マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
オペレーションルームでアラドは惑星アル・シャハルでの戦闘データの確認をしていると、踊る様に戦うバトロイドを確認し驚きの声を上げる。
「こいつ、踊ってやがる……」
隣で画面を確認しているメッサーは興味が無いのか特に発言はしない。
映像が終わり別の画面に切り替わるとノイズの酷い画像が何枚か表示される。
「全ての映像データにジャミングが掛けられています、該当データも見当たりません」
メッサーの言葉にアラドは腕を組み深く考える、多少の心当たりはあるがまだ確定は出来ない。
思考の海を漂っている時にオペレーションルームのドアが空気の抜ける音と共に開けられ、ワルキューレのリーダーであるカナメ・バッカニアがファイルとタブレットを持って入室してくる。
「ステージお疲れさん、どうだバレッタクラゲのスルメ」
アラドは懐に何時も忍ばせているスルメの小袋をカナメに差し出すがカナメの反応は淡白だった。
「ご遠慮しておきます」
短く答えるとカナメはコンソールをいじりだし数枚の画像を表示させる、その映像も先の戦闘の物であった。
「さっきはありがとう、メッサー君」
カナメは軽く微笑むと表情を崩さないメッサーにお礼を言う。
「任務ですから」
メッサーはカナメを一瞥すると小さく答えまた画面に目を向ける。
「で、見せたい物ってのは?」
懐にスルメの小袋をしまいながらカナメに確認をするとカナメは一枚の画像をズームさせる。
「こちらです」
そこに映っていた人物は戦闘中にワルキューレと共に歌っていたフレイアであった。
「頭で光っているアレは……?」
メッサーは画像内のフレイアの頭で光っている髪飾りとは微妙に違う物に興味を示す。
「……ルン、ウィンダミア人か、この娘にフォールドレセプター因子が?」
アラドの眼光が鋭くなり画面を見つめる横で、レセプター数値のデータが表示されていく。
「はい、それも異様に高い数値です、彼女の歌声に反応して美雲の数値まで……」
顎に手を置きアラドは画面の美雲の数値を確認し何かを考える。
「それから隊長ご依頼の件」
カナメは手に持っていたタブレットを操作しアラドに渡す、画面を確認するアラド。
「ハヤテ……インメルマンか……」
「次にキュアメロディが側で戦っている時に美雲の数値も異常上昇しました」
「歌っていないのにか?」
カナメの報告に一瞬疑問を浮かべるが画面の数値を見る限り偽りでは無い事が分かる。
「キュアリズムでも同様に側に居た時は私達全員のレセプター数値が上昇しています」
画面上に全員のデータが並べられどれも高水準の数値を指していた。
「彼女達はプリキュアと総称する様です、北条響が変身するのがキュアメロディ、南野奏がキュアリズム彼女達は素手でミサイルを防ぎ、リガードなども平気で打ち倒しますアレでも中に人が居る可能性を考えて手加減をしていたそうです」
カナメの報告にアラドは目が回りそうになる。
「アレで加減ですか……」
メッサーが絞り出す様に声を出しプリキュアの戦闘映像を食い入るように見ていた。
「はい、戦闘後の救助活動にも多大な貢献をし重機の入れない所の瓦礫除去など多岐に渡って手助けしてます」
カナメは一度大きく息を吸うと一番の懸念事項について話しだす。
「一番の問題が彼女たちの最後に放った光の技、パッショナートハーモニーと言うらしいですが数値は計測しきれませんでした」
努めて冷静に報告するカナメに流石のメッサーも眉を寄せ呟く。
「想定不能……?」
「おい、とんでも無い力じゃないか、で彼女達は?」
アラドからタブレットを受け取りながらカナメは報告を続ける。
「今はアイテール内に用意した部屋に居ます、2人一緒に居る様です、あの喋る猫のハミィも常に側に居ますしフェアリートーンと呼ばれた謎の生物も常に一緒です」
カナメの報告を聴きながら画面を操作しパッショナートハーモニーを確認するアラド、隣で見ているメッサーも鋭い目つきで画面を見ていた。
「協力は取り付けそうか?」
「数点の交換条件を出されましたが問題は無いかと」
タブレットを確認しながらアラドに説明を続けるカナメ。
「まずは衣食住、立場の保護、ハミィ及びフェアリートーンを調べない事です、それと万が一他の仲間がこちらに飛ばされていた時も優先的に保護して欲しいそうです」
「意外とシンプルだな、しかしあの2人以外にもあんな力を持ったのが居るのか、恐ろしいな」
彼女達は自分の力の価値を分かっていないのか条件が軽すぎてアラドは逆に不安に成る。
「後ですね、私達ワルキューレを守る事には協力はするがそれ以外の戦闘行為はしたく無いとの事です」
「ま、妥当な話だ、分かったその条件で良い彼女達に伝えてくれ艦長には俺から話す」
「解りました」
タブレットをしまい部屋から出ようとするカナメを呼びとめる。
「あぁ、それとな場合によっては条件を追加して良い事も伝えてくれ、後給料も正式に支給してやれ」
「では、そのように」
扉の前で軽く頭を下げカナメは部屋から出て行った。