(完結)成層圏にて燃えるもの【IS×DARKSOULS】   作:エーブリス

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もうチーム戦の戦闘描写書きたくない…Orz


躊躇は闇呑、失自の静止

あの時、試みは失敗に終わっていた

もし蘇るようであれば…手を下す使命は、私が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は遂に学年別トーナメントの日である。

 

 

今、打鉄を纏って戦う彼女は何時ぞやの実習にて【彼】の特別授業という名の手ほどきを受けた内の一人だ。あの時は基礎中の基礎しかやらなかったものの、その基礎が後の訓練にも大きく影響し以前とは見違えるほどの剣の威力を手にした。恐らく専用機持ちを除けば十分トーナメントの有力候補であると言えよう。

 

…だが、今回は相手が悪すぎた。

何せ彼女の基礎を作り上げた【彼】が初戦の敵であったからだ。

 

 

何度振っても当たらない、何度刀を振ろうが突こうがアックスマンには掠り傷一つ負わせられない。当たるとしたら、その時は丸みを帯びた小さな盾で、その丸みによって刀の勢いをそのまま逃がされてしまい斬撃としては勿論打撃としても威力が出ない。焦りから、段々と彼女の攻撃にムラが出来、遂にはやけくそで上段構えからの振り下ろしを放つ。

彼はその振り下ろしにタイミングを合わせて打鉄の足を両刃の大斧で引っかけ、その足を払った。

 

足払いと自分の振り下ろしの勢いで彼女は勢いよく回り、最後は地面に背中を叩きつけるのと同時に大斧の一撃を振り下ろして戦闘不能にした。

 

 

彼が後ろを向くと、ラファールを纏う女子生徒がラウラのAICの術中に嵌り成す術もなくレールカノンによって撃墜された。

 

試合は、ラウラと【彼】の圧勝で終わった。

両者は互いを暫しの間睨み合いながら、アリーナから退場する。

 

 

 

――――そうだ、トーナメントにおける【彼】のペアはラウラ・ボーデヴィッヒだ。

抽選という運命に導かれたのではない、彼自身が彼女と組むことを選んだのだ。

 

彼の選んだ道である…例え誰かが気に入らなくともその先へと進まねばならない。例え自分自身が気に入らなくても、だ。その為にも道は自分で切り開かねばならない、近道も出来るだろうが大抵碌なモノじゃない…だから遠くなろうとも道は筋に沿ってしっかりと踏みしめ進む。

 

 

映る景色には、色が宿っている。

 

 

【彼】はISを解除してそのまま更衣室に向かった。

…更衣室には一夏とシャルロットの二人が待機しており、彼が戻ってきたをの見ると両者そちらを見た。

 

 

「佐々木…お前」

 

「まさか潤がラウラとペアになるなんて…」

 

二人は驚愕が抜けきってい居ないような表情を見せている。

何せラウラと【彼】は一年次の中ではトップクラス…いや、最強と言っても過言ではない実力の持ち主だ…そんな二人がタッグを組めば並大抵の相手など取るに足らないというわけで、優勝も容易い事だろう。

更に言うと、2回戦目でもし一夏とシャルロットのペアが勝ち残っていれば【彼】とラウラのペアと当たる事となる。

 

しかし二人にとっては相手の手強さなどさして問題ではないようだ。

もっと別の所に問題の理由があるためである。

 

 

「…なあ、佐々木。

お前本当に自分からラウラと組んだのか?」

 

ああそうだ、と一夏の言葉を肯定する彼の顔は無情だ。

いつもそうなのだ…試練の道を行く時は尚更。

 

 

学園での生活で忘れられていたが、本来彼は孤独のままに歩き続ける孤高の存在であるハズなのだ。

我らの呪いを…新しい魂にまで引き継がせてはならない

 

「…何か考えがあるんだよね、潤」

 

彼は何も言わない。

内容故に話すことが出来ないのだ…事情の秘匿性が今回の孤独の所以でもある。

 

彼らに何かを感づかせるわけにもいかない、【彼】は次の戦いが始まると言って2人の質問をあやふやにした。次は一夏とシャルロットの出番である。

2人の相手には篠ノ之箒もいるようだ、彼女は剣道経験者(それも全国制覇)ではあるだけあるのだが…格闘の天才であっても戦闘の天才ではない、ルール上以外は生き残る事は難しいと思われる。

 

きっと2人は勝ち残るだろう…。

そうなれば【彼】はこの二人との戦いは避けられない…いや、ラウラと組んだ時点でどう転んでも避けられない運命であると言えるかもしれない。

 

だが…それでも…―――何度も言うようだが―――これは選んだ道である。

 

 

 

 

 

2人は疑念を引きずったまま試合に臨んだ。

去っていく彼らを見送りながら【彼】は長椅子に腰を下ろした。

 

また、待つのである。

時間は戻すも進むも人の手では及ばない…。

 

 

 

 

 

本当に虚ろだ、此処には環境音以外特に何もない。映像と共に戦闘音が試合の様子を伝えているだけで、人気は一切なくなった…何せここは3人(正しくは2人)しか居ない男のための場所である。余程物好きで無ければ入ろうとは思わんだろう。まあその物好きがザっと100人ほどいるのがこの学園だったりするが、最近は何気に時も経って落ち着いてきており入学初期のようなギャラリーの喧騒はない。

そういう意味でも物好きしか入らない…そういう場所なのだ男子用更衣室は。

 

…ふと、自分のロッカーから何か零れているのを【彼】は目にした。

手に取るとそれは―――――――昔からずっと持ってた(いつから持ってたのか定かではない)掠れたペンダントだ。

 

特別貴重でも何でもない紋様も絵画も剥げて、最早何が何のためのペンダントであったかも定かではない。ただずっとずっと持っていて、結局何やかんやと災難があっても持って行った割と謎の品である。

辛うじて確認できる六角の星のマークを撫でて、最後はまたロッカーの奥深くに仕舞い込んだ。

貴方だけが、落ちたソウルを救う炎の光

人には幼き嘗てがある、英雄・怪物の兄弟…名のある家の子…戦闘用の試験管ベビー…海外からの転校生…人それぞれだ、人は始まりの近くに個人的なルーツを皆抱えているのだ。

しかし【彼】にはその部分が欠落している、薪の王?バカを言え、終わりかけの話だろう。寧ろそれら火継ぎの過程が彼の始まりを摩耗させて消したのだともいえよう。だからこそ、あのペンダントは始まりを記すための…人を人として補完するための何かであるのかもしれない。

 

随分と感傷に浸ったなと、彼は一度姿勢を正した。

天を仰いでも清潔な低い天井があるだけで考えるような突き抜けた清々しい天空はなかった。

 

 

 

 

…気が付くと一夏とシャルロットの試合は終わっていた。

無論、専用機が汎用機に負けることなど到底無いので男子タッグ(仮)の勝利に終わり、箒とその相棒は敗北の悔しさを噛み締めていた。

 

彼は二人が近いうち戻ってくることを悟り、しかし特に動くわけでもなくただ待ち続けた。

どうしても成し得なければならない事にこれ以上の会話も取引も要らない。次の対戦相手、それだけの他人…今はこれを徹する他ない。

 

 

 

 

――――やはり、と彼は席を立った。

そして個室トイレに立てこもる。外見は非常に悪いが、確実に人を静寂な孤独に導ける数少ない場所でもある。

 

【彼】は極楽の千日より穢土のナントヤラ…という言葉の意味を別の側面で理解した。

どうやら自分は相当甘くなっていたらしい、と。自分を恥じていた。

 

 

 

 

結局、2回戦の出番が来る直前までここに籠っている事となった。

 

 

 

 

    ◆  ◆    ◆  ◆    ◆  ◆

 

カタパルトで待機するアックスマンとシュバルツェア・レーゲン。ここから先は一寸の迷いですら許されないし、彼にも一寸の迷いも何も無かった。

向こう側には白式とラファールカスタムが自分らと同じように待機しているのだろう、そう僅かに考えつつも彼は心を刃に変える。

 

…その瞬間、カタパルトに力が供給され4人はガクンッと瞬く間にアリーナへと投げだされる。

対面の訪れは一瞬であった。一夏とラウラは何も言わずに睨み合う…その傍でも【彼】とシャルロットが互いだけでなく全体の状況を見つめていた。

 

ゴングまでのカウントダウンが開始され皆最初の一瞬を待つ。

その間、殺気はより鋭利な刃先と化してその全てが標的を狙い穿つ。

 

 

 

拡張現実のヒカリ

――――――――――――――――ブザーが鳴り響いた!

Vanishing Road

 

 

 

 

いの一番で仕掛けてきたのは一夏の白式だった!彼は何物にも構わず一直線でラウラのレーゲンを雪片弐型と共に穿ちにゆく。

…一見無謀にも思えるこの突撃、彼は全体を見ることでその本当の狙いを見抜く。

 

 

ラファールカスタムは白式を壁にレーゲンの視界から隠れる様に移動している…日本でいうところのジェット何某のような多段階攻撃を仕掛けるつもりだ。

彼はすかさずラウラの目の前を狙って初めから握っていたグレネードをアンダースローで投げた。恐らく白式は一度AICを自分の突きに向かって発動させ、そちらに集中させたところを飛び出てきたラファールカスタムの奇襲で有効なダメージを与えていく算段であると考えた彼は、その直前にグレネードが炸裂して出端を挫くようタイミングを調整して投げた。

 

…だが【彼】の目論見は、白式の予想外の行動によって外れることとなる!

 

なんと白式がアックスマンへとイグニッションブーストを使って急襲を仕掛けた!

その後ろで張り付いていたラファールカスタムはその直後にマシンガンでレーゲンへと攻撃を仕掛けて先手を取り、そのまま離脱する。

 

 

アックスマンは肩の“斧”を手に取り、対の手に中盾を構えて白式を迎え撃つ!

…が、白式はアックスマンとかち合う直前でスライディングを決めて砂埃を立て、【彼】の視界の一切を遮る!

 

彼が斧の一振りで砂塵を払った時には既にラファールカスタムと共にレーゲンを追い詰めており、彼は相手の行動の本当の意味を知る。

 

 

当初は先ず比較的倒しやすいであろうラウラを重点的に狙ってくるかと思われた。実際その場合は彼は容赦なく横槍を入れまくるし、作戦どころではなくなる。

だが実際は違った…確かにラウラを狙う事には変わりないが、【彼】への対処は放置ではなく定期的に動きを封じるか、手出し出来ない状況を作る事である。

 

ならばこの次の妨害は何だ…?ラファールカスタムの銃撃か?確かに射撃兵装が若干乏しいアックスマンにはマシンガンでチクチク刺されながら中距離戦闘を強いられるなど悪夢の極みである。しかしそうなればレーゲンが手薄になる…【彼】ほどの脅威ではないにしろ、本人の実力が高い上にAICなんてシロモノがあるわけだ…2人掛かりで挑まなければ円滑な作戦行動は難しく、泥沼と化すのは目に見えている。

 

 

 

 

となると、白式だ。

ラウラは白式にお熱な訳で、完全にではないにしろ一夏に釣られる傾向がある。それを丸ごと囮に使ってあらゆる手を尽くしてくるだろう。

 

ならば…と、アックスマンは中盾と斧を収納し、拡張領域よりタワーシールドを“2枚”呼び出した!

――――思いっきり暴れるつもりである。

 

 

自分の用心深さを狙われたのなら、それを捨てるまで。

簡単なことだ、【彼】とラウラを墜とすという作戦ならおそらく二人の実力からしてかなり高度なものになるだろう…そういう作戦こそペースを乱されるとほぼ全体的に狂う。

 

彼は今、久方ぶりにイグニッションブーストを使った!同時にラージミサイルも発射する。

衝角のように斜めに構えた二対の盾…それをイグニッションブーストによる超加速での突撃でぶつけた時の衝撃力は、あの大扉の盾の突撃攻撃にも匹敵、いや大きく上回るであろう。

そしてミサイルの方もイグニッションブーストの加速が乗ったことで追尾性は多少難がでるだろうが単純に速度は上がった…照準さえ合っていれば命中率は跳ね上がる。

 

 

「ッ!?

一夏!」

 

「え…――――――――――――――――うわぁあッ!?」

 

激突――――その時、車の衝突事故かそれ以上のものを思わせる鈍く痛々しい衝撃音が鳴り響く。

ISが無ければ常人はこれで即死…酷いとミンチだ。白式はこれによって大きく吹っ飛ばされ、壁に激突…そしてダメ押しで加速されたラージミサイルの直撃を受けた。

 

 

その間にも【彼】は一夏をラウラに押し付けてシャルロットへと突貫する。

再び中盾と斧の組み合わせに持ち替え、銃撃を避ける様に蛇行しながらラファールカスタムへと接近する。

 

しかし向こうも黙ってそれを許すわけがない、ラピッドスイッチを使い様々な武器に切り替えながら自分のペースを保つシャルロット…だが、戦闘の達人たる【彼】はそのペースこそ最優先に崩そうとしていたのだ!

 

 

中距離戦を得意とするものにとって自分のペースは何よりも大事である、近接戦闘をする者と違って緊急時をその場の勢いで上手く戦闘を有利に持って行くことが困難であるからだ。

彼は斧を投擲し、右手をフリーにした。

中盾というタワーシールドより防御面積の限られる盾を、自分の身体を側面に構えることで上手く体を盾の範囲に収めつつ、自由になった右手で地面の砂を抉り取る。

 

…彼女の動きと動きの隙間を見極めた【彼】は、その隙間に向かって握った砂を全力で投げた。

IS用キャノン砲の1.5倍と言われるパワーで投げられた砂など最早散弾バズーカに等しい、それを無防備な状態で直撃を許してしまったラファールカスタムは怯み、その間にアックスマンは今度は大斧を手に接近する!

 

 

 

彼女は銃では間に合わないと踏んで近接戦闘兵装のブレッド・スライサーに持ち替え突きを放つものの、【彼】にとってその手の攻撃は悪手中の悪手で…一度中盾で受けてからのパリィで弾かれ、ガードのない胴体へと渾身のタックルを喰らって壁まですっ飛ばされてしまう。タックルの勢いで壁に叩き付けられたラファールカスタムは衝撃で気が遠くなり、【彼】はそこへ突撃槍による突撃をイグニッションブーストで強化し一瞬で差し迫る!

 

―――――――――――間一髪、シャルロットが意識を取り戻し刺突を回避する!

そのカウンターとして盾を展開し盾殺し(シールド・ピアース)を差し込む!

 

 

 

「…やっと捉えたよ、潤!」

 

強烈な爆裂音が響き渡る!

1発!2発!3発!これだけのとっつきを喰らえば流石のアックスマンとて無事ではない…鳩尾へとモロにダメージを受けた【彼】はグレートヘルムの中で嗚咽を吐き、その場に崩れ落ちた。

かなり当たり所が悪かった(シャルロットにとってはかなり良かった)ようで、想像の数倍以上の衝撃が彼を襲い一切の行動を奪う…彼の体内は今非常に混沌と荒れ狂っていた、いつまでも呼吸が整わず、視界もかなり揺れている。その間にラファールカスタムは飛び去りレーゲンへと奇襲をかけて再びラウラのペースを狂わせに行った。

 

 

彼は己の不覚を恥じ、そして若い世代の爆発力に感心して、ゆっくりと目を瞑った。

もしも彼らと年齢が同じであれば…自分はずっと遅れた存在であった、と。

 

彼は息を吸う…ゆっくりと、しかし膨大に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――彼は吠えた!!!!!

それによる強烈な音波は、まるで大地の神の咆哮!それはあらゆる人間の意識を一瞬遥か遠くへと吹っ飛ばす!!

彼は叫びによって得た勢いを脚力と腕力に回し、渾身の力で駆け出した!

 

…ウォークライだ。

雄たけびによって己を鼓舞することで一時的に攻撃力を飛躍させる力技である。

 

 

彼は白式へと迫る!その間にもずっと叫び続けた。彼に威圧された一夏は反応が遅れ、大斧の一撃を許してしまう。この一撃で体勢を崩した白式へ大斧を持つ手とは対の手に持った突撃槍による刺突を仕掛け、そして最後に大斧を空高くから一夏の肩に振り下ろして強打、地に伏せさせた。

 

 

その直後、ラファールカスタムが白式の援護に飛んで来たので彼は袖下のフックに指をかけてチェーンを引っ張り出す。

本来このISが作業用であった名残を、大斧の柄頭にある穴に引っかけて固定し、鎖武器として頭上で振り回してラファールカスタムを近づけないようにした。

 

不規則に動く鎖斧に手を焼いているラファールカスタムに、急遽鎖斧が軌道を変えて襲い掛かる!

突然の事で咄嗟に動く事の出来なかったシャルロットはソレによって撃墜され、顔から地面に叩き付けられる事となった。

 

 

そして再び入れ替わるように白式がアックスマンへ突貫、それを見た【彼】はフックから大斧を外しチェーン単体で白式の持つ雪片へと吹っ掛ける。

刀に巻き付いたチェーンを思いっきり引っ張り白式の武装をはぎ取って、すかさずの左フックの連発で攻め立てる。7発目あたりで流石に左フックはガードされるも、それに驚くこともなく今度は右手でボディーブローを放つ。

 

前かがみになった一夏を、【彼】は腰あたりから掴んで天地をひっくり返しつつ持ち上げ、プロレスラーよろしくそのまま脳天から思いっきり叩きつけた!

拡張領域より大剣を呼び出し倒れ伏す一夏にトドメの一突きを放つ――――――――――――――――だがその直前でアックスマンの手にワイヤーブレードが巻き付く!

 

 

「そいつは私の獲物だ…手を出すなと言っただろ!」

 

こんな時までに…!とラウラの自我の強さに憤慨する彼にアサルトカノンの横やりが容赦なく吹き荒れる!

彼は咄嗟に呼び出した小盾で凌ぐものの、流石に防御面積も受け能力も限界のある小盾では分が悪く、ワイヤーブレードが腕に巻き付いている事もあってか【彼】は攻めあぐねる。

 

その間にも一夏は立ち上がって再び雪片を広い、今度は零落白夜を発動してアックスマンへと斬りかかる!

放たれた突きの一閃を超絶的な反射力で身を捻る事で間一髪躱し、自分の真横ををすり抜けていった一夏へと回し飛び蹴りを放つ!

 

 

そして残ったラファールカスタムは、腕に巻き付けられたワイヤーブレードを逆に利用してレーゲンを物凄い力でぶん回し、ラファールカスタムへと叩き付ける!

一連の行動を終えた後【彼】は荒い息を吐きながらワイヤーブレードを解き、地面に投げ捨てた。その勢いで先にラファールカスタムからトドメを刺しに行く。

 

―――――突然、背中から凄まじい衝撃が襲った!

まるで旧式のカノン砲にも匹敵する大質量の一撃を受けて彼は体勢を崩し、膝をつく。

 

 

…白式が背後よりタックルを仕掛けたのだ!

すかさず一夏はトドメを刺さんと零落白夜を発動したまま雪片を振り下ろさんとするも、その前に腕に組みつかれて取り押さえられ、今度はアサルトカノンで援護射撃を行ってくるラファールカスタムに対する盾とされてしまった。

 

…やがてエネルギーの枯渇で零落白夜も解除され、戦闘不能直前まで陥った白式はアックスマンの膝で地面に組み伏せられ、一切の行動が出来なくなってしまう。

 

 

 

 

アックスマンは装備をタワーシールドとビームバズーカに切り替えた。

タワーシールドでラファールカスタムの銃撃を受けつつ最大収縮させたビームバズーカで一気に勝負を決めに行く考えだ。

 

どうやら先のレーゲンとの激突の際、差し込むように斬弾を使ったことで盾殺し(シールド・ピアース)はもう使えないようだ。

彼はタワーシールドの陰に隠れ、最後の一瞬を待つ。

 

 

――――――――――――――――その時であった!彼の魂が、危機を感じ取ったのは!

 

 

 

 

 

…彼女の中で蠢く、消せない悪夢の記憶がソレに力を与えて行く。

ソレは彼女に巣食う膨大な陰我を奪い去り、糧として己に取り込みながら無双たるものを漆黒を使い形作ってゆく。

 

彼女の太陽は上ることなく逝き、そして衝動は今解放される…!

それでもこの闇を打ち消せる極光を掴む、その日までは…!

 

 

 

 

彼は咄嗟に収縮途中のビームバズーカをレーゲン…であった何かに撃ち込む!

しかし最早シュバルツェア・レーゲンであった面影など残さない汚泥はそれすら飲み込んで膨れ上がり、やがて人型を作り上げる…!

 

やがて色が付いてゆくその面影は…嘗てブリュンヒルデと呼ばれ始めた時の織斑千冬と、その愛機・暮桜と瓜二つ…であるが、纏うその邪気は全く似ても似つかない。

 

 

 

遅かったか…彼は舌打ちを打って、タワーシールドとビームバズーカを投げ捨て方の斧を引き抜いた。

 

 

 

そうだ、これこそが今回【彼】が最も警戒し、ラウラと手を組むにまで至った元凶…その名もVT(ヴァルキリートレース)システム――――だが、最早それも今目の前にいる織斑千冬擬きの要素の一部でしかない。

奴は…奴こそが、魂を喰らう怪物。

 

   “気を付けろ、奴はデーモンだ!”

 

 

 

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