マクロスΔ スイートプリキュアの軌跡 作:水無月 双葉(失語症)
ルーフバルコニーで風に当たりながらミラージュは前回の、アル・シャハルでの戦闘を思い出しイラついていた。
「くっ、アイツ……」
小さく呟いたミラージュに被せる様に声がかけられる。
「ミラージュさんここに居たんですね」
振り向くと北条響と南野奏が立っており響の頭の上にはハミィと呼ばれる喋る猫が乗っていた。
「何か用ですか」
ミラージュは少しきつめに返事をしてしまい少し罪悪感を抱く。
「私達お世話になる事になったので良かったらロボットの中案内して欲しいなって」
「響、ロボットじゃなくてマクロス・エリシオンだよ」
「えー、どっちだっていいじゃん」
「いい加減なんだから、もう」
きつく返してしまったのに響と奏は気にした様子も無くじゃれ合うような会話をしており、ミラージュはイラついていた心が晴れて行く気がし思わず声を上げて笑ってしまった。
「いいですよ、機密部分は案内できませんがそれ以外なら案内しますよ」
「「ありがとうございます」」
2人同時に感謝の言葉を述べると響はミラージュの手を取ると引っ張り出す。
「早く行こう、ミラージュさん」
無邪気に笑いかけてくる響に対しミラージュは悪い気はしなかった。
マクロス・エリシオンから下の街に向かう吊り下げ式のモノレールの中でフレイアは落ち込んでいた。
全ての情熱を傾けで挑んだはずのワルキューレのオーディション、アル・シャハルで歌ったみたいな高揚感は出なく普通に歌い普通に不合格になった。
故郷であるウィンダミアに帰る事も出来ないだろうし自分の足元が深い沼に入り込んだ気がしていた。
何となく外の景色を眺めここまで一緒に来た少年、ハヤテを思い出し溜め息をつく。
何度目か分らない溜め息をついた時、モノレールは振動を起こし急停車し、中の乗客が騒ぎだす。
車内が非常灯に変わると同時にアナウンスが流れ始める。
『お客様にお知らせ致します、バレッタ市内でヴァールによる暴動が発生いたしました……』
ざわめきが大きくなる車内、乗客の1人が端末を使いニュースを確認すると市内では煙が上がり大規模な暴動になってしまっているらしい、不安に成り窓の外を見るが何も分からすフレイアの不安は更に大きくなって行く。
いきなり苦しみ出す男、その近くの女性が気にかけるが、声を掛けた女性は恐怖に顔を歪めると苦しみ出した男に襲われ激しい血を流して倒れてしまう、車内に響き渡る悲鳴の中フレイアの思考は止まってしまっていた。
「ヴァールシンドローム……」
「何なのよ! 何なのよ!」
「イヤ、いやぁぁ」
次々とパニックを起こす乗客たち、男がフレイアに襲いかかろうとした瞬間、椅子から飛び出した濃い紫色の長髪の女性が男性にタックルをしフレイアを救い手を引いて乗客が逃げている壁際に連れて行く。
「あ、ありがとう」
震えながらも感謝の言葉を述べるフレイアに紫の髪の女性は笑いかける。
「大丈夫? どうすればアレは治せるのか貴女は知っているかしら」
「ワルキューレの歌があれば……」
「歌? そのワルキューレっての直ぐに来れそう?」
「ワルキューレの本拠地で今日オーディションがあったから街の鎮圧が終われば……」
フレイアの言葉に紫の髪の女性はうなずき立ち上がるとヴァール化した男性の前に立つ。
「そう……そのワルキューレってのが来るまで私が押さえるわ」
「危ないんよ」
「大丈夫、私は強いから任せて」
女性はフレイアにウインクすると懐から白いハートを取りだすと大きく息を吸った。
「レッツプレイ! プリキュア! モジュレーション!」
女性が青い光に包まれると先ほどとはうって変わりフリルについた青いチアガールみたいな格好になる。
「爪弾くは魂の調べ! キュアビート!」