(完結)成層圏にて燃えるもの【IS×DARKSOULS】   作:エーブリス

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間違えて消してしまったので再投稿しました(-_-;)


意思(いのち)を絶つ覚悟。

「束様、薪の人は、もう…」

 

「心配ないよ。アレが約束投げ出して死ねる訳がないんだから」

 

 

「――――薪の人、どうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<――――…二次移行(セカンドシフト)の最終段階への移行を確認、コード【32.11.42.13.24.15】起動。

共振開始…………完了、システム【黒檀の帝王】との接続を開始します…――――>

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだ…どうしちまったんだよ、佐々木…!

何で、こんな――――!」

 

余りの惨劇に慟哭する一夏の先には、黒く染まり変わり果てた【彼】が、たった今その手に持った剣でシャルロットを殺害していた。いや、彼女だけではない…海域は専用機持ちの遺体が辺り一面に転がっていた。ついさっきまで、確かに生きていたハズの彼女たちが…。

 

一夏は崩れそうな心と身体を、雪片の柄を再び握りしめる事でどうにか形を保つ。

吐き出さない様にするだけでも精一杯だった…多くの友がただの骸へとなり果て、その原因が一人の友であるという事実。これを飲み込むには余りにも衝撃的で、そして一夏が若すぎた。

 

 

彼は剣に付いた血糊を振り払い、白式を解除された一夏へとその切っ先を向け110001111000000111010001110001111000000111001001110001111000000101110101110001111000000100100001110001111000000101101101110001111000000100100101110001111000000111110101110001111000000100000101110001111000000101111101110001111000000111000101110001111000000101100101110001111000000100100001110001110100000110110001

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――違う、これではない…!

その強い意志は、鎧姿の彼を目覚めへと訪れさせた。

 

 

 

…いや、本来は目覚めて等居ないのかもしれない。何せ今、彼は深海の底ではなく広大な灰の大地に居るのだから。

小さな風によって灰が僅かに舞い、地の表面を河の様に流れていく様は一種の芸術性すら感じさせる…日は陰り空は黄昏れ、地平線の向こうはいくつもの灰の砂丘と、そして城塞と思しき荒廃した建築物が確認できる程度だった。

 

【彼】は灰の大地を踏みしめ、歩き始めた。

彼の経験が、足を前に進めた…只々歩き、彷徨い、進み続けたその先には己を待つ何かが存在するという経験が動力となったのだ。例え武器が1本も、良くて己の拳しか無くとも構わない。どうせ拾う機会はあるのだろうし、最悪覇者の印があるのでそれなりに戦う事も出来るハズだ。

 

 

たった今、城塞の廃墟を横切った。

何処にあった、何の王の城かは彼は知らない…しかし、その巨大さから余程力のあった王族の城だったのは間違いないと思いつつその城塞を後にした。

 

周りをザっと見回しても内部に入れそうな所は見当たらなかった、入れなければこれ以上この城に用はない。

 

 

また開けた場所に出た、目の前は周囲が砂丘に囲まれた非常に大きなクレーターだ。底には黒い液体が溜まっているのが見て取れる。

彼はこの黒い液体溜まりに言い様がない程に強烈な怪しさを覚え、クレーターを迂回することを決めた。

 

…結果的にその判断は正しかった。

クレーターの淵に沿って歩く途中、液体溜まりで何かが動くのを感じた【彼】は直ぐにそちらへ目を向けると溜まりから白く細長い腕が1本だけ不気味に伸びているのが見て取れた…。

彼はその腕が此方へと昇ってくることが無いか警戒しつつクレーターを迂回した。

 

 

結局、腕は【彼】が反対側まで渡り切る間何も行動を起こさずに再び液体へと沈んで行った。

軽くため息をついた彼は、また歩み始める。クレーターの先は、更に開けた場所であった。

 

今までのアップダウンの激しい砂丘とは違い何処までも平らな大地が続いており、ちらりほらりとレンガ造りの残骸が見受けられる程度にしか景色の代わり映えが無いシンプルな場所だ。更に何かしらの(それこそ液体黙りの腕のような)動く存在すらその気配を確認できず、恐らくは今まで以上にただ歩き続けるだけの時間が伸びるだろう。

 

 

しかし警戒を怠る訳にはいかない。

こういう場所ほど無から急に思いも寄らない程強力な存在が飛び出してくるものだ…そういったトラップに何度も引っかかっては殺された記憶を持つ彼は、その余りにも苦すぎる記憶を胸に神経を研ぎ澄まし、その拳を固く握りながら進んだ。

 

…とは言え、先ほどまでがそうだったように【彼】へと積極的に襲い掛かって来る存在はやはり居ない。いつも通り風が吹く音と彼が灰を踏みしめる音、たまにレンガの残骸が崩れる音が響く。崩れた壁に目をやると、レンガは酷く風化していつ崩れても可笑しく無かったのだと分かる。彼はふと周囲を見渡した…もし己の背より高い残骸があったとして、それらが自分の頭上に崩れてきたらどうなるのだろう。考えるだけでも恐ろしいが、考えなければこの先において瓦礫に押しつぶされることになるだろう。あの巨城を通り過ぎた時といい、今までが幸運だったのかもしれない。

 

 

―――――この時に、彼は“何か”に導かれているような感覚を覚えた。

確かに、彼の旅に置いて何か大いなる存在…それに近しい何かによって自分がある場所へと導かれているような事はあったが、今回は【彼】にとって何もかもが違う…言うなれば“露骨”なのだ。

 

露骨…というのも、今まで以上に何故か具体的に導かれている、まるで自分自身が何処へ向かうか分かっているかのような。

 

 

嫌な感覚に囚われつつも彼は“目的地”と思しき場所にたどり着いた。

…それはなんて事の無い、木造の小さな家屋だった。

 

彼は躊躇なく家屋のドアを開け、屋内へと入る。

最初に飛び込んで来た景色は…なんと“篝火”であった!彼がかの地の旅で幾度となく疲れを癒す他様々な目的のために使った、各所にて見られたあの篝火と全く同じ篝火が今目の前に現れたのだ。

 

屋内に…それもこんな狭い、木造の建物に直接篝火が焚かれている事に彼は滅茶苦茶さを感じたものの、燃え移る様子はないので一先ず良しという事にして篝火の隣に腰を下ろした。別に休憩する必要も無かったが、なんとなしに…反射的に腰を下ろしてしまったようである。

 

 

 

腰を下ろして、【彼】はある事に気が付いた。

篝火の隣に何かが添えられている…よく見ればそれは、作り物の左腕である事に彼は気付きソレを手に取った。

 

暫しの間、火に当てられていたようで鋼鉄のソレは思ったより熱かったが持てない程ではなかった…よく見ると薬指には銀猫の指輪が嵌められている。だがその目は赤く、そして【彼】の持つ指輪特有の力も感じられないので恐らくは(指の位置からして)只の婚約指輪か何かだったのだろうか…彼は左腕を元あった場所に戻し、いい加減立ち上がって外に出る事にした。

 

篝火を後にし、再び扉を開く…――――。

 

 

 

――――――――――――――――彼は驚愕した。

明らかに、間違いなく景色が変わっているのだ…!先ほどよりも高い建物の残骸が明らかに増え、ちらりほらりと武具らしき物も転がっているのが確認できる。彼が歩いてきた時には存在しなかったモノばかりだ。

 

そして極めつけが――――視線の先に立ち竦む、黒い外套を纏った男である。

 

顔もまた布に覆われて表情が確認できないその男は、肩に担いでいたバスタードソードの切っ先を【彼】に向けて交戦意思を示した…それを見た彼は近くに突き立てられていたロングソードを引き抜き両手で【構え】の体勢をとる。

 

 

何も変わりはなかった…何故戦いに来るのか分からないが聞く必要もない。

男は深く、沈み込む程に低く構えた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…戦いの火蓋は、急遽切り落とされる。

外套の男が消えたかと思うと、【彼】の上空よりその脳天へバスタードソードを突き立てんと切っ先を下に落下してきた!

 

間一髪それを回避した彼は反撃にロングソードの刺突をねじ込むが、男の左腕に阻まれて弾かれてしまった。

 

 

響き渡る、金属がぶつかり合った音…この時【彼】は確信した、篝火の左腕は目の前の男のモノであったのだと。

男が彼目掛けてアクロバティックに跳躍するのと同時に彼は男の真下を転がって潜り抜ける、着地と同時に男が放ってきた突きを受け流しその布まみれの頭に柄頭を叩き込む!

続けて蹴りで体勢を崩し、ガクリと下がった頭部を切り上げようとロングソードを振り上げるが、男はその動きに合わせて自らの上半身を起こし、類稀な身体能力を用いて高いバックジャンプを行い、一気に【彼】との距離を付けた。

 

その距離はおよそ100m、人間がやろうとして出来る距離の跳躍ではない…彼は男が放つ次の攻撃を警戒して再び【構え】を行った。

 

 

…男がバスタードソードを持った右腕を大きく後ろに反らす。

恐らく投擲を行うつもりだ、人外的なパワーで放たれるその投擲は間違いなく必殺級である…彼は一度構えを解き、防御の姿勢をとりつつ男を睨み、その場から動かなかった。

 

下手に動くより、一度立ち止まって投擲の軌道を見極める方が避けやすいと踏んでの判断である。

 

 

 

そして男は【彼】の目論見通りバスタードソードを投擲した――――だが、ここで可笑しなことが起こった。

なんと投擲は彼へと向かうどころかその途中で放物線を描いて落下し、切っ先が地面に真っすぐ刺さりバスタードソードは地面に突き立てられる形となった。

 

これには【彼】も困惑し、男が何をしたかったのか知りかねた…だが男はそれを構いもせず、突き立てられたバスタードソードへと相変わらずの超スピードで駆け出した。そして一気にバスタードソードへと近づくと男は軽く跳び、剣の柄頭を足場に更に高く飛び上がって上空にあるアーチ状の建造物…その残骸へと向かっていった。

 

 

 

…彼は男の意図を察した!

【彼】自身も過去に一度IS学園のアリーナで用いていた戦法だ、ある程度の行動を見た瞬間即座に理解できた。

 

彼は跳び込むようにその場から遠ざかった―――――――――――その瞬間!彼が元居た場所で巨大な爆発が起きた!何が起こったのか…それは男が剣の柄頭を足場に飛び上がった後、再びアーチ状の残骸を足場に一気に落下の勢いをつけてとんでもない高低差の跳び蹴りを放ったのだ…!

 

いや、これを跳び蹴りと呼んでいいものか…彼は友人に紹介された、小説を基に映像化された特撮作品の必殺技――確か“ライダーキック”と呼ばれていたもの――を脳裏に思い出した。

 

 

 

そして突如、砂煙の中で動く影を視認した彼はその場に落ちていたカイトシールドを構えた!

陰の正体――――つまりあの男は、今度は身の丈の倍程度はあろうかという大剣、いや大槌…そのどちらとも判別が付かない物体を上段構えで振り翳して襲い掛かってきた!

 

流石にこれを人の身で、しかも錆びたカイトシールドで耐えることに限界を感じた【彼】はすぐさま盾を投げ捨ててまた跳び込むように回避する。男はそれを追いかけようと今度は【彼】の首を狙って、まるでテレポーテーションかと疑うような速さの横降りを放つ!

 

間一髪、頭を上げるのを遅らせた【彼】は戦慄した。もし頭を上げるのがもう少し速かったら…!

 

 

ともかく命を図らずとも繋いだ彼は即座に反撃に移り、男の腹部を切りつける…だが、男の身体はどういう訳か筋肉がまるで巨獣のようにズッシリと重く固く、深く切り込むことが出来なかった。

 

男は肘鉄でロングソードを叩き割り、【彼】の胸部に素早い2連撃の回し蹴りを叩き込んで遠くへと吹っ飛ばす!

 

 

まるで紙飛行機のように勢いよく吹き飛ばされ、地面を転げまわる彼は途中でどうにか踏みとどまって起き上がり、近くに埋もれていた長槍を引っ張り出して飛翔を思わせるレベルの跳躍で近づく男を迎え撃つ準備を整えた。

 

彼はほんの短い間、僅かに思考を重ねた。

仮に今、単なる突きであの男を攻撃したとしてその一撃は容易く躱され、柄を折られ最悪穂先でとどめを刺される可能性もある…だがここで何もしなければ長槍の苦手とする至近距離まで踏み込まれてまたあの蹴りを喰らうだろう。

 

 

…【彼】は元より頭より体を動かす方が楽に感じるタイプだ。

己が積み上げてきた経験を信じ、彼は男に向かって走り出す!

 

そして指をかぎ爪のように構える男が槍のレンジに入った瞬間、突きを放つ――――――と見せかけてグッと溜め込みディレイを入れた!

 

この行動によって【彼】の攻撃タイミングを掴み損ねた男は後に放たれた突きをまともに喰らった。自分が跳躍した勢いと槍の勢いが合わさり、男の強化された胸板を一気に貫く!!

 

 

しかし【彼】と同じようにこの男もそう簡単に死ねず、左腕で長槍の柄をへし折り穂先を咄嗟に引き抜き投げつけるが容易く回避され、挙句の果てに男は【彼】に着地の瞬間の硬直を狙われ後頭部に重いメイスの一撃を貰ってしまった。

 

【彼】は素早く振り返ってきた男に、変わらずメイスを振り下ろす。その一撃で男の頭から血を流させ、更にダメ押しにと三度メイスを振り下ろすが流石に今回はメイスの頭を掴まれて奪われてしまった…が、左手に装着していたデーモンナックルで男の腹部を急激に殴りつけ、がくりと垂れ下がった頭を、右手に装着した竜骨の拳による跳躍アッパーカットを叩き込んだ!!

 

 

昇竜拳を決めた後に彼は後退し、竜骨の拳を投げ捨てて赤錆の直剣を拾い上げ、同時に黒刀を引き抜いた男と鍔迫り合いに発展した。

 

体格は【彼】の方が優れているものの、先の重厚な筋肉からくるパワーが男にはあるようで次第に男が【彼】を押してゆく…だが、隙を見切った彼が咄嗟に男のパワーを受け流してバランスを崩させ、そこへ赤錆の直剣の振り下ろしを放った!

 

 

渾身の力を込めた一撃は、男の背中を大きく切り裂き濁った鮮血が滝のように溢れ出した。

男は黒刀を逆手に持ち振り返り様に【彼】を切りつけるがその攻撃は既に読まれており、デーモンナックルによるパリィで弾かれ、背後の瓦礫に立てかけられていた黒騎士の大斧のスタブを叩き込まれる!

 

一段目は男の腹部を抉り、そして二段目に胸部を抉ると共に男を仰向けに倒した。

 

大斧の刃を突き立てたまま【彼】はひと段落入れる…その間、男はピクリとも動かない。しかし指は僅かに動いているのでまだ生きているようだ…男は僅かに顔を起こして彼を睨みつけた。その表情は分からないが、【彼】は何となくこの男が「やれよ」とさっさとトドメを刺すよう促しているように感じた。

 

 

彼は男の胸から大斧を引き抜いて、空高く掲げる。

――――――――――――――――そして、刃を思いっきり振り下ろした!!

 

 

 

 

男は僅かに呻き、そして息を吐くようにして今度こそピクリとも動かなくなってしまった。

その瞬間、男の肉体は風前の塵が如く砕け散り、やがて風に流れる灰の一部となって何処かに流れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今こそ、【彼】は約束を果たしに行くのだ。

この僅かな時間の旅は、全てこの先の“約束”を成すための覚悟へと“ツナグ”ための前準備だ。彼は目の前に現れた篝火へと向かい、歩みを始める。

 

彼は篝火にたどり着くと、躊躇なく突き立てられた螺旋の剣を手にかけた。

 

 

 

 

――――その瞬間、彼の脳裏に声が響く。

 選択に迷いはないか?もしその道を選べば手にした“色”をまた失う事になるぞ。

 

誰の声かも定かではない問い。

それに対し、彼は間を置いてソレに答えた。

 

 

 

覚悟ならとうに出来ていると。悲しませたくない人がいると。

 

 

 

彼は螺旋の剣を引き抜いた。

…その瞬間彼の眼前に現れる、様々な装備を身に着けた戦士たちの軍勢。それはこの灰の大地を埋め尽くし、殺風景な景色を多種多様な己の装備で彩る“意思”の軍勢!!

 

【彼】は理解していた、この軍勢は…己と同じく“薪の王”であると。

 

 

背後にある現世への入り口めがけて振り返った【薪の王】は、薪の王の軍勢を背後に引き連れて彼らと共に歩き出した…!彼は恐れない、王の肩書に縛られる宿命を!軍勢はやがて走り出し、それぞれが思い思いの雄叫びを上げた!!

 

――――――――――――薪よ、飛翔せよ。

 

 

 

 

奴こそ使者の一番目、奴こそ竜

 

 

 

 

  ◆  ◆     ◆ お前の覚悟を見た ◆     ◆  ◆

 

<――――…【黒檀の帝王】による最終調整及び二次移行(セカンドシフト)の終了を確認。

ロードオブシンダー、再起動します…――――>

 

  ◆  ◆     ◆ 輝く太陽の光へ ◆     ◆  ◆

 

 

 

 

それは、真の目覚め。

【彼】は今まさに遠くなってゆく海面の光へと手を伸ばし、アックスマン…――――…いや、ロードオブシンダーのスラスターを思いっきり吹かした!!彼は海中を猛スピードで上り、海上の光はどんどん近くなってゆく。

 

そして海上から飛び出し、剣を抜いた…!

 

 

 

 

 

 

 

「さ、佐々木…!?」

 

 

 

 

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