死にかけの無敵少女を拾うのは間違っているだろうか? 作:スキマ時間
ここはオラリオ、魔物が溢れ出す穴、ダンジョンを封じた都市。友神と飲んだ帰りに、その路地裏を歩く神ミアハがいた。
ふと路地裏に光輝く塵が舞い落ち、人の形をとった。ミアハが驚いて近づくと、光は消えて、座り込んだ姿の赤い髪の女性が現れた。
よくみると、胸に矢が刺さった跡があり、息をしていない。
慌てて手持ちのポーションを胸に振りかけた。
すると、彼女の身体が白く光り、みるみる傷が塞がっていく。ミアハは驚きで、目を見開いた。
「おかしいな? エリクサーでもないのに、こんな勢いで回復するとは?」
死にかけていた彼女は息を吹き返した。
「むう、とりあえず連れて帰るか」
ミアハが、薬屋でもあるホームに帰ると唯一の家族であるナァーザが出迎えた。
「おかえりなさ……その人はどうしたのですか?」
「うむ、突然路地裏に輝く光とともに湧き出たら、大怪我をして死にかけていたのだ。不思議なことにただの回復ポーションで息を吹き返した」
「え? そんなことがあるんですか?」
「とりあえず、運ぶのを手伝ってくれるか?」
「は、はい」
ナァーザはミアハと上の部屋に女性を運んだ。よくみると足のアキレス腱にも矢が刺さった跡がある。相当激しい戦いに巻き込まれたようだ。
「ミアハさま、ものすごく厄介事の気配がしますが大丈夫ですか?」
「目がさめれば事情もわかるだろうし、まして、ポーション1本分しか使ってはおらぬぞ。」
「また悪い癖ですね。ミアハさまは、人がいいから。起きたら、彼女のファミリアにきっちり払ってもらいましょう。」
「それなんだが、彼女に恩恵は刻まれておらぬぞ。」
「え?嘘でしょう!?それ分かってて助けたんですかぁ?」
「落ち着け。何やら彼女には不思議な気配がある。まあ、目の前で死なれるようなことにならなくてよかった。」
「また私のときのように助けてしまうんですね。貧乏から抜け出せる気がしない!」
「そう言うな。恩恵のない者が身に着けるにしては彼女の服装というか、鎧は高価すぎる。何があったのだろうな。」
「そういえば、身体もすごく鍛えてそうですし、そんな大怪我をしたわりに他に傷が無いのもおかしいですね。」
「足が不自由になったら可哀相だし、足も治療しよう。ナァーザ、不思議なことが起きるから見ておきなさい。」
ミアハが彼女の足にポーションを振りかけると、彼女の身体が白い光に包まれて、足の傷が跡形もなく治った。
「今のはなんですか?ただのポーションですよね。これほどの傷は治らないですよ。彼女、何者なんですか?」
「それもあって、放置できなかったのだよ。こんな面白いこと、他の神がほっとくわけがない。」
「ますます厄介事じゃないですか!もうやだぁ!」
「こんな私だが、許してくれるかい?」
「ミアハさま、ずるいです」
つづく