DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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お久しぶりです。作者です。

大変お待たせしました、今回より更新再開させていただきます。
しかし、オリジナル小説の執筆も並行して行いますので完全な不定期更新になると思います。ご了承いただけると幸いです。
また、よろしければ作者の初オリジナルであるバベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~ https://syosetu.org/novel/294112/ も併せてよろしくお願いいたします。


第八十二話 実力

 その後、ペルソナやベルベットルームのことについて話していた由紀たち。

 特に先達としての朱夏の話が興味深かったのか、気になることを質問しては頷く。という行為を繰り返していた。

 そして気になることをあらかた聞き終えたのか、三人の間に少しばかりの沈黙が降りる。とはいえ、その沈黙が居心地の悪い、などということはないため由紀たち三人はあえて破ろう。という行動はしない。しかし、思いがけない方向から沈黙が破られることになる。

 

「ねぇねぇ、アヤカ!」

 

「……うん? どうしたのよアキ。それに圭たちまで」

 

 朱夏たちに話し掛けた人物。それは別の席で話していた大学生組の晶と篠生。それに、朱夏の妹弟子たちである圭、美紀のコンビだった。

 話し掛けてきた四人のうち、晶と圭は好奇心旺盛な様子で目を輝かせ、篠生と美紀は申し訳なさそうに身を縮こませている。

 そのことに、朱夏は晶が、由紀は圭がなにか突発的にしでかしたな? と、半ばあきれた表情で互いに顔を見合わせる。

 もっとも、圭と晶。二人はそんな彼女たちの変化に気付かない。もしくは意図的に無視しているようで、何事もないように彼女らへ話し掛ける。

 

「アヤカ、あんたってその……。ペルソナ使い? の中でもかなりの腕利きなんでしょ?」

 

「……え、えぇ。まぁ、それ相応には」

 

 急な晶の質問に困惑する朱夏。

 確かに朱夏の位階は覚醒者(Lv30)。平和な世の中では異能者(Lv10)クラスが主力となることから考えても朱夏の実力は破格と言っていい。

 事実、日本最大の対オカルト組織。築地根願寺の現当主。彼のLvが20であり、なおかつ腕利きと評されていることからも理解できる。

 ……まぁ、今代のライドウたる朱音や、蘆屋の分家の出である晴明など、はるかに格上の存在たちもいるが、それらははっきり言って慮外。……というよりも論外な存在なので考慮しない方がいいだろう。

 そも朱音は史上最強を謳われる十四代目葛葉ライドウより劣るとはいえ、比較対照として挙げられる才媛であるし、晴明にしても女神転生というコンテンツを知る転生者。他者からはこの平和なご時世に自身を苛めぬいて鍛えるストイック(キチガイ)な男と思われているのだから。

 

 

 閑話休題(それはともかく)

 

 

 今だ困惑する朱夏に、晶はひとつの質問を投げ掛ける。

 

「それで、さ。圭ちゃんに聞いたんだけど、アンタとこの子達の友達」

 

 そう言って彼女はとある場所へ視線をそらす。そこには晶や朱夏の仲間であり、キラキラと輝いた瞳で見つめ、興味津々と言った様子で話し掛ける桐子に対して困惑の色を隠せないアレックスの姿があった。

 

「あの子、アレックスちゃんとアンタ。どっちが強いの?」

 

「……そう、ね」

 

 晶のどちらが強いのか、という質問を聞いた朱夏は考え込む――ふりをする。

 正直な話。暴走した胡桃を止めるための短い共闘の合間の動きだけでも分かることと言えば、()()()()朱夏自身と同等の力量はあるだろう、ということだ。

 

 そう、()()()()、だ。

 

 はっきり言って朱夏の観察眼では、アレックスの(実力)の底を測ることができなかった。ただ一つ、確実に言えることがあるとすれば――。

 

(……あの子、血臭が凄まじすぎる)

 

 そう、アレックスから濃密な血の気配。まるで幾度の戦場、地獄を生き抜いてきたかのような気配が見え隠れするのだ。

 ともすれば、自身の師匠である晴明。彼のまとっている気配に比肩するほどのものを、だ。

 

 ――晴明はおろか、朱夏自身よりも年下である筈の少女から。

 

 あり得ない、とは言い切れない。

 何故ならこの世界、見た目や年齢と実力が比例しない。などということは往々にしてよくあることでしかない。

 一つの良い例として朱夏自身は面識はないが、高城絶斗(魔王-ゼブル)甲斐刹那、要未来(デビルチルドレン)などが挙げられる。

 実際、彼らは中学生であることから、そう言った意味でも間違ってはいないのだが……。

 

 ともかく朱夏としては、自身が彼女より優れている。と自惚れることは出来ない。と考える程度には彼女の存在感は凄まじかった。

 そのことを晶に伝えてよいものか、と悩む朱夏。と、いうのも晶本人は気付いていないだろうが、朱夏の実力に対して盲信しているきらいがあると感じていたからだ。

 

 そんな彼女に真実を伝えたらどうなるか?

 正直、考えたくない話だった。

 晶の精神状態のためにも、今後の活動に支障をきたさないためにも、だ。

 もし、朱夏がアレックスより弱いと知ったら、朱夏の(ペルソナ)を心の拠り所にしている晶がどのような行動に出るか。どう考えてもろくでもないことになりそうなのは確かだった。

 そんな不安を抱える朱夏。

 

 しかし、その時彼女の不安を増長させるような声が外から聞こえてくる。

 

「なら、実際に戦ってみれば良い」

 

「……なっ――」

 

「へ……? あっ、蘆屋さん?!」

 

 突如として戦えば良い、などと言った声の主を見て驚く二人。

 そこには、先ほど晶が発したように、大学生組を逃がすために殿(しんがり)をつとめた蘆屋晴明の姿があった。

 

「晴明さん、いつの間に……。いえ、それよりも――」

 

 突然現れた晴明について、彼の実力を知っている朱夏は疑問を抱くことはなかった。しかし、彼が発した言葉に関しては話が別だ。

 そのことを問い詰めようとする朱夏だが、その前に――。

 

「朱夏、お前の懸念も分からなくはないが、な……」

 

 そう言いながら晶を見る晴明。

 急に晴明に見つめられることになった訳が分からない。とでも言いたげに首をかしげる。

 もっとも、朱夏はその仕草だけで晴明が言いたいこと。つまり、彼女と同じ懸念を抱いていることを知る。

 だが、それを知ってなお、先ほどの発言をした意義が掴めない。

 そのことで声を荒げそうになる朱夏。

 

「晴明さん、なんで――!」

 

()()()()()、だ」

 

「――は?」

 

 晴明の意図が掴めず呆けた声をあげる朱夏。

 そんな彼女に構わず晴明はさらに話を進める。

 

「確かに朱夏、お前は間違いなく日本で有数のペルソナ使いだ」

 

 二人のやり取りを聞いていた晶はその言葉で顔を輝かせる。

 普段、朱夏から聞いていた話や、学園生活部の面々が話していた蘆屋晴明という怪物(英雄)。その彼が肯定する朱夏の実力を聞いて、無意識化に抱いていた気持ち(依存)が間違っていなかった。という確証が得られたのだから。

 だが、続く晴明の言葉で衝撃を受けることとなった。

 

「だかあの娘。アレックスさんはもっと強いぞ。俺でも油断してると負けるだろうな」

 

「……うぇぇ?!」

 

 その言葉を聞いていの一番に反応を返したのは圭だった。主に信じられない、というよりも信じたくない、という意味で。

 まぁ、圭がそう思うのも無理はない。

 

 晴明はともかくとして、アレックスとはそれなりの付き合いになり、美紀と三人気心の知れた仲として暮らしていたのだ。

 それが、急に自身よりも格上、というのは理解しているが流石に晴明と同格。というのは納得しづらいのだ、心情的に。

 因みに、美紀も同じ心情なのか目を真ん丸に見開いてこくこく頷いている。

 

 そんな二人を見て表にこそ出さないが、内心頭を抱える晴明。ここ最近、学園生活部から離れ、単独行動を取る際になるべく彼女たちに経験を積ませようと行動をしていた訳だが、それでもまだ足りなかったと理解したからだ。

 もっとも、今回に関しては晴明が高望みをしすぎている、という側面もある。

 例えば、素人に毛が生えた程度の人間に標高五千メートルと五千百メートルの山々を見せた後にどちらが高かったか。などと聞いてもどちらも高かったです、という返答が関の山だ。

 つまり、何が言いたいかというと、前提の知識がないのにきちんとした判断をしろ。というのは土台無理な話なのだ。

 しかも、それが己の慮外である存在であればなおさら。

 

 こういったことは本来経験がものを言うが、いくらなんでも彼女たちが力を得てから。正確に言うなら、まだアウトブレイクが起きて一月も経っていない現状では、いくらなんでも無理がある。

 むしろ先ほどの話を聞いて驚けるほどの知識を得た。という時点で称賛ものだろう。

 事実、戦えこそすれど戦闘者としての知識の無い慈と透子はそんなものなのか、といった感じて思考を放棄している。

 

 因みに、他の面々の反応は大別して学園生活部は慈以外が驚き、大学生組は朱夏を除くと篠生だけが驚き、残りは慈たちと同じ反応となっている。

 そのことからも、二つのグループの間でもかなりの経験の差があることが理解できる。

 これも一重に、初期段階で戦闘者がいたのか、いなかったのかの差が如実に表れているのが分かるだろう。

 もっとも、その結果の晶の依存がある訳で、そこまで喜べることではないのだが。

 

 とにもかくにも、本来そこまで嘆く事態ではないのだが、晴明にとってそれはゆゆしき事態に映ったようで、一計を案じるように弟子たち(美紀、圭)に指示を出す。

 

「……よし、美紀、圭。お前らもアレックスさんにしごいてもらえ」

 

『――はい?』

 

 晴明の言葉に思わずハモる美紀と圭、とついでにアレックス。そもそも、アレックス本人からすれば、なに本人の承諾も得ずに決めているのか、という話である。

 ただ、本人以外は話の流れ的にアレックス対朱夏が、アレックス対朱夏、美紀、圭のチーム戦になった。という感じなのだが……。

 その空気を感じ取ったアレックスは、己に拒否権がないのを悟ってひきつった笑いを浮かべている。然もありなん。

 

 そんなアレックスの心情をよそに、話はどんどん進んでいく。

 

「ともかく格上相手の、しかも死ぬ危険性がない戦いってのは色々な意味で良い経験になる。一度やってみろ。……それとも俺と戦るか?」

 

 その言葉を聞いて首を横に振る三人。出来るかどうかは別として、やはり好いた男に傷を付ける可能性は万に一つでも許容できなかったようだ。

 正直、それで勝手に対戦相手に祭り上げられるアレックスからすると迷惑千万な話であったが……。

 

 そんなアレックスの考えをよそに一対三の模擬戦が行われることとなり、アレックスは諦めにも似たため息を漏らすのであった。

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