死にかけの無敵少女を拾うのは間違っているだろうか?   作:スキマ時間

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魂に輝きを

ベートは夢を見ていた。なぜか、死んだはずの副団長の声が聞こえる。

 

『まだ、私のこと気にしてるんだね。もう前を向いて進みなよ。』

 

なんだか、体が軽い。たしか派手に地面に叩きつけられたはずで、そのときに死んだと思った。

 

「ベート、起きてるか?体はもう大丈夫か?」

 

「ロキ?あのあと俺はどうなった。」

 

「それなんやけどな。あの子がベートの体に触れたら、ベートの体が優しい光に包まれてな。あの子がいうには直しておいたらしいんやけどな。」

 

「たしかにあのとき、死んだかと思ったのに怪我もないし、体も軽い。わからねぇ。どういうことだ。ロキ、ステータスを更新してくれるか。あれだけ派手にやられたんだ、なにか変わってるかもしれねぇ。それと、面目ねえ。恥をかかせた。」

 

「ええんよ。なんでかわからんけど、今のベートは、いい目をしてるで。じゃあ、ステータスを見てみよか。」

 

ロキがベートのステータスを更新すると、

 

「なんじゃぁこりゃぁーーーーーーーーーーーー」

 

名前:ベート・ローガ

level:6

力:I0 耐久:I0 器用さ:I0 敏捷:I0 魔力:I0

オーラ:100%

 

【スキル】

ドロー・ストレングス・フロム・ヒット(センブランス):受けたダメージの倍のエネルギーを得る

 

「ロキ、このオーラとセンブランスってのはなんだ?」

 

「あの子の話によると、ベートの魂の力っちゅうことやろな。ベートに怪我がないのは、あの子がその力を引き出したからやねん。ベートのステータスを見るまで信じてなかったんやけどな。」

 

「くっ、余計なおせっかい焼きやがって。」

 

「でもそのスキル、ベートに似合っててカッコええな!なんか男前になった感じがする。」

 

「ちぇっ、冗談じゃねぇ。人を守るには鍛錬が足りてない、か。たしかにそうかもしれねぇ。もう二度とあんなこと言わせねぇようにしないとな。」

 

ベートがカッコええ。元からええ子やと思てたけど、惚れ直した。

 

「ほなら、今度あったらリベンジマッチやな。うちがセコンドしたるわ。」

 

「おう。二度と恥をかかせたりしねぇ。」

 

やっぱり、うちの子はええなぁ。ロキはウキウキしていた。

 

そのころ、ナァーザは迷宮で装備もつけずにモンスターと戦って怪我をしているベルを見つけた。

 

「しょうがない子だな。お姉さんが診てあげよう。」

 

回復ポーションをかけて、自分のオーラでベルを包んでいく。ベルがやわらかい光りに包まれ、呼吸が落ち着いてきた。

 

「私のセンブランスって、便利ね。回復ポーションとの相性がいいし、これならちょっとした治癒院を開けるかしら。」

 

ベルは回復したら膝枕されてたことに気づいて、顔真っ赤にして逃げてしまった。

 

「あーもう、なんで逃げちゃうかな。ちゃんと礼を言いなさい。女の子に失礼でしょ。」

 

ナァーザのなかで、ベルくんの評価は急降下した。南無。

 

青の薬舗に帰った二人は、今日のことをミアハに報告した。

 

「ええ?ロキのところのベートくんと喧嘩した?で、その様子だと、なんともなかったと。」

 

「ぐは。ナァーザ、胃薬を持ってきてくれるかい。」

 

「すぐに。ミアハさま、大丈夫ですか!」

「まさかと思ってたけど、ピュラ、もしかしてベート相手に無双しちゃったの?」

 

「えーと、ちょっといい戦いができそうかなって思って、本気で相手したら、やりすぎちゃいまいした。すみません。でも、ちゃんと彼のオーラを覚醒して治しておきましたよ。」

 

「あちゃー。そういうことじゃなく。ていうか、Level5の冒険者を覚醒させちゃうんだ。」

 

「胃、胃が痛い。ちなみに、エクセリアが溜まった気配はあるかい。」

 

「えと、残念ながら、全然。。。。」

 

「あぁ。やはりか。」

 

「きっと、君がいたレムナントはとてもおかしい場所だったんだね。君だけでなく、その世界の人は、弱いままでは生きていけなかったんだ。まずは君が無事でよかった。次の神会も欠席しようかな。」

 

「すみません、ミアハさま。」

 

「いや、君は悪くない。ロキはそんなに悪い神じゃないから、今度あったら謝っとくよ。」

 

それにしてもピュラはとんでもなく強い子なんだな。ギルドから目をつけられるのは避けられないか。むしろ、ロキと直接話したほうがいいか。

 

「ナァーザ、明日、私はロキと話し合いに行ってくる。」

 

「ミアハさま、私もついていきます。」

 

「いや、ロキとはこっそり話したいのだ。目立たないほうがいい。それより、胃薬をちょっと多めに用意しておいてくれるかい。」

 

「ほんとにすみません。」

 

「いや、むしろ子供がたくましいのはうれしい限りだよ。だから気にすることはない。」

 

 

翌日、ミアハはロキファミリアのホーム、黄昏の館へ出向いていた。

 

「ミアハ、わざわざ出向いてくれたっちゅうことは、昨日のことをあの子から聞いたんか。」

 

「ふむ。ベートくんは大丈夫だったかい。うちのピュラがやらかしたみたいですまん。」

 

「いや、ベートもちょっとやらかしてたから、お互い様やな。」

 

「ふう。そう言ってくれるとたすかる。」

 

「で、わざわざ来たのは、それだけじゃないんやろ。」

 

「さすがにわかるか。ピュラのことでな、相談があるのだ。ちょっと人払いをお願いできるかい。」

 

「ま、ええやろ、私室で話そう。」

 

.

.

.

 

「ピュラが治療のため、ベートくんのオーラを覚醒させたと言っていたから、気になってね。」

 

「それならすでにびっくりしたんやで。なんやあの、魂の力ってのは。」

 

「順を追って話そう。まずはピュラはこの世界の子ではないんだ。」

 

「なんやて!」

 

「レムナントという世界のハンター養成学校の学生だったそうだ。彼女の立ち居振る舞いを見るに、そこでもかなり優秀な子だったんじゃないかな。」

 

「そやな。ものすごいええ子やもんな。めっちゃカッコええし。」

 

「ここからは謎が多いので私もよくはわからないんだが、彼女のいたハンター養成学校がモンスターの大群に襲われて、町そのものが陥落したそうだ。その戦いにおいて、恋人や仲間を守ろうとして、敵の首領だった秋の乙女の力を持つというその世界で4人しかいない強力な魔法の使い手に、無謀にも一人で戦いを挑んだそうだ。そして、彼女は敗北し、光り輝く塵になり、死んだそうだ。」

 

「なに!塵って、そんなばかな。それじゃ、魂もなにも残らへんやん。彼女はちゃんと生きとるで。この目であの眩しい魂の輝きを感じたんや。そんなはずあらへん。」

 

「まあ待て、そのときに彼女の友人がなにかの力に覚醒して、彼女はその光に巻き込まれたそうだ。そして、オラリオの路地裏で私の前で光り輝く塵からヒトガタになった。ただ、そのときは胸と足に矢を受けて、息もしてなかった。たまたま持っていた回復ポーションを振りかけたら、オーラが回復して息を吹き返したんだ。」

 

「なんちゅうこっちゃ。そんなことが。そら悔しかったやろな。だから、あんなにベートに怒ってたんか。それにしても、ほんとに人々の英雄って感じの子やな。ひと目で惚れてしまうわ。」

 

「おいおい、取らないでくれよ。ナァーザはあの子のおかげで冒険者に復帰したんだからな。」

 

「おかげで、うちのベートもなんか男前になったんやで。あの子の魂の輝きはとんでもないな。だから相談しに来たっちゅうわけやな。」

 

「そういうことだ。たぶん、目立ってしまうのは避けようがない。しかも、オーラを使って戦うせいなのか、それとも強すぎるせいなのかエクセリアがまったくたまらないから、神会でレベルアップの報告をする機会もないみたいなんだ。」

 

「は?ちょっと待て、もしかしてレベル関係なしにあの強さっていうことかいな。冗談きついな。ほんまかいな」

 

「恩恵を与える前ですら、ナァーザは手も足もでなかったそうだ。実際、ステータスはすべて0のままだ。家族となるために恩恵こそ与えたが、彼女はここへ来る前の状態からなにも変化がない。」

 

「うわぁ。もしかして伝説に謳われた本物の英雄っていうことかいな。そら魂の輝きが眩しいはずやわ。むしろギルドをまきこんで、level6っちゅうことにしといたほうがまだましやな。」

 

「なにも知らないより知っているほうがよいと思って、話に来たんだが、正直なところ解決策はなにもないな。あの真っ直ぐな子に奇策は似合いそうにない。親としてはまったく助けになってなくて情けないが、あの子自身がオラリオを巻き込んで、世界を変えてしまうのかもしれないな。そんな予感がするんだ。」

 

「怖いこと言わんといてーな。おとなしいミアハがそんなこと言ったら、ほんとうにそうなっていまいそうで、正直ビビるんやけど。」

 

「それはそれとして、これからもピュラと仲良くしてもらえるかい。たぶん、一人ぼっちでこの世界にやってきたあの子にとって、それこそが一番の助けになると思うんだ。」

 

「そやな。うちもあの子のこと応援するで。カッコええもんな。大好きやで。」

 

「ありがとう。ロキ」

 

(続く)

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