(完結)成層圏にて燃えるもの【IS×DARKSOULS】   作:エーブリス

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このエーブリス、当社比で今まで以上に伸びてる気がして割とビビッてるで候。はやく戦闘書きたーい。






聞かず。

 

此処、IS学園は(ざっくりと言えば)IS…正式名称インフィニットストラトスというマルチフォームスーツについて学ぶ施設だ。

乗り回す事を志す者や、整備する事を志す者等…様々な者がISという共通点を元に集う場所。

 

渇望の溜まり場と【彼(通称・佐々木潤)】はそう言い現わした。

人間、欲してこそなのだ。

 

ただ高く、ただ強く、ただ上へ…そうして食い合う事でしか、人間に可能性など無い。

――――彼が生きた“あの世界”は、少なくともそうだった。

 

 

 

鐘が鳴る。

…とは言っても【彼】が慣れ親しんだ分厚く腹の内まで響くような音ではなく、電子音の軽く滑らかで穏やかなチャイムだ。

 

しかし彼の心は穏やかでは居られない。

暗く惨めな北の不死院と、見渡す限り好奇の眼で溢れる教室…一体どちらがマシなのだろうか。

 

 

そして、気がついたら一夏は消えていた。

一体何時の間に消えたのだろうか。

 

確か先程まで彼と同じ様に視線の数々に分かりやすく悩まされていたハズだが…。

一夏には悪いが、彼には囮になってもらい、その隙に【彼】は人目の付かない所でまた一休みする算段で居た…のだが、これでは逆に利用されてしまった気分だ。

 

 

 

今逃げても容易に追跡されるだろう…何せ、他クラスからも人が来ている。

持つ術を遍く使い、それを撒く事も出来なくはないが…この程度で労力を使いたくはない。

 

 

…そしてこの時になって【彼】は、この視線が落ち着かない本当の理由(と思われる)を思い出した。

何かに似てると思えばアレだ、かのドラングレイグの祭祀場にて立ちはだかる番兵との戦い…その監視者として佇んでいた黒竜騎士たちだ。

 

大階段の最後の試練の途中、偶々攻撃が監視役の一人に当たってしまい…その先は語る事すら憚られる。所謂大惨事である。

 

 

この事(トラウマ)を思い出したら余計に視線がキツい物となった。

この人数が全員敵対してくる事態を想像してみると…そんな、馬鹿馬鹿しい。

 

思い出さない方が無難であったかと彼は疑惑気味に後悔した。

只々、余計に己を混乱させただけでは無いか。

 

 

 

――――再び鐘が鳴る。

その直前に教室の外側のギャラリーたちは、ゾロゾロと自分の教室へ帰っていき、外出していたこの教室の生徒たちもまた次々と帰ってきた。

 

 

全員集まった所で担任の山田先生が教卓につき、授業を開始した。

教科書を見ろとの指示があったので、【彼】は指定されたページを開きパラパラとめくった。

 

彼女の声は(少なくとも男性にとっては)優しく、言った事が馴染むような声だった…が、肝心の用語や単語が(男子二人にとって)複雑そして難解過ぎて頭に入らない。

 

 

分かりやすいのは、やはり一夏だった。

彼の脳という袋にありったけの「?」が詰め込まれていることを親切に顔に表している。

そのうち「いつか破裂しそうです」という苦悶の表情になった。本当に分かりやすい男だ。

 

そして【彼】はと言うと、取り敢えず分かっていそうで、その実よく分からない部分を適当に流しているだけだと言う。

学園最年長(極秘情報)故の読解力で僅かに理解している分、教育者にとっては一番厄介な生徒だろう…何事も、素直な相手というのは有難いらしい。

 

 

寧ろ…だ。数年前まで機械やハイテク等とは、六等星の様に遠い所にいた男が、ここまでやれた事だけ褒めるべきではないだろうか。

…しかしその程度で、この厳しい世界は見向きもしないだろう。

 

 

「織斑君、何か分からない所はありますか?」

 

山田先生の優しげな声。

一夏に白羽の矢が立ったのだ…腹痛を抱えたような顔をしていたので当然といえば当然であろうが。

しかしその優しさが最大の毒となっているようだ。

 

「あの…先生…」

 

「はい、織斑君」

 

「先生…俺…」

 

彼は所謂バスケットボールがしたいのだろうか…。

以前に聞いた言葉を思い出し、禄でも無い思考を巡らす。

 

そしてしばらくの間、無言が続く。

 

 

「えっと、織斑君?」

 

「先生…俺、最初から最後まで…全く、分かりませぇん…!」

 

 

 

だろうな、と【彼】は呟く。

 

「えっと…他に誰か、分からない人は?

―――――あ!佐々木君は大丈夫?」

 

突然指名された【彼】はワンテンポ遅れて(学生として許される範囲で)適当な返事で理解している事を伝えた。

 

「それはよかった…」

 

半分以上ウソであるが。

悪いが恥なら一人でかいてくれ。

 

 

返事の直後に勇ましい女の声――――織斑千冬が一夏へ近づく。

そこから始まった二人のやり取りを聞き流していた【彼】は、突如鳴り響いた雷鳴が如き打撃音に身構えるも、音の正体を知るとまた教科書を見つめ直した。

 

そして何時しか、三度鐘が鳴った。

男子二人、結果として授業の方は全く聞いてなかった。

 

 

…また生徒たちが教室の外へなだれ込む。

その様子を呆然と眺めていた【彼】は、呆然とする一夏を見つける。

 

先程より絞られ続けている彼が少々不憫に思えて、スッと椅子から立ち上がり彼の元へ寄った。

 

 

 

「――――ん?あんたは…」

 

お前と同じだ、と【彼】は返す。

 

「ああ…二人目の。

えっと、よろしくな」

 

二人は互いに手を差し出し、握手を交わした。

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「ん…?」

 

二人の間に割って入ってくる、ロールヘアーの女。

名を確か、セシリア・オルコットと言ったか…呆けた記憶から思い出そうとする【彼】を置き去りに彼女は、まるで非常識的なモノを見たような顔で「まぁ!」と驚いて見せた。

 

【彼】も一夏も、突然の事に面食らうが、セシリアが次いで「何ですの?その反応は…」云々と続けた途端【彼】は面倒な事になると察して彼女の言葉をシカトし続けた。

 

 

ふと、彼のポケットから振動が響く。

密かに持ちこんだ端末機器だ…学園の規則的にバレたら不味いのだが、彼の不死人の事情により黙ってでも持ちこむ必要があったのだ。

 

画面には、一通の“とある報告”を知らせるメッセージが書かれていた。

内容が内容なので今すぐにでも返事をしたかったが、面倒くさい女が近くに居てはそれもできない。

 

 

そして件の面倒くさい女が、こちらのシカトに気がついてしまった。

 

「…ちょっと!聞いていますの!?」

 

激しい剣幕を前にそよ風を浴びるが如く平然と立ち、質問には素直に答えた。

何も聞いていなかったと。

 

当然、彼女のプライドを酷く傷つける訳であって、火に油を注ぐ事となった。

 

 

「どうしたんだ?腹痛いのか?」

 

わなわなと怒りで震えあがるセシリアに、素で気を使う一夏。

 

「ええ、そうですわ…あなた方のおかげで胃に穴が開きそうですわ…!」

 

 

えぇ…と、理不尽に対して不満を訴えた。

 

―――そしてまた鐘が鳴ると、何か捨て台詞を吐いて立ち去った彼女の背中を見て【彼】は「二度と近づかないでくれ」と心の内で強く願った。

 

 

そして授業が開始するまでの間に、再び端末を見る。

…写された画像には、かの地(アノールロンド)への道を護ったアイアンゴーレムを思わせる人型機械の姿。

 

 

[AX=MAN]と書かれたタイトルに目を向けると、【彼】はにやりと静かに笑った。

 

 

 

何時使うか知らないが、楽しみだ…と。

 




ダクソうっすい!うっすい!
薄過ぎて魚沼宇水になったわね。

…次回からもっとダクソしまーす(汗)

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