死にかけの無敵少女を拾うのは間違っているだろうか?   作:スキマ時間

17 / 21
連携攻撃

ロキファミリアから帰宅したミアハは青の薬舗で一息ついていた。

そこへ息を切らして駆け込んできたナァーザから、ヘファイストスからの伝言を聞いて二人は抱き合って喜んだ。

 

取り急ぎ仮契約を結ぶため、ヘファイストスファミリアにナァーザとともに出かけた。

 

「ナァーザ、やはりレムナントはとんでもないところなんだな。ピュラの強さやオーラにばかり気を取られていたが、心のあり方が違うというのはとても大きなことだ。」

 

「わたしもそう思います。ミアハ様。エイナに起きた心の変化。ピュラと椿さんのお話を聞いて、その思いを強くしました。これからも神様の恩恵は人々の支えとなるでしょうが、オーラやレムナントの技術が広まれば、オラリオは大きく変わっていくかもしれません。」

 

「だからこそ、その変化をあまり急進的なものとしないためにヘファイストスとの契約が重要だな。早すぎる変化に人々はついていけない。」

 

「はい。少しづつ周りの理解を得ていくように、工夫が必要ですね。わたしも手に入れたセンブランスを利用して、治癒院を開こうかと考えています。あまり派手にならないようにしつつも、人々と希望の灯火を分かち合いたいのです。わたし自身が救われたように、今のポーションでは助からない怪我や病気に向き合いたいと考えています。」

 

「そうだな。借金返済の目処を立てつつ、計画を立てよう。ナァーザとこんな前向きな話ができるようになってとても嬉しいよ。」

 

「あの真っ直ぐで前向きな心。わたし勘違いしてたのかもしれません。本当の強さというのは力じゃないのかもしれませんね。」

 

ミアハとヘファイストスは仮契約を結び、ピュラが持つレムナントの技術について流出しないように約束した。

 

「ピュラを家族にしたのがミアハで助かったわ。これから協力していきましょう。」

 

「そうだね。ピュラのことで、ロキやヘスティアとも協力することになっている。あのオーラの力は目立つことを避けられない。レムナントの技術はヘファイストスと協力すれば隠せるが、本人の魂の輝きはどうにもならないから。」

 

「あたりまえのことね。人の子の魂の輝きを隠すなんて罰当たりなことはできないわ。それこそ神のあり方と矛盾してしまう。わかったわ、ロキやヘスティアにわたしも協力すると伝えておいて。オラリオは急激な変革期を迎えそうね。なにも起きなければいいのだけれど。」

 

「ふむ。何も起きていないうちから不安になっても仕方がないさ。今は子どもたちの奮闘を見守ろう。」

 

「ふふ、ちょっと前のミアハとは見違えるわね。他にもいいことがあったのね。」

 

「ああ、ナァーザがね。すごく前向きになったのさ。ありがたいことさ。」

 

「わたしもね。椿があんなに活き活きとして、とても嬉しいのよ。」

 

「こんな状態が続いてほしいね。」

 

「同感よ。わたしたちにできることをしましょう。」

 

「もちろんだ。」

 

トントン。扉がノックされ、主神の部屋に椿が入ってきた。

 

「主神様、ピュラ殿に貸し出す武具だが、以前、手前が試作したグラディウスとスパルタンシールドにしたが問題ないか。そこそこ頑丈だが、デュランダルではない。シンプルで頑丈な作りでメンテナンスの費用もあまりかからないからな。それに動きの邪魔にもならず、乱戦でも問題ない。」

 

「椿の好きにしてよいわよ。」

 

「わかった。いくらなんでも鍋とスコップじゃな。そんなもので階層主でも倒した日には、悪目立ちして困ってしまうわい。やってしまいそうなのがあの子の怖いところじゃがな。」

 

「すまないね。椿殿。」

 

「いや、わしの試作した武具でどんな活躍を見せてくれるか、今から楽しみで仕方がない。」

 

「ピュラの武具のこと、よろしくおねがいします。」

 

「ナァーザ殿、心配するな。悪いようにはせぬよ。あんなよいものを見せてもらっているのだからな。」

 

「ではな。」

 

そそくさと椿はピュラのいる鍛冶場に向かっていった。

 

「椿、とても楽しそうだわ。」

 

「そのようだね。ではまたな。」

 

「ええ、また相談があれば、いつでもきてちょうだい。」

 

ミアハとナァーザは、楽しそうに椿と打ち合わせているピュラを残して先に帰った。

 

そのころ、ヘスティアがミアハと入れ違いでヘファイストスのところを訪れ、大好きなベルくんのために土下座を敢行したのはまた別のお話。

 

 

ダンジョンの5階層、ピュラはグラディウスとスパルタンシールドを手に鍛錬している。

 

横で見ていたベルとナァーザは、ちゃんとして武器を手にしたピュラの鋭い剣撃で風が舞うのをみて、目をキラキラさせて見惚れていた。

 

盾がしっかりしたものになったことで、ベルがピュラに飛び込んで盾に乗って遠くへ弾き飛ばしてもらうといったとても攻撃的な連携も可能になった。ベルのスピードを活かし、相手の動きを崩し、そこへナァーザの弓矢が突き刺さる。

 

ナァーザの弓矢には指輪を通した物を混ぜてあり、群れた相手の一頭に刺さった瞬間にピュラが指輪にセンブランスを発動し、稲妻を伴う大爆発を起こす。

 

口を開けて叫ぶ大型のモンスターが相手であれば、近づいたベルがナイフで斬りつけつつ、速さを活かして、指輪を口の中に投げ込み、ピュラが指輪の位置を意識しながら飲み込まれる瞬間を待って、センブランスを発動する。敵は体内から爆発する。

 

爆発に伴い激しく消費したオーラは回復ポーションで取り戻す。

 

ベルとナァーザの火力不足を一気に補う連携が完成した。

 

「ピュラさん、この戦い方は息が合っていることがとても大事ですね。」

 

「そう、だからレムナントではハンターはチームを大事にしていた。少なくともペア、可能であれば4人。場合によってはそれ以上。各々の個性とスピードを活かして戦う。ベルのような速さを特性とする子やナァーザのような遠隔攻撃との組み合わせで戦術の幅を拡げていた。」

 

「ピュラありがとう。弓がこんなに役立つなんて。さあ、連携の練度をもっと上げていくわよ。」

 

ベルは速さに特性がある。なんというか、稲妻のようなイメージが。センブランスが目覚めたら、ルビーともまた違う速さを使えるようになるかもしれない。

 

3人はダンジョンでモンスターを相手に連携の訓練を繰り返した。

 

 

ダンジョンから引き上げようとしたら、大きなケージにモンスターを捕えて運んでいる一団を見かけた。

 

「ナァーザ、あれは何をしているの。」

 

「あれはガネーシャファミリアが毎年行っている怪物祭り(モンスターフィリア)ための準備ね。お祭りではモンスターを調教して戦わせるのよ。」

 

「ずいぶん強そうなモンスターですね。」

 

ピュラはホワイトファングがモンスターを町に放ったことを思い出して、少し嫌な予感がしたが、オラリオの風習ならそういうものかと思うことにした。

 

「その日はみんなで一緒に見に行こうよ。」

 

『ええ、そうしましょう。』

 

(続く)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。