死にかけの無敵少女を拾うのは間違っているだろうか? 作:スキマ時間
ギルドでの冒険者登録をすませた。
これで正式な冒険者になれたので、堂々とダンジョンに入れる。
『死ぬ前に正式なハンター資格を得たかったなぁ。』
ちょっと残念だけど仕方がない。
「ナァーザ、間に合わせでよいので剣と盾を用意しましょう。知っている鍛冶屋はありますか?」
「そうね。ヘファイストスかゴブニュのところには、新人の鍛冶職人が作る掘り出し物があるわ。」
「それにしましょう。案内してもらえます?お金がたりないようなら、金属製の鍋を盾にし、武器は手斧かスコップでもよいです。オーラで補えば、なにもないよりはましです。」
「うわっ、ピュラって以外と野性的なのね。」
「ハンターは武器を自作する訓練を積んでいるのですが、問題は材料と道具ですね。」
「贅沢はいってられません。ダストがないならどんな道具でもそれほど違いはないので、ある程度使ったら壊れることを前提にして購入しましょう。」
結局、盾は鍋にして道具屋で購入、武器は手斧2本、スコップ2本、砲丸2個にした。
手斧2本は予備だ。
「うわぁ、ほんとにスコップと鍋になっちゃった。ピュラ、ほんとにそれでいいの?」
「問題ありません。金属が使われてるだけましです。」
「私もできるだけ援護するわ。」
「スコップを渡しておきます。もしも接近されたら、無理に振り回さず、できるだけ受けに回ってください。」
「ちょっと恥ずかしいかも。」
「ダンジョンで、私達、ポンコツコンビの本気を見せてやりましょう。」
「ポ、ポンコツ?」
「今はそうですね。わたしは油断から友達を死なせ、ちゃんと考えずに強敵にたった一人で戦いを挑んで死にました。ナァーザさんもダンジョンで怖い思いをしました。」
「わたしたち、何かが足りてない。でもわたしたちは一人じゃない。ここから変わっていきたいです。今度こそ。」
「ええ。もちろんよ。」
「じゃあ、行きましょう。」
1階層、ゴブリンと戦う。ベオウルフに比べると小さく遅い。まったく手応えを感じない。
2階層、ダンジョン・リザードと戦う。速度があり、壁や天井を移動するが、やはりベオウルフよりも弱い。敵ではない。
3階層、フロッグ・シューターと戦う。単眼のカエル。中距離からの舌での攻撃。鍋で舌の攻撃を弾いて突撃、スコップで首を刎ねる。
体当たりも鍋で受け止め、弾き飛ばす。力負けはしない。
吹き飛んだところに砲丸を投げつける。左手の親指で照準を補正し、全力で投げつける。磁力での加速や軌道補正もこっそり行う。
カエルは爆散した。投げた砲丸は回収した。
「うひゃー。エグい。わたしの出番がないわ。」
「ごめんなさい。浅い階層だと一般的なグリムより小さいし、数も少ないから訓練にもならないかも。」
「それ駆け出しの冒険者のセリフじゃないよ。レムナントって、人が住むにはとても危険な場所だったのね。」
6階層、ウォーシャドウと戦う。まとまった数で出てくる。両手に手斧を持って、トマホークのように投げつける。最初の攻撃で顔のお面を割られた二体が倒れる。残り二体の攻撃を鍋で受け止め、磁力で手斧を回収する。
そこにナァーザの弓矢が打ち込まれ、お面が割れて消えていった。
「新米殺しも敵じゃないか。もう少し下まで行ってみる?」
「手持ちの武器が通用する階層だと、どのあたりになりますか?」
「10階層かな。10階層からは霧が発生したり、怪物の宴も発生するから注意が必要だけど。今の武器や防具でもなんとか通用するわ。」
「でも、11階層からはハードアーマードやシルバーバック、インファントドラゴンが出てくるから今の武器だと心許ないわね。」
「なるほど、では装備が揃うまでは、10階層より手前を攻略しましょう。」
「うわ、下級冒険者になってすぐに10階層とはスパルタだわね。7階層のパープル・モスは鱗粉に毒があるから長居は禁物ね。あと、キラーアントは仲間を呼ぶから注意してね。こちらの殲滅力を上回ったら厄介だから、魔石を潰してでもさっさと殺すことよ。」
「わかりました。じゃあ行きましょう。」
7階層、キラーアントとの戦い。両手に手斧を持ち、全力で投げつけたあと、さらに磁力で操作して加速する。弾かれることなく、甲羅を切り裂き、突き刺さった。
ナァーザの弓矢3本が一体に突き刺さる。傷ついたキラーアントを優先し、スコップで首を切り飛ばす。
無傷のキラーアントがナァーザに迫る。ナァーザはスコップを構えて、キラーアントの攻撃を弾く。
「いや、よってこないで!」
ちょっとトラウマが出ているようだ。
「ナァーザ、オーラを使って!」
キラーアントがスコップに大きな顎で噛みつこうとしたが、ナァーザが気合いをいれるとスコップの表面が光り、弾くことができた。
ピュラは、ナァーザが戦っているキラーアントにむかって、鍋を磁力操作で回転させながら投げつけた。鍋がぶつかった衝撃でキラーアントがひるんだので、ナァーザは思い切りスコップを振り抜いた。
キラーアントは潰れた。
「ナァーザ、大丈夫ですか?」
「オーラも少しだけど使えましたね。」
「実際に使ってみてわかったけど。スコップって便利ね。」
『うん?なにか噛み合っていないような気もするけど、まあいいかな?』
ここまでの魔石やドロップアイテムを集めたら、荷物が満杯になってしまったので、地上に戻ることにした。
「それにしても、運べる荷物の量が問題になりそうですね。」
「普通は一人でこんなに殲滅できないから問題ないはずなんだけど。ピュラといっしょだと、やり方を変えないとだめね。これは、サポーターを雇ったほうが効率がいいかもね。」
「荷物持ちってことですね。戦闘に集中するにはよいかもしれません。」
「下の階層に行くには殲滅力をもっとあげなければいけないようですね。小さな鉄球を増やしたり。ナァーザの弓矢を磁力操作で威力を上げたり、方法を考えてみます。」
「ピュラがいてくれたから、わたし冒険者に戻れた。わたしも鍛錬して強くなるから一人で無理しないでね。」
「ええ、大丈夫。ナァーザと二人でオラリオで一番のスコップ使いになりましょう!」
「そんな称号はいやぁーーーー」
(つづく?)