マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
よろしくお願いします。
「奏です、入っても良いですか?」
奏の問い掛けに、ドアのロックが外され空気の抜ける音と共にドアが開く、奏はその動きを見ながら、自分が違う世界に来てしまっていると嫌でも感じてしまう。
「どうした、入って来ないのか?」
中の人物から催促され、奏は慌てて室内に足を進める、室内に入り見渡すと、アラドにカナメ、そして目的の人物であるメッサーも居た。
「南野、なかなか派手にやったな」
目の前に来た、奏に対して心底楽しそうにアラドが笑い掛けると、奏は一度足を止めアラドに目線を向けた。
「ハヤテには、思う所もあしましたし、それに響ほどじゃありませんよ」
「違いない、しかしすまないな、本当は俺達がしなきゃならん話だった」
先程までの、気軽い雰囲気は成りを潜め、鋭い眼光のアラドに奏は小さく息を呑む。
「越権行為……て言うヤツでしょうか…………?」
「軍隊なら、な、だがここはケイオスだ、南野だってそれを踏まえた上で、ブリッジにも音声を流したのだろうが」
アラドの見透かした視線に晒され、奏は少し居心地の悪さを感じる。
「そう身構えるな、問題が合ったのならあの時点で止めている、お前達3人には、その辺も含めて期待している、本当に不味い時はちゃんと止めるから安心しろ」
アラドが、乱暴に奏の頭を撫でると、奏は少し気恥ずかしそうにする。
「アラド隊長、セクハラです」
カナメの冷たい声に、アラドは慌てて頭の手を放すと、両手を上げて顔を引きつらせた、奏は照れを隠すかの様に、掌で髪を撫でつけるとカナメに軽く頭を下げる。
「響達と一緒に行かなかったの?」
「はい、私はこちらに用事がありましたので」
カナメとやり取りしながら、落ち着きを取り戻した奏は、メッサーの前に移動すると、メッサーは目を細め奏を見下ろす。
「何の用だ」
突き離すようなメッサーの言葉に、奏は臆した様子は無く笑みを浮かべる。
「今日は、無理なお願いを聞いて下さって、ありがとうございます」
「任務だ、礼を言う必要はない」
「それでも、お礼は言わせて下さい、ありがとうございます」
頭を下げた奏に、メッサーは小さく息を吐く。
「南野の狙いは俺と同じだ、だから隊長も止めなかった、そう言う訳だ頭を下げるな」
メッサーの言葉に、奏は頭を上げそのまま笑いかける。
「もう行け、北条達が心配する」
「メッサーさん、今度色々と話をさせて下さい」
奏の言葉に、メッサーは眉を寄せるが、奏は気にした様子は見られずに、更に言葉を続ける。
「私達が、戦う時にどうやって協力し合えるか、アラド隊長さんともお話してありますが、メッサーさんのお話もお聞きしたいんです」
「それは北条が、考えるべき事だ」
メッサーは奏を見据え言い放つが、奏は首を少し傾げる。
「響にお願いしても良いですが、でも響は感覚で動くから…………」
目を伏せ申し訳なさそうに話す奏に、メッサーの表情は少し険しくなる。
「メッサー君、これは私の勘だけど、多分響は美雲と同じタイプよ、奏と話し合った方が良いかな、なんなら私も同席するし、彼女達の中では奏が一番の適任よ」
カナメは、言い終わると奏に軽くウインクをする、奏はその姿に一瞬、胸がドキリとなり頬が熱くなるのを感じ、それを隠す為に笑おうとしたが、少し引きつってしまい、やり場のない感情を持て余していた。
「分かった、訓練の合間に時間を作る、南野以外に同席者が居ても構わない、それで良いな」
奏は、メッサーの言葉を受け小さく笑い、全員に会釈をすると足取りも軽く部屋を出て行く。
カナメは、そんな奏を見送りながら、まるでデートを約束を取り付けた後の姿に見え、思わす小さく吹き出した。
日が傾きだした中、3機のバルキリーは飛行甲板に静かに佇んでいた、その側ではフレイアと整備班達がハヤテの勝利に沸いている。
響は、横目でその姿を見ながら、自分の愛機から降りて来ない、ミラージュを心配してバルキリーに掛けられたタラップを昇り、キャノピーを軽くノックした。
ヘルメットを外し、膝の上に置いていたミラージュが面倒くさそうに顔を上げ、目が合うと響は小さく頭を下げる。
ミラージュはキャノピーを開くと、目線を反らしながら自嘲した。
「情けない所を見せたな」
ミラージュの言葉を聞いた響は、首を横に振る。
「情けなくなんかない、ミラージュさんが手を抜いていないのは、私にだって分かってる…………」
「だが、負けは負けだ、みっともない、やはり私は…………」
ミラージュはうつむくと、弱々しく答え小さなため息を吐く。
「そんな事ない、ミラージュさん……自分を責め過ぎちゃ駄目、お疲れ様、本当に格好良かったよ」
響は、ミラージュにタオルを渡すと、タラップから飛び降りた。
ミラージュは、渡されたタオルとしばらく見つめると、軽く汗を拭いバルキリーから降りる。
「お疲れ様」
ミラージュは、エレンに飲み物を差し出され一瞬戸惑うが、小さく息を吐くと、それを受け取った。
「色々と考える事もあると思うけど、私は立派だと思う、響が貴女を気にする気持ちが少しは分かったわ、ミラージュ、改めてよろしく」
ミラージュは、差し出されたエレンの手を取り握手する、その姿を隣で見ていた響は満足そうに笑っていた。
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