(完結)成層圏にて燃えるもの【IS×DARKSOULS】 作:エーブリス
某実況者の動画みて面白そうだったしDEATHLOOPやりたいけどファークライとか2042とかCoD:Vとかが待ち構えている手前迷ってまう。
…DOOMやるか。
…まだだ、まだ終われなかった。
今の今まで――――良くも悪くも――――そう簡単に【彼】が終われた試しがないのだ。
自分の持てる、僅かな人脈を洗いざらい確認して…その中から確かな情報を持っている・得られる所を探し、見つけては連絡を取っていた。しかし数時間それを続けた今の今まで収穫ゼロ。というより、タダでさえ一番信頼していた情報の仕入れ先が全く反応しなかった時点で最早この行為は藁にでも縋るに等しい、哀しみの消化試合でしかなかった。
いや、そもそも獅子兜が襲撃者と関わっていた時点で何となく分かっていた。
――――先ず、
一番の情報網が使えないと分かった時点で、既に己の人脈には限界を感じていた。
学園を頼るのはラウラに様々な問題を懸念されて止められた。なんでも自軍の情報部が掴んだ情報の中に、どこかの国がIS学園に何かしらの働きかけをしようと動いているというものがあったらしいのだ。この件との繋がりは100%とは言い切れない…が、“もしも”という事がある。それに学園が大型の公的機関の一部である以上求めている程に迅速な動きを期待できないと言うのもある。
そこで“更識家”に頼ろうと考えたが、今度は彼方との連絡手段が全くない…楯無の妹の簪なら連絡は取り合えるのだが、あの様子では姉妹関係など冷え切っている。姉の方がどう思っているかも問題であるし妹も妹で姉から遠ざかろうとしている傾向がある限りこの連絡網は先ず使えないだろう。
最早…打つ手がない。
何時ものようにも行かないのだ、闇雲に歩けば歩くだけシャルロットから遠ざかる。【彼】は荒れ狂う感情を完全には抑えきれず、自分でも意図せずして衝動的に目の前の壁を殴ってしまった。
彼ほどの力の持ち主が殴った壁は大きくめり込み、飛び散った破片で周囲の床が汚れた。
…最後に見たシャルロットの顔を脳裏に浮かべる度、【彼】は悔しさと共に彼女への罪悪感で溢れていた。
同時に己を嫌悪した。どんなに崇高な使命に燃えていようが、どんな強い力を持とうが…所詮この程度だったと。消していくばかりの人生で、結局何も守れた試しなど無かったではないかと。
――――心が折れそうだった。
痛む心のワケが理解出来ない事もそうだった、何故これほどまでに…シャルロットが失うと悲しい存在となってしまったのか。ずっと、握られたあの手に狂わされている。逆流しそうな体内の全てを昂ってゆく感情と共に抑えながら、それでも尚手がかりを探し求める…まるであの時、奪ってまで手に入れた“消えかけの火”を必死に内に入れようとしたかのようだ…。
…そんな【彼】を見かねたラウラがペットボトル飲料を持ち込んで彼の元に来た。
「…落ち着いてくれ兄さん。
気持ちはよく分かる、が…兄さんが取り乱してどうするんだ」
自分と同じくらいか、それ以上に哀しい声で語りかけたラウラのお陰で、【彼】はヒートアップしていた精神をようやく落ち着けた。すまない、そしてありがとう…別れ際のような言葉でそう謝罪と感謝を伝えた彼は再び彼女に問う。
果たして
「…ダメそうだ、皆まだ任務でチベットにいる。
仮に任務が終わっていたとしても国軍だ…そう簡単に動けるかどうか…」
やはりか…彼女から伝えられた答えに落胆こそすれど想定の範囲内でしかなかった。
こうなればと【彼】は壊れたMAS44を押しのけて44式騎兵銃を手に取った。やはりこれくらいのローテクが肌に合ったようだ…そして彼は一度、プリントアウトした地図のPDFを机に広げてじっくりと眺めた。
「…虱潰しに探す時間なんてないぞ」
そんな事は分かっていた。
しかしもうこれしか方法が無いのも事実…きっとラウラもそこは分かっているハズである、だからこそこれ以上は何も言えなかったのだ。
…とは言え、こうも候補が百個二百個と乱立していてはいくらなりふり構わずと言っても躊躇いもする。
いっその事向こうからかかってきてくれた方が全軍突撃されても楽なくらいだ。
――――そうだ、それがほぼ理想的なのだ。
今現在、【彼】ら二人は先の平屋から数キロか数十キロほど離れた別のセーフハウスに身を置いている。あの平屋は銃声だか何だかのせいで恐らく近隣住民の通報――――とはいってもほぼほぼ過疎地なので若干怪しいが――――で警察が駆け付けているかもしれない…一応あの場には【彼】の血しかないので加害者として疑われる可能性は低いが。
まあいい、話を戻す…ともかく今いるセーフハウスは人里離れた廃倉庫群の一部を利用したものだ、罠だらけにすればそれなりに迎え撃つ準備が出来る。どんな罠でもいい…爆弾、落とし穴、釣り天井、仕掛け弓矢、毒液、転がる岩球etc。
…で、おびき寄せる餌とは何だ?
【彼】は小さく悪態をついた、結局何も出来やしないのだから。
もういっその事…他の専用機持ちの力までも借りてしまうか?いや、流石にあの辺りは巻き込めない…世界が違い過ぎる。いやそれでも…シャルロットが…。そう考えている自分の暴走には【彼】自身気が付いていたがもう止められない、止める気も無い。最早何もかもがどうでも良くなっていた…徐々に、徐々に、目元が力んでゆく。口角も吊り上がる。
頭を冷やせ、そして自分が何者かを思い出せ
先の獅子兜との戦闘における状況からして、あのヘリが向かった方向は大方想像が付く…その方角を粗方焼き焦がすと言う手もあるのではないか?怪しい建物を片っ端から襲撃するの方が効率的かもしれない。
常識的に考えろ馬鹿、何のためにその独占欲を今まで封じたと思っている
燃やせ、燃やし尽くせ…。
只々信じられる純粋なモノを残して…。
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3・2・1・1・4・2・1・3・2・4・1・5・3・2・1・1・4・2・1・3・2・4・1・5
どんどんエスカレートしていく計画の暴走――――――――しかし、急に袖を引っ張られた事でまた現実へと引き戻される。
「…もう休もう、兄さん。
休んでくれ。もうダメなんだ、ダメ…だよ…」
【彼】の袖を引っ張ったラウラの目には若干だが涙が滲んでいる。
強靭な精神力を持つ彼女がこれほどになるのだ…余程の事、普段しないような表情でもしていたのだろうと彼は反省し、更にダウナーになった。
ああ、と彼は一層自分を嫌悪する羽目になった。
なにも出来ないくせに独占欲だけは人一倍強い己自身を…。
バラバラに引き裂かれた彼は、只々一つに繋ぎ止める“何か”を求めて。
「ッ!?
これは…!」
――――――――突然、ラウラがビクリと跳ね上がった。
何だ?と【彼】が問えば、どうやら彼女のIS(シュバルツェア・レーゲン)に、何故かコアネットワークを通じて匿名の情報が入ってきたらしい。
しかし、何やら解読の出来ない暗号が使われているようだった。
「見たことも無い字だ…古代の象形文字か何かか?
一応兄さんにもネットワーク経由で送る」
そうしてコアネットワークを通しレーゲンからロードオブシンダーへと送られたのは1枚のPDFだった。
…なんと都合の良い事か、それは【彼】の良く知る文字だった。
何の苦も無く――――辞書なども引く必要すらなく――――すらりと読める文字であった。書かれている内容は…ざっと説明すると何者かが来てほしいと言っている、所謂招待状の類のような文章と、謎の数字だった。
更によく見るとその下には通常のアルファベットの羅列があった。これも読み解こうとしたが、なにかの造語かは知らないが【彼】は意味のある言語としてそのアルファベットの羅列を読み取る事が出来なかった。
今度は【彼】が、その謎の数字の羅列をラウラに伝えた。
「2345225325?何の数字――――いや、まさか」
彼女は何かの図表を用意したペンで紙面に書いたかと思えば、そこにアルファベットやら数字やらを書き込み、そしてほんの少しの間をおいて何かアルファベットの単語を書いた。
――――かと思えば「いや、違うな」とその単語に射線を引き、再び何かを考える様に唸った後「まさか…」と再び何かを紙面に書き記し始めた。
この間、【彼】は完全に置いてけぼりであり、最早先ほどの激情など何処へやら…ポカーンとしていた。
そんな彼など尻目にラウラは更に紙面に何かを書きつけ、開始からものの数分で何かを完成させたらしい…どうやら暗号解読をしていたようだ、と彼は今になって気が付いた。
結局なんだったのか、彼はそれだけを聞いた。
「何、簡単な暗号だ…面倒な仕掛けが多かったがな」
何か、ふんす!と得意げそうな顔をする彼女を見て【彼】もまた顔をほころばせる。
すぐに今はそれどころではないと、直ちに何が分かったのかラウラに聞いた。
「ああ…コレを見てくれ。
ココは最近動きがあるという情報も出回っている場所だ」
彼女は自身の携帯端末を使って、ある施設の跡地…と思われる画像を表示する。
…どうやら歴史を研究していた施設だという事だが、それがどういう訳か約20年前程に謎の事故で廃棄されたらしい。
ただ過去を追求するだけの施設がどのような事故を起こして廃墟に至るのか少々気になる所ではあるが、そこはどうでもいい…彼はなぜその廃墟が関係しているのかをラウラに問う。
「…あの暗号は、ある人物の名を記していたんだ。
嘗てこの研究所に出資していた男だ。現在は謎の失踪を遂げているが…当時のその手の業界ではかなりの大物だったらしい」
【彼】はラウラの情報網に対し、よく知っていたなと賞賛した。
「ふた月ほど前に黒ウサギ隊の作戦で掠る程度に調べる必要があったからな。
――――とは言え、こんなの余りにも怪し過ぎる。十中八九罠だ」
彼女の言う通りだった…一応、送られたメッセージには暗号こそ組まれていたがどれもこれも難しいモノではない。態々コンピューターを持ち出さなくとも人の頭でも“法則”さえ分かれば時間こそかかるものの誰にだって解ける単純なモノばかりだったのだ。
それ以外にも、段取りが上手く行き過ぎている…都合が良すぎるのだ。
彼もそれは承知の上だった。
そのうえで彼は言ったのだ…罠であれば尚の事好都合だと。
もし件の襲撃者が仕掛けた罠であれば、逆にそれは僅かだろうが次の足掛かりとなる情報がある事になる。確かな話では無いが…【彼】らはどうであれそこに行き着くしか術がないだから、例え無駄足になったとしても――――いや、無駄足のまま帰るつもりなど無かった。欠片のような痕跡さえ見逃してやるつもりは無い、草の根をかきわけようが…必ずシャルロットにたどり着く。【彼】はその気だった。
【彼】は弾薬の装填されたクリップを4つ5つポケットに、騎兵銃をケースにぶち込んで出発の支度を始めた。
ラウラもまた自身の装備(拳銃やナイフ等)の点検を始めた――――それに対し彼は、低い声で何をやっていると問う。
「何って…私も行く。
兄さん一人でどうにかなる問題ではない」
やめろ、と彼女を制止する【彼】。
既に時計の針は0時を過ぎた事を語っている…これ以上は常人には体力的に応えてくるハズだ…例えラウラが軍の訓練を受けた身だとしても。
「大丈夫だ…これくらい、何とも無い…!
兄さんだけでは行かせないぞ…そっちの方が休めたものじゃない!」
彼女の猛反発に、だが…と諫めようとする彼だったが「絶対に」と意地を張られてしまい、結局何か妥協案を出すしかなかった。
今は一度、ラウラのためにも休んだ方がいいのだろうか。
しかしこうしている間にもシャルロットは遠のいていく…今は一分一秒が非常に惜しい。
悩みに悩んだ彼は――――荷物に寝袋を加えた。
そして彼は“ポケット”から遠眼鏡を取り出して、ラウラにまずは偵察を行う趣旨を伝えた。廃墟周辺の動きを見るためにこの偵察は長時間のモノになるだろう。その間に彼女には休んでもらう事にしたのだ。
そうでなければ連れて行かない…【彼】もまた強い意志を示して見せた。
「………分かった、そうする」
最終的にラウラの方もそれで折れてくれたので、互いに支度が終わり次第出発することになった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
【ある研究所の廃墟にて】
恐らくは元は責任者の部屋だったのだろう、他の無機質な部屋と比べてアンティーク調の家具等で飾られたその部屋に一人佇む誰かがいた。18年前のあの日から直ぐにこの施設はとっとと整備されてしまったものだが…重要な情報以外はそのままに残されていた。
暗い部屋の中、その誰かは携帯端末で時間を確認して“風”が来るのを待つ。
速くても半日…遅くても1日とちょっと。
「一人で抱え込むなってんだ!この大馬鹿野郎!」
――――――リー・クリスマス(エクスペンダブルズシリーズ)
<次回までのロード時間中のアイテム紹介>
【大きなスイカ】
平屋の冷蔵庫に今も眠り続けている大玉のスイカ。
日帰りキャンプに忘れられたそれは、着々と消費期限まで迫っている…。
ようやく次回からダクソ要素が動く…ような、気がします。多分…