第壱話
【幻想郷:森林奥地】
ここは深い深い森の中。
「ここか...」
その深い森の中に人が1人通れるぐらいの大きさの扉がある。それは石で出来ており、普通に開こうとしても中々動かない。
「・・・・・・・」
そんな扉の前に立つ者、髪は金髪で肩ほどの長さで癖のある髪だ。瞳も金色で右手には箒を持っている。服装は黒を主とした物で白いエプロンをしている。さらに大きな黒いとんがり帽子をかぶっている。
『霧雨 魔理沙...ですね?』
「あぁ...」
石の扉の奥から何者かの声が聞こえた。そしてその者が言った名前。そう『霧雨 魔理沙』だ。何故彼女がここにいるのか。
それは時を遡ること一時前...
「あやや?こんな所にいたんですか!もう探しましたよぉ。」
「ん?文屋じゃないか。何か私に用ぜ?」
魔法の森の少し奥の所で魔理沙は珍しいキノコを取りに来ていた。そんな魔理沙を探しにきたのは【幻想郷の清く正しい伝統文屋『射命丸 文』】だ。
文屋こと文は現代で言う新聞記者に当たる。幻想郷で起きる出来事を『河城にとり』という幻想郷一のメカニックが作った特製にカメラで撮り記事にする。種族は妖怪で烏天狗である。
「実はですねぇ、えーと...ありました、ありました。この手紙が妖怪の山...つまり烏天狗の総本山に届きましてね?送り主は不明なのですが、宛先が霧雨 魔理沙になっていたので届けに来たんですよ。」
そう言いながら魔理沙への手紙を渡す。
「そうだったのぜ?そりゃわざわざありがとな。」
「良いですけど何て書いてあるんですか?」
文は興味本意で聞いてみる。普通は見せるわけないので断られる覚悟で言ったのだが。
「まあ届けてくれたし一緒に見てみるか?」
「良いんですか?」
「お前が言ってきたんだろうが...」
そう言いながら魔理沙は封を開けると中にはやはり手紙が入っていた。
「どれどれ...?えぇーと...」
まずは魔理沙が読む。文は何が書いてあるのか覗こうとするが、突然魔理沙が紙をクシャッ!と丸め
「...悪い文...これは見せられない...」
「あやや?何でです?」
「ちょっと説明も出来ないぜ...」
そう言うと魔理沙は歩き出す。
「ど、どこ行くんですか!?」
「...帰るだけだぜ?」
「そう...ですか?」
「じゃあな文。手紙届けてくれてありがとだぜ...」
「あ、いえ...」
魔理沙は箒に跨がり空を飛ぶ。
(あの内容...もし本当だとすると...幻想郷が破滅する...)
魔理沙に届いた手紙の内容は至ってシンプルだった。
『霧雨 魔理沙 殿へ
満月の夜に災いをもたらす最悪がこの幻想郷に降り立つであろう。』
誰かのイタズラと考えても良いが『満月』このワード。満月は今日を入れ一週間後の夜だ。もしも本当なら早急に手を打つ必要がある。
しかしこの事が幻想郷中に広まるのは避けたかった。
(余計な混乱を招きたく無いしな...それにこの【送り主】...こいつ本人が【最悪】で私達に揺さぶりをかけるのが目的なら余計に知れ渡っちゃ駄目だぜ...)
そして文は気づいてなかった様だが、封筒の中身には手紙と一緒に地図が入っていた。
「...来いって事か?上等だぜ!差出人の顔...とくと拝ませてもらうぜ!」
・・・・・・・・・
そして今に至る。
『敵の罠かもしれないのにノコノコ来てくれる何て...まあ今回はそれがありがたい事ですので礼を言っておきます。』
そう中から聞こえ、喋り終わると石の扉が独りでに開き地下に続く階段が現れる。
魔理沙はその階段を降り、奥の部屋の扉を開く。
そこには机に椅子、蝋燭が一本の息苦しい小さい部屋があった。
「お前は誰なんだぜ?この手紙を出したのはお前か?一体何が目的なんだぜ?場合によっちゃ...」
魔理沙はその部屋にいる者に質問を投げかける。相手の顔は影になり見えない。
「クス...質問が多い人ですね。とてもあなたに共感できそうです。」
「何が言いたい?」
魔理沙は八卦老を取り出すと少し身構える。
「大丈夫ですよ。心配も警戒もしなくて。私はあなたと戦う気も争う気もましてや敵対する気もありません。」
「どうだか...」
「フフ...では信用してもらえる様にあなたの質問に全て出来うる限りの返答をしましょう。ではその前に立ち話もなんですので腰をお掛けになって下さい。」
「・・・・・・・」
魔理沙は言われるままに座る。
「ではまず自己紹介から...私の名前は『二神 白卯』性別は基本男性ですが、種族は神に属するのでどちらでも構いません。」
「神様がまた大層な部屋にいるものだな...」
「...狭く暗い部屋が好みなのですよ。それとその手紙を出したのは私です。名前を書かなかったのは出来るだけ私の名を広めたくないからです。」
「なら何故私に名前を名乗る?」
まず魔理沙は訝しげに聞く。確かに矛盾がありそこを疑問に思うのは辺り前だ。だが今回は
「あなたが私を信用しないから仕方なくですよ?」
「ぐっ...すまん。」
「それともう一つ別に理由があるからですよ。あなたを私は信用しています。なので名乗りました。」
「...目的は何だ?」
「依頼です...」
「何故私何だぜ?あの手紙が周り口説い方法で書いてあるのは私をここに連れてくる為だ。違うか?」
「あってます。」
「しかし何故『博麗の巫女』に手紙を出さない?あいつは私なんかより異変を解決するのは得意だ。」
「あの方は確かに能力、力、人望、異変解決への執着心...どれも高く評価しています。しかしもし『博麗の巫女が動いたら?』きっと何か異変があるに違いない。そう広まり私が動きにくくなります。」
「...確かにその通り...か。その依頼ってのは何だぜ?」
隙間風が入り蝋燭の火が揺れ相手の顔が見える。
「私達...【二神兄弟】を殺して貰いたいのです...」
その者『二神 白卯』
髪は白髪で全体的な髪型は少し癖がありしかしうっとおしさを感じないが右のもみあげが肩の下ほど長い。瞳はラピスラズリ色をしているが光は宿っていない。視力を失なっているのだ。しかし瞳は強い覚悟を深く刻みこんでいた。