マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
カナメに誘われ響達3人は夕方一緒に食事を取る事となった。
カナメにマキナとレイナは先に店で待っていると聞かされながら、ワルキューレの新メンバーであるフレイアとデルタ小隊に入隊したハヤテ、そして何故か案内役を買って出たデルタ小隊のチャック・マスタングの7人で目的の店に向かう。
途中チャックがカナメ対して積極的なアプローチを試みるが、全て不発に終わる姿を後ろから見ていた奏は、憧れの先輩に対してこれぐらい行かないといけないのかなと思いながらぼんやりと歩く。
桟橋を渡った所にある店舗、その外観は絵本にでも出てきそうなデザインに響達は物珍しそうに見上げる。
「ようこそ、ここが俺の家であり我がデルタ小隊男子寮でもある、裸喰娘娘だ」
チャックは大げさに腕を広げると得意満面で紹介する、響はチャックが一緒に居た理由はコレかと納得した。
「裸喰娘娘……」
フレイアが確認するように呟くと、店舗の方から扉が開きその扉に付けられている鈴が軽やかな音を立てると同時にやや幼い子供達の声がした。
「「「兄ちゃん! おっかえりー!!」」」
元気のいい声に響と奏が笑っているとフレイアは小さく呟く。
「あの子ら……」
「あっ! 携帯泥棒!」
弟の1人がフレイアを指さし発した言葉にフレイアを除く女子4人がギョッとした顔でフレイアの方を見る。
「「「「泥棒?」」」」
フレイア以外の女子4人の声が見事にハモるとハミィは「ハモッたニャ」と喜びの声を上げ、カナメは苦笑いを浮かべていた。
「違うだろ、お前らがかってに……」
ハヤテがフレイアの擁護をしようとしたが店内が騒がしくなりそれどころでは無くなる。
店内から飛び出してくるウミネコを追う様に妹のマリアンヌがチャックに大声で叫ぶ。
「チャック兄ちゃん、願い!」
「「「ウーラサー!」」」
チャックと店から飛び出してきたハックとザックはウミネコを捕まえる為に闘志を燃やすが、ウミネコの方が一枚も二枚も上手であっさりと包囲網を付きやぶり桟橋に向かって来る、そのウミネコを見た奏が素っ頓狂な声を上げた。
「ネコ?! アザラシ?!」
ウミネコは奏の叫びを気にかける事無くハヤテに向かって跳躍したが寸前でエレンが優しく受け止める。
エレンの腕の中に納まったウミネコは驚いて咥えていた魚を落とすが地面すれすれの所で響が捕まえた。
鬼の様な形相で近づいてくるチャック達を手で制するエレン。
「アナタこの辺のボスね、駄目じゃないこんな事しちゃ、餌が欲しいのなら私からお願いしてあげる」
いつの間にかウミネコの前ひれを触りながら残念そうな表情を浮かべていた奏に苦笑しながらエレンはウミネコに言い聞かす様に話し顔を上げチャックに目線を向けた。
「ねえチャック、食材の切れ端や余り物で良いのこの子達に分けて貰えないかしら、そうしたらもう悪さはしなくなるわ、お願い」
「もう店を荒らさないってのなら別にそれぐらいは……」
首のエラを掻きながらぼやいたチャックにエレンは頷いて見せる。
「チャック、ありがとう」
エレンはチャックに軽く笑うと桟橋の端に歩いて行く。
「良かったわね、食事用意してくれるって、もう悪さしちゃ駄目よ」
桟橋にウミネコを降ろすと一度エレンを見て小さく鳴くと直ぐに海に飛び込んで泳いで行く。
「おーい! 忘れ物ー!」
そう叫ぶや否や響が手に持っていた魚を海に放り投げるとウミネコは綺麗なジャンプをして魚を咥える。
綺麗なキャッチを見せたウミネコに喜んでいる響の直ぐ脇でハヤテが盛大なクシャミを何度もし出す。
「どうしたん、もしかしてネコアレルギー?」
心配して声をかけるフレイアに鼻を啜りながら頷いたハヤテに奏がそっと紙を差し出すと、ハヤテは一瞬考えたが素直に受け取って鼻をかみ出す。
「邪魔だ」
後ろから掛けられる冷たい声に一同が振り繰り帰るとそのに立っていたのはメッサー・イーレフェルトであった。
「メッサーお帰りなさい」
マリアンヌが喜色満面で出迎えるがメッサーは特に返事はしない、それを見ていた奏の表情が曇る。
「おかえりって……そうかルームメイトか……」
小さく呟くハヤテを一瞥するメッサー、そんなメッサーにカナメが気軽に声を掛ける。
「ちょうど良かった、一緒にご飯食べていかない?」
「いえ、自分は済ませて来ましたので」
「そう、また今度ね」
メッサーがカナメに一言断るとカナメも軽く返答をする、メッサーが全員を避け裸喰娘娘に歩き出す。
「メッサーさん!」
少し鋭さを含んだ声でメッサーを引き止める奏、メッサーは振り向くと冷たい目で奏を見下ろす。
「なんだ」
「あの子に『ただいま』って返してあげて、出迎えてくれて要るんですよ、『お帰り』と言ってくれている人がいる事は幸せな事だよ」
「……そうか……そうだな」
メッサーは一言漏らすと踵を返して歩いて行く、マリアンヌの前で立ち止まると一言二言交わしたのだろう、マリアンヌは笑顔を見せておりその姿を見た奏は嬉しそうに微笑んだ。