魔法科高校の劣等生~双子の運命~リメイク版   作:ジーザス

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変革編
第75話 卒業


それからというもの〈論文コンペ〉が中止になった後も変わらず、一高はのどかな生活を送っていた。といっても大なり小なりの事件は起こったが、それなりに楽しく過ごして瞬く間に卒業の日を迎えた。

 

桜が舞い散る講堂の前で、俺は1人澄んだ青空をぼーっと立ちながら見上げていた。式自体は既に終了し、卒業生は各自で友人や部活に最後の挨拶をしに向かっている。

 

深雪は前生徒会長としての立場があり、次の生徒会発足のための助言をしている。そのためここにはおらず達也もその付き添いである。婚約者兼ボディーガードなのだから離れるはずもないので、別段おかしなことは何もない。

 

俺も山岳部とバレーボール部に顔を出さなければならないのだが、人前は苦手なので軽く激励をしたただけで終わっているが人前で何かを話すなど俺の性分ではあまりないので、長居する必要はないと思っていたのもある。

 

 

 

しばらくすると、いつものメンバーが出てきたので合流することにした。

 

「待たせてすまないな」

「我慢強さには定評があるから、15分程度気にしたりはしないさ」

 

達也の言葉に軽く答える。

 

「それはいいけどよ。克也も山岳部にもうちょっとは顔を出せよ。今ならギリギリ間に合うぜ?」

「よしてよレオ、俺は人前に立つのは苦手なんだ。それより〈アイネブリーゼ〉行こう。行きたくてうずうずしてる」

「ごまかした」

 

雫の容赦ないツッコみで笑いが起こったが、これも今日で最後だと思うと寂しくなる。といっても一生離れ離れになるわけでもないので、これはこれでよしとすることにした。

 

 

 

克也達は〈アイネブリーゼ〉を高校最後の日に貸し切りにして、「卒業パーティー」を開催することにした。もちろん話題は高校3年間の話である。

 

「まさか入学初日からいざこざが起こるなんて思ってもいなかった」

「あれは不可抗力だと言ってほしいよな深雪?」

「そうですねあれは不可抗力としか言えません。でもそのおかげでほのかや雫とも仲良くなることができましたから、結果的に良かったと思います」

 

深雪の言葉に全員が納得するかのように頷いた。

 

「その後は【エガリテ】だったよな?」

「ああ、壬生先輩や桐原先輩と関わることになったな」

「僕は詳しく知らないから何とも言えないけど、戦闘自体はそんなに苦戦しなかったよ」

「あら、ミキも戦ってたんだ」

「僕の名前は幹比古だ。あれだけ派手に動かれたら戦わざるを得ないよ」

「私は講堂で震えてましたけど」

「柴田さんが落ち込む必要はありませんよ。私と雫も震えてましたから」

 

ほのかが美月をフォローするが、自分を追い込むことになるとはほのかは思いもしなかっただろう。

 

「私はそんなに震えてない。震えていたのは主にほのか」

「それ言っちゃダメだって言ったのに!」

 

ほのかの抗議の声に笑い声が店内に響く。

 

「〈九校戦〉は克也さん・達也さん・深雪の独壇場でしたね」

「そうだなぁ。克也と司波さんの魔法力は最初から知っていたけど、改めて間近で見ると全然違った。達也のCADの調整能力にも驚かされたぜ」

「俺達だけじゃなくてほのかや雫も褒めてやれよ。レオも幹比古も頑張ったんだからさ」

「もちろん4人とも頑張ってたよ。3人の印象が強すぎるのが悪い」

 

エリカが手放しで褒めるので、さすがの4人も照れた笑みを浮かべながらもまんざらでもなさそうだった。

 

「その後は〈横浜事変〉かな?よく考えたらあれが一番大きな事件だった気がする」

「ほのか及びピクシー事件は?」

「雫!」

 

克也の意見に対抗するように、それなりにピクシーのことを聞いていた雫も出来事を暴露する。またしてもほのかが真っ赤になりながら、今度は雫を追いかけ始めた。それを微笑ましそうに残りのメンバーは見ていた。

 

「ピクシーといえばリーナもなかなかでしたね」

「確かにあのキャラは俺達の中にはいないからな」

「個人的には克也が吹っ飛んできたのが印象的だな」

「レオ、やめてくれ。俺だって飛んできたくて来たわけじゃないんだぞ」

 

レオの言葉は、第三演習場で克也が《仮装行列(パレード)》で変装していたリーナに魔法で吹き飛ばされた時のことを言っているのだ。あれは全くの予想外で、克也でも即座には対応できずレオに向かって吹き飛ばされていた。克也が不満そうに頬を膨らませるので、レオはこれまでの仕返しかのように楽しそうな笑みを浮かべた。

 

「それ以降は概ね平和でしたね」

「…そうだね」

 

追いかけっこから復帰したほのかの言葉に、克也・達也・深雪・エリカ・レオ・幹比古は微妙な表情をした。それは一瞬だったため、ほのか・雫・美月は気付かなかった。

 

「あるとすれば、香澄と七宝の喧嘩ぐらいかな。すぐに解決したけど」

「でもそれって克也君が上手く丸め込んだからでしょ?」

「正確には俺が七宝を模擬戦で軽く捻っただけだよ」

 

その試合を観戦していたほのかや幹比古は、「あれが軽くなの(か)?」と思っていた。

 

 

 

午後3時頃からパーティーを開いていたにもかかわらず、いつの間にか3時間近くが経過しており、「時間を忘れて」とはこういうことを言うのかと思い始めていた。

 

「そういやレオは卒業後はどうするんだ?」

「俺は爺さんの故郷を見に行こうと思ってるぜ。その後は機動隊に志望届を出して試験を受けるぐらいだな」

「ドイツってそんな簡単に行けるのか?」

「ローゼンの日本支社長が便宜を図ってくれるらしいぞ」

 

いつの間にコネを作っていたのか気になる克也と達也だった。

 

「エリカは?」

「私は日本全国を回って道場破りしてやるんだ」

「資金援助ならするぞ?」

「いいよ実家に出させるから」

 

大人しく何処かの企業に就職するとは克也達は思っていたので、日本中を駆け巡る予定の言葉には驚きもしなかった。エリカらしいと思ったりはするが。

 

「幹比古は?」

「僕は実家を継ぐつもりだよ」

 

3人は既に目標が決まっているらしく、ためらうことなく教えてくれた。

 

「それは美月を迎え入れてか?」

 

克也がニヤリとしながら聞くと、2人が顔を真っ赤にさせて言い返してきた。

 

「気が早いよ克也!」

「そうですよ。まだそんなに進んでないんですから!」

「ほのかと雫は?」

 

熱々な2人の抗議を無視して問いかけると、後ろの方からギャーギャー聞こえたがそれも無視する。

 

「私達は魔法大学に進学します。まだやりたいことは決まってないですけど、必ず4年間の間に見つけるつもりです」

「2人なら素晴らしい発見ができるよな深雪?」

「はい、達也お兄様の言う通りです」

「そういや2人はいつ式を挙げるの?」

「まだ決まっていないからなんとも言えないな。たぶん挙式より当主の座の継承が先だと思う」

「克也君は?」

「俺の場合は水波が卒業してからだからまだ先だよ」

 

正直今すぐにでも挙げたいのだが、水波の立場を考えるとそういうわけにもいかない。気長に待つことにすると決めている。水波の気持ちも考慮しなければならないが、時期尚早なのでしばらくの我慢だ。克也は今週末に大々的に発表されるであろう情報を全員に伝えることにした。

 

「実はみんなに伝えることがあるんだ」

「どうしたんだ克也。大事なことなのか?」

「かなり。そのうちニュースで本名ではなく偽名で流れるけど、みんなには早めに伝えておくよ。自分司波克也は本日を以て、四葉家次期当主補佐及び戦略魔法師であることを報告いたします」

「「「「「「…は?」」」」」」

 

克也の爆弾に達也と深雪以外が眼を丸くさせ、呆気に取られていた。そりゃ今まで友人であった人物が、国家公認戦略級魔法師であると言われては信じるのは難しいだろう。

 

「…克也、それって本当?」

「こんなことを冗談で言えると思うか?」

 

恐る恐る聞いてきた幹比古に、少し強い口調で言うと押し黙ってしまった。

 

「…まさか高校最後の日になってまで驚かされるとは思わなかったぜ」

「…同感ね」

「それだけじゃないぞ。達也も戦略級魔法師だ。公式には発表されていないけど」

「「「「「「...はい?」」」」」」

 

さらなる爆弾で追い打ちをかける。

 

「…兄弟そろって戦略級魔法師だなんて。世も末ですね」

「…ほのかに一票」

「俺も」

「僕も」

「私も」

「あたしも」

 

全員が驚くことにも疲れたらしく、感情をあまり表さずに答えた。

 

「達也お兄様の場合は、克也お兄様以上の国家機密だから他言無用でお願いね?」

「何で達也君は隠さないといけないの?」

叔母様(・・・)のご意向だから詳細はわからないわ」

「達也のCAD調整能力がかなり注目されているのに、更に戦略級魔法師だと知られたら暗殺されるのが落ちだろ?だから内密で頼むよ」

 

克也のお願いに全員が頷いたので、安心して残り時間を過ごすことができた。

 

 

 

解散時刻前になり最後の高校生活の締めとして、集合写真を撮ろうということになった。最後までレオとエリカは喧嘩する態勢で。達也の左に深雪の右にほのか。克也の右に雫。そして幹比古と美月が隣同士という立ち位置で。

 

 

 

レオ エリカ 深雪 達也 ほのか 克也 雫 幹比古 美月

 

マスターに集合写真を撮ってもらった。

 

達也の笑顔は入学した頃のぎこちない笑みとは違い、優しく穏やかでとても嬉しそうな笑顔だった。

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