『シルヴァリオサーガRPG』RTA 聖戦√   作:生野の猫梅酒

7 / 9
今回はちょっと変則的な構成です。
またゼファーさんが原作以上に狂い哭きます。ご留意ください。


Part7

 仲は良くてもだが殺しちゃうRTAはーじまーるよー!

 

 前回はアイナ姉貴を魔星に突撃させる一歩手前というところでした。今回は前置き無しで早速ボス戦、マルス-No.ε(イプシロン)とウラヌス-No.ζ(ゼータ)調教(げきは)する作業に入ります。いっぱい(星辰光を)入れてやるから、喜ぶんやど?

 と、魔星のところへ行く前に最後の仕上げが残っていました。ゼファーさんに一度声を掛けておきましょう。

 

「この元凶を倒しに行く……!? そんなの無茶だろ、つーかどんな相手なのかも分かんないってのに──」

 

 至極もっともなお言葉ですが、するって言ったらするんだよ打倒を(ねっとり)

 現状だとゼファーさんはまだ正体不明の相手に対する怯えや警戒心の方が強いです。ここで奮い勃って♂もらおうにも、「軍人の存在意義とは後にも先にもただ一つ。罪なき市民を守ることにある」とか立派なこと言ってもコールレイン少佐には共感してもらえません。基本的には我が身大事な性格を鑑みれば当たり前だよなぁ?

 

 ただし、守るべき存在がいればその限りではありません。

 さりげなくミリィちゃんを隠してる方へ視線をやればすぐにその意図を分かってくれます。

 

「やらなきゃ全員死ぬってか……! ああもうクソったれ、やれば良いんだろやれば!」

 

 よう言うた! それでこそ男や(イニ義)

 ヤケクソ気味ですがこれで良し。逆境や怯えから奮い立ったゼファーさんなら、極限下にて高確率で”逆襲”を選んでくれるはずです。この時点でもまだ確実とは言えない辺りが彼の面倒臭さを表していますが、こっから先でプレイヤーが出来ることはもう無いです。ベストを尽くせば結果は出せる、後は祈って待ちましょう。

 なのでここまで来たら有無を言わさず魔星のところへ急行します。天秤兵たちもこの後は各自散開して人助けやら残った暗殺任務に就くのでミリィちゃんがいつの間にか死んでることはありません*1。よって遠慮なくゼファーさんを連れて地獄の最前線へと行きましょう。

 

 さて、現場では水を得た魚とばかりに赤と青の魔星が大暴れしております。どちらも小物ですが基礎ステータスや星辰光の厄介さは本物なので注意が必要です。

 ですがこちらには【光の殉教者】があるので死亡ロスを恐れる必要はありません。改めて魔星の脅威を直視して躊躇っているゼファーさんは置いといて、アイナ姉貴を早速飛び込ませて戦闘開始といきます。ちなみに彼はガバではなく仕様なので気にしないで大丈夫です。

 

「ほう、小うるさい羽虫がまた一匹迷い込んできたか。いいぞ、お前も我が花園にたつ氷像としてやろう」

「おいおい、せっかくの勇者の登場なんだからつれないこと言うなよ。むしろその輝き、我らに届くか見定めさせてもらわんとな」

 

 なんか傲慢だったり裁定者っぽいこと言ってたりしますが、どちらも本質は下らないので無視で結構。マトモに聞いてたらお耳壊れるわ。馬鹿じゃねぇの(嘲笑)くらいの勢いで大丈夫です。

 そんなことよりまずは先制攻撃! VSチトセ姉貴と同じく最初の内は大したダメージにはなりませんがこの後のイベントのために少しでもダメージを稼いでおく必要があります。

 というのも、ウラヌスかマルスのどちらかに一定以上のダメージを与えるか、逃げ回って時間経過しないとゼファーさんとヴァルゼライド閣下は援軍として登場してくれません。当然ながら前者の方がタイムは良いのでガンガン攻撃していきます。

 

 ウラヌスの攻撃は氷を用いた砲弾と範囲攻撃、マルスの攻撃は結合分解の瘴気を纏った突進なため、両者の位置取りに気を付けつつ実体化した影で攻撃。うまくマルスを誘導してウラヌスと同士討ちとかさせられれば美味しいので積極的に狙います。

 もちろん、今回も一撃当たれば即死なオワタ式に違いありません。ちょうど今氷塊がヒットしましたが一撃で綺麗さっぱりライフが削られましたね。ですが【光の殉教者】によって復活! ゲームじゃなければ余裕で死んでる攻撃を受けても蘇る様は、まさしく光の亡者に相応しいゾンビっぷりでしょう。

 

「こいつ……何故倒れないのだ? たかが人間ごとき、死んでいなければおかしいだろう!?」

「勇気と気合で死を乗り越えるのは勇者の特権だが、コイツは驚いたよ。アンタ、化け物にでもなるつもりか?」

 

 おっ、そうだな(てきとう) 光の亡者系女子と戦うのは初めてか? 力抜けよ……

 冗談はさておき、復活(まだだッ!)したことによるバフでダメージレートが跳ね上がったのでさらにガン攻めしていきます。【光の殉教者】は1度の戦闘で2回まで復活できるので、あと1回は捨て身でダメージを狙いに行けるのがうまあじです。ロスかと思われたヴァルゼライド閣下のイベントも存分に利用し尽くして駆け抜けましょう。

 

 では俺がこのままじっくり料理してやるから、みんな見とけよ──

 


 

 それは、まさしく別次元の闘争であった。

 氷が躍る。物質が消え去る。只人ならば一秒たりとて生存できない地獄が、たった2人だけの青と赤によって演出されている。

 紛れもない破壊と殺戮の嵐は街の一区画程度崩壊させて余りあるだろう。怯えながらもどうにか逃げずに踏み止まっているゼファーだから、肌で感じた脅威の度合いに嘘はない。

 あそこに混じれば最後、一瞬で死ぬ。死の恐怖から背中を向けて逃げ出さないのが奇跡のようだ。

 

 だから──死の舞踏の中を戦う彼女から目が離せず、そして目を背けたくて仕方がない。

 

「まだ、まだ──ッ!」

 

 どうして、いくら傷を受けても地に倒れ伏さないのか。

 その身は既に凍てつく氷が這いまわり、ギリギリで回避した瘴気は容赦なく肌を削り取っている。飛んでくる瓦礫に身体を撃たれ、飛んでくる氷塊に貫かれる様は満身創痍も良い所だ。

 なのに、まだ倒れようとはしない。そんなボロボロの身体であの規格外の敵をどうにか出来ると、本気で信じているかのように。気合と根性、それさえあれば不可能など無いのだと見せつけているかのように。

 

「何故、倒れないかって? 決まっている、ヴァルゼライド大佐の光を見たら、こんなところで止まってはいられないんだ。明日の光を目指すために、死んで斃れる暇はない──!」

 

 自分にはまだやることがあるから──その一念だけでやせ我慢をしているとでも言うのか。

 アイナの放つ影が鬼面の動きを一瞬だけ止めた。その隙に鉄姫へ肉薄、絶対零度を突き抜けて刀剣が奔った。肉を掠め、後ろへ流れる。反撃に氷の弾丸が周囲から殺到するも直前で上空へと跳躍、見切りながら影を足場に離脱してのけた。

 いっそ見惚れるような動きだった。強敵を前に恐れず相手を手玉に取り、一撃入れたら追撃に拘らず離脱する潔さ。判断力と胆力の2つがなければ実現は不可能で、しかも重傷の身体でやってのけたとなれば神業と評すしかないだろう。

 

「なんで、アイツは……痛いだろ、苦しいだろ、だってのにあんな真っすぐ気持ちを維持してられるんだ……」

 

 無理だ、自分には絶対に出来ないとゼファーは断言する。

 痛いのは嫌だし苦しいのは勘弁願いたい、殺し合いなんて以ての外と言うしかない。そんな感性しかないというのに、仲間の一人はああも雄々しく戦っていることに胸が苦しくなる。

 逃げ出したい。でも見捨ててしまうのも違う気がする。ここで自分が逃げたらあの少女(ミリィ)は一体どうなる? だけど戦ったところで勝ち目なんてあるはずない。負け犬があの戦場に飛び込むなど自殺行為もいいとこで、もし勝利でもしてしまえばきっと更なる苦難が訪れるのは必定だ。

 

 どうしたって堂々巡りの袋小路(デッドエンド)

 完璧な結論など存在せずに男はただただ現実を前に逡巡し──

 

『ならば、さあ──』

 

 選ぶがいい、涙の雨(コールレイン)よ。銀の人狼が歩む道筋、その分岐路は今ここに。

 

 次こそは完全な”勝利”を──あんな怪物を相手に完全な勝利など手に入るものか。

 脇目も振らず”逃亡”を──ここで逃げれば置いてきた少女はどうなる?

 潔く”敗北”を受け入れよう──論外だ、あり得ない。負ければ自分も他人も皆すべて、死に絶えてしまうのだから。

 

 どの選択肢も等しく無価値。こんな様では何も為せないに決まっている。

 故にこそ、残された選択肢はただ一つ。追い詰められた者の爆発力、痩せさらばえた負の害獣が持ち得る本領を発揮するしかなく。

 

「弱い者が、強い奴に逆転するには──勝者を汚す”逆襲”こそが必要だ」

 

 よって、ここに運命の歯車は噛み合った。

 

『ええ、それでこそよ、ゼファー』

 

 眠りの淵を揺蕩う死想恋歌(エウリュディケ)が、目を覚ます。

 吟遊詩人(オルフェウス)の奏でる竪琴(けつい)の音に招かれて、”逆襲劇(ヴェンデッタ)”が黄泉の国から帰還を果たしたのだ。

 


 

 さて、試走でのタイミングからしてそろそろでしょうかね。

 タイムの貯金があるとはいえ、ここらで来てもらわないとジリ貧な上にクリアタイムにも響いてくるのでキツイのですが……【光の殉教者】による復活も2回目を終えてしまったのでもうアテには出来ません。親譲りの操作ミスをしないことを祈ります。

 

 …………すいませーん、まーだ時間かかりそうですかねぇ~?

 

 あ、来ましたゼファーさんです! しかもちゃんと逆襲を選んで『冥界へ、響けよ我らの(Silverio Vendetta)死想恋歌』も発動してくれてますね! やったぜ! みんな踊れー!

 実際狂喜乱舞しすぎて少しキャラ操作がブレてます。あ、ちょっと(氷が)擦る♡ ちょっと擦ってんじゃねぇよ!

 

 細かいガバは置いといて、なんとかここまで来れました。最後の最後までゼファーさん次第なRTAでしたが無事完走の目途が経ってまずは一安心です。ですが『注意一瞬、ガバ一生』という格言の通り、最後まで気を緩めずに参りましょう。

 ここで参戦するゼファーさんは相手の星辰光を限定的に無効化できるため、非常に頼りになります。なので上手いこと庇ったり庇われたり盾にしつつ攻めましょう。銀狼の刃の切れ味、思い知れ!(他力本願)

 

「畜生、こうなりゃやるしかないんだろ……! なんでこんな事出来るかも分からないが、一度くらいならやってやるさ……!」

 

 良い感じにゼファーさんも狂い哭いてくれてますね。これは大括約が見込めそうです。

 さて、彼が参戦したということはそろそろ()()の出番でしょう。RTA中でもこのシーンだけはしっかりと目に焼き付けておきます。

 

「──そこまでだ、虐殺の徒よ。これ以上の勝手は断じて許さん」

 

 来ました、ヴァルゼライド閣下です! アドラーの誇る至宝が参戦したのでもう安心!

 さあ、見せつけてやろうぜ総統閣下。永久不滅の英雄譚こそ煌く神話だということを!(限界突破並の感想)

 

 ゼファーさんとヴァルゼライド閣下の共闘という原作からすれば考えられない場面を楽しみつつ、最後の一押しと参りましょう。このアスクレピオスの大虐殺は基本的に閣下が魔星たちを倒すことで終了、イベントシーンとなるのですが、ここでゼファーさんが逆襲を選びヴェンデッタを起動させてる場合のみ撃破前にイベントが発生します。

 次のトリガーも一定以上のダメージか時間経過なのですが、(レズ)と振動操作と放射線(ガンマレイ)をひたすら叩きこめばすぐに条件は達成できます。いきなり魔星たち2体の動きが止まったら分岐イベント開始です。

 

「なんだ、急に動きが……」

どういうつもりだ、カグツチ……

 

 怪訝そうな二人の言葉通り、魔星が唐突に動きを止めます。

 これは撃破したのではなく、カグツチが強制的に停止させたからです。彼は今も地下深くから閣下の括約を見守っておりましたが、それどころでない事態──すなわちヴェンデッタ姉貴の起動を確認したことでそれどころじゃなくなったのです。

 

 【光の殉教者が光の亡者に変化しました!】

 

 ついに行きつくところまで来ましたが、進化しても後は好感度は関係ないので大丈夫です。

 むしろ表示の分だけロスなので次だ次!

 

「なに、死想恋歌(エウリュディケ)が起動しただと……!」

 

 原作ではヴェンデッタ起動未遂を知っていたのはルシード君だけでしたが、さすがにがっつり目を覚ましたとなればカグツチが気付かないはずありません。なので慌てて宿敵に連絡を寄越してきたという訳です。可愛いね♡

 さて、急に納刀して何やら虚空と会話を始めたヴァルゼライド閣下を舐め回すように眺めることしばし。こちらを振り向いた閣下がプレイヤーとゼファーさんに「ついて来い」と促してくるので素直に応じます。ゼファーさんはヴェンデッタ姉貴との同調による反動で死にそうになりながら「なんで?」という顔をしてますが、溢れる【知力】で言いくるめておきましょう。

 

「アレと戦った人間の意見を聞きたいからなんて、そんな理由あるのか?」

 

 ありますあります(食い気味)

 後始末は他に任せ、よろけるゼファーさんを連れて政府中央棟(セントラル)地下へと誘われておきます。

 そういえば今回はチトセ姉貴が助っ人に入ってくれませんでしたが、この場合はどうやら他で救援活動をしているor魔星に既にやられて瀕死の2パターンがあると有志が検証しておりました。どちらにせよ想定以上の被害が出たことのフォローに回っているらしいですが、どうせならタイム短縮のためにこっちに来てほしかったです(強欲)

 

 などと説明している間にやってきました、カグツチの御許ですね。原作では閣下とカグツチが仲良く「”勝つ”のは俺だ」と見栄を張り合っていたり、黄泉下りの最終章における舞台となったあの場所です。

 既にヴェンデッタ姉貴は起動してカグツチの近くにおりますが、相変わらず見事なまでの痴女服だぁ……このデザインでGOサインを出した叡智宝瓶(アクエリアス)の技術者たちはたぶん変態だと思うんですけど(名推理) 

 

「因果は不明だが、ついに死想恋歌(エウリュディケ)を黄泉から連れ戻す吟遊詩人(オルフェウス)が誕生したということで相違ないな?」

「ああ、その認識で間違いないとも。先ほどの戦闘で彼が見せたあの星辰光(アステリズム)こそ何よりの証だ。それが理解できぬお前ではあるまい?」

「愚問だな。であれば、取るべき手段は一つか」

 

 ここからがある意味で問題のシーンです。

 ヴァルゼライド閣下とカグツチがいよいよ聖戦を始めるために、まずはヴェンデッタ姉貴を機械に繋げる必要があります。ですがそのまま繋げばまた黄泉へと帰ってしまう可能性があるため、現世(こちら)に繋ぎ止める楔が必要となるのです。

 ……もうお分かりでしょうが、ゼファーさんにはここで新たな宇宙を生む礎となってもらいます。彼は犠牲になったのだ、聖戦を発動させる、その犠牲にな……

 

 一応、簡単に閣下たちの目的などを説明してくれるのですが、今更ですし全スキップ。

 気になる方はこの『シルヴァリオサーガRPG』か『シルヴァリオ ヴェンデッタ』を購入して自分の目で確かめてくれ!

 

「──以上が俺たちの目的だ。そしてついに見つけた琴弾こそお前なのだ、吟遊詩人(オルフェウス)。ああ、もちろん恨んでくれて構わない。お前からの責苦は地獄で永劫贖おうとも。だが、”勝つ”のは俺だ」

「う、あ……」

 

 ここで放っておけばヴァルゼライド閣下がゼファーさんを斬るのですが、それだとイベント会話が発生し少々ロスとなってしまいます。さらに閣下には接続装置の調整などもしてもらわねばならないので二重のロスです。

 

 なので最短を取るなら、プレイヤーがゼファーさんを斬った方が早いです

 

 選択肢で【ヴァルゼライドに協力する】と【ヴァルゼライドに敵対する】の2つが出てきたら迷わず前者を選択! あまりにも外道な絵面ですが【光の亡者】となったのでそんなもんでしょう*2

 

「な、おい、どういうことだよ……?」

「──やはり、俺やハーヴェスと同類だったか。度し難いが、俺に責める資格もない」

「これはまた、面白いものが見れそうだな」

 

 三者三様の反応を聞き流しながら対ゼファーさんの開始です。

 といっても、ここでの戦闘は大した問題にはなりません。ゼファーさんは高い基礎ステータスと、さらに追い詰められたらバフの発生する固有個性【銀狼の刃】を所持した難敵ですが、この場合は動揺からデバフが掛かっております。対してアイナ姉貴はダメージこそ嵩んでますが基礎ステータスはそれなり以上、また【光の亡者】もあるので不意の逆襲も問題ないです。

 なのでまあ、ここでの戦闘はぶっちゃけ流れ作業です。刃をいくらか交えたところで影で不意打ち、得物を弾いてどつけば終了です。これまでの難敵と比べると笑っちゃうくらい楽で助かります。

 

 ゼファーさんごめんなさい……マイナ姉貴ごめんなさい……僕を死刑にしてください!

 

 ──といったところで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 


 

 対峙するは英雄と逆襲劇にあらず。

 英雄の輝きに焦がれた女と、信頼していた相手に刃を向けられ戸惑う人狼だった。

 

「どういうつもりだ、アイナ……」

「ごめんね、ゼファー。だけどボクは、ヴァルゼライド大佐の野望こそ”やりたいこと”だなと思っちゃったんだ」

 

 言葉の中に申し訳なさは確かにある。謝罪は心の底から発されていて、だからゼファーには一つの理解も出来ないのだ。

 なんで謝りながら殺意を向けることが出来るのだ? 仮にもこの数年共に過ごした相手に何故軽々と剣を向けることが出来る? 訳が分からないし、得体の知れない恐怖から逃げ出そうとするゼファーを責められる者は誰もいないだろう。

 

「ボクは今まで自分の心に素直になってきた。貧民窟(スラム)で君と出会ったのだって打算があった訳じゃない。自分の知らない世界を知りたくて、君たちと仲良くなってみたくて、その想いを胸にここまで生きてきた」

「だったらこんなことする必要はないだろ! やめてくれアイナ、あんな意味の分からない理想なんざに憧れちゃ駄目だ。聖戦? 第二太陽(アマテラス)を降誕させる? そんなのどっか遠くで勝手にやってれば良いんだ、俺らが関わる理由はどこにもない!」

「いいや、ある。ボクらは帝国軍人だから、戦えない誰かの明日を守る義務がある。そしてヴァルゼライド大佐の語った懸念は本物で、誰が相手だろうとあの人が負けるなんてあり得ない。なら後は、個人と全体のどちらを取るかという話に帰結するんだ」

 

 理解は出来る。個人と民衆、どちらかを幸福にしてどちらかを不幸にする必要があるというのなら、誰だって民衆を幸福にするし個人を不幸にするだろう。正しい理屈であり逆を選ぶ人間こそが愚か者なのは間違いない。

 しかし、だ。その()()()()()()()()()からすればそんな理屈はクソくらえでしかない。誰かの為に犠牲になれ? なんだそれは、ふざけるな。真顔で(おか)しいことを実行できる強さになんてこれっぽっちも憧れない。

 

 ましてや、大切な仲間と顔も知らない誰かを天秤にかけられる人間など──考えたくもない悪夢だった。

 

「君と過ごした日々は楽しかった、嘘じゃない。だからこそ、終わらせるならボク自身の手が良いという我が儘を許してほしい」

「……俺はさ、アンタのことをいい友人だと思ってたよ。ちょっと怖いときもあるけど気のイイ奴だって。それがまさか、こんな頭のイカレた奴だなんて思いもしなかったなッ!」

 

 決別の言葉は強く、固く、そして覆されはしない。

 これこそが光の宿啊(しゅくあ)なのだ。切っ掛けもそれまでの道程も関係ない。決意したその瞬間、必ずやり遂げると意志の焔を燃やしてしまうから。鏖殺の車輪はあらゆる運命を轢殺してでも進むだろう。

 

「そう言われてしまうのは悲しいけど、やっぱりボクは理想(ヒカリ)を追い求めたいんだよ。これでも帝国貴族の一員だからさ、どんな手を使ってでも国を良くしたい気持ちは本物なんだ」

「ふざけんな! だから俺をアイツらに差し出して全部丸く収まるってか!? 俺は嫌だね、そんな結末は認めてやらない。無様だろうが愚かだろうが足掻いてやる!」

「……うん、好きなだけ恨んでくれていいよ。本当にごめん、ごめんね親友(ゼファー)。だけど代わりに、必ずボクが君を最高の功労者として偲ぶから。片時も忘れず、背負うから──」

 

 おぞましい。どこまでもおぞましくて、恐ろしい。

 同じ言語を使っているはずなのに、アイナの言葉が一言も理解できない。脳が解釈を拒むのだ。

 そして彼女は、祈る様にほんの一瞬だけ瞠目して──覚悟の視線でゼファーを射抜いた。

 

「より良い明日のために、君の無念を背負ってボクは歩むよ」

「ぐ、うぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁァァッ!」

 

 もはや言葉など通じない。

 ついに拒絶と恐怖が振り切れたゼファーは、ナイフを片手に光の亡者(アイナ・ハーヴェス)へと駆けだして──順当に、敗北した。

*1
ただし聖戦で全員仲良く吹っ飛びますが

*2
逆に敵対するを選んだらかなり難易度は高く変則的な手法ですが、まさかのゼファーさんルートが発生したりします




ホントごめんなさいゼファーさん……

・アイナ・ハーヴェス
光に焦がれてしまったヤベー奴。自分のやりたい事に正直だけど、その為なら何をしても惜しくないという頭のおかしい人間。スラムで施しをしたのも、ここで聖戦のための犠牲としたのもたぶん同じくらい「やりたいこと」だった。

・ゼファーさん
本作の被害者枠。まさかこんなことになるとは思わなかった。
信じていた仲間が実は最初から光に頭をやられていて、ここまで仲良くやれてたのにいきなり裏切られてしまった。しかも聖戦エンドなので逆襲もなし。どうすればいいんだ……
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