DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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 今回は、るーちゃん救出と、新しい仲魔の召喚、晴明の切り札とも言える存在の顔見せ回な第七話です。
 では、どうぞ。


第七話 救出、鞣河小学校

 秘密基地を出発した晴明とジャックは、文明の光が無くなった宵闇の中、自身の跳躍力を活かし、民家やその他の建物の屋根を道として先を急いでいた。速度を優先しているために着地の度に音がして、それに少なからずゾンビが反応しているが、結局こちらにちょっかいを出せるわけでもないため二人は無視して先を急ぐ。

 そしてそのまま二人は忍者のように建物を飛び移りながら先に進むと、しばらくしたのちに、目的地である鞣河小学校が見えてくる。

 

 その近くの民家の屋上に晴明は留まるとバロウズにエリアサーチの指示をする。

 

「バロウズ、エリアサーチ。救助者がどこに居るか、正確な位置を教えてくれ」

 

《了解、マスター。…………これは、一階の教室みたいね。場所は……何か狭い物、ロッカーかしら? それに隠れてるみたい?》

 

 バロウズからの報告を聞いた晴明は。

 

「了解した。……ちなみに、他の生存者は?」

 

 そうバロウズに問いかける。そしてその問いにバロウズは……。

 

《報告するべきものは何もなかった。…………それが全てよ》

 

 分かり切っていたこととはいえ、実際に聞いた晴明は落胆を隠せなかった。バロウズの、彼女の言ったことは即ち、若狭瑠璃以外の生存者はいないという事だったのだから。

 しかし、晴明としても瑠璃の救助に来た以上、いつまでも足を止め置くわけにもいかず、気持ちを切り替えて救出のための行動に入る。が、その前に──。

 

「バロウズ、まずは念の為の召喚だ」

 

《オーライ、マスター》

 

 彼女の言葉とともに、光が溢れそこから一人の男性が姿を表す。

 青いタイツのような軽装鎧に、朱槍を手に握った青髪の彼の名は、【幻魔-クー・フーリン】

 晴明の仲魔の一人で、彼もまた何故か晴明の前世に存在したFateのキャラクターと同じ姿をしている。

 

「どうした、マスター? やっと俺の出番か?」

 

 待ちわびた、とばかりに獰猛な笑顔を見せつつ晴明に語りかけるクー・フーリン。そんなクー・フーリンの様子に、晴明は頼もしく思いながら告げる。

 

「ああ、今回は一刻を争う可能性がある以上、ホリンには暴れてもらうよ? それに()も居るかもしれないしね」

 

 それを聞いたクー・フーリンは頭をガシガシと掻きながら、思い出したかのように話す。

 

「ああ、そういえばあの爺さん(・・・)、ホテルを出たタイミングで別行動を取ってたんだっけ?」

 

「そうだよ。まぁ彼が本当にお爺さんなのかは、あの見た目では判断できないけどな」

 

 そう苦笑しながら告げる晴明。しかし晴明の言葉を聞いたクー・フーリンは。

 

「いや、あの喋り方だと、どう考えても爺だろ」

 

 と、晴明に突っ込む。晴明はしばし苦笑していたが、すぐに真面目な顔になると、全員に号令をかける。

 

「さてお喋りもここまでだ。あとは、彼処で救助を待っている子の救出が終わってからすることにしよう。では、行くぞ!」

 

 そのまま民家の屋根を蹴り、鞣河小学校に侵入する晴明。他の面々の彼に続くのであった。

 

 

 

 

 晴明たちが小学校の校庭に降り立った時、彼らを出迎えたのは大人のゾンビの群れだった。少数の子供のゾンビも居ることは居るのだが、それでも小学校の敷地の大きさに対して明らかの数が少なかった。

 そのことを訝しがる晴明だったが、今は救助を優先すべきと思いクー・フーリンに指示を出す。

 

「それじゃあ、ホリンはここでゾンビ共を盛大に引き付けてくれ。俺とジャックは、その間に救助に行ってくる」

 

 その言葉に頷くクー・フーリン。だが──。

 

「あいよ。だがマスター?」

 

 クー・フーリンは獰猛な笑顔をさらに歪ませながら告げる。

 

「あんまり遅いと、ここら一帯喰い付くした後に中まで行っちまうぜ?」

 

 クー・フーリンの言葉に、晴明は苦笑しながら。

 

「それならそれで構わんよ。そっちのほうが後処理は楽だしな。それじゃあ行くぞ、ジャック」

 

 それだけを言うと晴明は校舎へと駆け出す。それを見送ったクー・フーリンは手に持つ朱槍【ゲイ・ボルグ】を構え咆哮を上げる。

 

「さぁ、お前ら、かかってきな! この俺を退屈させるんじゃねぇぞ!」

 

 その言葉に反応したように、ゾンビたちはクー・フーリンの元へ殺到するが、彼はまずは挨拶代わり、とばかりにゲイ・ボルグを前方に横薙ぎ一閃。あまりの膂力に振るだけで轟音を奏でる一撃は、まるでゾンビたちを枯れ葉が舞うように吹き飛ばす。

 そして次に彼は、その威力を殺さぬまま棒高跳びの要領で地面に槍を突き刺すと、それを軸にして身体を横に回すように周囲全体に蹴りを放ち、さらにはそのまま槍を引き抜くと、特にゾンビが密集している地点に槍を叩きつける。

 一連の動作で多くのゾンビを屠ったクー・フーリンはさらに気炎を上げると、ゾンビたちを挑発するように怒号する。

 

「オラオラ、どうしたぁ! つまんねぇぞ! もっとかかってこいやぁ!」

 

 そう吠えながら、次に彼は槍を上に投げると自身も跳躍。槍まで追いつくとオーバーヘッドキックの要領でゲイ・ボルグを蹴り飛ばす。

 

「──ジャベリンレイン!」

 

 クー・フーリンの掛け声とともに蹴り飛ばされたゲイ・ボルグは次々と分裂を始めて地面に直撃する。すると、地面に直撃した槍たちは次々に爆発を始め、さながら周囲は絨毯爆撃でもあったかの様相を呈していた。

 その攻撃で、校庭にいるあらかたのゾンビは一掃できたが、爆発の音で引き付けられたのか、校門から、校舎から、体育館から、ゾンビたちがわらわらと集結し始めていた。そしてそれを見たクー・フーリンは手元に出現したゲイ・ボルグを握りしめ──。

 

「良いね、良いねぇ! 喰い放題、ってか! それなら、どんどんかかってきなぁ!」

 

 心底嬉しそうに大声を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

校庭でクー・フーリンが思う存分暴れている頃、瑠璃の救出に向かった晴明たちは……。

 

「よっ、と……」

 

 軽い掛け声とともに、校庭に向かうように校舎の廊下を歩いているゾンビのうちの一体の頸を、無造作に刎ねていた。それと同時にジャックもまた、軽い調子で床を、壁を、天井を、あらゆる場所を足場にして飛び跳ねながら、進行ルートにいる邪魔な者たちを解体している。

 その時、校庭側から爆音が響き渡る。クー・フーリンのジャベリンレインの着弾音だった。それを聞いた晴明は。

 

「クー・フーリン、張り切ってるなぁ、俺らも急がないとな」

 

 そう言いながら目的地へと進む晴明たち。そしてそう時間はかからずに瑠璃の反応がある教室を発見する。

 

「バロウズ、ここで良いんだよな?」

 

《ええ、マスター。反応はここから出ているわ》

 

 晴明の確認を肯定するバロウズ。確認の取れた晴明は教室の扉を慎重に開けると中を確認して突入する。

 その教室内には、ゾンビこそいなかったが荒れ果てており、何らかの存在が暴れたのは確かなようだ。

 

「ゾンビが暴れて、そのまま出ていったのか。それとも何か別の──」

 

 チリィ……ン、チリィ……ィ……ン。

 

 何処からともなく鈴の音色が聞こえてくるとともに。

 

 ────とてつもなく恐ろしい死の気配がする────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そういうことか……」

 

 晴明はなにか察しが付いたようで、即座に後ろを振り向く。そこには地面から少し浮かんだ位置に座る(・・)ヒトガタの異形の存在がいた。

 その服装だけを見ればお坊さんの法衣である黄色に染められた直綴(じきとつ)に、緑色の袈裟、そして直綴と同色の帽子をかぶっていた。そして手に持つのは、お坊さんとしては仕事道具でもある数珠と金剛鈴。

 そこまでであれば、空中に浮かんでいることを除けば、どこにでもいる、と言っては失礼かもしれないが、ただの日本にある各地の寺にいるお坊さんでしか無いだろう。

 

 ──そのお坊さんの顔、そして見えている体の部分が干からびた木乃伊(ミイラ)でなかったら、だが。

 

「意外と遅かったのぅ、さまなぁ殿よ」

 

「ここの掃除は貴方がやってくれていたのか、大僧正」

 

 晴明に大僧正と呼ばれた木乃伊、かの存在はかつて晴明がヴィローシャナの元へと運ばれた際に彼の目付役として、現在は晴明自身がそれなりの実力をつけた、と判断されたために彼の仲魔となった【魔人-大僧正】と、呼ばれる存在だ。

 

「それで、何故ここに、ってのは愚問だよな?」

 

「呵呵っ、左様。拙僧が大日如来様の波動を間違うはずも、ましてや迷える衆生を見捨てるわけもあるまい? もし拙僧がそんな破戒僧であれば、ミロク菩薩様に折檻されるであろうよ。ありえぬ仮定ではあるがの」

 

 そう言いながら大僧正は笑い続ける。そして笑いが収まると、大僧正は教室の一角にあるロッカーを見る。

 

「あの場所にお主の助けようとしている童がおるよ。行くが良い」

 

 確かに大僧正が指し示したロッカーから、あの姉妹に渡したお守りの波動が見える。

 

「それでは拙僧は再び隠れるとしようかの。では、さまなぁ殿、さらばじゃ」

 

 そう言いながら空間と同化するように姿が掻き消えていく大僧正。その姿を見送った晴明は、そのまま瑠璃が隠れているロッカーに向かう。

 そしてロッカーにたどり着いた晴明は、ロッカーに手を軽く当てて中にいる瑠璃に呼びかける。

 

「大丈夫、生きているかい? 助けに来たよ?」

 

 その晴明の声に何も反応を示さないロッカーの中にいる瑠璃。恐らくは信用していないか、ゾンビの襲撃を警戒しているのだろう。

 なので、晴明はもう一回声掛けをする。

 

「瑠璃ちゃん、大丈夫。蘆屋おじさんだよ。お守りをあげた、覚えているだろう?」

 

「…………蘆屋、おじさん?」

 

 晴明のその言葉に反応する瑠璃。彼女の反応を見た晴明は、さらに優しく声掛けをする。

 

「そう、おじさんだよ。よく頑張ったねるーちゃん、助けに来たよ」

 

 ロッカーの扉を恐る恐るといった様子で開ける瑠璃、そして目の間にいる晴明が、以前自分を助けてくれたおじさんだと確認すると、そのまま晴明に抱きついてくる。

 

「おじさん! おじさぁぁぁん!!」

 

「よしよし、よく頑張ったね」

 

 瑠璃は恐怖から開放されたからか、晴明に抱きついたまま泣き出してしまう。その瑠璃の頭を撫でながら頑張ったと褒める晴明。そのまま、瑠璃が泣き止むまで撫で続けようとする晴明だったが──。

 

「おう、マスター。探し人は……、見つかったようだな」

 

 ゾンビたちの殲滅が終わったのか、先ほどよりもさらに軽装に、シャツにジーンズ姿のクー・フーリンが教室に入ってくる。

 晴明は瑠璃の頭を撫でながら、クー・フーリンに礼を言う。

 

「ああ、ホリン。助かったよ」

 

 その時、泣いていた瑠璃が頭を上げてクー・フーリンを見る。晴明が親しく話していたからか、その顔には恐怖心はなく、誰だろう? という好奇心のほうがあるようだ。

 瑠璃の様子を見た晴明は、瑠璃にクー・フーリンのことを紹介する。

 

「こいつはホリン、おじさんの仲魔で、今回手伝ってもらったんだ」

 

「おじさんの、仲間? お友達?」

 

「まぁそんなものだよ」

 

 二人のそんなやり取りを見ていたクー・フーリンは、瑠璃の傍まで行くとしゃがみこんで、先ほどの獰猛な笑みではなく、爽やかな笑みを浮かべて瑠璃に話かける。

 

「お嬢ちゃん、もう大丈夫だからな。安心しろよ」

 

 クー・フーリンにそう告げられた瑠璃は、満面の笑みを浮かべながら礼を言う。

 

「うん! ありがとう、ホリンお兄ちゃん(・・・・・)

 

 瑠璃の言葉を聞いたクー・フーリンは笑い、そして晴明はガックシと肩を落とす。その後晴明は独り言のようにツッコミを入れる。

 

「おいおい、俺はおじさんでこいつはお兄ちゃんなのかよ……」

 

 その呟きにクー・フーリンは笑いながら晴明の肩を叩きつつ。

 

「はっははは、まあそんな気を落とすなよ、お・じ・さ・ん?」

 

「てめえ、ホリン! ぶっ飛ばすぞ!」

 

 クー・フーリンのからかいに声を荒げる晴明。しかし、その表情は笑っており本気ではないようだった。

 その後ひとしきり騒いでいた両名だったが、いつまでもここで雑談をするべきではないと思い、秘密基地へ変えることを瑠璃に説明する。

 

「るーちゃん、今は安全だけどいつまでもここにいると危ないから別の所、おじさんたちが避難してる所に行こうか」

 

「おじさんたちが? うん、行く!」

 

 晴明の言葉に頷く瑠璃。彼女の了解を得た晴明はさらにもう一つ瑠璃にお願いをする。

 

「それと、瑠璃ちゃん。今、お外はちょっと怖い状態だからおじさんに掴まって目をつぶっててね。そしたらおじさんが連れて行くから」

 

「うん、わかった」

 

 瑠璃は晴明が言うようにギュ、と抱きつくと目を閉じる。

 

「それじゃ、行くよ。…………ホリン、念の為に警戒を頼む」

 

「あいよ」

 

 晴明の指示にクー・フーリンは一言答えると、全員で秘密基地の帰途へと就くのであった。

 




 と、言うわけで、最初はヴィローシャナからのお目付け役として、現在は晴明の切り札の一人である【魔人-大僧正】が登場しました。
 しかし、大僧正はまだ晴明たちとは合流しません。彼にはまだやってもらうことがあるからね。

 晴明にはもう一人切り札たる存在がいますが、その子もそのうち出てくるはず……。

 そして今回、クー・フーリンが使ったジャベリンレイン。FGOの水着スカサハの宝具「ゲイボルグ・オルタナティブ」を参考にしたので、それを想像してもらうとわかりやすいかも。
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