とあるマフィアの平行移動(パラレルシフト)   作:梟本つつじ

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待たせて申し訳ないです、20日ぶりの投稿です

携帯が壊れたり、夏バテになったりいろいろありました

追記、※は推奨BGMとして対決!グリードを推奨します


第13話a:つながり

学園都市 第七学区 路地裏

 

 

 太陽がもっとも高く昇った頃、背の高いビルの間を複数の男達が駆け抜けていく。

それに続くように2つの影が追いかけるように駆け抜けた。

 

「獄寺!このままじゃ振り切られちまうぜ!?」

 

「わかってるっての!つうかお前は空飛べんだろうが!!山本!!」

 

 前を走る男達がゴミなどを撒き散らして足止めを仕掛けてくる中、獄寺と山本は器用に飛び越えていく。しかし地の利は相手にあるため、少しずつ離されていく。

 後ろを走る山本から呼び掛けられ獄寺は苛立ちを募らせながら答えると、山本がボンゴレ匣の小刀で飛べる事を指摘した。

 

「…ああ!」

 

「素で忘れてんじゃねぇ!!嫌みかてめえは!さっさと先回りしろってんだ!!」

 

 キョトンとした表情を浮かべていた山本であるが、獄寺の言葉に思い出したように声を上げる。

機を伺っていた訳では無く天然で反応したことに獄寺は声を荒げる。

 後ろにいた山本がボンゴレ匣で飛翔したのを確認してから脳内でここら一帯の地図を獄寺は思い描く。

 

(この辺りの地形と現在地、そこから通りに出るルートを特定する…その上で山本を先回りさせるには…)「あんまりやりたくねぇが、仕方ねぇ!!」

 

 頭の中で男達の動きや地形をシュミレートしていき、獄寺は一つの決意を固めれば指に着けているアニマルリングへと死ぬ気の炎を注入する。

 

「んにゃ?」

 

「わりぃが、これしか方法がねぇ行け瓜!!」

 

「にゃああああ!?」

 

 出現したのは両耳に赤い炎が灯った子猫、名称は嵐猫(ガット・テンペスタ)、名前は瓜(うり)という。

顔を洗う仕草をする瓜を掴み上げた獄寺は、勢い良く瓜を放り投げる。

 悲鳴を上げながら瓜は男達の先頭へと張り付いた。

 

「なんだ!?この猫は」

 

「うにゃにゃにゃにゃ!!」

 

「あだだ!?いきなり引っ掻くんじゃねぇ!!」

 

 張り付いた瓜を男は引き剥がそうとするがその前に瓜の爪が男の顔を傷つけ始める。

別の仲間が瓜を引き剥がそうとするが、投げられた事に腹を立て怒り狂う瓜は別な男に飛びかかり再び爪を振るいだした。

 容赦のない攻撃に男達はたまらず進路を変更しようとするがそこには既に山本が周りこんでいた。

 

「悪いけど鬼ごっこはこれで終わりだぜ!!」

 

 小刀より死ぬ気の炎で作り上げた刀身を振るい山本は男達の間を縫うように移動し、それと同時に刀身を男達に正確に打ち込んでいく。

 そして山本が切り抜けた瞬間、男達は一斉に地へと倒れるのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「とりあえず、これで良いよな…てか大丈夫か?獄寺」

 

 風紀委員から支給されている手錠を男達へとかけていく山本、そしてかけ終えてから後ろを振り返る。

するとそこでは瓜が獄寺の顔に張り付き力の限り引っ掻いていた。

 

「いでででっ!?大丈夫じゃねぇよ!!」

 

「獄寺くん!山本!大丈夫?」

 

 痛みに耐えつつ瓜を引き剥がし、なんとかリングへ押し込むように戻す獄寺。その時である、通りの方からツナが獄寺達に声をかけつつ走ってきた。

 

「おう、こっちは全員確保したぜ、ツナはどうだ?リーダーみたいな奴は捕まえたのか?」

 

「おい、山本!十代目があんなチンピラのリーダーなんざに負けるかっての!?」

 

「アハハ、念動系の能力者で少し苦戦したけどちゃんと警備員に引き渡してきたよ

やっぱりレベルアッパーを使ってるからか、レベル4と変わらなかったかな」

 

 小刀を戻してから山本はツナに尋ねる。ツナ達は初春より不良グループがレベルアッパーの取引があるという情報を受けて3人で向かった。

その際、リーダーがツナ達の前に立ちはだかり残りの手下は取引によって手に入れたレベルアッパーを持って逃げ出した。

 レベルアッパーを確保する為に山本と獄寺はツナにリーダーを任せて手下を追う事にした。

 リーダーと戦い終えたツナは相手の能力が強化されている事を話した。

 

「なんか、最近の不良…妙に強くなってないか?レベルアッパーで上がる度合いがデカイっていうかさ」

 

「多分、気のせいじゃねぇな…数週間前のデータと比較したんだが…レベル4相当が倍近く増えてる、こりゃ下手すりゃレベル5クラスが出てくるかもな…」

 

 ツナの話を聞いて山本はふとした疑問を口にする、それに対して普段は反論する獄寺が珍しく同意をし懐から折り畳み式の端末を取り出し、そしてここ一週間のデータと数週間前のデータを表示する。

 グラフで表示されたデータを見せながら一つの不安を口にした。

 

「御坂クラスの能力者か…そうなると捕まえるだけでもこっちに被害が出る、早く元を絶たないと!」

 

「しかし、音楽を聞いただけでなんでレベルが上がるんだろうな?

能力って音楽を聞くだけで上がるもんなのか?」

 

 獄寺の集計した情報を見てツナは危惧すべき事態を考えながら答える、すると山本が男達の側に転がっていた音楽プレイヤーを拾い上げて尋ねてきた。

 その疑問にはツナも同じ考えであった、ただの音だけで能力の向上や発現するのであれば学園都市の中にレベル0は存在しない筈だからだ。

 

「音はきっかけなのかもな…この街の能力についても調べてみたがオレ個人の見解としては脳の演算処理が関係している筈だ

この音はどうにかしてソレを底上げしてると思う」

 

「演算処理って事は頭の回転の事だよな、俺は頭悪い方だからそういう小難しい事は獄寺に任せるぜ!」

 

「お気楽な奴だよな…お前は…少しは分けてやりてぇよ、そしたらお前も…」

 

 考え込むツナを見ながら獄寺は自分なりの推理を口にする。すると山本は軽く笑いながら、速やかに考える事を止めて獄寺へと一任した。

 額に手を当てながら呆れたように言う獄寺。その時である、獄寺の頭の中で散り散りだった情報が一つに纏まりだした。

 

「獄寺くん?」

 

「大丈夫か?」

 

「十代目、レベルアッパーの仕組み、もしかしたら解けたかも知れません!」

 

「「ええっ!!?」」

 

 考え込む獄寺にツナと山本は心配しながら尋ねる、すると顔を上げてから獄寺は二人に向けて答えた。

はっきりと言い放たれ二人は同時に驚きの声を上げた。

 

「あくまで仮設に過ぎないので断言は出来ないのですけど、一番有力だと思います

とりあえずまずは支部に戻りましょう」

 

「なんだよ、ここで話しても良いんじゃないか?」

 

「能力に関して俺たちの中で話し合うより白井や初春と一緒に話す方が効率的だ

十代目、すみませんがそれで構わないですか?」

 

「大丈夫だよ、俺もその意見には賛成だから」

 

 獄寺は一度咳払いをしてからツナ達へと提案した、話す分ならばここでも十分じゃないかと山本が尋ねるが、専門的な意見が欲しいから支部へと戻る事を提案してきた。

 獄寺の頼みを聞き入れ、ツナ達は一度支部へと帰る事にした。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

学園都市 第177支部

 

「共感覚性、ですの?」

 

 支部へと戻ったツナ達は、白井や初春、御坂へと話をする。

獄寺が口にした単語に白井は首を傾げるようにしてから呟いた。

 

「ああ、レベルアッパーを聞く事によって思考、いや人間の演算能力を共有する事によって能力の発現と成長しているんだ

例えるならスーパーコンピューターみたいにいくつものパソコンを繫げて計算するみたいなもんだ」

 

「なるほど、けどそれなら昏睡状態になる理由はどうしてなの?」

 

「恐らくだが、脳波が変化しているからだな…

電子機器と違って人間の身体はいきなり変化した脳波に対応出来ない、その結果が昏睡状態なんだろうよ」

 

 獄寺は手持ちの端末に図面を簡易的に表示して説明をしていく。

レベルアッパーの仕組みについて御坂は使用者が意識不明になっている事を尋ねると、獄寺は頭を指でさしてから答える。

 

「それじゃあ使用者がレベルアッパー使用して昏睡するタイミングがバラバラなのはなんででしょう?」

 

「そいつは多分だが、レベルアッパーが流行りだした時期と関係してると思うな

昏睡状態になっても脳が生きてるなら演算は出来る

最初は複数回は使っても平気だったかもしれないがレベルアッパーを使った人数が増える分だけ、演算の速度と負荷は上がっていく、最近の事件で捕まった直後に昏睡状態になるのは膨大な負荷に脳が耐えきれないからだな」

 

「けどよ、レベルアッパーの仕組みがわかっただけじゃ解決にはならないだろ

元を絶たなきゃ被害は増えてく訳だし」

 

 話を聞き初春は獄寺へ昏睡が発生する瞬間が違う理由を尋ねると、端末を操作して獄寺は説明をしていき顎に手を当てながら推測を口にした。

 レベルアッパーについてわかった所で、山本がふとした疑問を獄寺に投げかける。

 

「ああ、その通りだ…けど手掛かりはある、脳波だ」

 

「?脳波?」

 

「なるほど、人間は指紋や声紋と同じで脳波も違う

逆にいえば現在、昏睡している人達と合致する脳波が犯人という訳ですね?」

 

「複数の人間の脳波をまとめるには基点となる脳波が必要だ

確か、学園都市の医療機関じゃ脳波も計測しているよな?」

 

 山本の問いかけに獄寺はハッキリとした口調で返す、しかし理屈がわからない山本は首を傾げた。

脳波という言葉から白井は特定すれば活路になると理解を示す、獄寺も補足するように頷けば確認を取るように言うと白井は肯定するように頷いた。

 

「すぐに要請しますの」

 

「ねぇ、資料を待つよりも直接行った方がいいんじゃない?」

 

「うん、それは俺も賛成…これだけの事をしているんだ多分、犯人は自分を特定されるのをわかってるかもしれない

それならスグに動いた方が良い」

 

 白井は携帯を取り出して医療機関にかけようとしたが、御坂がそれを止めて病院に向かうべきだと進言をした。

 ツナもまた同じように頷けば獄寺と山本も同じように頷いた。

 

「わかりましたの、でしたら私達で向かいましょう

初春、貴女は木山先生に今の内容を伝えて打開策を練って欲しいですの

レベルアッパーの被害を止めるには相手を特定するだけで無く、昏睡状態の人間を回復する方法も必要ですから」

 

「わかりました!」

 

 御坂の意見に白井は仕方なく賛成すれば、初春を除いたメンバーに呼びかけ初春には別の指示を出した。

 白井の意見に初春は強く頷いて応えるであった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

『なるほど、共感覚性…それは盲点だったよ、それなら対策が取れるね…すまないが犯人から押収したレベルアッパーを届けて貰えるかな?』

 

「わかりました、こちらが調べたデータと一緒に持っていきますね」

 

 ツナ達が支部を離れてすぐに初春は、木山へと連絡をとっていた。

ダウナー気味の口調で木山は初春に頼み事をすれば初春は片手でパソコンを操作しながら答えると通話を切り、パソコンへと向かう。

 既に獄寺の手によってまとめられていたデータを初春は素早いタイピングにて補填していく。

その時である、キーボードの脇に置いていた携帯が急に鳴り出した。

表示された名前を見て、初春は慌てて通話ボタンを押した。

 

「もしもし!佐天さんですか!?何していたんです?様子が変だったから心配してたんですよ?」

 

『初春…アケミやみんなが、意識不明になっちゃった…』

 

「え?」

 

 ファミレスにて木山と会話して以降、なかなか連絡がつかなかった佐天。

初春は口調を荒げながら問いかけると佐天は震えた口調で話してきた、いつもの快活的な雰囲気がまるでない佐天と伝えられた内容に初春は意味がわからず、固まってしまう。そんな初春に佐天はまるで懺悔をするように話しだした。

 

『あたし、レベルアッパーを手に入れててさ…ホントは前に会った時に教えるつもりだったんだ

けど、レベルアッパーを持ってたら捕まえるって聞いて、言い出せなくて…けどあたしは、どうしても能力が欲しかった

…だから、アケミ達と一緒に…ううん、違うホントは怖かった一人で使うのが…だからアケミ達を巻き込んだの!』

 

「佐天さん…今、家ですか?スグにそっちにいきます!!」

 

 独白に近い佐天の言葉に初春は自分を責めた、いつも側にいたのに気付いてなかった、明るく振る舞いながらもいつも能力について気にしていた佐天。

 初春は考えなかった訳じゃない、けど心の何処かで勝手に信頼していた佐天はレベルアッパーは使わないと、けれど彼女は使ってしまったそれほど追い詰められていたからだ。

データをリムーバブルディスクに保存してから初春は立ち上がり叫ぶように呼びかける。そして飛び出すように外へと駆け出した。

 

 外に出た初春は佐天のアパートへのルートを思い出しながら通話越しに呼びかける。このまま、通話を切ってしまったら佐天がいなくなってしまうような気がしたからだ。

 

『ねぇ…初春…レベル0って欠陥品なのかな?…ズルして力を手に入れようとしたから罰が当たったのかな?

あたし、なんも力のない自分が嫌で…けど憧れを捨てられなくて…』

 

 必死に佐天の元へと走る初春、その間も佐天は涙ぐみながら自分の気持ちを口にしていく。

 

ーーーーーーーーーーー

 

佐天の部屋

 

「あたしもアケミやみんなのように倒れてずっと眠ったままになるのかな…

危ない物に手を出して、友達も巻き込んだ罰として…『大丈夫です!!』っ!?」

 

 日の入らない部屋で佐天は御守を握りしめながら佐天は涙を流した、そのまま意識が無くなりそうになった時、初春の声が響き渡り一気に意識が覚醒した。

 

『もし、眠っても私が起こします!佐天さんだけじゃなくアケミさんも、他の眠ってる人たちも!ですから、どーんと私に任せて下さい!!』

 

 携帯の向こうから響き渡る初春の声は、力強くいつもの彼女とはまるで違っていた。さらに初春は言葉を重ねていく。

 

『佐天さんは欠陥品じゃありません!…能力なんて使えなくてもいつもいつも私を引っ張てくれてるじゃないですか!!

力があってもなくても佐天さんは佐天さんです!私の親友じゃないですか…だから…だから…そんな、悲しい事を言わないで…』

 

 鼻声で言葉を紡いでいく初春、佐天は今、初春がひと目も憚らずにクシャクシャな顔で呼びかけていると思い、それと同時に嬉しさがこみ上げてきて思わず笑ってしまった。

 

「初春に言われてもねぇ『わ、私だけじゃないですよ!?御坂さんや白井さん、ツナさんだっています!』…あ、うん…わかってる、ありがとうね」

 

 いつもの自分の口調で返すと初春が慌てて返してきた

、そして頼れ人間の名前を言っていく中で、佐天は小さく呟きそして素直に礼を言った。

 

「初春、迷惑かけるけどお願いね…それと、あたし、ツナさんにヒドい事言っちゃったんだ…だから謝っておいてくれるかな?」

 

『…ツナさんなら、許してくれますよ!もしダメなら、その時は私も怒っちゃいますから!!』

 

「そっかぁ…それは怖いなぁ…初春、後は任せたよ…」

 

 自分の中の心が晴れ渡ったのを狙ってか、佐天は意識が遠のいていくのを感じた。

今度こそ自分は覚めない眠りについてしまうだろう、そう思った時、最後に残っていた心残りを口にしてから通話ボタンを押して床に倒れると、そのまま静かに目を閉じた。

 

 佐天からの電話が切れ初春は力の限り走りアパートへと向かう。階段を飛ばし飛ばしで駆け上がっていき佐天の部屋へと入る、そこには御守を握り締めたまま昏睡状態へと入った佐天がいた。

 

「佐天さん…」

 

 

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