マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
良き新春迎えられたこと心より喜び申し上げます
本年も変わらずよろしくお願い申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
水無月 双葉
2022年 元旦
1
部屋から出ると奏は、アラドとメッサーと鉢合わせると、柔らかい笑みを見せて会釈をする。
「お疲れ様です」
「何が南野、またライブラリーに籠っていたのか」
手に持っているタブレットを見ながら、アラドは呆れ返す。
「色々と気になるんです。結局は新統合軍の都合のいい話ばかり書いてあるので何だかなぁ、ですけど」
それでも楽しそうな話をしている奏を見て、メッサーは横目で奏を眺める。
「ハヤテの話聞きましたよ、ここ最近ミラージュさんをちゃんと教官と呼んでるみたいですね、態度も少し良くなったみたいです」
「アイツはデルタ小隊に残るそうだ、フレイアが自由に歌えないなら戦争を終わらせるってな」
奏はアラドの話を聞いて納得する様に頷く。
「フレイアも少し変わったみたいなんです、カナメさんから聞いていると思いますけど……」
「話は聞いている。エレンがフレイアを鍛え上げているそうだな、南野としてはどう思っているんだ」
「エレンは音楽に関しては真面目で努力家です。メイジャーランドの歌姫もやっていましたし……でも、歌姫の事は触れないで上げて下さい、悲しい話もありますから……」
奏の表情は何も寄せ付ける様な重い雰囲気をだす。
「お前達は善意の協力者なんだ、突き詰めるさせる様な事はしない」
「ありがとうございます。でも、プリキュアの事で気に掛かる事もありますよね? 可能限り協力しますよ」
会話してると後ろから声が掛けられると、奏達は視線を向ける。
「アラド隊長!」
廊下の角から出て来たのはカナメだった。
「こんな物が手に入ったんですが」
「おっ! バレットネコクラゲ!」
カラフルな袋に入っているスルメを見たアラドが、少し驚いた声を上げた。
「食堂で一杯やって行きませんか?」
「いいですねぇ」
盛り上がるアラドとカナメ。
「メッサー君も! 奏もジュースで!」
「自分は明日の準備がありますので」
淡々と答えるメッサーに、アラドは思わずに溜め息を落とす。
「ありがとうございます。一緒に行きたいんですが、これから裸喰娘娘のお手伝いを頼まれているんです」
奏が申し訳なさそうに頭を下げると、カナメが優しく頷く。
「じゃあ、また二人共こんどね。お疲れ様」
「はい、お疲れさまでした」
メッサーと奏が歩きながら話してる。何かを思い出した奏がタブレットをメッサーに見せると、メッサーが画面を確認すると奏が嬉しそうに答えメッサーも頷く。
「カナメさん……珍しいものを気分だ……」
「知ってます? メッサー君奏に対しては表情がやわらぐ時あるんですよ」
カナメが嬉しそうに教えると、アラドの呆然とする。
『ジーナス家のあの天才パイロットの孫娘、おじい様とおばあ様の才能を継いでいれば、さぞかし──』
ミラージュは過去を思い出すと怒りが湧き上がるが、他人より自分自身が激しい感情に翻弄される。
行き成り後ろから抱きしめられミラージュは思考を止めた、響は抱きしめたミラージュを離すと、目の前に移動した。
「いきなり何ですか?!」
「おっかない顔してるよ」
響は両手でミラージュの頬をムニッと掴む、ミラージュは困った様に視線が彷徨う。
「……響。貴女のご両親は音楽の世界では天才と言われる父と、世界中のファンが居るヴァイオリニストの母との娘と聞いています」
きょとんとした響は頭を掻くと、ミラージュの耳元に囁く。
「場所、変えよう」
響は一言だけ言うと歩き出し、ミラージュは下唇を噛んだ。
ルーフバルコニーに移動すると、響は身体を伸ばすと胸に詰まった息を吐く様に深呼吸する。
「すまない響、この話止めてください」
狼狽したミラージュを見て、響は困った様に微笑んだ。
「私はもう大丈夫だから、私の話がミラージュさんの力になるなら嬉しいよ」
ミラージュは響の表情を見ると、心から笑っているのが分かり隣に立つ。
「私のパパはさ、本当に天才で何やっても超一流で、良くドイツに戻れって連絡来るんだ。ママも色々な国でコンサートして数年に1日戻って来る位」
「寂しくないんですか?」
響は腕を組むと首を捻る、そんな姿をするミラージュは不安を感じる。
「ママを一人占めする事出来ないし、世界中にファンが居てさ、私もそんなファンも大事だもん」
「響は小さいころから音楽を?」
「最初はね、小さい頃ママのコンサートのピアノを手伝って間違わなくてホッとしたんだ、その時パパと約束したんだ遊園地に連れって貰えるってね……でもね、パパに『今日の響は音楽を奏でてないね』って言われてさ、私は逃げだしての、で、ピアノも辞めたの」
ミラージュは驚くが、響はへらへらと笑う。
「どうしてまた音楽に戻ったの?」
「プリキュアが原因だけど、奏もエレンも助けてくれた。私は凡人だから、パパとかママ見たいな超一流に成れないから。でもね、気が付いたの、私は音楽が好きだってね」
「好き……?」
「うん、大好き。それでね、私の出来る事を見つかったんだ。私ね、奏と
衝撃で言葉が出てこないミラージュは、足元が崩れて行く感触を味わった。
「私には、そんなものは無い……」
ミラージュは、こわばった表情のまま口元を押さえると、足元をじっと睨む。
「あるよ。ミラージュさんて、あの時私の事気にしながらもメッサーさんの動きと戦いも見ていたよね、いつも色々な方向見ながら戦っているよ。それって物凄い才能だよ」
ミラージュが響を見ると、凛とした表情で真摯な瞳で見つめた。
「それにさ、エースって直接的に敵を倒すだけじゃなくて、色々なタイプなエースがいると思うんだよ、プリキュアの中にも1人でも戦える人もいるし、リーダー的になって仲間を強くさせる人も居るよ、どっちもエースだと思うんだ」
「色々なエース……」
一点の曇りもない思いを感じミラージュは、強く握っていた拳を緩みと穏やかな表情をした。
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