拍手を送ろう   作:わさびは美味しくない

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小説書くの辛いけど楽しい


現状の実力

 雄英高校に合格した者全員が待ち望んでいた入学式当日。東堂は己に割り振られたクラスに向かっていた。クラスは1-A、教室に入ると東堂が目にしたのは、入試会場でプレゼントマイクに質問していた男が爆豪となにか言い合ってる姿だった。

 

 入学試験で協力し合い、知らない仲ではなかったので声をかける。

 

「久しぶりだな、入学早々問題でも起こしたか?」

 

 いきなり話しかけてきた東堂に爆豪と言い合いをしていた眼鏡の男は戸惑っていたが、爆豪は東堂が教室に入ってきたことに気づいていたのか驚いた様子もなく東堂のほうに顔を向ける。

 

「起こしてねぇわ!この端役が絡んできただけだ!てか話しかけてくんな筋肉達磨!」

 

「はっ、端役⁉︎初対面の相手に向かってなんてことを言うんだ君は!」

 

「まーまー落ち着けって、な?そろそろ先生も来そうだしさ」

 

「うっせぇ!テメェも話しかけてくんなアホ面!」

 

 ますますヒートアップしていく二人を見兼ねて爆豪と面識がある上鳴が止めに来るが爆豪に一蹴されてしまう。周りの生徒がことの成り行きを遠目から不安そうに見ていると、

 

「友情ごっこ、喧嘩、やりたいなら好きにすればいいがここでやるな。周りに迷惑をかけるならさっさとここから立ち去れ。ここは…ヒーロー科だぞ」

 

 教壇からおそらく男性であろう低い声が聞こえる。クラスの全員が声の出どころに目を向けるとそこには寝袋に入り、ゼリー状の栄養補助食品を口にくわえた相澤消太がいた。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」

 

 驚く1-Aの生徒達に目もくれず、寝袋から衣服のようなものを取り出して相澤は話を続ける。

 

「このクラスの担任の相澤消太だ、よろしく。さっそくだが、今すぐお前達には引き出しの中に置いてあるこの体育着に更衣室で着替えてグラウンドに来てもらう」

 

 必要最低限のことだけを話し教室の外に出て行こうとする相澤に眼鏡の男が入学式について質問をするが歯牙にもかけず、教室の外に出て行ってしまった。

 

 このまま教室でじっとしているわけにもいかず、生徒達は渋々といった様子で更衣室に移動し始めると、東堂と上鳴に眼鏡の男が話しかけてくる。

 

「僕の名前は飯田天哉という。先程は止めに入って来てくれていたのにすまなかった」

 

それに対し上鳴は笑って謝罪を受け入れ、自分の名を告げる。東堂はむしろ油を注いでいると言われてもおかしくない言動だったが、まるで自分も止めに入ったかのように謝罪を受け入れて自己紹介をする。飯田は縮毛の男のほうに行ったが、東堂と上鳴は爆豪を含めた三人、爆豪は黙っているので二人で軽い世間話をしながら更衣室で着替え、グラウンドに向かう。

 

 グラウンドに集まった生徒達の前で相澤がこれから行うことについて説明を始める。東堂達がこれから行うのは個性を使用した体力テスト、中学での個性の使用を禁止したものと違い、己の今できる最大限を知るためのものだ。

 

 実技試験1位の爆豪にデモンストレーションとして生徒達の前で個性を使用したボール投げを行わせる。

 

 すると、個性を使用できると聞いた一部の生徒が色めき立つが、相澤の一言で先程までの賑やかさが嘘だったかのように静まり返る。

 

 相澤が生徒に告げたのは、体力テストの結果で最下位をとった者は見込みなしと判断して除籍処分するというものだった。この発言に生徒達は一転、気を引き締めて臨もうとしているなかで東堂は相澤の発言について思考していた。

 

(附に落ちないな、なぜ『最下位をとった者を除籍処分』ではなく『最下位をとった者を"見込みなしと判断して"除籍処分』と言った?この言葉が本当ならば例えこの場で1位を取ったとしても相澤教諭が見込みなしと判断したら除籍処分ということになる。個性が意味を成さない以上手を抜くつもりなどなかったが、これは俺も気を引き締めなければな)

 

 体力テストはボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力測定、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈の9種目。東堂はこれを全て素の身体能力で行わなくてはならないがそこまで焦ってはいなかった。なぜなら上鳴という存在がいるからだ。上鳴は身体能力こそ東堂より低いが実技試験ではその強力な個性でロボット相手に無双していた。ならば上鳴という前例がある以上同じような理由で試験に合格し、体力テストに活用できない個性を持つ生徒は必ずいると考えたからだ。

 

 ある者は腹部に巻いたベルトからレーザーのようなものを出して飛び、ある者は自身の頭部をもぎ取ったものを活用して反復横跳びを行い、またある者は腕を増やし握力測定において500kgを超える記録を残す。このままつつがなく体力テストが終わるように思えたが、ボール投げの順番が緑谷と呼ばれた男子生徒に回ってきたときに問題は起きた。

 

 担任である相澤が個性を以ってして緑谷の個性を消したのだ。結果は当然平凡なものとなり、相澤の行動に生徒達から疑問の声が上がる。相澤はそれを無視して目の前の緑谷に話をする。それはこの場にいる全員が一度は聞いたことがあるオールマイトの伝説に加えて、緑谷の個性の代償についてだった。

 

 生徒達は緑谷の個性について何一つ知らなかったので首を傾げていると、爆豪は緑谷の個性の所持について否定する。しかしその言葉に反論するように緑谷と同じ実技試験会場であった飯田が実技試験で起きたことを語り始める。

 

 謂く、個性による超パワーで0P敵を倒したが代償に両足と片腕が使い物にならなくなった。謂く、隠された評価基準である救助活動Pに気づいていたかもしれない等。ボール投げで♾という驚異的な記録を出した女子生徒も同じ試験会場だったようで飯田が語った内容を肯定する。

 

 飯田は緑谷と爆豪が幼馴染だということを緑谷に聞いていたらしく爆豪に緑谷の個性について聞くが、本当に知らなかったのか飯田の話を聞いてからだんまりを決め込み、近寄りがたい雰囲気を出す。そんな爆豪に話しかけるのは究極に空気を読まない男東堂と上鳴の二人。

 

「0P敵なら俺達も倒したが、一人で、それもパンチ一発で倒すなんておもしろい個性を持った幼馴染だな。まるでオールマイトのようだ、代償に大怪我を負うみたいだがな」

 

「幼馴染に個性を秘密にされてたのはショックかもしれないけど後で聞けばいいじゃねえか、すごい顔になってるぜ?」

 

 東堂は緑谷の個性に対する感想を、上鳴は爆豪が個性を秘密にされたことにショックを受けてると考えてフォローをする。周りの生徒は東堂の0P敵を倒したという発言に驚き、詳しく話を聞こうとするが相澤の話が終わったらしく緑谷が二投目を投げようとしているのに気づき、そちらに注目する。

 

 緑谷の二投目は個性を相澤に消されることなく行うことができ、爆豪がデモンストレーションで出した記録を大きく上回った。相澤が危惧していたのは緑谷が個性を制御できず、ボールを投げるだけで腕が使い物にならなくなることだった。緑谷はボールから手を離す瞬間、人差し指のみを個性で強化することで♾という記録を出した女子生徒を除いた生徒達のなかで最も高い記録となった。

 

 緑谷の二投目が終わった直後、爆豪が緑谷に詰め寄り相澤に止められるということがあったが、それ以降は問題なく体力テストは進行されていった。

 

 そして、結果発表。

 

 東堂の順位は彼が思っていたよりも高く、ちょうどクラスの半分程の順位だった。そして最下位には緑谷出久の文字。緑谷が除籍処分されると思われたが、相澤が己の発言は生徒達の個性を最大限引き出すための合理的虚偽だったことを伝える。生徒達は相澤の発言が嘘だったことにほっとする。しかし東堂は相澤の発言がとても嘘とは思えなかった。

 

(相澤教諭は己の発言が嘘だと言ったが、あの時の俺達を見る目は嘘をついてるようには見えなかった。観察眼はあるほうだと思っていたんだがな。余程人を騙すのが得意なのか、このクラス全員見込みありと判断したからなのかはわからないが今は除籍処分されなかったことを素直に喜ぼう)

 

 相澤は生徒達に教室にあるカリキュラムなどの資料に目を通すよう指示し、緑谷には指の治療をするために保健室に向かうよう指示する。相澤の指示に従い東堂を含めた生徒達は更衣室で制服に着替え、教室で資料を確認し、帰宅していく。

 

 

    *

 

 

 体力テストの翌日から通常授業が始まる。午前中は講師こそプロヒーローだが、授業内容は他の高校と大した変わりはない。昼食を学食で済ませ、午後の授業はオールマイトが担当するヒーロー基礎学。授業内容は戦闘訓練、入学前に送った個性届と各生徒の要望に沿ってあつらえたコスチュームに着替えグラウンドβに向かう。

 

 東堂のコスチュームは謂わゆる短ランにボンタンという昔の不良のような服装だが、短ランは防寒性が高い代わりに通気性が悪いので今回は鍛えあげられた上半身を惜しげもなく晒しながらオールマイトの前に集合する。

 

 オールマイトはこれから行うことを生徒達に説明する。敵陣営とヒーロー陣営に分かれて2vs2の屋内戦、屋内戦である理由は敵退治は屋外より屋内が統計的に多く、凶悪な敵もまた然りであるからだ。

 

 くじを引いた結果、東堂は手袋と靴のみを身につけている透明な女子生徒、葉隠透と一緒のチームになった。各々のコンビには無線機と建物の見取り図、捕縛テープが支給される。

 

 一回戦目は緑谷•麗日ペアのAコンビvs飯田•爆豪ペアのDコンビ。Aコンビがヒーロー陣営、 Dコンビが敵陣営となった。演習をするAコンビとDコンビ以外の生徒達はモニタールームに移動し、演習の観戦をする。

 

 AコンビvsDコンビの演習は生徒達の予想に反して、ヒーロー陣営のAコンビが勝利を収めた。途中、爆豪の一方的すぎる蹂躙にモニタールームがざわめき、強制終了になるかと思われたが、緑谷と麗日の連携により見事ヒーロー陣営の勝利となった。

 

 演習終了後のモニタールームでの講評では昨日の体力テストで一位を勝ち取った八百万百が歯に衣着せぬ物言いで一人ずつに意見する。

 

 MVPはハリボテではあるが核を核として扱い、麗日の個性の対策をしっかりと行っていた飯田となった。爆豪は講評中、呆然とした様子で一人佇んでおり、さすがの東堂もこれには声をかけなかった。

 

二回戦目、轟•障子ペアのBコンビvs東堂•葉隠ペアのIコンビ。Bコンビがヒーロー陣営、Iコンビが敵陣営。

 

本来あったはずの未来は一人の男によって捻じ曲げられる。




ストックとかないので書き終えたら投稿していく感じです。
書き直したりするかもしれませんが書き直したら報告します。失踪する気は今のところなし。
誤字脱字の報告お願いします。
小説らしく地の文が多くなっていますが会話文をもっと増やしたほうがいいのでしょうか?それらについての意見もお願いします。
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