マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
拡大解釈のご都合主義でお許し下さい。
「最終試験?」
「ハイ」
アラドのやや疑問交じりの言い返しに、ミラージュははっきりと返事をした、アラドは横目でミラージュを見て眉を少し寄せる。
「で、相手はあの3人から選ぶのか?」
「最初はそのつもりでしたが、彼女達には断られました」
アラドの好奇心が頭をもたげる。
「どう言う理由で断って来た」
「ハイ、彼女達曰く、自分達はバルキリーで戦う為に訓練をした訳ではないので、そんな人間と勝負しても意味は無いと、ハヤテを思うならもっとちゃんとした人物が相手をするべきだ、と断られました」
ミラージュの返答に思わずアラドは声を上げて笑いそうになる、データを見るだけなら響達は既に新兵と同じレベル、いやそれ以上だ、将来のエース候補と言っても差し支え無い、カナメの提案を保留にしておけば今頃は激しい獲得合戦になったであろうと。
「ですので、響達の訓練は終了と考えあとは定期訓練のみとします、ハヤテ候補生とは私が戦います」
アラドはミラージュの判断はどちらも妥当だと考える、チャックはこの様な試験は向いて無いし、メッサーは問題外だ、ハヤテに勝ち筋がまったく無い、本当なら響達の誰かが相手をして欲しい、それでもハヤテには厳しいが……
カナメが、響達の追加条件の許可を取りに来た時に聞いた話では響はミラージュに懐いているらしい、そのミラージュの誘いを断ったのだ、自分が話しても無理だろうし、最悪出て行かれても困る、もっとも条件とは別に、響がミラージュが着ているからとデルタ小隊のジャケット等を欲しがった時は少々呆れたが。
「貴女達3人はこれから私達ワルキューレとの練習がメインとなります」
ミラージュから訓練の終了を告げられたその日の内に響達3人は隊長室に呼び出され、そこでアラドと打ち合わせをしていたカナメにいきなり宣言され、響達は顔を見合わせた。
今まではたまにカナメに誘われて、ダンスなどの練習に参加した事はあったが、それをメインにするのは話として聞いていない。
「ワルキューレとの練習をメインでする理由は何でですか?」
響が戸惑いながらカナメに訊ねるとカナメは顔ごと目線をアラドに向ける。
「その事だがな、今まではデルタ小隊預かりになっていたが正式に所属が決まったのでその関係でだ」
「所属……ですか……」
アラドの台詞に響が小さく呟く、不安に思ったのか奏が響の手を握ると響は無意識的に握り返す。
「デルタ小隊、スイート分隊となるスイートリーダーは北条響に任命する、通常ならコードネームがスイート1になるがお前達は既に独自に持っているのでそれを採用する、今まで通りと言う事だ、ただしチームで行動を促す時はメロディではなくスイート1になるから注意しろ」
「ごめん、アラドさんちょっと追いつかない」
響は情けない声を上げて奏とエレンの方を向くと、奏とエレンは大げさに溜め息を吐く。
「あのね響、ミラージュさんの講義でも分隊の話は出たよ、アラド隊長さんの部隊に所属する形で私達3人が居るの」
「スイートリーダー=スイート1=キュアメロディ、で、私達全員で行動をして欲しい時はメロディじゃなくてスイート1って呼ばれるの、わかった響?」
響は愛想笑いをしながら首を傾げ、説明をした奏とエレンは肩を落とす。
「響、スイートって呼ばれたら3人で行動するってだけで良いや」
奏の言い方は既に投げやりだ、アラドはそんなやり取りを見てリーダーは奏にするべきだったかと少し後悔をする。
「アラド隊長、そうなると奏がスイート2で私がスイート3になるって思って良いの?」
「ああ、その通りだ3人ともよろしく頼む、便宜上の階級も用意した、北条、お前は分隊長でもあるから少尉だ、南野と黒川は准尉とする、下の階級の者はお前達に何も言えん安全策と思ってくれて良い」
辞令を受け取りながら何かに気が付いた奏が、響に小さな声で話しかける。
「響ってばミラージュさんと同じ階級だよ」
奏の言葉に響の目を大きく見開く。
「ミラージュと同じ階級なら普通に喋っていても誰も咎めん、もっともウチはそんな事に対して四の五の言うやつは居ないがな」
響が嬉しそうに笑うのを見てアラドは懐からクラゲの干物を取りだすと咥える。
アラドとの説明が一段落した事で静かに見守っていたカナメが一歩前に出て来る。
「貴女達には分隊と言う他にもうひとつ立場が生まれるの、ライブ中は貴女達にもステージに居て貰います」
サラリと、とんでも無い事を言ったカナメに響達3人は動きが止まる。
「ライブ中いつ戦闘が起こるか分らないので、3人にはワルキューレの妹分としてデビューして貰うわ」
ファイルを確認しながらカナメは更に追撃をする、顔を上げ3人を見渡したカナメは楽しそうに笑う。
「次のライブでフレイアと一緒にお披露目になるから、これからビシバシ特訓するからね」
「「「ウソ────!」」」
響達が絶叫する中カナメは笑顔を崩さない、アラドは次のスルメを咥えながら肩を震わせていた。