とあるマフィアの平行移動(パラレルシフト)   作:梟森つつじ

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話の最中に※があります、そこは挿入歌が入るシーンです
読者が一番盛り上がるBGMを想像してくれて構いませんが、作者としては仮面ライダー龍騎の挿入歌『Revolution』(きただにひろし)を推奨します
この小説には度々、BGMを推奨する事があります
いらないという方は感想なりメッセージで教えて貰えると嬉しいです


第7話b虚空爆破と再会?

 それは唐突で、意外でありえない出会いだったとツナは思った。

 目の前に立つ少女は紛れもなく未来で出会った少女ユニ、未来で見た時よりも少し幼いがユニであるのは間違いと自分の直感が告げていた。

 

「えっと…大丈夫ですか?」

 

「あ!うん大丈夫…ちょっとボーっとしてただけだから…」

 

 差し出しされた手を見つめながら黙るツナにユニと思われる少女は戸惑ったように尋ねると、慌ててツナはユニの手を取り立ち上がった。

 

「良かった、怪我とかは無いみたいですね」

 

「うん、大丈夫みたい、ありがとう」

 

 すぐに立ち上がったツナを見て少女は笑みを浮かべて安堵をした。

手を貸してくれた事に礼を言い、ツナは少女に尋ねようとしたが一瞬躊躇った。

 

(いきなり、君の名前はユニですか?なんて聞いたら絶対に引かれる!明らかに初対面っぽいし…この場合はなんていう?えっとぉ…)

 

「君、何処かで会った事がある?ですか?」

 

「へ?」

 

 目の前にいる少女について確認を取ろうとしたが、ツナはこの世界で自分とユニに面識があるのかという疑問にぶつかり、尋ねようかどうしようか迷っているとまるで自分の考えを読んだかのように目の前にいる少女が話しかけてきた。それには思わず間抜けな声を出すツナ。

 

「確か、ナンパでしたっけ?こういうのは…私のお父さん、いえ兄のような人から知らない男が話す時はだいたいこういうと言っていました

まさか、本当にあるとは驚きでした」

 

「え、あ!違う!俺、ナンパとかそんなんじゃないから!ほら風紀委員だし!腕章あるし!」

 

「ふふ、わかっていますよ…あなたはなんだか安心するというか危なくないって気がしましたから」

 

「ええ!」

 

 戸惑うツナに、少女は少し思い出すような仕草をしてから、教えてくれた相手の口調を真似るように話し手を軽く合わせてからにこやかに言ってきた。

 ナンパ扱いをされ、ツナは慌てて否定をし、風紀委員の腕章を見せたりして自分がそうではないとアピールをした。

 すると少女はクスクスと笑い初めからツナはナンパではないとわかっていたと返した、からかわれていた事にツナは声を上げて必死に弁明していた事を思いだし恥ずかしさのあまり顔を落とした。

 

「おーい!ツナ!なにしてんだ!?置いてくぞー!」

 

「いくぞー!」

 

「あぁもう…先に行ったのはお前らだろうが…ごめん、俺、もう行くから」

 

 店の奥からタイキとミユが戻ってきてツナに呼び掛けてきた。

ツナは深いため息をついてから少女に謝り二人の元へ向かおうとした。

 

「あ、最後に良いですか?」

 

「え、なに?」

 

「もう少しでここは騒がしくなりますよ、ですからあの子達から目を離さないように

それとご自分の選択に自信を持ってください」

 

「それ、どういう「ツナ、おせーぞ!早くしろよー!」ちょっと待ってタイキ、あれ?いない…」

 

 すれ違った時、少女がツナに声をかけた。ツナが振り返ると少女は忠告をするように言葉をかけてきた。

少女の言葉にツナは説明を求めようとしたが、後ろから駆け寄ってきたタイキがツナの腕を引っ張ってきた。

ツナはタイキに待つように言い視線を少女へと向けるが既にそこには少女の姿はなかった。

 

「なー!ツナー!」

 

「わかったから、そんなに引っ張らないでくれって」

 

「早くー!」

 

「はいはい!」

 

 少女を探そうとするが更に腕を引いてくるタイキに仕方なく、探すのを諦めて待っているミユの元へツナは歩き出した。

 立ち去っていくツナ達の後ろ姿を、少女は離れた位置から見ていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「姫!ここにいたのか」

 

「どうしたの?そんなに慌てて何かあった?」

 

 そんな少女の背後から少し息を切らした男の声が聞こえた。少女は少し笑ってから振り返り、声をかけてきた相手に返した。

 少女の言葉を聞き、黒いスーツ姿に金髪のオールバックの髪型の男はため息をついた。

 

「何かあったじゃないだろ、勝手にいなくなりやがってこれじゃあ何のために俺達がついてるかわからないだろうが!」

 

「仕方ないでしょ?眉間に皺寄せた人達が後ろにいたらみんな警戒して目立っちゃうじゃない、目立つ方が危ないと思うけど?」

 

 男は額に手を当てながら少女を叱りつけるように言うが、少女はまるで聞き慣れていると言わんばかりに返し、そして男に尋ねた。

 

「だからって何も言わずにいなくなる奴があるか!寿命がいくつか縮んだぞ、姫に何かあれば母親であるボスになんて詫びればいいんだよ…」

 

「多分、お母様なら良い経験になったって笑って言うだろうしお詫びなら一発殴れば済むと思うよ?」

 

「本当にやりそうだし、言いそうだ…はぁ…ともかく自由時間は終わりだ、ホテルに戻るぞユニ姫」

 

「わかったわ、そこまでよろしくねγ(ガンマ)」

 

 反省の色が無い少女に、男は勝手にいなくなった事を呆れたように言う。

すると少女は男が心配にしている事について答える。少女の言葉に力なく納得をすれば、男は気を取り直して帰る事を少女、ユニに告げ手を差し出すとユニは男、γの

手を取りにこやか答えた。

 

「どした?やけに素直じゃないか…今度は何を企んでいるんだ?」

 

「企むなんてヒドイよ、疑り深いねγは」

 

「そりゃ疑り深くもなる、数十分前に離れるなよと念を押しておいたのに逃げ出したお転婆姫がいたからな」

 

「それは大変だね」

 

 素直に帰ると答えたユニを見て、γは目を細めて尋ねるとユニは軽くむくれてから答えた。

それに対して前科があるから仕方ないとγが返すとクスクスと笑うユニ。

 

「それでこれからなにが起こる?」

 

「何が?」

 

「姫が好き勝手に動く時はかならず何か起こる前兆だ、こちとら姫が産まれた時からの付き合いだ、理解はしてるからせめて内容くらいは教えてくれ…」

 

「大きな爆発が起こる、かな?」

 

 笑みを浮かべるユニに向けてγは問いかける、急に聞かれて首を傾げて聞き返すユニ。

その上で、γは肩を竦めながらユニの行動の理由は理解していると返した。

 言葉の裏には理解はしているが納得していないという意思を感じとりつつユニは目を閉じてから答えた。

 

「爆発?どのくらいだ?」

 

「フロア一杯にくらいかな…」

 

「そうか、なら早く行くぞ…人が動き出してからじゃ遅い」

 

「止めにいかないの?」

 

 ユニの言葉に詳細を尋ねるγ、それに対してユニは曖昧な返答をするとユニの手を引いてγは歩きだした、手を引かれながらユニはγに問いかける。

 

「悪いが俺は赤の他人より目の前の姫が大事でな、それに本当になんとかして欲しいなら…俺に頼み込んでくる違うか?」

 

「ううん、当たってる」

 

「表に車を止めてある、とりあえず離れるぞ」

 

 ユニの問いかけにγは前を見据えた上で答えると、少し柔らかい口調で尋ねると、ユニは小さく頷いて答えた。

 そしてγはユニを連れてセブンミストを出れば、停めていた車にユニを乗せると運転席に座り車を出した。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

車内

 

「ちなみにだが、誰が止めるんだ?そんな爆発」

 

「爆発はするみたい、だけど人はいなかったから風紀委員が上手く誘導してくれてると思う」

 

「風紀委員?学園都市の学生で構成された自治組織か…子供に何をやらせてんだかな…」

 

 車を走らせながらγはユニに尋ねると、ユニは曖昧な口調で答えた。

ユニの言葉にγは眉を潜め、年端もいかない子供のやることではないと愚痴をこぼした。

 

「それに爆発はするけど、あの人なら大丈夫だと思うの」

 

「あの人?まさか男か!?」

 

「そう、だけど…どうしたの?」

 

 ユニは更に言葉を紡いでγに話していくが、あの人という単語にγはユニを見つけた際に一緒にいたツナの事を思いだし、強い口調で尋ねた。

 γの口調が変わった事にユニは少し戸惑いながら答える。

 

「男は危ないから近づくなって言ってるだろ!なんかあったらどうすんだ!?」

 

「もう、γは心配しすぎまるでドラマの口うるさいお母さんみたいだよ?」

 

「姫の母親が放任しすぎだから、護衛件世話役の俺が口を酸っぱくしているんだ…だいたいなぁ…」

 

 車の運転をしながらもγは心配したような口調で言えば、ユニはまた始まったと言わんばかりに呆れたようにため息をついてからからかうように言えば、実の母親が何も言わないからだと小言を言い出すが、ユニはそれをどこ吹く風というように聞き流しながらセブンスミストで別れたツナの事を考えるのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

セブンスミスト

 

「ふぇっくし!」

 

「ツナ、風邪か?ばっちーな!」

 

「ばっちー、ばっちー」

 

 エスカレーターで上へと登っていたツナは、何故か妙な悪寒を感じて大きくくしゃみをした。

前の階段に立っていたタイキは、嫌そうな顔で言えばミユは笑いながらタイキと同じ事を言い続けた。

 

「これで四階か、後何階だろ…」

 

「俺は屋上だからこのまんまだな!」

 

「ミユは次の階だよ、お服を見にきたの!今度、ママに買ってもらうからシタミにきたんだよ!」

 

 現在の階層を示す表示を見て、ツナが呟くとタイキは自慢するように言い、ミユは胸を張りながらセブンミストに来た目的を話してきた。

 

「そっか、タイキは一人でいけるか?俺は一応ミユを送ってから見回りに戻るんだけど」

 

「大丈夫だっての!ばかにすんなよな!?」

 

「はは、わかったわかった」

 

 ツナはミユの目的を聞き、タイキに向けて服屋まで案内してからの行動を説明する。

優しく聞かれタイキは力一杯に答えると、ツナ笑いながらタイキに答えた。

 

 タイキと別れツナはミユと共に五階のブティックエリアを歩いていく。

 

(周りには女物しか置いて無いからなんか、スッゴい違和感というか場違い感が…)

 

「あ、お兄ちゃん、風紀委員のお姉ちゃんがいるよ!」

 

「え?風紀委員、のお姉ちゃん?」

 

 視界の端に映る衣服などを見てツナは気恥ずかしくなり、速くミユを送り届けようと思った時だった。

ミユが手を引き、ツナに指をさして言ってくる。風紀委員と聞きツナは視線をミユの指先に目を向けるとそこには、パジャマを手にし辺りをしきりに気にする御坂の姿があった。

 

「御坂、なにしてんの?」

 

「っ!?ツナ!?な、なんでここに、見回りの筈じゃなかったの!!」

 

「お姉ちゃん、こんにちはー!」

 

「へっ?」

 

 御坂がフリルのついたパジャマを自分に当てた時に、ツナが声をかけると御坂は明らかにビックリして手にしていたパジャマを隠して上擦った声で聞いてくる。

 恥ずかしそうにしている御坂にツナが申し訳なく思っていると、ミユが元気に挨拶を御坂にしてきた。

いきなりの事に御坂はキョトンとした表情を浮かべた。

 

「あ、もしかしてこの前の子?」

 

「ミユだよー私ね、オシャレがしたくてお服を見にきたの!」

 

 御坂は少女の顔を見て尋ねると、ミユは手を上げて自分の目的を話してきた。

 

「へぇ、そうなんだエライわね、けど今の格好も十分オシャレだからね」

 

「ありがとーお姉ちゃんもお買い物なの?」

 

「え、ああそうね、買い物だよー」

 

 事情を聞いた御坂はミユの頭を撫でてからミユの服装を誉める。

撫でられて喜びながらミユは更に御坂に問いかけると、視線を反らしながら返す御坂。

 誤魔化す御坂にツナは軽く笑いを浮かべる。

 

「ミユ、俺はもう行かなきゃならないんだ、あっちがミユが行きたかった店だよ、良い服が見つかるといいね」

 

「そうなんだ…うん、ありがとうお兄ちゃん!」

 

「もう、行くの?ツナ」

 

「一応、見回りの途中だったからね、御坂がいるって事は初春もいるんだよね

俺を見かけたらせっかく休んでるのに仕事を思い出すかも知れないから」

 

 ツナはミユに目的の店がある方向を指で示すと、ミユは手を振りながら店の方向へと駆け出した。

ミユが離れてから御坂は初春達に会わないのかという意味を込めてツナに問いかける、するとツナは苦笑を浮かべながら答え、初春が安心して休めるように会わずに帰る事を告げた。

 

「そっか、気をつけなさいよ!ツナ!」

 

「いっだ!?…わ、わかったよ…じゃあね」

 

 御坂はツナに言葉に納得をすれば勢い良くツナの背中を叩きエールを送る。

思った以上に強烈な一撃にツナはよろけつつも頷けばエスカレーターへと向かいだした。

 

「確か…ユニ似た娘はここで何か起きるって言っていたな…本当に起きるのか?虚空爆破が…嘘には見えなかった…あの娘にくわしく聞いてみないと!」

 

 エスカレーターで一階を目指しながらツナは少女の言葉を思いだし、確認をする為に少女を探すことを決めた。

しかし、一階へと向かいながらセブンスミストの中を探したが少女の姿はどこにもなかった。

 

「いない…もしかして帰った?まだ近くにいるかもしれない!」

 

 一階までたどり着いたツナは少女がいない事にため息をつき、外へと出て自分の勘を信じて走り出した。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 少女の姿を探し辺りを見渡しながら走っていく、そしてセブンスミストが見えなくなった辺りでツナの携帯が鳴り響いた。

 

『沢田さん!?今、どこにいますの?すぐにセブンスミストに向かってくださいまし!!』

 

「白井さん?いったいどうしたの?」

 

 携帯に出た瞬間、白井の声がツナの耳に突き刺さる。ツナは耳を押さえつつも白井に何が起きたか説明を求めた。

 

『虚空爆破の犯人が何を狙っているかがわかりましたの、いえ正確とは言い難いですがほぼ間違いないと私は思いますの

犯人の目的は風紀委員への攻撃ですわ』

 

「風紀委員を?」

 

『そうですの…事件の被害状況をまとめていた際、被害の規模や威力に関係なく現場に居合わせた風紀委員が負傷していますの…

そして、今新しくセブンスミストにて重力収縮を確認しました』

 

「まさか、犯人の次の狙いは!」

 

『初春ですの、実際に連絡を入れたのですが客を避難させると言って通話を切られました

沢田さん、もしセブンスミストの近くにいるのでしたら初春に逃げるように伝えて欲しいですの』

 

 ツナの言葉に白井は深呼吸をしてから、資料からわかった事を伝えてきた。

そして、今まさに新たな犯行が始まろうとしていることを伝えてきた。場所がセブンスミストである事からツナは気付いたように言えば白井が真剣な言葉で言い、初春がセブンスミストにて避難誘導をしている事を伝えた。

 

「わかった、すぐに向かう!」

 

『お願いしますの、私の位置からでは直ぐには急行できません

今、一番初春に近い位置にいるのは沢田さんしかおりませんの』

 

「任せてくれ!」

 

  ツナは強く頷いてから携帯を切ろうとした時、白井が悲痛な口調でツナに頼み込んできた。

本当なら自分の手でなんとかしたいのだろうという意思を察してツナは強く返してからセブンミストへと戻りだした。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

セブンスミスト前

 

 ツナがセブンスミストの前までたどり着くとそこには多くの人だかりが出来ていた。

その人だかりの中に佐天とタイキの姿をツナは見つけた。

 

「佐天、タイキ!」

 

「ツナさん!?」

 

「ツナ!」

 

「状況は?」

 

 セブンスミストを見守る二人にツナが人を掻き分けながら呼び掛けると、二人はツナの元へ向かってきた。

近くまできた佐天にツナは事情を尋ねる。

 

「白井さんから、虚空爆破の話しが入って初春は御坂さんと店員に掛け合って店の中にいた人を避難させはじめました

あたしは風紀委員と関係無いからってすぐに避難するように言われて、詳しい事はわからないです」

 

「そっか、教えてくれてありがとう佐天…タイキ、ミユは?一緒じゃないのか?」

 

「オレが外に出た時にはいなかった、それを短パンの姉ちゃんに伝えたら姉ちゃん、中に入っちゃって!」

 

 佐天は必死に言葉を整えながら事情を説明していき、最後には絞り出すように伝えるとツナはそれだけでも十分だというように佐天に礼を言えば、ミユの姿が無いことに気付きタイキへ尋ねる。

 するとタイキは混乱しながらもツナに事情を話し御坂が店の中に戻った事を伝えた。

 

「わかった…三人を連れ戻してくる、佐天は店に誰も入らないように見ていてくれないか?」

 

「でも、あたしみたいな普通の学生が言っても意味ないし…」

 

「なら、コレを着ければ良いよ」

 

 タイキの話しを聞き、ツナはセブンスミストを見据えて二人に伝えると他に風紀委員がいない事に気付き事情を知ってる佐天に、店内に入らないように見張っていて欲しいと頼み込む。

 しかし佐天は、自傷するように小さく笑いながらツナに出来ないと伝える。するとツナは腕に着けていた風紀委員の腕章を外して佐天に手渡してきた。

 

「ダメですよ!あたしは風紀委員じゃないし、それに勝手に渡したらツナさんの違反になっちゃいますよ!」

 

「だけど誰かが入るのを止めなきゃならない、それは避難させるのと同じくらい重要だから…それを頼めるのは事情を知ってる佐天しかいないんだ

無茶苦茶を言ってるのはわかってる…けど今、出来る事をするにはこれしかない…頼む、協力してくれ!」

 

「わかりました…お預かりします!」

 

 差し出された腕章を返そうとするが、ツナは佐天に頼む訳を話して、その上で頼み込んできた。

佐天はキツく目を閉じてから、頷き強い口調で返した。応じてくれた事に頷き、ツナはセブンミストへと駆け込んでいく。

 その時に、ツナは人混みの中から離れていく学生が薄く笑っているのを見かけるが、今は初春達の元へ向かうことを優先した。

 

ーーーーーーーーーーー

 

セブンミスト 店内

 

 人がいなくなった店内を見渡しながらツナは初春とミユ、御坂を探した。

一階にいないのを確認してから停止しているエスカレーターを駆けあがっていく。

 二階にあがるが三人の姿は無く、ツナは更に上へと上がった、その時である。

 

「離れて下さい!アレが爆弾です!!」

 

 三階へたどり着いた時、初春の悲痛な声がツナの耳に届く。視線の先にはミユからカエルのぬいぐるみを奪い取りその勢いのまま後方に投げ飛ばす初春の姿があった。

 人形は既に収縮が始まっており初春はミユを抱き締めて自分の身体で守ろうとしていた。そこへ御坂が割り込むように走り込んでくる。

 

ーーー※ーーー

 

(ダメだ、間に合わない!)

 

 御坂が超電磁砲を放とうとしているのがツナには直感的に理解出来たが、それと同時に失敗すると瞬間的に悟った。

ツナはポケットから27と刺繍された毛糸の手袋を着け死ぬ気丸を手に乗せ口に含む。

 その瞬間、ツナは自分の意識がクリアになっていくのを感じ、額に炎が灯り手にはめた手袋が専用武器X 《イクス》グローブへ変化していく。

未来から帰ってきての初めての超死ぬ気モード、だがその余韻を感じる事なくツナは変化したXグローブをVer.V.Rへと切り替え、手に濃いオレンジ色の炎を発しまるでロケットように飛び御坂達の前に立つ。

 

「ナッツ!形態変化(カンビオ・フォルマ)、防御形態(モード・ディフェーザ)!一世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)!!」

 

 首に下げたアニマルリングへ呼び掛ける、その瞬間、ツナの左手にⅠという刻印が施された装甲が展開しツナの全身を包むマントが出現する。

 そして息着く暇も無く、凄まじい轟音と爆発がツナに襲いかかる。

 

(これが、能力による攻撃…っく!思っている以上に威力がある!)

 

 腕にかかる衝撃にツナは顔を歪ませ、足に力を込めながら右手から薄く炎を放射する。焦って強く放射すれば背後にいる御坂達を巻きこんでしまう。

 ツナは押し寄せる爆発の中で、綱渡りのような行動を取ることなる。

 

(このままじゃ押しきられる…炎が弱いからだ、覚悟が、足りない…)

 

 衝撃によりだんだん左手が押されだすのを感じるツナ。それは単純に能力が強いだけではなく、死ぬ気の炎が弱いのも原因の一つだった。

 最後の死ぬ気丸を使った事による不安が炎を弱めていた。

 

(守らなきゃ、もっと炎を強くしなきゃ!)

 

「何、グチグチ考えてんだ?ダメツナのくせに」

 

 弱い炎を強くしようとツナは強く目を閉じ自分に言い聞かせるように叫ぶ、その時だった。

聞き慣れた声が耳に聞こえ、目を開けるとそこには真っ白な世界が広がっており目の前にはよく知る赤ん坊が立っていた。

 

「リボーン?」

 

「死ぬ気の炎は口先だけじゃ強くはならねぇぞ、それはお前が身をもってわかってる事だろ」

 

「けど…」

 

「死ぬ気丸がなくなったくらいで情けねぇ奴だ、なんのためにその力を使うんだ?仲間を守る為だろ?なら迷ってんじゃねぇ」

 

(ご自分の判断を信じてください)

 

 目の前に立つ赤ん坊に手を伸ばそうとするとリボーンは拳銃を突きつけて、ツナに制止をかけると鋭い視線を向けてきた。

 ツナが言葉を紡ごうとするとリボーンはハッキリとした口調で言い放つ。それと同時にユニらしき少女の言葉を思い出した。厳しいがいつも通りの正論と不思議に後押しをしてくれる言葉にツナは笑みを浮かべ、目を閉じ再び開いた時には再び爆発の炎が視界を包む。

 

「そうだ…守りたい…ミユを、御坂を、初春を!ここで助けらなきゃ、死んでも死にきれない!!」

 

 先程の光景が自分の中で起きたかどうかわからないが、ツナは迷うなというリボーンの言葉から自分の思いを口にする。

 そしてツナの叫びに呼応し額の炎が大きくなり、今まで押されぎみだった状態を押し戻していく。

 

「ぉおおおおおっ!!」

 

 足を大きく踏み込みツナは左手を大きく振るう、その瞬間、爆発にて巻き上がった炎はすべて弾かれ、セブンスミストの外壁を吹き飛ばした。

 

「ツ、ツナ…あんた、いったい」

 

「御坂、二人を頼む…俺は犯人を追う、まだ近くにいるはずだ」

 

 炎を吹き飛ばしたツナに、御坂は戸惑いながら声をかけるとツナは視線だけを御坂に向けて犯人を追跡することを告げた。

 

「それなら、ヘッドホンと眼鏡をかけた奴が爆発したぬいぐるみと同じものを持っていたわ、多分そいつが犯人!」

 

「わかった」

 

 犯人を追うと聞き御坂は、自分が爆発前に見かけた手がかりを思いだしてツナに告げる。

ツナは小さく頷いてからマントを翻して走れば、炎を吹き飛ばした時に空いた穴から外へと飛び出していった。

 その場に残された御坂は、初春とミユがいたことを思いだし二人へ駆け寄り、その安否を確認してから安堵の息をついた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

路地裏

 

「やった、想像以上の破壊力だ…次はもっと大きな爆発を「悪いがそこまでだ」っひ!?誰だ?」

 

 巻き起こった爆発と騒ぎだす野次馬を見て、介旅初矢はその威力にうち震えていた。そして次の計画を練っている最中、背後から声をかけられた。

 誰もいなかった背後に突如現れたツナに介旅は短い悲鳴を上げて後退りをする。

 

「腕章は着けていないが風紀委員だ、今回の爆破、いや学園都市内で起きている虚空爆破事件の容疑者として確保させてもらう」

 

「な、なんの事かな?僕はただ、凄い爆発だったから避難していただけだよ

風紀委員だったら、怪我人を助けにいったらどうだい?」

 

「その心配はいらない、怪我人は出ていないからな」

 

「バカな!僕の最大出力だぞ!そんなのは、ありえな、はっ!?」

 

 警戒をする介旅にツナは射抜くような視線を向けながら介旅に宣言をする。

介旅は、キョドりながら自分は無関係だと答えるがツナは淡々とした口調で負傷者がいないことを話すと、介旅は表情を変えて言い放つ。

 しかしうかつにも風紀委員であるツナの前でしゃべってしまった事に慌てて口を塞ぐ。

 

「わざわざ自白までしてくれるなんて手間が省けた…悪いが後は支部で話してもらう」

 

「はは、誰が風紀委員なんかに!」

 

「っ!」

 

 自分が犯人である事を言った介旅に対してツナは拘束をしようとする。しかし介旅は表情を歪めて笑えばカバンに手を入れスプーンを取り出した。

そして能力によってそのスプーンを爆弾に変えようとした。しかしスプーンが爆弾に変わる前にツナは指先に炎を集中して焼き落とした。

 

「抵抗はするな、手荒な手段を取るつもりはないが…妙な真似をするつもりなら容赦はしない」

 

「ふひひ…やっぱりだ…力を持っている奴らはいつも僕の邪魔をする…こうやって力で押さえてく!

だから僕は力を手にいれて復讐をするんだ、この力でいじめた奴も、見捨てた風紀委員にもわからせてやるんだ!!」

 

「復讐?…その為にミユを利用して初春に近付けたのか?ふざけるな!」

 

 カバンの中に見えるスプーンの束を、見てツナは妙な動きをしないように釘を刺す、すると介旅は尻餅をつき自棄になったかのように言い出した。

まるで自分のしている事が正しいと言わんばかりに言い放つ介旅。

介旅が口にした言葉に対してツナは、拳を握りしめて叩きつけるように叫ぶ。

それ同時に額の炎が消え、いつも通りのツナへと戻った。

 

「自分の目的のために何も知らない子供を利用するなんて間違ってる!そんなの、貴方をいじめてきた奴らより最低だ!命をなんだと思っているんだ!!?」

 

「あ…あぁ…」

 

 尻餅をつく介旅に向けて、ツナはその考えを真っ向から否定し怒りを介旅へとぶつけた。

 超死ぬ気だった時よりも圧のある言葉に介旅は言葉を無くしそのままうつ向いてしまった。

 

 そして、遠くからサイレンが響く音が聞こえ、警備員をつれてきた白井が路地裏にいる介旅とツナを発見した。

介旅の逮捕により学園都市を騒がせていた虚構爆破事件は終了したのであった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

公園

 

 介旅が捕まった事で虚空爆破が終わり、全ての事後処理が終わった時、ツナは御坂に呼び出された。内容は十中八九死ぬ気の炎についてである。

 

「来たわね、ツナ」

 

「そりゃあね…いろいろ聞きたいことがあるんだよね…」

 

 自販機の前でツナを待っていた御坂は神妙な面持ちで待ち構えていた。

ツナは、肩を竦めながらも改めて質問をする。

 

「それもだけど、良いの?虚空爆破を防いだのは私って事になっているわ

初春さんも爆破の衝撃で気を失っていてあの爆発を防いだ事実を知っているのは私だけ…名乗り出たら私も一応証言するわ、だってやってもいない手柄なんて欲しくないからね」

 

「俺は名乗り出ないよ…このまま御坂の手柄にしといてくれないかな?」

 

 苦笑するツナに御坂は虚空爆破の顛末について尋ねてきた。

虚空爆破はその場に居合わせたレベル5の御坂美琴の能力によって爆発から風紀委員二名と子供一名を救われたという事で片付けられ、誰もそれを疑う者はいなかった。

 御坂に尋ねられたツナは苦笑を浮かべながらそのままにしてほしいと答えた。

 

「私が言うのもなんだけど、欲無さすぎじゃない?虚空爆破を解決したって知ればみんながツナを認めてくれるわよ?」

 

「俺は別に誰かに認めてもらいたくて助けた訳じゃないよ、俺が守りたかったから必死にやっただけだからね…」

 

「そう…じゃあ別な質問、あれは何?発火能力だなんて言わないわよね?」

 

 ツナの言葉に御坂は呆れたように肩をすくめながら、名声が手に入ると聞く。

だがそれでもツナはゆっくりと首を振ってから答える。

 御坂は小さく返すとツナの死ぬ気状態について尋ねてきた。

 

「ごめん、それは言えない…」

 

「意外、信用されてなかったんだ…私」

 

「違うよ、でもこれは話しちゃダメな事なんだ…それに…もう使えないんだ能力…」

 

 能力について聞かれたツナは顔を伏せて話せないと返した。

ツナの性格やこれまでの付き合いから話して貰えると考えていた御坂は意外な返答に残念そうに呟いた。

信用していないかについてツナは首を振り答えると、死ぬ気丸がなくなった事を簡単にだが答えた。

 

「だから、って訳じゃないけど…心配しないで、俺は犯人のようにレベルが書庫と合わないとも関係は無いよ、もちろん、初春達に危害なんて加えるつもりは無いから」

 

「っ!?な、んで…」

 

「それじゃあ、俺もう帰るね、また今度!」

 

 ツナは言い淀みながらも御坂を見て、言葉を紡いでいく。

その言葉に息を飲む御坂、そしてツナは話を切るように御坂に別れをし離れていく。

 残された御坂は一息ついてから、自販機によりかかったツナの言葉は自分の中で僅かに考えていた不安だった、それを言い当てられた上で否定された。

 どうしてツナが自分の考えを言い当てられたか理解出来ず、その問いに答える者はなかった。




次回予告

佐天「虚空爆破が解決して良かったね、初春!」

初春「そうですね、ただツナさんが元気が無いみたいなんですよ」

佐天「あ、それわかる!なんか暗い顔というか苦しい顔というか」

初春「何があったんでしょうか?事件解決のお祝いに苺おでんをプレゼントしたんですけど…」

佐天「うん、それが原因だね」

初春「え?」佐天「え?」

佐天「とりあえず!次回とあるマフィアの平行移動、第8話!嵐と雨がくる、お楽しみ!」

初春「今度は、冷やした苺おでんを渡してみますね」

佐天「あたし的には違うと思うな、それ…」
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