アルゼンチン帝国召喚   作:鈴木颯手

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第四話「ロウリア王国戦1」

第四話「ロウリア王国戦1」

「アルゼンチン帝国軍の駐留許可、ですか?」

 

クワトイネ公国にあるアルゼンチン帝国の大使館にてヤゴウは驚きのあまり聞き返した。目の前には大使であるダニエル・ウェントンがいた。

 

「はい、貴国の隣国に存在するロウリア王国が軍勢を集めているのは把握しています」

「確かに……、我が国でも報告が入ってきています」

 

ヤゴウも昨日の会議で知ったばかりなのにアルゼンチン帝国も把握できていることが改めて驚く。アルゼンチン帝国が常識外の技術力を有している事は知っていたつもりがまだまだ知らなかったと思っていた。

 

「我が国は貴国を脅かすロウリア王国を滅ぼそうと考えています」

「なっ!?」

 

大使の言葉にヤゴウは驚く。それもそのはず、クワトイネ公国はあくまでロウリア王国を追い返そうと考えていたがアルゼンチン帝国は滅ぼすことまで考えていたのだから。

 

「手順は決まっています。一度ロウリア王国を滅ぼしたのちに戦争参加国で分配する。無論クワトイネ公国やクイラ王国が不利になる様な事はしないと約束します」

「それは……、ありがたいのですが……」

 

ヤゴウは不安になる。このままアルゼンチン帝国の領土拡張を見逃すのか、と。クワトイネ公国にロウリア王国と戦える戦力は存在しない。ならアルゼンチン帝国はほとんど相手する事になるだろう。そうなれば領土分配はアルゼンチン帝国が主導となって行われるだろう。クワトイネ公国にも分配するとの事だがいずれその力をクワトイネ公国に向けてるのではないか。それが心配であった。

 

「……我が国がクワトイネ公国に力を向けるのではないかと心配の様ですが安心してください。我が国は異世界初の友好国である貴国と今後も歩んでいきたいと考えています。そんな貴国に力を向けることはありません。もし、それが行われるなら」

 

貴国が我が国に矛を向けた時ですよ。

そう話す大使にヤゴウは恐怖で顔を引きつらせるのであった。

そんな事もあったが軍隊駐留自体は特に問題なく許可された。一部の者はそのまま侵略するのではと懸念を持つ者もいたがロウリア王国という差し迫った脅威があるため渋々賛成するのであった。

そして送られてきた軍勢であるがクワトイネ公国を驚愕させるものであった。

 

陸軍:60個師団(90万人)

海軍:旧太平洋艦隊

空軍:ジェット戦闘機300以上

 

ロウリア王国軍50万の二倍近い軍勢に数は少ないとはいえ200m越えの大艦隊。更にはワイバーンより早い鉄竜(ジェット戦闘機)が300と質、量ともにロウリア王国を凌駕していた。

更にこれらの軍勢は平時の軍勢の半数に辺り本気を出せば十倍近い兵力を出せる(その代り充足率が大幅に下がるが)という。アルゼンチン帝国軍の威容にクワトイネ公国は歓喜し友好国となれたことに安心するのであった。

余談ではあるがロウリア王国戦後は恩と恐怖から少しでもアルゼンチン帝国の役に立つことを考え農作物の輸出を開始した。当初はアルゼンチン帝国の方が美味であったが本格的に美味しくしようと努力した結果あっという間に追い越していきアルゼンチン帝国ではクワトイネ公国の農作物を一級品の農作物として扱いブランド化が進んでいきクワトイネ公国への親密度が大きく上がるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ついに来たか……」

 

西部方面騎士団の団長モイジはワイバーンの鬨の声(ウォークライ)を聞き表情を引き締めた。ロウリア王国軍は50万を超えワイバーンも500以上用意しているという。クワトイネ公国ではそれほどの戦力は用意できなかった。

だが、モイジは決して慌てる事は無かった。むしろ、ロウリア王国軍に同情すらしていた。何故なら、

 

「ロウリア王国軍の越境を確認次第行動を開始します。よろしいですね?」

「勿論です。よろしくお願いします、ルーガ将軍」

 

モイジは隣にいた男、アルゼンチン帝国陸軍大将アウノルド・ルーガの言葉に頷く。ギムの西方に作られた陣地には西方騎士団のみならずアルゼンチン帝国陸軍40師団、60万人がいた。モイジは数で勝る上にアルゼンチン帝国の技術力を目の当たりにして突破どころか損害も軽微で済むだろうと自信がついていた。とは言え警戒を怠ることなく訓練を続ける様子はアルゼンチン帝国軍の好感も得られ良好な関係を築けていた。中には合同演習を行い交流を行っている部隊も存在していた。

 

「まずは上空のワイバーンを排除します。その後は陸軍による遠距離からの殲滅。最後に貴殿ら騎士団による残党狩りを行う。よろしいですね?」

「勿論です」

 

自国の防衛を他国に任せる事に当初は抵抗があったモイジも残党狩りとは言え騎士団にも役目を与えてくれるルーガに好感を持ち今は頭の片隅に追いやる事にしていた。クワトイネ公国はロウリア王国と正面から戦って勝てる訳ではないのだから。

 

「ワイバーン来ました!」

「空軍と接敵します!」

 

兵士の報告に空を見れば轟音を響かせながら飛ぶアルゼンチン帝国軍の鉄竜(ジェット戦闘機)の姿があった。そして呆気なく殲滅されていく空の王者であるワイバーン。

 

「(あれほどのワイバーン、我が国では対処しきれないだろう。だが、アルゼンチン帝国軍はそれをあっさりとやってのける。……もしかしたらワイバーンは既に空の王者ではないのかもしれないな)」

 

モイジは絶対的な強さを持っていたと信じていたワイバーンが呆気なくやられていくのを見て時代の移り変わりを直に体験するのであった。

 

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