第二三学区 学園都市国際空港
学園都市に設けられた外を行き来する場所、そこは連日、沢山の人間が行き交っていた。
大抵はスーツを着た大人ばかりだが、その中に大きなキャリーケースを引く少女の姿があった。その手には小さなメモが握られており周りを気にしながら少女は人混みを進んでいく。
「えっと、まずは柵川中学校、という場所に向かえば良いのね…また会えましたね、沢田さん」
メモをしまい携帯で少女は検索をしながら少女はそらを見上げて、嬉しそうに以前、世話になった人物を思い浮かべて嬉しそうに笑みを浮かべるのであった。
柵川中学校
書庫との食い違いが都市伝説のレベルアッパーだという事を報告した、しかし眉唾な上に実物も見つけられなかった事もあり話し半分という結果に終わってしまった、しかしツナは今までの事件にレベルアッパーが関わっていると考え、日中は学校に通っていない獄寺に探索を頼み、夜には自分と山本を加えた三人で探索を行う事にした。
しかし、レベルアッパーについての情報は集まらず、ツナは佐天に話を聞くために一年の教室へと来ていた。
「え、いない?」
「はい、今日は早めに帰るってなんかハイテンション気味に返して帰りました、ごめんなさいツナさん…」
しかし、教室にいると思われた相手がいない事にツナは呆気にとられたように呟く。
そんなツナに、初春は申し訳なさそうに頭を下げて佐天が既に帰宅した事を告げる。
いないのなら仕方ないとツナは渋々納得をすれば初春と共に支部へ向かう為に、学校を出る事にした。
「ふわぁ~…」
「初春、寝てない?」
「はひゅ!…ごめんなさい、実は遅くまでレベルアッパーについて調べてたんです
まぁ、あんまり情報は集まりませんでしたけど…」
階段を下りていると隣にいた初春から少し抜けた声が聞こえてきた、目をしばしばさせている初春は急に声をかけられビックリしながら、頭を下げて成果が得られなかった事を話す。
ツナとしては端から見れば眉唾な話に真剣に対応してくれている初春に対して申し訳なく思うと一つ思いついてカバンの中を探し始める。
「ツナさん?」
「初春、良かったらこれ飲んでよ、ずっと頭を働かせたから必要だと思うから」
急に立ち止まったツナに初春は首を傾げて尋ねるとカバンからパックタイプのイチゴ牛乳を取り出したツナは、初春へ手渡してきた。
差し出されたイチゴ牛乳に初春は不思議そうに受け取り、意味がわからず首を傾げた。
「さっき、山本にもらったんだ、頭を働かせてるなら糖分は補給した方が良いって言ってたから
俺より初春の方が頭を使ってるから渡した方が良いかなってさ
あ、いらなかったら返して良いから!」
「ふふ、お気遣いありがとうございます、じゃあ遠慮なく頂きますね!んー!染み渡ります~」
ツナはもらった経緯を話し、身振り手振りで初春へと説明をしていく。
最初はキョトンとしていた初春は、小さく笑えばストローをさしてイチゴ牛乳を飲み、口に広がる甘味に顔を緩めた。
初春が喜んだのを見てからツナは昇降口までつけばいつも通りに外靴に履き替えて外へと出た。外へ出ると夏の暑さを感じツナは顔をしかめた。
イチゴ牛乳を一気に飲み終えた初春も外へ出ると同じように顔をしかめる。
「そうだ、ツナさん、佐天さんが是非見せたい物があるから今度の非番に一緒に出かけませんか?」
「見せたい?…なんだろう…」
「なんだか良いものって言ってました、ただどんなものかは全然話してくれなかったんですよ」
額の汗を拭い初春は佐天が話していた事を思い出して、ツナに頼み込んできた。佐天の見せたいものと聞き不思議そうに首を傾げるツナ。
初春も教えられていないと答えると二人は揃って首を傾げるが、佐天の考えが読めずわからずにいた。
その時である、二人は校門の辺りに人だかりとまではいかなくても少し人の歩みが遅い事に気付く。
「なんでしょう?誰かいるみたいですけど…」
「まさか、また御坂が学校に来ているって事なんて、無いよね?」
「んー…御坂さんが来る理由って無いような気が…白井さんならあるいは…」
人の壁のせいで奥に誰がいるかまで判断出来ずツナと初春はそれぞれ予測を立てていくがあまりピンとくる物は無くとりあえず近くまで行く事にした。
そして人だかりに近づく事で、誰が来ていたかをツナ達は理解した。
「あ、沢田さん、初春さん!お久しぶりです」
「ユ、ユニちゃん!?」
「な、なんでユニがここにいるの?確か故郷に帰ったんじゃ、それにその荷物は、なに?…」
校門の前で待っていたのは以前、出会った少女、ユニであった。にこやかに手を振るユニに、初春とツナは戸惑いながら尋ねた。
そしてツナ達が現れた事に周りの生徒達がざわめきだした、見かけた事のない少女が風紀委員と知り合いのならば仕方のない事であった。
「実は訳あって実家を離れる事になりました、それで沢田さんの家に泊めて頂けませんか?」
「うえっ!?」
「えっと、この場合は…ふつつかものですがよろしくお願いします、ですかね?」
質問を受けたユニはやんわりと笑みを浮かべてから事情を話すと、ツナへと頼み込んできた。
いきなりの頼み事にツナは目を丸くして驚くとユニは少し考え込む仕草をしながら丁寧に頭を下げてくる。
年端もいかない少女に頭を下げられている光景に、周りの生徒達からざわめきが起こりだした。そして、好奇の視線と非難の視線が向けられ始める。
「え、いや、なんで…全く意味がわからないから、ちゃんと説明を!」
「ツナさん」
「はい!!」
周りから刺さる視線を感じ、焦りながらもユニへ事情を尋ねようとするツナ。
しかし隣にいた初春から冷めた声で呼び掛けられ萎縮しながら振り替えると、そこには携帯を手にした初春の姿があった。
「一応警備員に通報しときますね、大丈夫ですよ…私、ちゃんと弁明を…あ、でも無理かな…これだけ状況証拠が揃ってると…アウト…うん、ごめんなさい、多分難しいです
お勤めが早く終わるように掛け合ってみますね」
「なんの!?後、かなり不吉な事を言っていたよね?違うから、なんかいろいろわかんないけど違うからね!!」
「………」
「無言で目を反らさないで!いや、本当に違うから!とりあえずユニ!ちゃんと事情を話してくれる!?」
「いいですけど、ここでですか?」
とても心苦しいという表情で初春はツナに向けて話す、白昼堂々と風紀委員の家に年端もいかない少女が上がり込む事態は、まず間違いなく警備員案件だと話すが、大勢の目撃者がいるなかなので捉え方によっては禁固もあるのではと考えた初春は、なんとか緩和するようにという。
しかし、全く話についていけていないツナは、なんとか無実を証明しようとするが、初春はサッと視線を反らし話す余地がない事をアピールする。
仕方なくツナはユニへ説明を求めるが、ユニは周りの視線がある中で話をしても良いのかという意味で返した。
どういう事情であれ、このまま話し込んでいれば教師などに見つかり後々面倒な事になると考えたツナはユニの手を取り走りだす。
「え?ツナさん!?」
「ごめん!初春!事情はちゃんと話すから今は見逃して!!」
急に走り出したツナとユニに、初春は慌てて呼び掛けると人込みから離れながらツナは説明することを約束して急ぎ離れていく。
残された初春は携帯をしまい、集まった生徒にどう事情を説明するか考え始めるのであった。
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ツナの自室
ユニを連れて柵川中学校を離れたツナは、どこにいくかを考えていなかった為に仕方なく自分が住むマンションにユニを連れていく事にした。
そして、今、ツナはユニと向かい合わせで座っていた。
「それで、先ずはどうしてまた学園都市に来たかを教えて欲しいんだけど…」
「わかりました…実は…」
息を整えてからツナはユニへ事情を改めて尋ねた、ユニの話によると学園都市で起きた一件の後、ジッリョネログループの元にライバルグループから一つの連絡が入った。
内容は学園都市に派遣していたグループ傘下の者が消息を絶ったという名はグロ・キシニア…
以前、学園都市にてユニを拐おうとした男でツナは撃破した相手だった。
もちろんジッリョネログループのボス、ユニの母親は関与していない事を話すが相手グループにとってグロ・キシニアの失踪はきっかけにすぎず、相手はジッリョネロへの制裁を始めた。
母親や護衛役のγらはその対応に奔走する事となり、そうなれば再びユニの身が危険に晒される可能性が出てきた。
その為、ユニは相手グループの目から隠れて外部から隔離された学園都市へとやってきた事をツナに話した。
「なるほど、けど匿うのならここより警備員の方が良いんじゃないかな?」
「いいえ、それは出来ません…沢田さん、私の能力とグロ・キシニアが使っていた魔術という物を覚えていますか?」
「えっと、ユニの能力って未来予知だよね?…魔術、もしかしてあの触手みたいなものの事?」
ユニの話を納得した上で解せない点があり、ツナは質問を投げ掛ける。
学園都市とかなり密接な関係を築いているジッリョネロならば警備員も協力するのではと考えたが、首を振ってキッパリと否定するユニ。
そして、誘拐された時に見聞きした筈の事をツナに尋ねる。ツナはユニが話してくれた事とグロ・キシニアが使ってきた戦い方について口にすると小さく頷くユニ。
「魔術とは魔力を消費して異世界の法則を無理矢理に発動させて様々な異能を発現させる技術です
グロ・キシニアのは正確に言えば魔術の真似事で本来の魔術ではありません
けれど相手グループが私を捕らえようとするのであれば必ず凄腕の魔術師が派遣されるでしょう…そうなれば警備員には何も出来ません…」
「…そんな物がこの世界に…ユニの能力も魔術の一つなの?」
「私のは元から持っている能力で『原石』と呼ばれるものです
もっともまだ完全に覚醒している訳ではありませんが」
ユニは魔術について自分の知っている範囲で語り、その上で只の人間しかいない警備員では守るのは不可能だと語る。
死ぬ気の炎とも超能力とも違う異能があることにツナは驚きつつ、ユニの未来予知について尋ねると首を振ってから答えるとユニは表情を暗くした。
「お母様が話していた事ですが、私の能力は学園都市にも知られてはならないとの事です
下手をすれば相手グループと同じように拐いにくる可能性が出てくるそうです
ですから私には学園都市でも無い魔術師でも無い、けれど確かな力がある沢田さんに頼るしか無いんです…ごめんなさい…急に押し掛けた上にこんな話をしてしまって」
「ううん、話してくれてありがとう…ユニ、そういうことならここを好きに使っていいよ
ただ、一つだけ問題があるんだ…」
「なんでしょうか?」
ジッリョネロのボスが学園都市にユニの予知の能力は秘匿しなければならない事を話す。
ツナはゆっくりと首を振ってからユニがツナの部屋を使う事を許した。
しかし、絞りだすようにユニに話し始めるツナ。真剣な表情に息を飲んで質問を投げ掛けるユニ。
「ここは一応男子寮になんだ、だから人の目に気をつけて欲しいんだ
バレたら多分、追い出されてしまうから…」
「わかりました、ふふ、なんだか誰にも秘密というのは不謹慎ですけど、ワクワクしますね」
「まぁ、それはわかるけど…普通居ないよ?年下の女の子を匿って生活する学生なんて…」
ツナは指を立てて生活するのに必要な事をユニへと伝える。誰にも見つからないようにと言われ、ユニは若干、高揚しながら返してきた。
ユニの言葉にツナは額に手を当てながら同意をすればあり得ない事だと告げる、その時、マンションの上層から大きなくしゃみが聞こえ二人は思わず首を傾げた。
「それと、ユニを匿う事を伝えたい人達がいるんだけど良いかな?」
「初春さん達にですか?」
「いや、初春達には伝えない、まぁユニが学園都市に住む事は伝えるけど…今回の騒動には関わらせるのは止めとこうと思うんだ…」
くしゃみの正体は一時置きツナは獄寺や山本にも話しておこうと考えて、一応ユニに確認を取る。
伝えたい人と聞き、ユニは自分が知っている人達を思い出して尋ねる。
しかしツナは首を振ってから初春達を関わらせない事を話した。
「…わかりました、それでその方達はどこにいるんですか?もう日が暮れ始めましたけど…」
「この階の隣だよ、その人達は俺と同じ能力を持っている俺の友達がいるんだよ」
ユニはチラリと外を見てから少し不安げに尋ねるとツナは真横を指でさして説明をすればユニを連れて外へ出て、隣の部屋まで案内をする。
「多分、帰ってきてるから紹介するね、本当はもう一人いるんだけど…
なんか近くに住むとか言って住んでいた所を引き払って連絡がつかないんだよね…」
「そうなんですか…それにしても秘密、すぐに広まってしまいましたね…」
(あれ?もしかして残念だったりしてる?)
山本という表札を確認してツナは後ろにいるユニへ説明すると、少し前に獄寺が引っ越しをしたという事を思い出して苦笑を浮かべる。
山本を紹介しようとインターホンに手をかけた時に、ユニの残念そうな声にツナは疑問を抱きつつボタンを押した。
軽い音と共に少し荒い足音が近づいてくると勢い良く扉が開かれた。
「見舞いに行くのにどれだけ時間かけてんだ?この野球バカが!」
「獄寺くん!?」
「十代目!!それに、てめぇは…」
「?」
扉を開けて出てきたのは引っ越しをして連絡の取れなくなった獄寺であり、ツナとユニはいきなりの怒号に目を点にして驚きながらも獄寺の名を呼ぶツナ。
インターホンを鳴らしたのが山本でなかった事に獄寺は思わずたじろぐと後ろにいるユニの姿を見て、驚きと悲しさを混ぜた複雑な表情を浮かべる。
しかしこの世界のユニには関係が無いため本人は小首を傾げるばかりであった。
今回は二万UA記念を書いた事により、作者本来の予定より早めにユニを本編に参加させました
いわゆる早期加入フラグというやつです
ちなみに、ユニはγとじゃなきゃ嫌だという方がいるのであれば報告してもらえると嬉しいです
作者はツナユニも推奨しておりますので
ヒロインが増えてきて、ハーレムなんじゃと突っ込まれそうです
作者としては目指せマルチエンドなので、ある程度カップリング描写をしたらルート分岐に入るつもりです
入っても良いですかね?
それでは、次回をお楽しみに