マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡   作:水無月 双葉(失語症)

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衝撃デビューステージ
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『ワルキューレの新星フレイア・ヴィオン、そのデビューステージが明日惑星ランドールでのワクチンライブと大決定、なおチームリーダーのカナメ・バッカニアによると、別のサプライズも用意しているとの…………』

 

 流れていたニューズ番組をエリザベスが消すと、後ろを振り返り嬉しそうに声を上げて笑う。

 

「あー、思い返せばワルキューレ結成への協力を…………」

 

 アーネストの、長い挨拶に空気が白けだし、何とも言えない雰囲気になってしまう。

 

「と、言う訳で!」

 

「フレフレとハヤハヤ、あとキュアキュア達のデビューをお祝いして」

 

「「カンパーイ!」」

 

 アーネストの前に入り込んだ、マキナとニナが強引に乾杯の音頭を取る。

 

「ようこそ! ケイオスへ!!」

 

 一同の声が揃い乾杯が始まる、カナメも上機嫌でグラスを掲げ、メッサーも小さくグラスを掲げる。

 

 裸喰娘娘の店内が一気に騒がしくなる、奏はジュースに口を付けながらこんな大人数のパーティーは自宅の店舗で開催された王子(あこがれの)先輩の誕生日以来だなと感じていた。

 

「フレイア・ヴィオン、命がけで頑張ります!」

 

 滝の様に涙を流しつつフレイアは、敬礼をしながら宣言した、周りが囃し立てる中、ハヤテは呆れがながら溜め息を吐く。

 

「プリキュアの3人からも一言を!」

 

 チャックが囃し立て、周りもそれに便乗する、響達は顔を見合わせると頷き合う。

 

「えっと、音楽の街、加音町から来ました北条響です、変身後はキュアメロディです」

 

「響と同じ加音町から来ました、キュアリズムこと南野奏です、よろしくお願いします」

 

「音楽の都メイジャーランドのエレン、キュアビートよ、よろしく」

 

「セイレーン、もっと笑顔で挨拶するニャ、あ、ハミィの名前ハミィニャ」

 

 ハミィの挨拶が、一部のネコ好きの心を鷲掴みにし奇声があがる、その奇声が合図となり、歓迎会はさらに賑やかになっていく。

 

 ベスが何杯ものジョッキを空け、そのたびに小さな歓声が上がる、その直ぐ脇ではアーネストが整備班の2人と腕相撲気に興じ圧勝を重ね、チャックは弟達次々に料理を運んでいる、響はそんな喧騒を楽しんでいた。

 

「ねえ、響、奏は何処に行ったの?」

 

 エレンが手に皿を持ち、別卓に座っていた響に近づきながら聞くと、響は厨房の方を指さしながら慌てて口の中の物を飲み込む。

 

「料理手伝うってさ、あとカップケーキ焼くみたい、久しぶりの奏のカップケーキと料理が楽しみだから、少し食べる量控えてるの」

 

 エレンは既に空になりだしている大皿と、脇に置かれた取り皿の山を見ながら溜め息を吐く。

 

「響はそんなに食べて大丈夫なのか?」

 

 ミラージュが、響の食べる量に少し引きながら聞くと、響はサムズアップで答え、食べる手を止めない。

 

「リズリズって料理得意なんだ」

 

「カップケーキ……久々」

 

 マキナがレイナの手を取り喜んでいる隣で、フレイアが緊張気味の声を上げる。

 

「もう直ぐワクチンライブか…………」

 

 フレイアの言葉を聞いた響は、思わず箸を止めるが、エレンは全く動じていなかった。

 

「ランドール自治政府からの要請、最近ヴァールの発生危険率が上がってきたからって」

 

 マキナの説明に、ハヤテの眉間に皺が寄る。

 

「でも、そもそも何でライブなんだ? 録音して放送とかじゃ駄目なのかよ」

 

「多分、生歌じゃないと意味が無いのよ、じゃなければ戦場で活動なんてしてないと思うわ」

 

 グラス片手に、エレンが自分の予想を話すと、マキナはエレンに笑いかける。

 

「レンレン正解、私達が歌うと生体フォールド波って言うのが発生するの、で、それがヴァールに効くんだけど録音したりデータ化すると効力激減」

 

 マキナの説明に、響が顔を上げ天井を見上げながら何かを考える。

 

「歌声に力って事ね……幸せのメロディとは違うんだね」

 

「そうね響、幸せのメロディは楽譜そのものに力が合って、歌姫が引き出して初めて効力が出るわ」

 

 響とエレンの会話に、マキナとレイナは顔を見合わせ、フレイアとハヤテは首を傾げる。

 

「レンレン、幸せのメロディの事詳しく教えて」

 

「気になる」

 

 エレンは、マキナとレイナににじり寄られ、愛想笑いをしながらも手を顎に添える。

 

 

 

「幸せのメロディは、メイジャーランドで年一回歌われる、世界を幸せにする力を持つ楽譜なの。

 

 その楽譜の歌を歌う事により世界は幸せに包まれるわ。

 

 楽譜に書かれている音符は不安定で年に一度、その年に選ばれた歌姫が楽譜に音符を定着させていたの、それは長い間の決まりごと」

 

 エレンは一度全員を見渡すと、小さく息を吐く。

 

「だけど幸せの裏には悲しみがあって、その悲しみが力を持ち『ノイズ』という存在が生まれてしまった。

 

 当時、今もそうだけれどメイジャーランドの国王、メフィスト様がそのノイズに操られ幸せの楽譜を奪い、不幸のメロディに書き換えようとした………………」

 

 エレンはそこまで説明すると水をひと口飲み目を瞑る、響は辛そうに話しているエレンの手を握るとエレンは響を見て微笑み頷いた。

 

「不幸のメロディになる直前に、女王アフロディテ様の手により音符達は、響達の住む加音町にばら撒かれたの」

 

「レンレン、どうして世界中じゃなくてじゃなくて、街だけだったの?」

 

 マキナの質問に、エレンは少し目を伏せる。

 

「加音町には、メイジャーランドの前国王様が住んでいてノイズ復活を予見し、打倒ノイズの準備を始めていたから」

 

 ここまで話を聞いていたレイナは、首を傾げるとエレンに向き直った。

 

「なんで皆はプリキュアになったの」

 

 レイナが、抑揚の少ない声で尋ねると、ハミィがテーブルに飛び乗る。

 

「それは心の中に同じしるしと、音楽を愛する心が有ったからニャ」

 

「「しるし?」」

 

 マキナとレイナは、声を揃えていきなり説明に入り込んだハミィに訊ねるが、ハミィは「ハモッたニャ」と喜び響とエレンは顔を見合わせ笑い合う。

 

「ハートマークのついたト音記号よ、それがキュアモジューレに変わったの」

 

 エレンはハミィを抱き寄せながら説明し、机の上に響はキュアモジューレを置くと、マキナが手に取り眺め眉を寄せる。

 

「作りが全然分からない…………」

 

 呟いているマキナから、レイナがキュアモジューレを受け取ると小さく笑う。

 

「温かいピリピリする……良い気持ち…………」

 

 レイナは大切な物を守るかのように、キュアモジューレを胸に抱く。

 

「そんなかんなで色々あって、私達は幸せのメロディを完成させて戦いは終わったの」

 

 キュアモジューレを受け取りながら響は、これ以上話が進みエレンが自分の過去の話をする前に強引に話をまとめた。

 

「ヒビヒビ、ちょっと投げ遣りだー」

 

「辛い事とかもあったから、あまり話したくないよ…………」

 

 マキナが頬を膨らませて響に文句を言うが、響は誤魔化す様に愛想笑いをする。

 

「ごめんなさい、響を責めないで説明できないのは私が…………」

 

「エレン!」

 

 エレンが話そうとするのを、響が強い口調で止める、一瞬、会場が静まり返るが直ぐに元の喧騒に戻る。

 

 響は同じテーブルのミラージュ、フレイア、マキナ、レイナ、ハヤテ、そしてエレンの6人に見つめられるが、気にした素振りも見せずに眉を寄せ、エレンを見つめた。

 

「エレン、その先はダメだよ」

 

 エレンは、響の言葉を受け俯いてしまうが、響はエレンを優しく抱きしめる。

 

「エレンは凄く頑張ってる、だからお願い、もう自分を責めないで」

 

 その姿を見たミラージュ達は、何も言えないでいた。

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