(完結)成層圏にて燃えるもの【IS×DARKSOULS】 作:エーブリス
玉座があった場所にたつ、未来――――。
2022/05/11:早くもリニューアル
最終的な死者は■千万人に上るとされた、【第一次
あれから丁度■■年も経過した今になっても当時の詳細は解き明かされていない。後に現れるそれとは別種とされる“最初の絶対天敵”は何故現れ、そして何故消えたのか?未だに研究者達が分析に勤しむ中で、市井では玉石混交の噂も多く出回っている。
しかし…その終焉にはとある“一人の英雄”が強く関わった事は誰の眼にも明らかだ。当時のISとしてはあり得ない飛行速度…若しくは未知のワープ技術で各地に現れ、戦況をたった一人でひっくり返し、絶対天敵の母体さえ燃やし尽くした一人の男。規制が解かれた今では誰もが知るその名をある年老いた元戦闘機乗りが語ってくれた。彼によれば、英雄を最後に見たのは仲間と共に母体の口腔から体内へと突撃するその後ろ姿だったそうだ。
(中略)
英雄…またの名を戦士、佐々木潤。旧IS学園の卒業を最後に姿を消した彼を、追いかける私達が掴もうとしているのは彼の
――――ナターシャ・ファイルス著『I.O Report~“最初”の真実と謎~』より、一部抜粋。
被災地近郊、崖の上にて。
「ちーちゃん、また会ったね」
「全く、こんな所に呼び出して。
…まあいいさ。私からも要件がある」
再び、嘗て世界を変えた二人が会合した。
「いいよ、ソッチから」
「そうか…。
――――実の所、何の間違いか…今回の件における、お前の軌跡を辿る事が出来た」
「へー、なんでだろうねー。
それでそれで?」
「…ハァ、どうせ自分から仕向けたんだろうが。
兎も角おかげで今回の事件の裏側がよく分かった。芋づる式に共犯者の検挙に成功したよ」
「ふーん。
――――でも、ちーちゃん。本当に聞きたいのはそこじゃ無いんじゃないの?」
「ああ…。もう、お前のと付き合いも長い。
だからこそ軌跡を辿る内に分かる事がある、が…その“分かった事”がよく分からない。お前がそんな行動をとった意味が」
「…」
「お前…“何を守ろうとしていた”?」
場を支配する沈黙。
張り付いた仮面のような笑顔を崩さない束の表情が、どこか哀愁を含むのは気のせいだろうか?
「――――場所、かな?
悲しみが幕を下ろす…その先の」
「らしくも無い答えだな」
「だよね。
…それじゃあね、ちーちゃん」
「何、おい、待て――――また逃したか…ッ」
この、生存競争の戦火に燃えた町を一望する事が出来る高台から…再び束は消え去った。
彼女が言い残した“場所”とは何か、それは千冬には…いいや、他の誰にも分からないだろう。
何処かでエンジン音がけたたましく鳴り響き車輪が力強く大地を蹴って行く。別たれた永遠が限りなく近づいたその一瞬は、不可能を壊す終幕の希望か、食らい潰す終焉の絶望か。
しかしそれは…近くともまだ“未来”の話、今は――――。
普遍のため、変化さえ受け入れて…きっとまだ涙も見せずに居られる。
入れ替わるようにして…只、昔信じていたように何処までも遠い場所へ行くバイクが、一条の轍を残して灼けた町の向こうへと消えた。
そして。
「くーーーーーちゃーーーーーん!ただいまー!
…んでんで、アイツどーなった?まだ生きてる?」
「束様、おかえりなさい。
潤は無事です、危うく再び水没する所だったようですが」
「そーなんだー、まあいいけど。
で――――オマエまだ居るの?招いた覚えはないんだけど」
束が冷たい形相を見せ、睨みつける先は…虚空――否、何も無いハズの空間に影が寄せ集まり、やがて人の型を成した。
その呼び名を“悔み続ける者”。嘗ては慈悲、或いは無慈悲の名で呼ばれた男である。
「ひっでぇーなぁ博士ぇ、奴ん中に俺を組み込んだのアンタだろうに。
まあ気持ちも分かるよ。なんたって俺ぁアンタからすりゃ“ほぼほぼ生まれたての電子生命体モドキ”だったハズだもんな」
「束様ッ…!」
「くーちゃん大丈夫、下がってて。
…その件に関しちゃ正直はらわた煮えくり返ってしょうがないんだよね。殺して良いかな?」
「慢心…全てお前の慢心だよ。人は慢心することで天才、あるいは天災を凡庸な無能に落とせる。
まあこの話はここいらにして、と――――お前ん知り合いのイニシャルJのふたりの事なんだけどな?」
「ッ!!」
悔み続ける者の一言で、束は形相を変えて“何か”を振り翳し、彼の目前まで迫った。
…そんな破裂した不発弾のような彼女の前に、彼は1枚のカードを出して見せる。
「なんともねーよ、あわや鉢合わせする所だったが。
…あ、因みにこれ
「…。
他に要件は?」
「あるとも、例の不死人…いいや、実体は化身とも言うべきか。まあ悪魔の主ではないけど。
博士の“協力”のお陰で奴を一人目の使者とする手筈が整った…マジで感謝するよ。後は1000年ちょっと、短い時間待ってりゃ約束の場所で合流する事になってる。それまでに…俺ぁゆっくりと3人目でも探すかね」
「正直聞きたくなかったんだけどなぁ、そういうの」
「まあ言うな言うな、もうちょっとだけ続くのじゃ。先ずアンタの仮説についてだが…大体は当たりだ。そりゃあオサガメやキツツキが生息域を大きく外れて行動したり、只の川魚が3mにも成長する現象が都合よく起きる訳がない。だがプロセスには赤ペン入れるぜ、まだ…そう、見えちゃいねえ」
「…」
「まあ雑談はここまでそしてここからが本題だ、マジで聞きたいことがあってな」
彼は近くの壁に寄りかかり、布で覆われた左腕を眺めた。
その手は生身のソレで無く鋼鉄の義肢であり、しかし人の腕のように滑らかに指先が動いた。
「一応、アンタが仕組んだように俺は奴の――――佐々木潤の、そのISの制御システムだった。それなりには仕事したさ、暴走止めたのも1回や2回じゃねえし、そもそも二次移行に対応してないアレを移行させたのは俺だ」
ある程度言い切った所で、悔やみ続けるものは言葉を暫し詰まらせた後…また話を続けた。
「何が言いてぇ、っていうと、まあ。
…あれだ、それだけの分は博士の行動を見ていた。でも気が付くのに長い時間が掛かった――――なあ、アンタ。奴の時代から、一体何を見出した?」
互いの間に、暗雲のような重く暗い空気が流れた。
「さぁ?ね。
何の事だかサッパリだよ~」
「とぼけんじゃねぇ、さっきも言ったが…もうテメェが“あの時代”や“その前の時代”の神や調停存在でさえ気が付かなかったモンを見出してた証拠は揃ってんだ。それが偶然か必然かは知らんが…意思さえもまだ見ぬその狭間が――――」
「はいはい分かったからさっさと出てけ」
その瞬間、束の目線が鋭くなった。
「ったく、マジでこの女マジ…。
わーったよ。一生そうやってろ根暗穴兎ババァ…ったく、どうせシャレにもならんだろうに…」
「…くーちゃん。
今度アイツが入ってきたらガードマシン総動員させるようにしておいて」
「はい。所でアレは元々プログラムとの事ですが…ブラックリストは?」「もちろん」
悔み続ける者が扉の奥へと消えた途端、束たちはまたいつもの日常に戻り、そこに元々何も無かったよう時計の如く循環が回り続ける。
結局それは誰かの意思だったのだろうか?
神か、或いは何でもない誰か…若しくは大きすぎるが故に、漠然とする何かのソレだったのだろうか。
そもそも一体全体、ソレら自体何のために始められた事だったのだろうか?それもまた意思によるモノだと言うのだろうか、それとも…同じく循環であると言うのか。
神は全て死んだ。獣もまた潰えた。それらの未来から過去へと繋がる様が、まるでこの世界の絶望を指し示すようでもある。やはりかの王の言う通り、世界とは悲劇だったのかもしれない。
しかし――――[レガシーオブDARKSOULS]、秘匿されたそのISの名が示すように今や魂のしがらみは消え、その遺産が一人の男に引き継がれたのだ。絶望という概念は残る、しかし…それがいつまでも同じ姿をしているとは限らない。
変わらないために、変わる…その言葉が示す未来がある限り。
散り散りになった、獣と黄金の欠片が伝えている。
時代は大きく変わるだろう。
何時の日か来る、次の襲撃者に対して準備を重ね始めている。そして何時かは…傾いた天秤に調和を齎しうるのだろう、と。
~数日後、モノレール乗り場付近にて~
ちく、たく、ちく、たく。
ぱか、ぱた、ぱか、ぱた。
秒針が時を刻むのと同じくして、ペンダントの蓋を開けたり閉じたりする。
二輪車に跨り、【彼】は手に持つそれを小一時間弄り続けていた…掠れた己の記憶、それを埋め合わせるように何時もポケットの片隅にあったそれを。
まだ長い針が動かないのだ。どうしても…どうしても動かない、その一歩から目を逸らす為に彼は来た道を振り返る。ここに来て長いが、まだ早朝でその道には誰もおらず、昼間は賑やかであった道路も閑散としていた。
【彼】はハンドルに手を掛けた。
だが…今一度前を見ると、既に迎えは来ていた。
最後の一歩、時計の針が動き出し――座席から立ち上がり、彼はヘルメットを取った。
そして…ペンダントをゴミ箱に捨てて彼女達の元に歩み寄り、【彼】は――――――――
感謝
――――――――――――――――いいや、佐々木潤はその口で言った
「さあ、帰ろう…」
一片の塵芥が現世の常に寄る辺など無く、そして嘗ての寄る辺ですら忘却の果てにあった。
だからこそ…戦い続けた。いつの世も使命の中に居場所があると妄信し、常に刃を握り続けて来た。最終的に帰結する肩書きなどどうでも良かった…そのハズだったのだ。
けれども…自ら帰りたいと願う、新たな寄る辺が出来てしまった。
今こそ真に約束を果たそう。
時折、離れる事があるかもしれない。いずれその終わりを見届ける事になるとしても…その為に忌まわしきこの命さえあるのなら、特別な力を持つ【王】などではない――――ただ一人の人間として次の旅までの数百、数千年。その傍で見守り続けよう。
王ではなくなった、しかし簒奪者ですらも無い。
己が手を引っ張ってくれた、その懐かしい温もりを…忘れる事は無い。
これからの旅に、目的地はないだろう。
Sailing
Rod Stewart,1975
I am sailing, I am sailing
Home again 'cross the sea
I am sailing, stormy waters
To be near you, to be free
I am flying, I am flying
Like a bird 'cross the sky
I am flying, passing high clouds
To be with you, who can say
Can you hear me, can you hear me
Through the dark night, far away?
I am dying, forever crying
To be with you, who can say
Can you hear me?
「所で潤、今日はどうするの?」
「そういえば兄さん言ってなかったか?見たい映画がどうとか…」
「あぁ…1本借りているんだ」
Oh Lord, to be near you, to be free
Oh my Lord, to be near you, to be free
Oh my Lord, to be near you, to be free
Oh Lord
有難う。
[あとがき]
はい、どうもエーブリスです。ラストの余韻をぶち壊しに来ました。え?何?あっさりしすぎててそんな物無い?うんまあ…正直本編よりも後書き書いてる方が長かったまではある。
もう何と言うか…個人的に漸くナニカサレタ男以外の完結作品を出すことが出来てちょっと嬉しいってかなんてか。最初は匿名設定で且つ不死人の「」のセリフ有で始めたISダクソ作品、それがこの【成層圏にて燃えるもの】のプロトタイプだったのですが…まあ、なんかモチベーション下がりに下がりまくってあの時ね。もういいや…って半年かそれ以上の機関思ってたわけですの。しかし日に日に、特にあの頃やれなかった臨海学校編の一度主人公をオッツダルヴァよろしく海の底に沈める展開をやりたい、書きたいという気持ちが強くなって…で、態々小説を1から書き直してまで臨海学校編を書こうとした訳ですの。まあ態々書き直したとか言うけど、正直最初に書いたISダクソはギャグやり過ぎて「ねえわ、これ」って自分でも思っちゃった問題作だったんで…まあ、結局当時の主人公だけ今作のサブキャラとして引き継いだんだけどね!
そしてシャルロットが誘拐される…という割とド定番な感じの導入で始まったこのThe Great Will's Parabellum、正直言って話がここまでデカくなるとは思ってなくって…というかそもそも終盤の市街地へのデーモン襲撃を書きたいがばっかりにマリオを焼き増したプロット書いてたって側面もあるんです。というかこのThe Great Will's Parabellumは本当に後付けの嵐でしたね。正直最後の【彼】を作中で呼ばれている【佐々木潤】という名前を地の文でも書いた奴、元はと言えばかなり最近貰った評価コメントで頂いた感想が元になってたりしますのよ。というかもうこのコメント書いてくださった方には本当に感謝しかない、とてもいいアイディアを有難う。
他にも拙過ぎた伏線とか、実は別作品を後2,3作くらいクロスさせてたとか色々あるんですけれども、ここいらで告知と行きましょうか…というかその前にURLをドン!
https://syosetu.org/novel/287494/
はい、こちらから飛べる作品…何かと言うとまあ、この【成層圏にて燃えるもの】の続編です。「いや、終わらねーのかよ!!」って?うんまあ、続編って言っても後日談的な側面が強いですね。というかもうダクソの風味が完全になくなっちゃうんですよ↑の作品から。もう本当に…なんて言うか、ダクソ世界に生きてた奴が普通な雰囲気でIS世界に居る、って風味が強くなっちゃって。うん…だから本編、つまりこっちで46話以降として書くのは違うかなーって。もう後付けの後付けは別作品でやりましゅ!ってね。それにこうして別作品としてやってれば【燃えるもの】の完結作として雰囲気が保たれる感じないですか?もう本当に更新がなくって、って。
まあ御託はここいらにしましょう。ともかく↑の作品は「この作品(燃えるもの)良かったな―、続き読みたいなー」って、もし、もし!もしも!思った――思ってしまった方は飛んでみてください、こっちの不死人の雰囲気がおもっクソ崩れる描写満載ですので(尚、まだ1話のみの模様、2022/05/10)ご注意しながらお楽しみくださいな。
それではまた、次の…次何書くんだろ、俺。まあ次回作にご期待ください!それではまたいつか!
…あー、速くシンウルトラマン見たいなー