マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡   作:水無月 双葉(失語症)

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 3機のバルキリーが上昇して行くのをフレイア、マキナ、レイナに奏とエレンが見上げている。

 

「VF-1EX、統合軍が初めて実戦配備した全てのVFシリーズの基礎となる機体、アップデートされたEX型は練習機として最適、つまりは……きゃわわ!」

 

 マキナの説明を聞きながら奏はぼんやりと考えていた、自分から言い出した事だがここまでの訓練をさせられるとは思ってもみなかったからだ、あのバルキリーに乗っては戦わないとは言い切ってアラドも一応納得していたが、チャックはやたらと惜しんでいたのを思い出す。

 

 響は必要以上に喜んで飛んでいるし、ついにはデルタ小隊のジャケットと制服を貰っていた、奏とエレンが着ているのはワルキューレと同じ上着だ、それぞれ制服も支給されているが上着だけでも良いと言われたので、今日はいつもの服の上から着ている、カナメ曰く基地内で行動をするのなら一目で分からないと困る時があるからと説明は受けたが、自分にはあまり似合わない気がするので最低限しか着用をしていない。

 

 奏はずいぶん遠くに来てしまったものだと空を舞っているバルキリーを見ながら周りに分からない様に小さく溜め息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

「良いか、ひよっこ供まずは基本から、右定常旋回行くよ」

 

 ヘルメット内に聞こえるミラージュの声に響は小さく深呼吸をする。

 

「右ロール戻し、ラダー補正、ピッチアップ、推力増加」

 

 次々に出される指示に響はまるで合奏の様だと感じる、バルキリーのコンピュータに自分がしたい事を教えるだけで応えてくれる、そうでなければいくらプリキュアだとしても中学生の自分が飛行機など飛ばせる訳が無い、新しいスポーツを始めた感覚にも似ている。

 

 ワンテンポ遅れながらも何とかミラージュに着いて行く、オタオタする自分がまるで親鳥の後を必死で着いて行く子鳥の様だと思い、ミラージュの言い方も尤もだと小さく笑う。

 

「馬鹿! 早く戻して!」

 

 ミラージュの焦った声に2番機で飛んでいたハヤテが落下して行くのを見てドキリとする。

 

「今度は戻し過ぎ!」

 

「うがあああああぁぁ」

 

 ハヤテの叫び声と同時にAIコントロールが働いて墜落の危機からは逃れ、上昇し元の位置に戻って来るハヤテ機を見て響は安堵の息を吐く。

 

「だから響達を見習って講習受けなさいとあれほど! さっさと上昇反転して私の後方に着きなさい」

 

「くっ、言われなくたって!」

 

 怒気交じりのミラージュの言葉にハヤテもイラついた声を出しバルキリーを上昇させようとする。

 

「ハヤテ駄目!」

 

 響の警告は遅く、ハヤテはバランスを崩し失速し墜ちて行く。

 

「何やってる! また失速」

 

「AIのサポートが邪魔で思い通りに思い通りに動かせないんだよ!」

 

 AIコントロールで元の位置に戻るがハヤテはイラつきを抑えられないでいた、

 

「響達3人はAIを上手く使っています、それに貴方が思い通りに飛ばしたら、即墜落です」

 

「何!?」

 

「あっそ」

 

 ミラージュの小さく吐いた一言に、響はこれからハヤテに降りかかるであろう悲劇を思い浮かべる。

 

 AIサポートを切られたのであろう、途端にハヤテ機の挙動がおかしくなり墜落して行く。

 

「戦闘機は機動性上げるためワザと安定性を無にしています、身の程知らずが……」

 

 ミラージュの最後の小さな呟きを聞いた響は何故だかその言葉が、ハヤテでは無い他の誰かに向かって囁かれている気がしてたまらなかった。

 

 AIを作動されたハヤテ機が元の位置に戻る。

 

「少しは理解して、響達と一緒に講習も受けなさい」

 

 吐き捨てられたミラージュ言葉に響は不思議と優しさを感じていた。

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