とあるマフィアの平行移動(パラレルシフト)   作:梟本つつじ

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時系列としてはとある科学の超電磁砲の1話の前日という認識でお願いします


第1話a:学園都市

それはあまりにも一瞬の事だった、いつものようにランボのちょっかいをいなしたリボーン。吹き飛ばされるランボ。

けれどそれが十年バズーカの引き金を引く事になるなんて思わなかった。

 カチリと軽い音がなり、バズーカから弾が発射される。至近距離だったからまず避けられる筈がなかった。

そして俺の身体は奇妙な浮遊感の中、まるで川に流れるような感覚の中で俺は思った。

 

(これって、また十年後に行く事になるの!?)

 

 前にも似たような経験を感じながら、俺は少し違和感を覚えた。

なんだか、未来に向かっているとは違うような感覚だった。

そして目の前が再び真っ白になった。

 

------------

 

「あれ、ここは…」

 

 白い景色が晴れ、ツナの視界が景色を捉える。そこは木の枝が広がっていた。その向こうには高いビルがならんでいるのが見えた。

 

「並森…じゃ、ない?」

 

 身体を起こしツナは周りを見渡す。自分が倒れていたのは公園の芝生の上だったらしく周りには荷物が散乱していた、そして視界に映りこむ街並みは自分の知るものとは全く違う場所であった。

 

「十年バズーカで撃たれたんだから十年後のはずなんだよ、な?

けれどなんだろ全然違う、まぁ十年後ならこれくらいはなってるだろうし

とりあえず、これは俺の荷物みたいだし拾っとかないともしかしたら十年後の俺の事もわかるだろうし…」

 

 どこにも並森のなごりがない景色にツナは不安を覚えつつも、ホッと息をつく。

未来で戦った時はどこもあれ放題であったため平和な世界なのだと思ったからだ。

 芝生の上にいつまでもいるわけにはいかないと思いツナは身体をおこし、散乱している荷物を集めていく。

 

「十年後って事は、24歳くらいだっけ?なんかカバンの中に入ってるの教科書、だよな?

あ、これ学生証?ってえ!?」

 

 散乱している荷物をカバンに詰めながらツナは、不思議そうに首をかしげ、最後に落ちていたカードを拾い上げて驚きの声を上げる。

そこには『柵川中学 二年 沢田綱吉』と表記されていた。

 

「並森じゃない!?というよりこれ十年後じゃなくて今の俺!?」

 

 学生証を食い入るように見ながらツナは驚きの声を上げる、添付されている写真は若干半目がちツナが写っていた。

 本来であれば自分のいる時代から十年後の自分と入れ替わるはずの十年バズーカ、時間が全く進んでいないのはおかしい事であった。

 

「もしかしてジャンニーニが弄ったせいで十年バズーカの効力が変わった!!?

って俺はどうしたら、そうだ十年バズーカなら時間が経てば元に戻るはず!!」

 

 どうしてこんなことが起きたかを考えた時、ツナの脳裏に十年バズーカ、発射前にジャンニーニが改造をしていたことを思い出した。

頭を抱えるが、十年バズーカの効力は五分間しか続かない事を思いだし安堵の息をはいた。

 

「とりあえずなにもせずにいようかな、えっと時間がわかるものは…あ、携帯があった

なんか見るからにハイテクっぽい、あれ?なんだろ腕章?」

 

 とりあえず五分経過するのを待つ為に、ツナは近くにあったベンチに腰かけ、カバンの中に時間がわかるものが無いかを確かめる。

するとシンプルなデザインの携帯を見つけツナは恐る恐る開け、時間が画面に表示された事に安堵した。そしてカバンの底に見慣れない腕章を見つけ取り出す。

 

「盾の腕章?なんか雲雀さんみたいだな、こっちの俺は」

 

 腕章の手に取り、眺めながら元の世界にいる風紀委員を思い浮かべてツナは苦笑を浮かべた。次の瞬間だった、携帯が突然鳴り響き出した。

 

「うえっ!?着信!ど、どうしよう出た方が良いのかな?けどそれだと別人だってバレてしまうだろうし…とりあえず切らなきゃ

ボタンはどれだ?これかな?」

 

《あ、繋がった、もしもし、聞こえる》

 

「んな!?間違って出ちゃった!!」

 

 画面に『固法美偉』という単語が表示され、鳴り響く携帯を持ちながらツナは慌ててどうするか考えるが着信音のせいで焦った思考で上手く考えきれず咄嗟にボタンを押した。

しかし、適当に押したそれは運悪くも通話ボタンだったようで、電話口から女性の声が聞こえてきた。

 

《もしもし?おかしいわね、通話になっているのに沢田くん?聞こえるなら返事をしてくれる?》

 

「えっと、はい!もしもし」(なんで出ちゃうんだよ、俺!?)

 

 繋がったが返答が無いことに疑問を抱いたのか、女性はツナに呼びかけた。

名前を呼ばれツナは思わず応えてしまい、内心、迂闊な行動をした自分を責めた。

 

《あぁ、良かった…ずっと繋がらないから心配したのよ

沢田くん、今どこにいるの?今日は支部の方に来てと言っていた筈だけど》

 

「あ、えっと…実は道に迷って、しまって…そのぅ」

 

 通話の相手はツナが出た事に安堵の息をつき、現在地を訪ねてきた。

しかし、この世界の状況を知らないツナはしどろもどろになりながら状況を説明する。

 

《道に迷ったって…あなたねぇ、わかったわ

初春さん、位置は捕捉出来てる?そう、わかったわ

それじゃあ白井さん悪いけど迎えに行ってくれないかしら?…そう言わないの、お願いね》

 

「え、あの…いったいなにが…」

 

《あ、ゴメンね沢田くん、その場を動かないでいてくれるかな

すぐに向かうから》

 

 電話の向こうから呆れたような口調で言われツナは苦い表情を浮かべつつ、詳しい事を聞こうとするがその場から動かないように指示を出され、向かうという単語に周りを見渡すが何かが来る様子はなかった。

 しかし、ツナを視線を離した瞬間、視界の端に何かが現れたのが見えた。

 

「失礼、貴方が沢田綱吉さんでよろしいかしら?」

 

「えっと、どちら様、というか今どこから現れたの!?」

 

 ツナがその方向に目を向けた時、今まで誰もいなかった所に制服にツナが見つけた腕章を着けたツインテールの少女が不服そうな視線を向けながら立っていた。

 口調は丁寧だが、明らかに迷惑そうに話しかけてきた少女にツナは驚きながら何が起きたかを訪ねる。

 

「貴方、何をそんなに驚いていますの?空間転移(テレポート)は珍しくないでしょうに

まぁ私程の空間転移者はそうそういないでしょうが…って何をそんな鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていますの?」

 

「いや、空間転移ってマンガじゃあるまいし、そんな」

 

「はぁ?何をおしゃっていますの?ここは学園都市ですわよ

何をそんな当たり前な事を聞いていますの?ともかく私と共に来ていただきますわ」

 

 ツナの言葉に少女は目を細めると呆れたように言う、だが空間転移と聞かされすぐに信用する事が、ツナには出来なかった。

 ツナの狼狽えに少女は若干の疑いと心配を表情に

見せながらツナの手を取った。

 

「えっ!ちょっと!?」

 

「この程度で狼狽えくださいまし、私とて好き好んで掴んではおりませんのよ、ともかく大人しくしてて下さいませ

集中できませんわ!!」

 

 いきなり少女に手を握られてツナは慌てて手を離そうとするが、強い口調で少女はツナを制止するとその瞬間、ツナと少女はその場から姿を消した。

 

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学園都市 風紀委員 第177支部

 

「え、ここは、いったい?」

 

 目の前の光景が変わりツナは辺りを見回し、何が起きたのかを確認する。

ツナの慌てように隣にいた少女は呆れたようにため息をついた。

 

「ここは風紀委員(ジャッジメント)第177支部よ、沢田綱吉くん」

 

「えっと、電話の人ですか?」

 

「?固法 美偉(このり みい)よ?君とは何度か会った事があるんだけど覚えてないかしら?

まぁ同じ風紀委員だとしても、一緒に仕事はしてないから仕方ないわね」

 

 戸惑うツナに、別の少女が声をかけてきた。つい先程聞いたその声にツナは恐る恐る尋ねる。

 少女は首を傾げると自分の名前を告げ、見覚えが無いかを聞いてきた。

 

「風紀委員?俺が?」

 

「ちょっと本当に大丈夫?何だか全く知らないように聞こえるわよ?」

 

「先程から挙動がおかしいですわよ?貴方、本当に沢田さん本人ですか?」

 

「あ、それは…」(しまったーっ!?つい聞き返しちゃった、演技くらいしろよ俺!!?)

 

 聞き慣れていない言葉にツナは思わず驚いてしまう、その言葉に固法と少女は、疑惑の視線をツナへと向けた。

 思わず応えてしまった事に言葉を濁すツナ、その内心は焦りに焦りまくっていた。

 

「沢田くん、説明してくれないかしら、場合によっては君を拘束しなければならないわ

もしかしたら学園都市の生徒に変装した外部の人間かもしれないからね」

 

「えっと…実は!」

 

 固法の視線がツナを鋭く捉える、それはまるでツナの内側まで見通すような鋭角さを持っていた。ツナの隣いる少女も固法同等、それ以上に鋭い視線であった。

 二人の視線にツナは何とか打開策を考え、そして一つの考えが浮かんだ。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「「記憶喪失??」」

 

「えっと、公園で頭を打ったみたいで、自分の名前以外何も覚えてなくて…」

 

 向かい合わせに座るようにしながらツナの言葉に固法と少女はすっとんきょうな声を上げた。

 しどろもどろになりながらツナはマンガで得た知識を振り絞りながら二人に説明していく。

 

「貴方ねぇ、嘘をつくならもう少しまともな嘘をつきなさいな!」

 

「でも何も知らないようだし、本当かもしれないわね」

 

「ちょっ!?本気ですの?固法先輩!」

 

 深いため息をつき少女はツナに疑いの視線を向ける、しかし固法は考えこむようにしながらツナの言葉に納得の意思を示す。

 ヨタ話に近い話を信じている固法に少女は驚きの声を上げた。

 

(どう聞いても信じる要素がありませんわ、直ぐに拘束すべきですわ!!)

 

(でも私が見た限り不審な物は無いみたいよ、それに本当に外部からの人間ならわざわざ風紀委員に成り済ます必要は無いと白井さんだって思うわよね?)

 

(まぁ確かに、それに透視能力(クレアボイアンス)の固法先輩なら信じられますけど…じゃあ、なんで変装などと言ったんですの!?)

 

(そこはほら、お約束かなって思って、ね?)

 

(この人は…)

 

 少女はツナに聞こえないように声を潜めて話を聞く必要が無いことを告げるが、固法は警戒する必要がない理由を教え少女、白井 黒子(しらい くろこ)はため息をついてから不安を煽ることを言ったのかを尋ねる。

すると固法は舌を小さく出して答えた。あまりにも単純な理由に白井は頭を抑えた。

 

「あの、頭を強く打ったのであれば早めに病院に向かうべきでは?」

 

「うえっ!君は!?」

 

「はい?何か私の顔についてますか?」

 

「いや、顔と言うより…頭に…」

 

「?」

 

 こそこそと話し合う二人を眺めているツナの元に、奥からセーラー服姿の少女が声をかけてきた。

ツナは少女を見て驚きの声を上げる、その少女は何故か頭に花飾りを被っていたからである。

 驚くツナに花飾りの少女は不思議そうに尋ねるが、周りが気にしていない事にツナは深く指摘するのを止めた。

というより、変わった人種ならば自分の世界も負けていないと思ったからである。

 

(主にリボーンとか、リボーンとか!?)

 

「確かにそうね、沢田くん」

 

「は、はい!」

 

 身近の変わった人種の筆頭である赤ん坊を思い浮かべていた時、固法の言葉を聞いて思わず上擦った声で返してしまう。

その反応に固法は思わず笑ってしまった。

 

「彼女の言う通り一度検査を受けるべきね、良い医師の病院を教えて上げるわ

白井さん、送ってあげてくれない?」

 

「はぁ、仕方ありませんわね、道を教えてもまた迷われて拾いにいくのは面倒ですもの」

 

「そうだ、ついでに自己紹介をしましょうか」

 

「「はい?」」

 

 検査をするという判断に固法は賛成の意思を示し、白井にツナを病院へ連れていくように頼み込む。

白井は心底面倒だというようにため息をつくが後始末をするよりはマシだと納得をした。

 そうして話がまとまった時、花飾りの少女が唐突に提案をしてきた。

いきなりの事にツナと白井は同じ反応をしてしまう。

 

「記憶が無くなっているのなら沢田さんがどう呼んだらいいかわからないじゃないですか

ですから、ね?」

 

「初春、何を呑気な事を…名前を名乗ったとしても検査次第では学園都市を離れるかもしれないですのよ?

ならそのような事、無駄でしかありませんわ」

 

「でも、大した事無いかもしれないじゃないですか、そうしたらここで一緒に仕事をするかもしれませんよ?

それに記憶喪失って事は何もわからなくて不安だと思うんですよ、ならそれを少しでも取り除く事も風紀委員の役目だと私は思います」

 

 意味がわからないという二人に花飾りの少女は得意げに語り出す。しかし白井には納得が出来ず花飾りの少女、初春に向けてその必要は無いと言う。

 それでも初春は引き下がる事なく、そうならない可能性を言い白井に向けて説得を試みる。

初春の言い分に白井は折れかけるが、それでも納得しきれずにいた。

 

「私も賛成ね、仮に風紀委員を続けるのが可能なら当分は白井さん達と一緒に行動してもらうから」

 

「はい!?なんでですの!!?」

 

「名前以外覚えてないなら風紀委員の事も一から教える必要があるわ

そうなったら少しでも面識ある方が良いと思うわ」

 

「大して変わりませんのに…まぁわかりましたわ

ここでごねるのもアレですし」

 

 二人のやりとりを見ていた固法は初春へ賛同し、白井に言葉をかけてきた。

いまいち納得のいかない白井であったか反論を続けた所で変わらないと理解し、深いため息と共に渋々了解した。

 

「それでしたら私からもう一つあるんですけどいいですか?」

 

「へぇ、面白そうじゃない、私は良いわよ」

 

「もう、この際ドンときやがれですわ」

 

 白井が納得した事に初春は手を合わせて喜べば、二人に耳打ちをしてきた。

初春の切り出してきた提案に固法は笑みを浮かべて快諾し、白井はやけくそ気味に返した。

 

「それでは、白井さんからお願いします」

 

「あぁ、はいはい…常盤台中学一年、白井 黒子ですわ、以後お見知りおきを」

 

「沢田さんと同じ柵川中学一年、初春 飾利(ういはる かざり)です

主に情報整理が担当です、よろしくお願いします!」

 

「固法 美偉よ、よろしくね沢田くん」

 

 話がまとまり三人はツナの前に並ぶとそれぞれに自己紹介をしていき、そして言い終えると三人とも腕に着けた腕章を見せるような体勢をとる。

 

「私たちはこの学園都市の治安を取り締まる」

 

「「風紀委員です(の)!!」」

 

 固法の言葉に続くように白井と初春は声を揃えて名乗りを上げた。

その一連の流れにツナはどう反応していいかわからず唖然とするばかりであった。

 

「初春、これ本当に必要ですの?」

 

「まぁ様式美みたいなものですよ」

 

「あはは、さてそれじゃあそろそろ病院にいかないと診察が明日になるわ

沢田くんの診察が終わったらそのまま帰っていいから」

 

「あ、はい」

 

 あまり受けなかった事に白井は不満を口にすると初春は意気揚々と返した。

二人のやりとりをみて固法は時計を指して病院に向かうように促した。

 時間が6時を指そうとしている為、固法は診察が終わり次第解散しても良いと告げる。

今まで呆気に取られていたツナは面を食らったように返事をした。

 

「でしたら私もついていきますね」

 

「付き添いなら私1人で良いですのよ」

 

「ダメですよ、沢田さんの住所に案内をしなければいけないのですから

それとも白井さんが案内をしますか?」

 

「わかりましたわ、それじゃあ移動しますわよ」

 

 白井がツナと共に空間転移しようとした時、初春が同行を申し出てきた。

呆れたように白井が答えると初春は端末を見せながら同行する理由を述べる。

 初春の理由を理解すれば、ツナの近くに移動し白井は空間転移することを告げた。

そして、荷物をまとめた初春とツナを連れて白井は病院へと空間転移を行った。

 一気に静けさが戻った事を感じつつ固法は風紀委員としての職務へと戻るのであった。




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