DDS 真・がっこう転生 MythLive   作:想いの力のその先へ

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 こちらではお久しぶりです、作者です。
 この頃、オリジナル小説のほうに注力してたのと、裏設定として初期から存在してたのを表に出すか悩んでいたののダブルパンチでここまで遅れてしまいました。申し訳ありません。
 ですが、ようやく踏ん切りがついたので、今回。度々出ていた朱夏の戦友についてのお話です。

 なお、彼女らはオリジナルではなく、版権キャラ達。とある作品のキャラです。
 一応、今話の最後のほう、並びにあとがきで答えは出しますが、予想してみるのも面白いかも?

 ヒントはきらら関係で、なおかつ(製作者的な意味で)がっこうぐらし! と同じ作品、です。
 それではお楽しみいただけると幸いです。では、本編をどうぞ。


幕間9 戦友たち

 ここはとある地方都市。その中にある先鋭的、いやむしろ前衛的といえる住居の中で複数の女性たちが話し合っていた。

 

「……それで、最近朱夏から連絡がないって本当?」

 

「うん、そうなんだ……」

 

 朱夏のことを問いかけた水色の髪をした女性に対し、しょんぼりとした様子で答える桃髪の女性。

 その彼女がしょんぼりとしている様子に、となりに座っていた黒髪の、どことなく朱夏に似た女性は憤りを隠せない様子で……。

 

「まったく、朱夏は一体どういうつもりなの? ――を、こんなに心配させるなんて……!」

 

「まぁまぁ落ち着いて、――さん」

 

 黒髪の女性の様子に、金髪の、縦ロール。ドリルツインテールとでも言うべきか。そんな髪型をした女性がたしなめるように声をかける。

 彼女の言葉に、他の女性たちもうんうん、と頷いている。その様子から、彼女。金髪の女性がこのグループのリーダー格であることが見て取れた。

 だが、朱夏に似た女性はそんな彼女の言葉を聞いても、いまだ落ち着かない様子で。

 

「でも、――さん!」

 

 と、リーダー格の女性に食って掛かる。

 その様子に苦笑する他メンバーたち。彼女らにとって、朱夏に似た女性が桃髪の女性をことさら大事にしているのは周知の事実で、だからこそこの展開は予想の範囲内でしかなかった。

 

 そんな中で、今まで口を開いていなかった赤髪をポニーテールにした、勝ち気な表情を浮かべている女性は棒状の菓子を咥えながら器用に喋る。

 

「でもよぉ……。朱夏の実家、巡ヶ丘だっけ? あそこ、確か今、特別封鎖地域。とかいう物々しいことになってたよな?」

「……う、うん」

 

 勝ち気な女性の言葉を聞き、同意するように頷く桃髪の女性。そして、それな付け加えるようにさらに彼女は喋る。

 

「それに、朱夏ちゃんが最後に連絡してきた時、あの蘆屋さん、だっけ? あの人と久しぶりに会ったって言ってたよ」

「……そうなの、――?」

 

 桃髪の女性が言った晴明の名前に反応したのは朱夏に似た女性。彼女はどこか意外そうな表情をみせて、桃髪の女性を見つめている。

 それは、桃髪の女性の口から出た言葉に驚いているのもそうだが、それ以上に彼女自身も晴明と深い、といえるほどではないが関係を持っていたことに起因する。

 また、水色の髪をした女性。周りと比べるとムードメーカーな雰囲気を持っている女性は、晴明について感慨深そうに話す。

 

「ほんほん、あの人がねぇ……。そいえばあの人って一応、私らの()()って立場になるんだよね?」

 

 感慨深そうにしていた彼女だが、ふと思い出したかのように、そのような言葉を口にする。

 そう、ここにいる――桃髪の女性は除くが――彼女たちは、それぞれが特異な能力を持ち、とある理由から晴明と共闘、というよりも晴明が介入した縁で()()()は晴明の部下、となっている。

 もっとも、それは本当に名義上だけで実際のところは晴明が後ろ楯になることで、他の組織からの横やりを防いでいる、というのが正確だ。

 なにせ彼女らの特異な能力。それらは裏の世界でも奇異なものであり、特に水色の髪の女性と朱夏に似た女性。そして、ここにいない彼女たちの仲間が持つ能力は、ことさら不可思議なことから晴明が後ろ楯となることで、他組織が手出し出来ないように先手を打っていた。

 

 もしも、この状態で彼女らへ手を出す場合。晴明はもちろん、彼が所属しているヤタガラス。さらにはクズノハ並びに今代ライドウすらも敵に回しかねないというのだから、抑止力しては十分、というよりもむしろ過剰だろう。

 もちろん、そのことに彼女らは感謝してるのだが、それはそれとして。やはり、実際に仕事をしているわけでないことで、実感がわかないということから、先ほどの水色の髪をした女性が言ったように、どこか他人事のように感じてしまっている。

 

「――ええ、確かに蘆屋氏は約二ヶ月前に巡ヶ丘へ調()()のため、現地入りしているわ」

 

 どこからともなく聞こえてきた、全員とはまた違う声。その声が聞こえてきた方向をみる女性たち。

 そこにはプラチナブロンドの髪色をした、今ここにいる彼女たちの中で、一番落ち着き払った雰囲気を持った女性の姿があった。

 その、落ち着き払った女性を見た水色の髪をした女性は驚きの声を上げる。

 

「あれ……! 先輩、どうしてここに? お父さんの手伝いは良いんですか?」

 

「ええ、そちらの方は一段落着いたから。……それで久々にこちらに顔を出したら、面白そうなことを話してたから、つい……」

 

 そう言って彼女は、イタズラが見つかった子供のように舌をペロリと出す。

 彼女のそんな様子に、薄く笑いをみせる女性たち。なにせ、彼女がこんな無防備な姿をみせるのは仲間内だけであり、意外とお茶目な面をみせるのは信頼の開かしでもあるのを理解しているからだ。

 そして、彼女の冗談に付き合うように水色の髪をした女性は問いかけをする。

 

「でも、先輩は蘆屋さんが巡ヶ丘に行ってたこと知ってたんですね。教えてくれても良かったのにぃ……」

 

「ふふ、ごめんなさいね? でも、知ってるのは当然よ? なにせ、あの人に調査を依頼したのはお父様なんですもの」

 

「……え? それ、本当なんです?」

 

「ええ、本当よ。というより、ここで嘘着く必要ないでしょ?」

 

「それは、まぁ……。でも、()()()()からの依頼って、それはそれで驚きのような……?」

 

 そう、思案するように呟く水色の髪をした女性。

 

 ……かつて、晴明がとある政治筋から巡ヶ丘の調査を依頼された、と言う話を覚えているだろうか?

 その政治筋というのが彼女が呟いた美国議員、国会議員である美国久臣議員であった。

 そしてかの議員と晴明の接点となったのが、彼の娘である落ち着き払った女性【()()()()()】と、ここにいる彼女たちであり、この都市で起きたとある事件がきっかけであった。

 

 

 

 

 

 

「でも、やっぱり神持さんから連絡がない、と言うのは心配ね……」

 

 そう言って憂鬱そうな表情をみせる金髪の女性。

 そのことに織莉子も同意する。

 

「確かに、それはそう、ね……。いくら彼がいるといっても。というより彼がいるからこそ大事になってるのかしら?」

 

「ま、まさかぁ……」

 

 織莉子の呟きに水色の髪をした女性は、頬を引きつらせつつも否定する。だが、内心は同じ事を思っていたのか、その言葉に力はない。

 そんな中で、黒髪の、朱夏に似た女性が織莉子に話しかける。

 

「それで織莉子、貴女の方でなにか分かってることはないの?」

 

「そう、ね。私の方で言えることは()()()()()

 

「それは、なにも知らない、ということ? ――それとも、()()()()()()()と言う意味かしら?」

 

 朱夏に似た女性は、自身の黒髪を手で払うような仕草をしながら問いかける。

 そんな彼女の問いかけに、織莉子は苦虫を噛み潰したような顔になる。それが答えだった。

 そして彼女は、答えの代わりに一つの提案が上がっていることを皆に告げる。

 

「……ところで、近々巡ヶ丘に人員を送る予定があるわ。それも、政府の肝いりで、ね」

 

「それって……!」

 

 織莉子の言葉を聞いた桃髪の女性は驚き、立ち上がる。

 暗に織莉子が巡ヶ丘で問題が起きていることを認めたのもそうだが、それ以上に今、この時にそのことを話した理由。

 

「それに私たちも参加できるんですか?!」

 

「……参加する、というよりも。先遣隊として捩じ込むことが出来そう。と言う話よ。なんてったって蘆屋氏は()()()()()()ですからね?」

「なるほどねぇ……」

 

 織莉子の提案を聞いた勝ち気な女性は、愉快そうに顔を歪める。

 しかし、そんな彼女の出鼻をくじくように織莉子は注意点を告げる。

 

「でも、流石に全員は無理よ? 精々、二、三人が限界ね」

 

「おいおい……」

 

「でも、それなら誰が行くか、慎重に決めないとね」

 

 勝ち気な女性は呆れた声を上げているが、その横でリーダー格の女性が考えをまとめるように、そう呟く。

 そして、周りを見渡したリーダー格の女性は――。

 

「まず、美国さんは無理ね。向こうと調整がある訳だし」

 

「それは当然ね」

 

 リーダー格の女性に同意するように織莉子は頷く。

 そして今度は桃髪の女性と、黒髪の朱夏に似た女性を見た彼女は――。

 

「そして、巡ヶ丘に問題が発生してるなら鹿()()さんと()()さんも無理、と考えた方が無難ね」

「ええ、そうね。そんな危険地帯に()()()をつれていける訳ないわ」

()()()ちゃん」

 

 リーダー格の女性の言葉に黒髪の女性、暁美ほむらは当然とばかりに頷き、桃髪の女性、鹿目まどかは悲しそうに呟く。

 

「……と、なると後は私か()()さん、()()さんの三人のうち誰かになるけど……」

 

「はい、はいはい! 私が行きますっ!」

 

 そこで元気良く手を上げて主張する水色の髪をした女性。

 そんな彼女を勝ち気な女性は、胡乱げな表情で見つめる。

 

「おいおい、大丈夫なのかよ。()()()

 

「だいじょぶ、だいじょぶ! このさやかちゃんを信じなさい! それより、()()こそどうするのよ?」

 

 水色の髪をした女性、美樹さやかは自信満々に答えるとともに、勝ち気な女性、佐倉杏子に問いかける。

 さやかの問いかけににやり、と笑う杏子。そして彼女はふてぶてしく告げる。

 

「ま、お前一人に行かせると心配だからなぁ……。しょうがないからアタシも着いていってやるよ」

 

「なにおぅ! 私だってちゃんと出来るんだからねっ!」

 

 そのままじゃれ合い始める二人。

 そんな二人を見ていた金髪の女性は微笑むとポツリと呟く。

 

「それなら、私は念のため待機の方がいいかしら?」

 

 彼女の言葉に同意するように頷く織莉子。そして彼女は、こう付け加える。

 

「この二人に加え、かの()()()まで動いた。なんてなったら、痛くもない腹を探られることになりかねないわ。だから、こちらとしても待ってもらえると助かるわ」

 

「ええ、分かったわ。……それじゃ美樹さん、佐倉さん」

 

 金髪の女性、巴マミに声をかけられたことでさやかと杏子はじゃれるのをやめて真剣な顔をみせる。

 そんな二人を見て、マミは激励を送る。

 

「私たちは直接助けることは出来ないけど、あちらの……。神持さんたちのことを任せるわ。お願いね」

 

「はいっ!」

 

「おう」

 

 マミの激励に、元気良く返事するさやかと杏子。

 この地、()()()にて起きた事件を解決した英雄たち。朱夏の戦友である()()()()と呼ばれた戦士たちは想いを新たにして巡ヶ丘を目指す。

 全ては戦友にして親友。神持朱夏の無事を確かめるため、そして彼女の手助けをするために。

 そのために彼女らは各々が出来ることを始めるのだった。





 読了お疲れさまでした。
 前書きにも書きましたが答え合わせ。
 正解は『魔法少女まどか☆マギカ』並びに、その外伝作品である『魔法少女おりこ☆マギカ』でした。
 ちなみに今話では出てきていませんが、もちろん呉キリカも彼女たちの仲間として存在しています。

 因みに、製作者的な意味で同じ、ということのやつについてはまどマギのキャラデザインがひだまりスケッチの蒼樹うめ氏、シナリオがニトロプラスの虚淵玄氏が担当。
 がっこうぐらし! が、作画を千葉サドル氏、原作がニトロプラス所属の海法紀光氏が担当、そしてともに芳文社が関わっているという共通点からでした。

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