アルゼンチン帝国召喚   作:鈴木颯手

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第十一話「外交1」

第十一話「外交1」

「は、はは……!」

 

シエリアはアルゼンチン帝国の自治領帝国領チリの湾口都市パルパライソを見て失神しかけていた。

見上げるほど大きい高層ビル群はシエリアの、外交使節団の心を折るには十分だった。無論グラ・バルカス帝国にも高層ビル群は存在する。しかしあくまで重要な都市くらいだ。アルゼンチン帝国の、自治領の一都市にまであるわけではない。一応西側における主要な都市らしいがそれでも技術力の差を見せつけられた。

 

「これは、とても重要な外交じゃない……」

 

シエリアは今更ながらこの外交の重要性を理解する。アルゼンチン帝国との外交次第では敵に回るだろう。これだけの技術力を持つ国だ。敵に回ればグラ・バルカス帝国は滅びるかもしれない。

誰にも本土の位置は知られていない。それでは安心は出来なかった。

 

「初めまして、グラ・バルカス帝国よりお越しの皆様方。皆様方を担当させていただきますファンハ・ヒンリーと申します」

「これはどうも。シエリアといいます」

 

シエリアが代表してアルゼンチン帝国の外交官と握手をする。シエリア達外交使節団は早速都市を案内され翌日に帝都インペリオ・キャピタルに向かう事を説明される。その際に僅か半日で到着する事を訊いて更に顔から色素が抜けていたが。

そんなこんな夜となり豪華なディナーが振るまわれた。想像以上の美味にシエリア達の顔は自然と綻ぶ。

ディナーを終えホテルの部屋に案内されたシエリアたちはアルゼンチン帝国について考えていた。

 

「アルゼンチン帝国は明らかに我々より格上だ。それは分かったな?」

「ええ、まさかここまでとは思わなかったけど」

「軍事だけではなくインフラや建造能力も上……。アルゼンチン帝国は我々と同じ転移国家か?」

「その可能性は高いな。アルゼンチン帝国が表に出てから半年ほどしか経ってない。地理的に今まで隠し通せていたとは思えない」

「私達より格上の転移国家……」

「兎に角、アルゼンチン帝国と敵対はしていけない。すればグラ・バルカス帝国は亡びる」

 

外交使節団は改めて全員の意志を合わせるのであった。

そして夜が明け遂に帝都へと向か時が来た。

 

大陸横断鉄道と呼ばれるモノにのり、自国の鉄道より早く快適な乗り心地に驚いたり車内で売っているお菓子や飲み物のおいしさに驚いたりと外交使節団は終始驚きし続けていた。

インペリオ・キャピタルについた時、その驚きは頂点に達した。パルパライソ等比べ物にならない都市、それでいて計画的に作られた美しさが外交使節団を虜にしていた。

 

「我が国の帝都インペリオ・キャピタルです。まだ完成してから一年ほどしか経っていないのですよ」

「ち、因みに建造期間は……?」

「半年もかからなかったと思います」

「……」

 

ファンハの言葉にシエリアはもう驚かなくなっていた。驚き疲れたとも言うべきか。これ以上驚いていたら死んでしまう。シエリアの本能がそう言っていたように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グラ・バルカス帝国の皆さま、我がアルゼンチン帝国へようこそ」

 

インペリオ・キャピタルの総統府にて外交使節団はアイルサン・ヒドゥラーと対面していた。この国の頂点に立つ男との対面にシエリア達に緊張が走る。まさか自ら来るとは考えていなかったのだ。

歳は40代程であろうか?丁度人生の折り返し地点を過ぎた頃の様で皺が少し見える。それでも一国を預かる者らしい覇気を兼ね備えていた。

 

「は、初めまして。外交使節団代表のシエリアといいます」

「総統アイルサン・ヒドゥラーです」

 

お互いの自己紹介を行い早速外交に入る。シエリアは国交の樹立と相互不可侵等を言う。

 

「……問題はありませんが一つ良いかな?」

「な、なんでしょう?」

「貴国と我が国は遠く離れています。なのに態々我が国と国交を結びに来たのですか?」

 

シエリアは来た!と感じた。この内容は聞かれるだろうと思っておりどう話すか考えていた。だが、相手の方が国力は上なので包み隠さず言うのが一番という結論に達したためシエリアは覚悟を決めて話す。

 

「……我が国は転移国家です。そして貴国も転移国家と考えています。違いますか?」

「その通りですよ。別に隠すような事ではないので」

「……国力は貴国の方が上という事が何となくですが分かっています。その為遠い未来敵対するより今のうちに貴国と友好関係を結びたいと考えました」

「……成程」

 

アイルサン・ヒドゥラーはグラ・バルカス帝国外交使節団の率直な言葉に頭の中で意外だと思っていた。グラ・バルカス帝国の印象ははっきり言ってよくない。傲慢であり武力外交を平気で行うと考えていた。それが自国より技術力が高い事を公式に認めそのうえで態々世界の果てとも言える距離を航行する。アイルサン・ヒドゥラーの中でグラ・バルカス帝国の印象はかなり良くなってきていた。

 

「……正直に話してくれたことに感謝します。当初は貴国のふるまいから追い返すことも考えましたが実際に会ってよかった」

「……そ、それは良かったです」

 

まさかここで自国の振る舞いが足かせになるとは思っていなかった。シエリアはここまで来れた事に安堵するのであった。

 

「さて、貴国の内容ですが……」

「は、はい」

 

シエリアを含めた外交使節団がアイルサン・ヒドゥラーの次の言葉を固唾を飲んで見守る。次の言葉次第でグラ・バルカス帝国の未来は確定する。

繁栄か?滅亡か?それとも無関心か、属国化か?

そしてアイルサン・ヒドゥラーはゆっくりと口を開いた。

 


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