は、ぴくり、と眉を動かしながら彼女を見る。

 晴明に見つめられた朱夏もまた力強い視線で見つめる。彼女にも譲れないものがある、ということだろう。

 

 朱夏は静かに目をつむる。思い返されるのは聖イシドロス大学でしのぎを削った黒崎澄子。彼女が立ち去る時言った言葉。

 

 ――布地(fabric)でも探しに行こうかと。

 

 あの時は意味が分からなかった。だが、いまなら何となくわかる。あの時、澄子は既に気付いていたんだ。ここに、ランダル巡ヶ丘支社にすべての原因があることを。

 布地(fabric)という表現自体が言葉遊びだった。fabricという単語には布地という意味以外にも、構造という意味も持たせることができる。

 そう、構造だ。言い換えれば原因と言っていい。それがランダル巡ヶ丘にある、と澄子は確信があったということだ。つまり――。

 

「……澄子はここに来てる」

 

 仮に出会った場合、敵対するか協力するか分からない。しかし、たとえどちらになったとしても、最終的に首根っこを掴み、引き摺ってでもここへ連れてこなければならない。

 

「……ど、どうしたの?」

 

 朱夏が急に見つめてきたことで居心地が悪いのか、身を震わせる桐子。

 そうだ、澄子と桐子は気の置けない友人、という間柄だった。そんな彼女たちを引き合わせることができる。ならば、それをしないという理由はなかった。

 

「桐子、気を付けてよ?」

「……えっ? あっ、うん……。でも、ボクよりもアヤカの方が気を付けないと……」

 

 朱夏の忠告に桐子は不思議そうにしている。自身よりも朱夏の方が危険性が高いのだから当たり前だ。

 桐子から突っ込みを受ける形となった朱夏は苦笑いする。

 

「それもそうね」

 

 ふっ、と息を吐いて優しい笑みを浮かべる。そして晴明に向き直る。

 

「ともかく、私は反対されても着いていくわ」

「……そうか」

 

 頑固な朱夏の様子に、晴明はガクン、と肩を落とすとともにあきれたようにはぁ、と息を吐く。だが、いつまでもそうしているわけにもいかなかった。

 正直、晴明としては朱夏を連れていきたくなかった。いくら晴明やアレックスがいるとはいえ危険なことに変わりなく、由紀と違い狙われている立場でない朱夏はここで待っておけば安全なのだ。

 晴明だって朱夏の自身に対する好意を自覚しているし、巡ヶ丘学院高校での生活で己もまた彼女を妹分というだけじゃなくて、女性として好ましく思うようになった自覚もある。

 そんな女性(ひと)を流石に危険な場所へ連れていきたくなかった。これが個人の我儘なのはもちろん承知している。それでも、そう思ってしまうのは男としての(さが)なのだから仕方ない。

 

「おまえがそう言うなら仕方ない。だが、自分で望んだ以上、頼りにさせてもらうぞ?」

「……! もちろんよ、任せなさい」

 

 晴明の言葉を聞いて朱夏は頬を綻ばせる。あの人に、自身が好いた人に頼られたのだから。

 

「……むぅ」

 

 それを圭は面白くなさそうに見ていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 護衛組のメンバーが決まってからは話が早かった。なにせ、大多数の戦闘員が侵攻する関係で、時間をかければかけるほど待機組が危険にさらされる。

 ただのゾンビだけなら大学組の男性陣だけでも大丈夫だろうが、天使たちが、アクマが来る可能性は否定できない。

 その可能性を減らすため、一刻も早い侵攻が求められるのは必然だった。そして、侵攻組であればゾンビ程度歯牙にかける必要性すらなかった。

 ただしく、ゾンビたちを蹴散らしながら地下への入り口へとたどり着いてみせた。

 

「さて、ここまでは無事に到着してみせたが――」

 

 そして、晴明たちの目の前にあるのは一つの扉。これを開ければいよいよ敵の本拠地に足を踏み入れることとなる。が、その扉から発せられる異様な雰囲気。

 それが彼らの足を踏みとどまらせていた。

 しかし、だからと言って足踏みをしているわけにもいかない。晴明は意を決してドアノブを握る。

 

「……いくぞ」

 

 ごくり、と喉を鳴らし晴明は扉を開け放つ。そして、今まで感じていた異様な雰囲気。その原因を悟ることになった。

 

「――これは?!」

 

 晴明たちの視界に広がるあり得ざる景色。

 それは部屋を、そして辺りを照らす()()()()

 トンネルを越えたらそこは雪国だった、ではないが扉を抜けたその先は星々の大海であった。その事に呆然とする由紀たち。

 しかし、その中で晴明と、そして彼の記憶を覗き見た聖霊だけは見覚えがあった。だが、それは今世のものではなく、前世で見たもの。

 

YHVH(ヤハウェ)の宇宙、だと……?!」

 

 それは真・女神転生4finalのラストダンジョンと酷似していた。

 

 ――ぞくり。

 

 晴明の背筋に悪寒が走る。なにか神聖で、それでいて悍ましい気配を感じて見上げる。

 そこには神々しい光をまとった神話生物が――。

 

「愚かなり、人の子よ。そのような悪しきモノと、そして異物とともにあるなどと――」

 

 その神話生物は晴明と、信長の皮を被ったマーラを見て吐き捨てる。

 

 ――其は契約の天使。

 ――其は玉座に侍る者。

 

 ――其は神の代理人。

 

 

 ――其の名は。

 

「悪しき者、神の裁きを受けよ」

 

 

 ――大天使-メタトロン顕現せり。

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